この記事で分かること
- タンクを空にするだけでは足りません。キャブレター内の燃料も消費させてください。
- 高圧洗浄機は水抜きが最優先。凍結でポンプが割れます。
- 刃物には油を塗ってサビを防ぐ。刃の研ぎは春ではなく秋にやると楽です。
秋の30分が、春の半日を救います
先に結論を書きます。
屋外機械の冬季保管でやるべきことは、たった4つです。
- 燃料を抜く(エンジン機械)
- 水を抜く(高圧洗浄機、ポンプ類)
- 汚れを落として、油を塗る(すべて)
- バッテリーを外す(セル始動の機械)
作業時間は、機械1台あたり15分から30分程度です。
これをやらないと、春に何が起きるか。エンジンがかからず、原因を探して半日を費やします。最悪の場合、修理費が発生します。
時間の投資としては、圧倒的に秋のほうが得です。
私は乙種第4類危険物取扱者の資格を持っています。燃料の保管については、法令の話も含めて書いていきます。
なぜ冬に壊れるのか
冬季保管の失敗は、大きく3つの原因に分けられます。
| 原因 | 何が起きるか | 影響する機械 |
|---|---|---|
| 燃料の劣化 | キャブレターの詰まり | エンジン機械すべて |
| 凍結 | ポンプや配管の破損 | 高圧洗浄機、ポンプ |
| サビ | 刃物と金属部の腐食 | 刈刃、チェーン、工具 |
このうち、凍結だけは一発で機械を壊します。他の2つは徐々に進みますが、凍結は一晩で結果が出ます。
そして、修理費も最も高くつきます。優先順位をつけるなら、まず水を抜いてください。
必要な道具
| 道具 | 用途 | 優先度 |
|---|---|---|
| 燃料抜き取りポンプ | タンクの燃料を抜く | 必須 |
| 金属製の携行缶 | 抜いた燃料を保管する | 必須 |
| 耐油手袋 | 手を守る | 必須 |
| ウエス | 清掃、拭き取り | 必須 |
| プラグレンチ | プラグの脱着と点検 | 高い |
| 防錆スプレー | 金属部のサビ防止 | 高い |
| ブラシ・ヘラ | こびりついた汚れの除去 | 高い |
| エアダスター | 細かい部分の清掃 | 中 |
| 燃料安定剤 | 抜けない場合の劣化防止 | 中 |
| バッテリー充電器 | 保管中の維持充電 | 中 |
| グリスガン | 可動部の潤滑 | 低い |
| 防水カバー | 屋外保管時の保護 | 低い |
まず揃えたいのが、燃料抜き取りポンプです。
数百円から千円程度で買えます。手で押すタイプでも十分です。これがないと、タンクを傾けて燃料を出すことになり、こぼします。
もうひとつ、金属製の携行缶も必須です。抜いた燃料をどこに入れるかを、先に決めておいてください。
エンジン機械の冬支度
草刈機、チェーンソー、発電機、耕うん機。すべて共通の手順です。
手順1:タンクの燃料を抜く
ポンプでタンクの燃料を吸い出します。
受ける容器は金属製の携行缶を使ってください。ペットボトルは絶対に使わないでください。静電気による引火の危険があり、樹脂も劣化します。
作業は屋外で行ってください。ガソリンの蒸気は空気より重く、地面近くに滞留します。
手順2:エンジンをかけて、自然に止まるまで回す
ここが最も重要な工程です。
タンクを空にしても、キャブレターの中には燃料が残っています。この残った燃料が劣化して、細い通路を塞ぎます。
タンクを空にしたあと、エンジンをかけてください。しばらく回すと、燃料を使い切って自然に止まります。これでキャブレター内も空になります。
春の「かからない」の大半は、この工程を省いたことが原因です。
なお、機種によってはキャブレターの底にドレンネジがあります。ここを緩めて燃料を抜く方法もあります。取扱説明書を確認してください。
手順3:エアクリーナーを掃除する
シーズン中に溜まった草の粉や木屑を落とします。
スポンジ式なら中性洗剤で洗い、完全に乾かしてから戻します。濡れたまま長期保管すると、カビが生えます。
紙式は洗えません。内側から軽くたたいて落とすか、交換してください。
手順4:プラグを点検する
外して状態を見てください。プラグの状態から分かることは、別記事にまとめています。
電極が丸く摩耗していたら、この機会に交換しておきます。春になってから交換するより、今のほうが確実です。
2ストロークの場合、プラグホールから2ストロークオイルを数滴入れ、リコイルを数回引く方法があります。シリンダー内壁に油膜を作り、サビを防ぐためです。
ただし、入れすぎるとかぶります。数滴で十分です。
手順5:本体を清掃する
草の汁、樹液、泥。これらは金属を腐食させます。
とくに草刈機のギアケース周辺と、チェーンソーのバー溝には汚れが溜まります。ヘラやブラシでかき出してください。
冷却フィンの目詰まりも確認してください。ここが詰まると、次のシーズンに過熱の原因になります。
清掃後は、完全に乾かしてから保管してください。水分が残ると、それがサビの原因になります。
手順6:金属部に油を塗る
防錆スプレーか、機械油をウエスに含ませて薄く塗ります。
塗る場所は、刈刃、チェーン、バー、露出したボルト、ギアケースの表面など。
厚く塗る必要はありません。薄い膜があれば、それだけでサビの進行が大きく変わります。
ただし、ゴム部品やベルトには油をかけないでください。劣化します。
高圧洗浄機とポンプ類
ここが最も緊急度の高い作業です。
水は凍ると体積が増えます。密閉された金属や樹脂の内部で凍れば、その力で容器のほうが割れます。
水抜きの手順
- 蛇口を閉め、給水ホースを外す。
- 短時間だけ運転して、内部の水を出す。長く回さないでください。
- 電源を切り、レバーを握って残圧と水を抜く。
- 高圧ホースとノズルを外し、水を抜く。
- 本体を数方向に傾けて、残った水を出す。
- 屋内に移動する。
寒冷地では、水抜きだけでは不安が残ります。物置でも氷点下になる地域では、屋内保管をおすすめします。
凍結防止用の不凍液を通す方法もありますが、対応の可否は機種によります。取扱説明書を確認してください。
詳しくは高圧洗浄機の選び方と使い方にも書いています。
忘れられやすいもの
水が残る場所は、高圧洗浄機だけではありません。
- 散水ホース:中に水が残ります。伸ばして排水してください。
- 屋外の水栓:凍結防止の措置が必要な地域があります。
- 噴霧器:農薬の残りごと凍ります。
- 水中ポンプ・給水ポンプ:内部の水を抜いてください。
- バケツに溜めた水:容器ごと割れます。
噴霧器は、水抜きだけでなく洗浄も必要です。農薬が残ったまま保管すると、パッキンを傷めます。
バッテリーの扱い
セル始動の機械や、充電式の電動工具に関わる話です。
鉛バッテリー(セル始動の機械)
使わなくても、自然に放電していきます。
そして、放電したまま放置すると、内部が劣化して回復しなくなります。これをサルフェーションと呼びます。
- 機械から外して、屋内の涼しい場所に置く
- 1〜2か月に一度、充電する
- 維持充電器があれば、つないだままにできる
- 地面に直接置かない。板の上に置く
冬に一度も充電しなかったバッテリーは、春には使えなくなっていることがあります。カレンダーに予定を入れておいてください。
リチウムイオンバッテリー(電動工具)
鉛バッテリーとは扱いが違います。
- 満充電でも空でもない、中間の状態で保管するのが望ましいとされます。
- 高温を避けてください。車内や直射日光の当たる物置は不適です。
- 極端な低温も避けてください。屋内保管が基本です。
- 完全に放電させないでください。回復しなくなることがあります。
メーカーごとに推奨が異なります。取扱説明書の記載を優先してください。
また、膨らんだバッテリーは使わないでください。内部で異常が起きています。メーカーや販売店に相談してください。
刃物の手入れ
刈刃、チェーン、剪定バサミ、ノコギリ。冬の間にサビが進みます。
研ぎは秋にやってください
これは、多くの人がやっていない習慣です。
春になって作業を始めようとしたとき、刃が切れないと気づく。そこから研ぎ始めると、その日の予定が崩れます。
秋のうちに研いでおけば、春はすぐに使えます。そして研いだ刃に油を塗っておけば、サビも防げます。
作業の総量は同じです。ですが、やる時期が違うだけで、春の作業効率がまったく変わります。
刃物ごとの手入れ
| 刃物 | やること |
|---|---|
| 刈払機の刈刃 | 樹液を落とし、目立て、防錆油 |
| ナイロンコード | 残量確認。硬化していたら交換 |
| チェーンソーのチェーン | 目立て、外して油に浸す方法もある |
| ガイドバー | 溝の掃除、注油穴の確認 |
| 剪定バサミ | 樹液を落とし、研ぎ、注油 |
| ノコギリ | 汚れを落とし、防錆 |
| スコップ・クワ | 土を落とし、油を塗る |
樹液は、放置すると固まって落ちにくくなります。使った日のうちに落とすのが理想ですが、せめて保管前には落としてください。
専用のヤニ取りクリーナーがあります。剪定バサミやノコギリを多く使う人には、あると便利です。
燃料をどう保管するか
機械から抜いた燃料を、どうするか。これも考えておく必要があります。
選択肢は3つです
- 車に入れて使い切る:無混合のガソリンなら可能です。ただし劣化していないものに限ります。
- ガソリンスタンドや自治体に相談して処分する:混合燃料はこちらです。
- 保管して春に使う:おすすめしません。劣化します。
混合燃料を車に入れてはいけません。白煙が出て、排気系に悪影響があります。
そして、下水や地面への廃棄は法令違反です。環境を汚染しますし、引火の危険もあります。絶対にやらないでください。
いちばん現実的なのは、シーズン終盤に燃料を作りすぎないことです。使い切る量を計算して混合してください。
保管には法令の制限があります
ガソリンは、消防法上の第4類第1石油類にあたる危険物です。
指定数量は200リットル。この数量に対する割合で、必要な手続きが変わります。
| 保管量 | 扱い |
|---|---|
| 40リットル未満 | 一般的な家庭の範囲 |
| 40リットル以上200リットル未満 | 少量危険物。市町村条例による届出が必要 |
| 200リットル以上 | 危険物施設の許可が必要 |
家庭で草刈機やチェーンソーを使う範囲なら、通常この数量には達しません。
ただし、農業などで多くの機械を持っている場合は注意が必要です。具体的な基準は市町村の火災予防条例で定められています。詳しくは、お住まいの地域の消防署にご確認ください。
また、数量にかかわらず、金属製の消防法適合の容器を使うことが基本です。容器には「危険物」の表示があります。
保管場所の条件
- 直射日光を避ける。温度が上がると内圧が高まります。
- 換気のある場所に置く。蒸気が滞留しないように。
- 火気から離す。ストーブ、給湯器の近くは論外です。
- 住居部分に置かない。物置や屋外の収納が基本です。
- 子どもの手が届かない場所に。
とくに冬は、暖房器具との距離に注意してください。物置に灯油を置く人は多いですが、ガソリンと同じ場所に置くなら火気の管理は徹底してください。
保管場所を整える
機械そのものより、置き方の話です。
| 場所 | 向いているもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 屋内(家の中) | バッテリー、精密な工具 | 燃料は置かないでください |
| 物置・倉庫 | エンジン機械、刃物 | 湿気対策が必要 |
| 屋外(カバーのみ) | やむを得ない場合 | 結露と盗難のリスク |
| 車庫 | 大型の機械 | 火気に注意 |
屋外保管でいちばん問題になるのが結露です。
ビニールカバーをかけると、雨は防げます。ですが、内側で結露して水が溜まることがあります。かえってサビが進むこともあるのです。
通気性のあるカバーを選ぶか、地面から離して置いてください。パレットやブロックの上に置くだけでも、湿気の影響が変わります。
立てて置くか、寝かせるか
機種によって指定があります。
4ストロークの機械を横倒しにすると、オイルが吸気側や排気側に流れ込みます。次の始動で白煙が出ます。
チェーンソーは、チェーンオイルが漏れることがあります。下に受けを置くか、バーカバーを付けて保管してください。
迷ったら、使用時と同じ姿勢で置くのが無難です。
春に取り出すときの手順
保管の話をしたので、その先も書いておきます。
- 外観を確認する。サビ、ひび割れ、部品の欠落。
- 燃料ホースを触ってみる。硬化していたら交換します。
- 新しい燃料を入れる。去年の燃料は使わないでください。
- エアクリーナーを確認する。虫や巣が入っていることがあります。
- プラグを確認する。保管中に湿気を吸っていることがあります。
- 刃の固定を確認する。ボルトの緩みを見てください。
- 短時間、無負荷で運転する。いきなり本作業に入らないでください。
4番の虫や巣は、意外と多いトラブルです。マフラーの排気口や、エアクリーナーの中に巣を作られていることがあります。
そのまま始動すると、詰まった状態で運転することになります。取り出す前に、開口部を確認してください。
やってはいけないこと
- 燃料を入れたまま冬を越す:春に高い確率でトラブルになります。
- 水を抜かずに高圧洗浄機を保管する:ポンプが割れます。
- ペットボトルに燃料を入れる:危険であり、法令にも適合しません。
- 燃料を地面や下水に流す:法令違反です。
- 濡れたまま保管する:サビとカビの原因です。
- バッテリーを放電したまま放置する:使えなくなります。
- 暖房器具の近くに燃料を置く:火災の危険があります。
- 刃を露出したまま置く:ケガの原因です。カバーをしてください。
機械別のチェックリスト
| 機械 | 特にやるべきこと |
|---|---|
| 刈払機(草刈機) | 燃料抜き、刈刃の目立てと防錆、ギアケースの清掃 |
| チェーンソー | 燃料とチェーンオイル抜き、チェーンの目立て、バー溝の清掃 |
| 発電機 | 燃料抜き、オイル交換、月1回の試運転を検討 |
| 高圧洗浄機 | 完全な水抜き、屋内保管 |
| 耕うん機 | 燃料抜き、爪の泥落としと防錆、オイル確認 |
| 噴霧器 | 薬剤の洗浄、水抜き、ノズルの清掃 |
| 芝刈機 | 燃料抜き、刃の清掃、草の除去 |
| ブロワ | 燃料抜き、エアクリーナー清掃 |
発電機だけは、少し扱いが違います。
非常用として備えている場合、いつでも使える状態にしておく必要があります。完全に燃料を抜くか、燃料安定剤を使って定期的に試運転するか。方針を決めてください。
災害は冬にも起こります。「冬季保管しているので使えません」では困る機械です。
湿気対策という見落としがちな要素
燃料と水の話をしてきましたが、保管環境そのものも重要です。
日本の冬は、地域によって性格が違います。太平洋側は乾燥し、日本海側は湿ります。同じ「冬季保管」でも、気をつけるべき点が変わります。
| 環境 | 主なリスク | 対策 |
|---|---|---|
| 寒冷で乾燥 | 凍結、ゴムの硬化 | 水抜きの徹底、屋内保管 |
| 寒冷で多湿 | 凍結、サビ、カビ | 水抜き、防錆、除湿 |
| 温暖で多湿 | サビ、カビ、燃料の劣化 | 防錆、換気、燃料抜き |
| 海沿い | 塩分によるサビ | 水洗いと乾燥、防錆の強化 |
海沿いにお住まいなら、塩分の影響を無視できません。
潮風に含まれる塩分は、金属の腐食を大きく加速させます。保管前に真水で洗い、完全に乾かしてから防錆油を塗ってください。この一手間で、機械の寿命が変わります。
物置の湿気を下げる方法
- 地面から離す。コンクリートブロックやパレットの上に置きます。
- すのこを敷く。床との間に空気の層を作ります。
- 除湿剤を置く。定期的な交換が必要です。
- 晴れた日に扉を開ける。換気だけでもかなり違います。
- 段ボールを床に置かない。湿気を吸って、周囲の湿度を上げます。
とくにコンクリートの床に直接置かないことは効果があります。コンクリートは湿気を通します。下から上がってくる水分が、機械の底を腐食させます。
板を一枚敷くだけでも構いません。空気が通る隙間があるかどうかが、分かれ目になります。
ゴムと樹脂の部品は静かに劣化します
金属のサビは目に見えます。ですが、ゴムの劣化は見えにくいものです。
| 部品 | 劣化のサイン | 対応 |
|---|---|---|
| 燃料ホース | 硬化、白濁、ひび割れ | 交換 |
| プライマリポンプ | ひび、戻りが悪い | 交換 |
| Vベルト | ひび、粉が出る | 交換 |
| 防振ゴム | ちぎれ、硬化 | 交換 |
| グリップのゴム | べたつき、割れ | 使用に支障が出れば交換 |
| タイヤ | ひび、空気漏れ | 空気圧を保つ |
ゴムは、紫外線・熱・オゾン・油で劣化します。
だから、直射日光の当たる場所での保管は避けてください。ビニールカバーをかけるだけでも、紫外線は大きく遮れます。
防振ゴムは、刈払機やチェーンソーで重要な部品です。ここがちぎれていると、振動が直接手に伝わります。振動障害の予防という意味でも、点検してほしい部分です。
タイヤのある機械は、空気を入れておいてください。空気が抜けたまま長期間置くと、その形で癖がつきます。
保管前に部品を注文しておく
これは、あまり語られない工夫です。
保管前の点検で「そろそろ交換かな」と思った部品があれば、その場で注文してください。
理由は3つあります。
- 春は部品の需要が集中します。取り寄せに時間がかかることがあります。
- 冬なら、じっくり交換作業ができます。急いでいません。
- 忘れます。春に「何を交換するつもりだったか」を思い出せません。
とくに3番目が大きいと思います。点検して気づいたことを、その場で行動に移す。これが結局いちばん確実です。
交換候補として多いのは、点火プラグ、燃料フィルター、燃料ホース、エアクリーナー、チェーンソーのチェーンといったところです。どれも消耗品で、価格も高くありません。
工具そのものの保管
機械の話をしてきましたが、整備に使う工具も冬を越します。
- 使った工具は拭いてから戻す。燃料や樹液が付いたままだとサビます。
- 工具箱に乾燥剤を入れる。小さな袋で十分です。
- ヤスリは油を塗らない。目に油が詰まると切れなくなります。乾燥した場所に置いてください。
- 測定具は別に保管する。シックネスゲージやノギスは、他の工具とぶつけないでください。
- 電動工具は屋内へ。バッテリーだけでなく本体も湿気に弱いものがあります。
ヤスリの扱いは、意外と知られていません。防錆のつもりで油を塗ると、かえって切れ味を落とします。
目に詰まった油が、削りかすを抱え込むためです。ヤスリは、汚れを落として乾いた場所に置く。これが基本になります。
測定具については、精度が命です。工具箱の底で他の工具の下敷きになっていると、変形します。布や専用ケースに入れて、分けて保管してください。
作業の順番を決めておく
複数の機械がある場合、効率のよい順番があります。
- 全機械の燃料を抜く。ポンプと携行缶を一度出せば済みます。
- 全機械のエンジンをかけて、空になるまで回す。まとめてやると時間が短縮できます。
- まとめて清掃する。ブラシとウエスを一度出せば済みます。
- まとめて注油する。スプレーを一度出せば済みます。
- 刃物の目立てをする。集中してやるほうが仕上がりが揃います。
- 最後に保管場所へ運ぶ。
機械ごとに「燃料抜いて、掃除して、油塗って」を繰り返すより、工程ごとにまとめたほうが早く終わります。
道具を出したり片付けたりする時間が、意外と大きいためです。
1台なら30分。3台でも1時間半はかからないはずです。天気のいい休日を1回使えば済みます。
よくいただく疑問
Q. 燃料安定剤を入れれば、抜かなくていいですか?
A. 劣化を遅らせる効果はありますが、抜くほうが確実です。
安定剤は、ガソリンの酸化を抑える添加剤です。保管期間を延ばす助けにはなります。
ただし、劣化を止めるわけではありません。数か月の保管なら、抜いてしまうほうが安心です。
安定剤が向いているのは、発電機のように「すぐ使える状態を維持したい」機械です。
Q. 冬でも使う機械はどうしますか?
A. 保管ではなく、都度のメンテナンスに切り替えてください。
薪づくりでチェーンソーを使う方、除雪機を使う方は、冬が本番です。
この場合は、使うたびに清掃し、燃料は1か月で使い切る量だけ作るという運用にしてください。長期保管の作業は、シーズンが終わったタイミングで行います。
Q. 何月ごろにやるのが適切ですか?
A. その機械の最後の作業が終わった日、が理想です。
草刈りなら10月から11月ごろ。地域によって差があります。
大事なのは、「これで今年は終わり」と決めた日に、その場で作業してしまうことです。後回しにすると、そのまま春になります。
ただし、水抜きだけは別です。氷点下になる前に、必ず済ませてください。
Q. マンションのベランダに置いてもいいですか?
A. 燃料の入った機械は避けてください。管理規約も確認が必要です。
ベランダは多くの場合、避難経路にあたる共用部分です。物を置くこと自体に制限があります。
また、ガソリンを住居に近い場所に置くのは危険です。燃料を完全に抜いた機械であっても、置き場所は管理規約に従ってください。
Q. しばらく使わない機械は、どうしたらいいですか?
A. 数年使わないなら、手放すことも選択肢です。
エンジン機械は、置いておくだけで劣化します。ゴム部品は硬化し、燃料系は詰まります。
「いつか使うかも」で置いた機械が、いざ必要になったときに動かない。よくある話です。
必要なときだけレンタルする、という選択肢も検討してみてください。保管の手間と場所を考えると、そのほうが合理的な場合があります。
Q. 冬季保管をしないと、必ず壊れますか?
A. 必ずではありませんが、確率は大きく上がります。
燃料を入れたまま越冬しても、春に普通にかかることはあります。運の要素もあります。
ですが、それを何年も繰り返せば、いずれ詰まります。そして詰まったときの修理費と手間は、秋の30分よりずっと大きくなります。
凍結だけは、確率の話ではありません。氷点下になれば起きます。水抜きは必ずやってください。
Q. 保管中に一度も動かさなくて大丈夫ですか?
A. 燃料を完全に抜いてあるなら、動かす必要はありません。
燃料が残っている状態で長期保管する場合は、月に一度ほど動かして燃料を循環させる方法があります。ただし、これは手間が続く前提の運用です。
忘れる可能性を考えると、最初に抜いてしまうほうが確実です。非常用の発電機だけは例外で、定期的な試運転をおすすめします。
この作業を面倒に感じる気持ちは分かります。シーズンが終わった解放感のなかで、もう一手間かけるのは気が進みません。ですが、春先に「かからない」で相談が集まる時期を見ていると、その原因の多くが越冬した燃料だと分かります。順番が逆であれば、防げたものばかりです。
もうひとつ付け加えるなら、保管作業は次のシーズンの点検も兼ねています。汚れを落としながら本体を見ていくと、緩んだボルトやひび割れたホースに気づきます。壊れてから直すより、気づいた時点で手を打てるほうが、結果として安く済みます。
なお、屋外のエンジン機械は種類が違っても必要な工具が大きく重なります。何から揃えるべきかは屋外エンジン機械に必要な工具まとめに整理しました。あわせてご覧ください。
ここまでの要点
- 燃料を抜き、キャブ内も空にする。エンジンをかけて自然に止まるまで回してください。
- 高圧洗浄機は水抜きが最優先。凍結でポンプが割れます。
- 清掃してから、油を薄く塗る。完全に乾かしてから保管してください。
- バッテリーは外して屋内へ。定期的に充電してください。
- 刃の研ぎは秋にやる。春の作業が楽になります。
- 燃料の保管には法令の制限があります。詳細は消防署にご確認ください。
- 春に取り出すときは、虫の巣と燃料ホースを確認してください。
冬季保管は、地味で面白みのない作業です。目に見える成果もありません。
ですが、この作業をやったかどうかは、翌年の春にはっきり分かります。リコイルを2回引いてかかる機械と、半日かけても動かない機械。その差は、秋の30分で決まっています。
すべてを完璧にやる必要はありません。まずは燃料と水を抜くことだけでも始めてください。効果の大半は、そこにあります。
保管の方法は、機種と、お住まいの地域の気候の両方に左右されます。とくに凍結対策と燃料の扱いについては、取扱説明書の指示が優先します。抜いた燃料の処分方法は自治体ごとに異なりますので、最寄りの消防署か自治体の窓口にご確認ください。