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エンジンがかからない時の原因と直し方|草刈機・チェーンソーの診断手順

目次

この記事の要約

  • 草刈機やチェーンソーで最も多いのは古い混合燃料です。
  • 次に多いのが点火プラグのかぶり。外して乾かせば直ることがあります。
  • 必要な工具はプラグレンチ・シックネスゲージ・パーツクリーナーの3つから。

結論:燃料 → 点火 → 圧縮の順に見てください

先に結論を書きます。

エンジンが動くために必要なものは、たった3つです。

  1. 燃料:適切な濃さの混合気がシリンダーに届いていること
  2. 点火:適切なタイミングで火花が飛ぶこと
  3. 圧縮:混合気が圧縮されること

この3つのどれかが欠けると、エンジンはかかりません。逆に言えば、原因は必ずこの3つのどれかにあります。

そして、この順番で確認するのには理由があります。手前ほど原因である確率が高く、確認が簡単だからです。

いきなりキャブレターを分解する人がいますが、実際には燃料を入れ替えるだけで直ることが少なくありません。順番を守ってください。

この記事は、草刈機・チェーンソー・発電機・耕うん機といった小型の屋外エンジン機械を想定しています。私は乙種第4類危険物取扱者の資格を持っており、燃料の取り扱いについても書いていきます。

その前に確認する5つのこと

診断を始める前に、拍子抜けするような確認をしてください。実際、これで解決することがあります。

確認項目見るところ
スイッチ停止位置のままになっていないか
燃料コック閉じたままになっていないか
チョーク冷間なら閉、温間なら開
燃料の残量タンクを覗く。傾けて確認
プラグキャップ抜けかけていないか

とくに燃料コックとスイッチは、前回の使用後に閉じたまま忘れているケースが多くあります。

プラグキャップも見落とされがちです。振動で少しずつ緩み、抜けかけていることがあります。押し込むだけで直ります。

この5つを確認してからでも、遅くありません。

必要な工具

工具用途優先度
プラグレンチ点火プラグの脱着必須
ドライバーセットカバー、エアクリーナーの脱着必須
パーツクリーナープラグとキャブ周りの清掃必須
ウエス燃料の拭き取り必須
シックネスゲージプラグギャップの測定高い
耐油手袋手を守る高い
燃料抜き用のポンプ古い燃料の排出高い
プラグギャップゲージ簡易的な隙間確認
キャブクリーナーキャブレター内部の洗浄
圧縮計(コンプレッションゲージ)圧縮の数値確認低い
エアダスター・コンプレッサー目詰まりの除去低い

まず揃えるべきは、上の4つです。

プラグレンチは付属していることが多いのですが、付属品は薄くて力が入りにくいものがほとんどです。ゴム内蔵の専用レンチがあると、作業が楽になります。

サイズは機種によって異なります。小型2ストロークなら16mmや19mm、汎用の4ストロークなら21mmが多い傾向です。取扱説明書で確認してください。

シックネスゲージは早めに買ってください

数百円で買える薄い金属板の束です。

点火プラグの電極の隙間は、0.1mm違うだけで始動性が変わります。目視で判断できる差ではありません。

「新品のプラグに替えたのにかからない」という相談の中には、新品のギャップが機種の指定値と合っていなかったというケースが混ざっています。

新品でも測ってください。これは習慣にする価値があります。

第1段階:燃料を疑う

最も原因になりやすい部分です。ここから始めてください。

古い燃料が最大の原因です

ガソリンは劣化します。

時間が経つと軽い成分が飛び、重い成分が残ります。さらに酸化が進むと、ガム状の物質ができます。これがキャブレターの細い通路を塞ぎます。

状態判断
透明で薄い色正常
黄色く濃い劣化が進んでいる
茶色い使えません。全量交換
すっぱい・変な匂い劣化しています
底に水が溜まっている使えません
ゴミが浮いているタンク内も洗浄が必要

とくに混合燃料は劣化が早いと考えてください。混合してから1か月を目安に使い切るのが安全です。

去年の秋に入れたまま冬を越した燃料。これが春先の「かからない」の代表的な原因です。

詳しくは混合燃料の作り方と保管にまとめました。

燃料の入れ替え手順

  1. タンクの燃料をポンプで抜く。金属容器に受けてください。
  2. タンク内を覗いて、ゴミや水がないか確認する。
  3. 新しい燃料を少量入れ、揺すってから抜く。共洗いです。
  4. 新しい燃料を入れる。
  5. プライマリポンプがあれば、燃料が回るまで押す。
  6. 始動を試す。

3番の共洗いは、面倒でもやってください。古い燃料が残っていると、新しい燃料が薄まります。

抜いた古い燃料は、絶対に下水や地面に流さないでください。金属容器に入れ、ガソリンスタンドや自治体の指示に従って処分します。

燃料フィルターの目詰まり

タンクの中に、細いホースの先端に付いた小さな部品があります。これが燃料フィルターです。

針金を曲げたフックで引き出せば、状態を確認できます。茶色く変色していたら交換です。数百円の消耗品です。

症状としては「かかるがすぐ止まる」「高回転で息つきする」という形で出ます。燃料が足りていないためです。

燃料ホースのひび割れ

透明や半透明のホースは、経年で硬化してひび割れます。

ここから空気を吸うと、燃料が正しく送られません。指で軽く曲げてみて、硬くなっている、白く曇っているなら交換時期です。

耐ガソリン性のホースを使ってください。ホームセンターの汎用ホースでは、すぐに劣化するものがあります。

混合比を間違えていませんか

2ストロークの機械で、意外と多い原因です。

  • オイルが多すぎる:プラグがかぶり、白煙が出ます。
  • オイルが少なすぎる:焼き付きます。取り返しがつきません。
  • 4ストロークに混合燃料を入れた:白煙とカーボンの原因になります。
  • 2ストロークに無混合のガソリンを入れた:短時間で焼き付きます。

物置に複数の携行缶を置いている場合、取り違えが起きます。缶に品名と混合比を大きく書いておいてください。

色つきの2ストロークオイルを使えば、混合済みかどうかが見て分かります。これも有効な対策です。

第2段階:点火を疑う

燃料を入れ替えてもかからないなら、次は点火です。

プラグを外して状態を見る

プラグは、エンジン内部の状態を教えてくれる唯一の窓です。

プラグの状態意味対処
薄い茶色・きつね色正常そのまま使える
湿っている・燃料の匂いかぶり。燃料が濃すぎる乾かす。チョークの操作を見直す
黒く乾いてすすだらけ燃料が濃い、エアクリーナー詰まり清掃。エアクリーナー交換
白く焼けている燃料が薄い。過熱の危険混合比とキャブ調整を確認
電極が丸く摩耗寿命交換
碍子が割れている破損交換
オイルでべっとり混合比が濃すぎる、内部の異常混合比を確認

いちばん多いのがかぶりです。

チョークを閉じたまま何度も引くと、シリンダー内に燃料が入りすぎます。すると火花が飛んでも着火しません。

かぶったときの対処

  1. プラグを外す。
  2. パーツクリーナーで洗い、完全に乾かす。
  3. プラグを外したまま、チョークを開いてリコイルを数回引く。シリンダー内の余分な燃料を飛ばします。
  4. プラグを戻す。
  5. チョークを開いた状態で始動する。

3番の作業では、プラグホールから燃料が霧状に噴き出します。顔を近づけないでください。火気も厳禁です。

プラグを乾かすのに、ライターであぶる方法が紹介されていることがあります。すすめません。碍子が急激な温度変化で割れることがありますし、燃料が付いた状態で火を近づけるのは危険です。

火花が飛ぶかを確認する

プラグ自体が生きているかを確かめる方法です。

  1. プラグを外し、プラグキャップを付ける。
  2. プラグの金属部分を、エンジンの金属部に確実に接触させる。
  3. スイッチを運転位置にする。
  4. リコイルを引く。
  5. 電極の隙間に青白い火花が飛べば正常。

ここで重要な注意があります。

プラグホールからは燃料が霧状に出ています。火花を飛ばす位置がプラグホールに近いと、引火します。必ず離れた場所で行ってください。

できれば、プラグホールにウエスをかぶせておくと安心です。

また、プラグを手で持たないでください。数千ボルトから数万ボルトの電圧がかかります。絶縁されたプライヤーで挟むか、専用のテスターを使ってください。

火花が飛ばない場合

原因確認方法
プラグの寿命新品に交換して再確認
プラグキャップの接触不良差し込み直す
停止スイッチの配線がショートスイッチ配線を一時的に外して確認
イグニッションコイルの故障交換が必要
コイルとフライホイールの隙間ずれ規定値に調整

意外な原因が停止スイッチの配線です。

この配線が振動でこすれ、被覆が破れて車体に接触すると、常に「停止」の状態になります。スイッチを運転位置にしても、火花は飛びません。

コイルを買い替える前に、配線を確認してください。

プラグギャップの調整

電極の隙間は、機種ごとに指定値があります。取扱説明書を確認してください。

シックネスゲージを差し込み、わずかに抵抗を感じる程度が適正です。

広すぎると火花が飛びにくくなります。狭すぎると火花が弱くなります。どちらも始動性が落ちます。

調整するときは、外側の電極だけを曲げてください。中心電極を押すと碍子が割れます。

第3段階:圧縮を疑う

燃料も点火も問題ないのにかからない。ここまで来たら圧縮です。

リコイルの手応えで分かります

専用の測定器がなくても、ある程度は判断できます。

手応え状態
周期的に重い抵抗がある圧縮は正常
スカスカで軽い圧縮が抜けている
まったく引けない内部で固着・焼き付きの可能性
引けるが手応えが弱い圧縮の低下

健全なエンジンは、リコイルを引くとき周期的に「グッ」と重くなる感触があります。これが圧縮です。

この抵抗がまったくなく、スルスル引けてしまうなら、圧縮が抜けています。

圧縮が抜ける原因

  • ピストンリングの摩耗:使用時間の長い機械で起こります。
  • シリンダーの傷:焼き付きの跡です。
  • ガスケットの抜け:シリンダーとクランクケースの合わせ面から漏れます。
  • バルブの当たり不良:4ストロークの場合です。
  • プラグの締め付け不足:単純ですが、あり得ます。

正直に書きます。ここまで来ると、個人での修理は難しくなります。

シリンダーやピストンの交換は、部品代だけで機械の価格に近づくことがあります。使用年数が長いなら、買い替えを検討する場面です。

ただし、プラグの締め忘れだけは確認してください。緩んでいるだけなら、締めれば直ります。

リコイルが引けない場合

ロープがまったく引き出せない、あるいは途中で固まって動かない。

このときは、力任せに引かないでください。ロープが切れるか、リコイル機構が壊れます。

  • 焼き付き:ピストンがシリンダーに固着しています。
  • リコイル自体の故障:内部のバネやツメの破損です。
  • ウォーターハンモック:シリンダー内に液体が溜まっている状態です。
  • 刃やベルトの巻き込み:草刈機や耕うん機で起こります。

切り分け方は簡単です。プラグを外してから引いてみてください。

プラグを外すと軽く引けるなら、圧縮による抵抗です。つまりエンジンは回っています。外しても引けないなら、内部の固着かリコイルの故障です。

エアクリーナーを忘れないでください

3段階の診断からは外れますが、非常に多い原因です。

草刈りをすれば、細かい草の粉がエアクリーナーに詰まります。チェーンソーなら木屑です。

空気が入らなければ、燃料が濃すぎる状態になります。結果として、かぶって始動しません。

種類手入れの方法
スポンジ式中性洗剤で洗い、乾かす。オイルを塗るタイプもある
紙式(ペーパー)洗えません。内側から軽くたたいて落とすか交換
フェルト式たたいて落とす。汚れたら交換

紙のエアクリーナーを洗ってはいけません。繊維が崩れて、ろ過機能を失います。

また、洗ったあとは完全に乾かしてから取り付けてください。濡れたまま付けると、それだけで空気の通りが悪くなります。

使用のたびに軽く点検するだけで、トラブルは大きく減ります。

キャブレターの詰まり

古い燃料を放置した機械で、最も起こりやすい状態です。

キャブレターの内部には、髪の毛ほどの細さの通路があります。ここが劣化した燃料のガム質で塞がると、燃料が流れません。

まず試す簡易的な方法

  1. エアクリーナーを外す。
  2. キャブレターの空気の入り口に、キャブクリーナーを軽く吹く。
  3. 始動を試す。

これで一時的にかかることがあります。かかれば、原因はキャブレター周りだと確定します。

ただし、これは診断のための方法です。根本的な解決ではありません。詰まりが残っていれば、また止まります。

分解清掃は慎重に

キャブレターの分解は、手を出す前に考えてほしい作業です。

  • 内部に非常に小さな部品が入っています。落とすと見つかりません。
  • ダイヤフラムというゴムの膜は、破れると交換が必要です。
  • 組み立ての順序を間違えると、まったく動かなくなります。
  • 調整ネジの位置を戻せなくなると、始動できません。

やるなら、分解の各段階で写真を撮ってください。これが最も確実な記録になります。

そして、部品を並べる場所を決めておいてください。トレイを用意し、外した順に並べます。

自信がなければ、修理に出すほうが結果的に安く済むことがあります。無理をしないでください。

症状別の早見表

症状疑うところまずやること
まったく反応がない燃料・点火燃料の確認、プラグの火花確認
かかるがすぐ止まる燃料供給燃料フィルター、キャブ、燃料の劣化
チョークを開くと止まる燃料が薄いキャブの詰まり、エア吸い込み
回転が上がらないエアクリーナー・排気清掃、マフラーのカーボン
白煙が多いオイル過多混合比の確認
黒煙が出る燃料が濃いエアクリーナー、チョーク
リコイルが重い圧縮・固着プラグを外して確認
リコイルが軽すぎる圧縮抜け専門店へ
始動後に息つきする燃料供給の不安定燃料フィルター、ホース
温まると止まる点火系の熱による不良コイルの点検

やってはいけない対処

  • プラグホールに直接ガソリンを入れる:引火の危険があります。
  • プラグをライターであぶる:碍子が割れます。危険でもあります。
  • リコイルを力任せに引く:ロープと機構が壊れます。
  • 屋内でエンジンをかけて確認する:一酸化炭素中毒の危険があります。
  • 燃料を地面や下水に流す:法令違反です。
  • キャブの調整ネジを闇雲に回す:元の位置が分からなくなります。
  • 刃やチェーンを付けたまま始動テストをする:かかった瞬間に動きます。

最後の項目は、とくに気をつけてください。

何度も引いてかからない状態が続くと、かかったときの心構えができていません。そこへ刃が回り出すと、対応が遅れます。

始動テストのときは、刃を外すか、確実に接地しない状態にしてください。

かからなくなる前にできること

ここまでの内容の大半は、予防できます。

タイミングやること
使用のたびエアクリーナーの目視、燃料の残量確認
使用後本体の清掃、草や木屑の除去
1か月使わないとき燃料を抜き、キャブ内も空にする
シーズン終わり燃料を完全に抜く。プラグ点検
年に一度プラグ、燃料フィルター、燃料ホースの交換検討

いちばん効くのは、長期保管の前に燃料を抜くことです。

タンクの燃料を抜き、そのあとエンジンをかけて自然に止まるまで回します。これでキャブレター内の燃料も消費されます。

この一手間があるかないかで、翌シーズンの始動性がまったく変わります。

詳しくは屋外機械の冬季保管にまとめる予定です。

4ストローク特有の原因

発電機、耕うん機、一部の刈払機は4ストロークです。2ストロークにはない原因があります。

オイルの量が足りないと始動しません

これを知らずに悩む人が非常に多い項目です。

多くの4ストロークエンジンには、オイルの量を検知するセンサーが付いています。規定量を下回ると、エンジンを保護するために点火が止まります。

この状態では、燃料もプラグも正常なのにかかりません。火花も飛びません。「イグニッションコイルが壊れた」と勘違いしやすい症状です。

4ストロークがかからないときは、まずオイルの量を見てください。これだけで解決することがあります。

確認するときは、機械を水平な場所に置いてください。傾いていると、正しい量が測れません。

オイルが古い、汚れている

量が足りていても、状態が悪ければ影響します。

オイルの状態判断
透明感のある茶色正常
真っ黒でどろりとしている交換時期
白く濁っている水が混入。要点検
ガソリンの匂いがする燃料が混入している
量が増えている燃料の混入。異常です

オイルの量が増えているのは、見逃せない症状です。キャブレターから燃料が漏れ、オイルに混ざっている可能性があります。

この状態で運転すると、潤滑性が落ちてエンジンを傷めます。原因を特定するまで、使わないでください。

バルブクリアランス

4ストロークには吸気と排気のバルブがあります。この隙間が狂うと、圧縮が保てません。

症状としては「圧縮が弱い」「かかりにくい」「異音がする」という形で出ます。

調整にはシックネスゲージと、規定値の情報が必要です。作業自体は難しくありませんが、数値を間違えるとエンジンを壊します。整備書を入手できない場合は、専門店に依頼してください。

発電機で起こりやすいこと

発電機には、他の機械にない特有の落とし穴があります。

  • 負荷をつないだまま始動しようとしている:機種によっては、コンセントに何かつないだままだと始動できません。すべて抜いてから始動してください。
  • 長期間まったく動かしていない:発電機は非常用のため、何年も放置されがちです。燃料の劣化が最も進む使われ方です。
  • ブレーカーが落ちている:エンジンはかかっても電気が出ない場合、ここを見てください。
  • オイルセンサーの作動:4ストロークなので、前述の症状が出ます。

とくに長期放置は深刻です。非常用として買ったのに、いざというときに動かない。これでは意味がありません。

年に2回程度、実際に動かしてください。詳しくは発電機の選び方と使い方に書いています。

マフラーの詰まりという盲点

燃料・点火・圧縮のどれにも当てはまらない、もうひとつの原因です。

2ストロークエンジンは、混合オイルが燃えた残りがカーボンとして溜まります。これがマフラーの排気口や、スパークアレスタという金網を塞ぎます。

排気が出なければ、次の混合気が入りません。結果として、かからない、あるいは回転が上がらないという症状になります。

症状の特徴は、こうです。

  • 低回転では動くが、高回転にすると止まる
  • だんだんパワーが落ちてきた
  • 使用時間が長い機械である

マフラーを外し、金網を確認してください。真っ黒に詰まっていることがあります。

清掃はワイヤーブラシで行います。ただし、金網が破れていたら交換してください。この部品は、排気口から火の粉が出るのを防ぐ役割があります。山林での使用では重要な部品です。

セル始動の機械の場合

バッテリーでエンジンを回す機種では、確認する順番が少し変わります。

症状疑うところ
まったく無反応バッテリー上がり、ヒューズ、端子の腐食
カチカチと音だけするバッテリーの電圧不足
弱々しく回るバッテリーの劣化
勢いよく回るがかからない燃料・点火の問題

まずバッテリーの電圧を測ってください。テスターがあれば数十秒で分かります。

端子の腐食も多い原因です。白い粉が吹いていたら、外して清掃してください。接触が悪いだけで、大きな電流が流れません。

なお、バッテリーは使わなくても自然に放電します。長期保管するなら、外しておくか、定期的に充電してください。

安全に関する注意

診断作業そのものにも危険があります。まとめておきます。

  • 屋外で、換気のよい場所で作業してください。燃料の蒸気が滞留します。
  • 火気厳禁です。喫煙はもちろん、ストーブの近くも避けてください。
  • ガソリンは静電気でも引火します。金属容器を使い、地面に置いて注ぐのが基本です。
  • エンジンが熱いうちは触らないでください。マフラーは特に高温です。
  • 刃やチェーンは外すか、確実に固定してください。
  • プラグの高電圧に注意してください。素手で触らないでください。

ガソリンは消防法で第4類の危険物に指定されています。引火点は氷点下40度以下。冬でも常温で引火する液体だと理解してください。

抜いた燃料を入れる容器も、必ず金属製の携行缶を使ってください。ペットボトルは論外です。静電気が溜まりますし、劣化して漏れます。

よくある質問

Q. 何回くらい引いてもかからなければ諦めるべきですか?

A. 10回程度でかからなければ、いったん止めて原因を探してください。

引き続けると、シリンダー内に燃料が溜まってかぶります。すると、本来の原因が解決しても、今度はかぶりで始動できなくなります。

状況を悪くするだけです。手を止めて、プラグを見てください。

Q. 始動剤スプレーを使ってもいいですか?

A. 診断には使えますが、常用はすすめません。

始動剤で一瞬かかるなら、火花は飛んでいて圧縮もあると分かります。つまり燃料系の問題だと切り分けられます。

ただし、始動剤は潤滑性がありません。2ストロークで多用すると、潤滑不足でエンジンを傷めます。あくまで診断の道具と考えてください。

Q. 冬だけかかりにくいのはなぜですか?

A. 低温では燃料が気化しにくく、混合気ができにくいためです。

チョークは、この気化不足を補うための機構です。冷えているときは確実に閉じてください。

また、オイルが硬くなって抵抗が増えることもあります。数回ゆっくりリコイルを引いて、内部を動かしてから始動すると、かかりやすくなります。

Q. 修理に出す判断はどこでしますか?

A. 圧縮に問題がある場合と、キャブレターの分解に自信がない場合です。

燃料の入れ替え、プラグの清掃と交換、エアクリーナーの手入れ。ここまでは個人でできる範囲です。

その先は、部品と工具と経験が必要になります。費用の目安を先に聞いてから依頼すると、買い替えとの比較がしやすくなります。

Q. プラグはどのくらいで交換しますか?

A. 使用時間によりますが、年に一度の交換を目安にしてください。

プラグは数百円の部品です。それで始動性が安定するなら、安い投資だと考えています。

予備を1本、機械と一緒に保管しておくと便利です。作業中に不調が出たとき、その場で交換して試せます。

Q. 買ったばかりなのにかからないときは?

A. 販売店に相談してください。初期不良の可能性があります。

自分で分解すると、保証の対象外になることがあります。触る前に連絡してください。

ただし、燃料の入れ忘れやスイッチの位置といった基本的な確認だけは、先に済ませておくとやりとりがスムーズです。

なお、屋外のエンジン機械は種類が違っても必要な工具が大きく重なります。何から揃えるべきかは屋外エンジン機械に必要な工具まとめに整理しました。あわせてご覧ください。

まとめ

  • 燃料 → 点火 → 圧縮の順に確認してください。
  • その前に、スイッチ・燃料コック・チョーク・残量・プラグキャップを見てください。
  • 最も多い原因は古い燃料です。特に越冬した混合燃料。
  • 次に多いのがプラグのかぶり。乾かせば直ります。
  • エアクリーナーの詰まりも見落とさないでください。
  • 火花の確認はプラグホールから離して行ってください。引火します。
  • 圧縮に問題があるなら、修理か買い替えの判断になります。

エンジンがかからないというのは、気持ちのいいものではありません。作業をしようと思っていた朝に、それだけで予定が崩れます。

ただ、原因は3つに絞れます。当てずっぽうで部品を交換するのではなく、順番に潰していけば必ずどこかに当たります。

そして、その多くは予防できるものです。使用後に燃料を抜き、エアクリーナーを掃除する。この習慣があれば、来年の春に慌てることはありません。

ここに書いた診断の順番は、小型エンジン全般に共通するものです。ただし、キャブレターの構造や調整ネジの位置は機種ごとに違います。分解に進む前には、必ずお持ちの機種の整備情報を確認してください。

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