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家具の移動・模様替えの道具|持ち上げず、滑らせてください

目次

先に要点だけ

  • 持ち上げようとしないでください。滑らせるほうが、安全で確実です。
  • 数百円の滑らせるシートが、いちばん効きます。
  • 床の傷は、動かした後では直せません。養生を先に。
  • 腰を痛める原因は持ち方です。膝を使ってください。

結論:持ち上げるのではなく、滑らせてください

模様替えや引っ越しで、重い家具を動かす。

ここで多くの人が、持ち上げようとします。そして、腰を痛めるか、床を傷つけるか、家具を壊します。

発想を変えてください。家具は、滑らせて動かすものです。

数百円のシートを脚の下に敷くだけで、タンスが指1本で動きます。大げさではなく、それくらい変わります。

この記事では、その道具と使い方、そして床と壁を傷つけないための順序を説明します。

必要な道具

道具用途優先度目安
家具移動用の滑らせるシート脚の下に敷いて滑らせる必須数百円〜1,000円
養生用の毛布・段ボール床と家具を守る必須手持ちで可
軍手・すべり止め付き手袋手を守る、滑り止め必須数百円
家具移動用のリフター(てこ)持ち上げてシートを入れる高い1,000〜3,000円
マスキングテープ引き出しや扉の固定高い数百円
メジャー通れるかを事前に測る高い数百円
養生テープ床や壁の保護数百円
キャスター付きの台車まとまった量を運ぶ状況次第3,000円〜
すきまテープ・フェルト設置後の傷防止数百円
ドライバー(2番)分解が必要な場合500〜1,500円

上の3つで、1,000円ほどです。これだけで、作業の質がまったく変わります。

滑らせるシートの使い方

フェルトや樹脂でできた、小さな板やシートです。家具の脚の下に敷いて使います。

床材向いているもの
フローリングフェルト面を下に。傷が付きにくい
カーペット樹脂の硬い面を下に
面の広いもの。跡が付きにくい
クッションフロアフェルト。硬いものは跡が残ります

製品によっては、両面が使い分けられるようになっています。硬い床とカーペットで、向きを変えて使います。

シートを入れる方法

問題は、重い家具の下にどうやって入れるかです。

  • 家具移動用のリフター:てこの原理で持ち上げます。1,000円ほど。
  • 中身を出して軽くする:引き出しの中身を全部出せば、かなり軽くなります。
  • 片側を傾ける:壁側に傾け、手前の脚から入れます。
  • 2人でやる:ひとりが持ち上げ、ひとりが差し込む。

中身を出すのが、いちばん確実です。

本棚の本、タンスの衣類、食器棚の食器。これらを出すだけで、家具の重さは半分以下になることがあります。「面倒だから中身ごと動かそう」が、事故のもとです。

床は、動かす前に守ってください

床の傷は、後から直せません。フローリングの引っかき傷、へこみ、クッションフロアの裂け。どれも、補修しても跡が残ります。そして賃貸なら、原状回復の対象になり得ます。養生に使う数分は、必ず割いてください。動かしてから「しまった」と思っても、遅いのです。

養生の方法を挙げます。

  • 通り道に、毛布や段ボールを敷く。使い古しで構いません。
  • ドア枠や壁の角を保護する。ぶつけやすい場所です。
  • 床の砂を先に掃除する。砂を挟んだまま滑らせると、削れます。
  • 家具の脚の裏を確認する。古い金具やネジが出ていることがあります。

3番目は、洗車と同じ理屈です。砂粒が挟まれば、それが研磨剤になります。

床を掃いてから作業を始めてください。この一手間で、細かい傷がかなり減ります。

養生テープの注意

床に直接テープを貼る場合、種類を選んでください。

  • 養生用のテープ:はがしやすく設計されています。
  • ガムテープ、布テープ:粘着が強く、跡が残ります。床材を傷めることも。
  • 長期間貼らない。養生用でも、時間が経てばはがれにくくなります。

「はがせる」と書かれた製品でも、目立たない場所で試してから使うのが確実です。

先に測ってください

動かし始めてから「通らない」と気づくのが、いちばん困ります。

測る場所注意点
家具の幅・奥行き・高さ取っ手や扉の出っ張りも含めて
ドアの開口部ドア本体の厚みで、実際は狭くなります
廊下の幅曲がり角では、対角線が問題になります
階段の踊り場回転できるかを確認
天井の高さ立てて運ぶ場合
設置場所コンセントや窓を塞がないか

見落としやすいのが「曲がり角」です。

まっすぐな廊下を通れても、直角に曲がれるとは限りません。家具の長さと、廊下の幅の関係で決まります。

不安なら、床に養生テープで家具の輪郭を描いてみてください。紙に描くより、実感がつかめます。

そして、ドアは外せることがあります。蝶番のピンを抜けば、開口部が数センチ広がります。それで通ることも少なくありません。

腰を痛めない持ち方

どうしても持ち上げる場面はあります。そのときの基本です。

  1. 荷物に近づく。体から離れるほど、腰への負担が増えます。
  2. 足を肩幅に開く。安定した姿勢を作ります。
  3. 膝を曲げて、腰を落とす。背中を丸めないでください。
  4. 背筋を伸ばしたまま、脚の力で立ち上がる。
  5. 体をひねらない。方向を変えるときは、足を踏み替えてください。

3番と5番が、特に重要です。

背中を丸めて持ち上げると、腰の一点に力が集中します。これがぎっくり腰の典型的な原因です。

そして、持ったまま体をひねるのも危険です。重い物を持った状態で回旋の力が加わると、腰は非常に弱くなります。

面倒でも、足を動かして向きを変えてください。

無理をしない判断

正直に書きます。

ひとりで持てない物は、持たないでください。

  • 冷蔵庫、洗濯機、大型のタンス:ひとりでの移動は避けてください。
  • 階段での上下:滑れば、下敷きになります。
  • ピアノ、金庫:専門業者に依頼してください。

そして、腰を痛めると、その後の生活すべてに影響します。数日で治るとは限りません。

「今日中に終わらせたい」という気持ちが、無理な判断につながります。分けてやる、人を呼ぶ、業者に頼む。選択肢は他にもあります。

動かす前の準備

  1. 中身をすべて出す。重さが変わり、扉も開きません。
  2. 引き出しと扉を、テープで留める。移動中に飛び出します。
  3. ガラスの部分を保護する。毛布を巻いてください。
  4. 分解できる部分は外す。棚板、脚など。
  5. 床と通り道を掃除し、養生する。
  6. 寸法を測る。
  7. 行き先を空けておく。置き場所に物があると、途中で止まります。

2番を忘れると、移動中に引き出しが滑り出て、床に落ちます。足に当たれば怪我をします。

マスキングテープなら、塗装を傷めにくく、はがしやすいのでおすすめです。

7番も見落とされがちです。「動かした先に、まだ物が置いてある」という状態で作業を始めると、途中で家具を持ったまま立ち往生します。

2人で運ぶときの合図

地味ですが、事故を防ぐ要素です。

2人での運搬で怪我が起きるのは、たいていタイミングがずれたときです。片方が持ち上げ、もう片方がまだ構えていない。あるいは、片方が先に下ろしてしまう。

  • 持ち上げる前に、声をかける。「いきますよ」「いいですよ」で十分です。
  • 下ろすときも必ず合図する。持ち上げるときより危険です。
  • 階段では、下側の人が主導する。視界と負担が大きいためです。
  • 進行方向が見えないほうが、指示を受ける。
  • 途中で止まりたくなったら、遠慮なく言う。我慢して落とすほうが危険です。

とくに下ろすときです。持ち上げるときは互いに構えていますが、下ろすときは「もう終わり」という気の緩みが出ます。指を挟むのは、この瞬間が多いのです。

そして、手袋は必ず着けてください。すべり止め付きのものなら、力が要らなくなります。素手で持つと、汗で滑った瞬間に落とします。

設置後にやっておくこと

動かし終えたら、いくつか確認してください。

確認すること理由
がたつきがないか床が水平とは限りません
扉や引き出しが正常に開くか歪んだまま置くと動きが渋くなります
脚の下にフェルトを貼ったか次に動かすとき、床を守れます
壁との隙間があるか密着すると結露やカビの原因に
コンセントを塞いでいないか放熱と、抜き差しのため

壁との隙間は、意外に大切です。

家具を壁にぴったり付けると、空気が流れません。冬場は壁の温度が下がりやすく、その部分に結露が生じてカビが出ることがあります。

数センチ空けておくだけで、かなり違います。とくに北側の外壁に面した壁では意識してください。

そしてコンセントを家具で塞がないこと。抜き差しができなくなるだけでなく、ほこりが溜まったまま気づけなくなります。

設置したら、転倒防止を

模様替えで見落とされる、最も重要な工程です。

背の高い家具を動かしたなら、転倒防止具も付け直してください。

  • 壁に固定していたなら、新しい位置でも固定する。下地を探し直す必要があります。
  • 突っ張り式なら、締め直す。移動すると緩みます。
  • 粘着マットは、貼り直す。一度はがすと粘着力が落ちます。
  • 寝る場所の近くに、背の高い家具を置かない。

「あとで付けよう」と思って、そのままになるのが典型的な流れです。

模様替えのその日のうちに、固定まで終わらせてください。

壁の下地の探し方は、壁に棚を付ける必要工具にまとめました。石膏ボードに直接ネジを打っても、地震の力には耐えられません。

賃貸で壁に固定できない場合の代替策は、組み立て家具に必要な工具にも書いています。

引っ越しの場合

部屋の中の移動と、建物をまたぐ移動では、考えることが増えます。

確認すること理由
組み立て家具を分解するか再組み立てで、ぐらつくことがあります
エレベーターの寸法入らないと階段になります
共用部の養生管理規約で求められることがあります
作業できる時間帯マンションでは制限があることも
駐車スペーストラックを停める場所

組み立て家具の分解には、注意が必要です。

木ダボは抜くと穴が広がり、ネジ穴は2回目以降どうしても効きが落ちます。組み直した家具は、ぐらつくのが普通です。

安価な家具なら、買い替えたほうが早いこともあります。運搬費と手間を考えて判断してください。

分解する場合は、各段階で写真を撮り、外した部品を袋に分けて板に貼り付けてください。詳しくは組み立て家具に必要な工具に書きました。

ありがちな失敗

失敗結果防ぎ方
中身を入れたまま動かした重い、引き出しが飛び出す先に出す
養生せずに引きずった床に傷シートと毛布を使う
床の砂を掃除しなかった削れる先に掃く
寸法を測らなかった通らない曲がり角も確認
背中を丸めて持ち上げた腰を痛める膝を使う
持ったまま体をひねった同上足を踏み替える
置き場所を空けていなかった途中で立ち往生先に空ける
転倒防止を付け直さなかった地震で倒れるその日のうちに

細かい疑問に答えます

Q. 畳の部屋で家具を動かすには

A. 面の広いシートを使い、なるべく持ち上げてください。

畳は柔らかく、点で荷重がかかるとへこみます。そして、へこみは簡単には戻りません。

設置後は、脚の下に敷板を入れるとへこみを防げます。畳との接地面積を広げるのが目的です。

また、畳の目に沿って動かすほうが、抵抗が少なくなります。

Q. 床にできた傷は直せますか

A. 浅い傷なら、補修用のクレヨンやペンで目立たなくできます。

ただし、色を完全に合わせるのは難しいものです。木目があるぶん、壁より再現が困難です。

深い傷やへこみは、専門的な補修になります。賃貸なら、まず管理会社に相談してください。負担区分の考え方は賃貸でできるDIYの範囲にまとめました。

Q. 冷蔵庫や洗濯機はどうしますか

A. 移動の前後に、水と電気の処理が要ります。

  • 冷蔵庫:中身を出し、電源を抜いて霜取りと水抜きをします。前日から準備が必要です。
  • 洗濯機:給水ホースと排水ホースの水を抜きます。傾けると内部の水がこぼれます。
  • どちらも重量物です。ひとりでの移動は避けてください。

設置後、冷蔵庫はしばらく置いてから電源を入れるよう指示されていることがあります。取扱説明書を確認してください。

Q. 業者に頼むという選択は

A. 家具1点だけの移動を請け負うサービスもあります。

引っ越し業者の中には、同じ家の中での移動を扱っているところがあります。

大型の家具を階段で上下させる、といった場面では、依頼する価値があります。怪我をすれば、費用どころの話ではなくなります。

ここまでの要点

  • 持ち上げず、滑らせる。数百円のシートが最も効きます。
  • 中身を先に出す。重さが半分以下になることもあります。
  • 床を掃除してから養生する。砂が研磨剤になります。
  • 寸法は先に測る。曲がり角に注意してください。
  • 膝を使い、体をひねらない。
  • 転倒防止を、その日のうちに付け直す。

家具の移動は、道具より段取りで決まる作業です。

測る、中身を出す、掃除する、養生する。動かし始める前の工程が、結果のほとんどを決めています。

そして、急ぐと必ず失敗します。床を傷つけるのも、腰を痛めるのも、たいてい「早く終わらせたい」と思った瞬間に起きます。

なお、家具の重量や構造は製品によって異なります。分解や移動の可否については、製品の説明書をご確認ください。賃貸物件での床や壁の損傷については、管理会社にご相談ください。

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