この記事で分かること
- 障子とふすまでは、作業がまったく違います。難度も別物です。
- 障子は1枚1,000円ほど、初めてでもできます。
- ふすまは種類の見極めが先。構造によって、できる張り方が変わります。
- 糊は乾くまで、たるんでいて構いません。乾く過程で張ります。
障子から始めてください
和室の張り替えを考えているなら、障子のほうが取り組みやすい作業です。
| 障子 | ふすま | |
|---|---|---|
| 難度 | 易しい | 中〜難しい |
| 費用 | 1枚1,000円前後 | 1枚1,000〜3,000円 |
| 失敗のやり直し | 簡単 | やや面倒 |
| 種類の見極め | ほぼ不要 | 必要 |
| 乾燥時間 | 数時間 | 半日〜1日 |
| 必要な広さ | 障子1枚分 | ふすま1枚分 |
ふすまが難しいのは、作業そのものより「どういう構造のふすまか」を見極める必要がある点にあります。
ここを間違えると、貼れないか、あるいは元に戻せなくなります。順に説明します。
障子の張り替え
必要な道具
| 道具 | 用途 | 目安 |
|---|---|---|
| 障子紙 | 本体 | 500〜2,000円 |
| 障子のり | 貼り付け | 数百円 |
| カッター | 余分を切る | 数百円 |
| 定規(長いもの) | まっすぐ切る | 数百円 |
| 霧吹き | 古い紙をはがす | 数百円 |
| スポンジ、雑巾 | 桟の掃除 | 手持ちで可 |
| 新聞紙、ブルーシート | 床の養生 | 手持ちで可 |
| 刷毛(のりが刷毛式でない場合) | のりを塗る | 数百円 |
合計2,000円ほど。専用工具は要りません。
障子紙は、幅と長さを確認して買ってください。一般的な障子なら規格品で足りますが、大きな障子では長尺のものが必要です。
障子紙の種類
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 普通紙(和紙) | 安価。風合いがよい。破れやすい |
| 強化紙 | 樹脂を含み、破れにくい |
| プラスチック障子紙 | 非常に丈夫。水拭きできる |
| アイロン貼りタイプ | のり不要。熱で接着 |
| 両面テープ貼りタイプ | のり不要。手軽 |
小さなお子さんやペットがいるなら、強化紙をおすすめします。指で押しても簡単には破れません。
ただし、次に張り替えるときに、はがしにくいという面があります。普通紙は水で簡単にはがれますが、樹脂を含むものはそうはいきません。
アイロン貼りや両面テープのタイプは、初めての方には扱いやすい選択です。のりの塗りムラを気にせずに済みます。
手順
- 障子を外し、平らな場所に寝かせる。床は養生してください。
- 桟に霧吹きで水を含ませる。のりを緩めます。
- 数分待ってから、古い紙をはがす。ゆっくり引くと、きれいに取れます。
- 桟に残ったのりを、水で拭き取る。
- 完全に乾かす。ここを急がないでください。
- 新しい紙を仮置きし、位置を決める。上下左右に余りが出るように。
- 桟にのりを塗る。細く、均一に。
- 紙を置き、上から軽く押さえる。引っ張らないでください。
- 乾いてから、余った紙をカッターで切る。
のりの塗り方で仕上がりが決まります
障子で差が出るのは、この工程です。
桟は細く、その上に均一にのりを乗せる必要があります。塗りムラがあると、乾いたときに浮きます。
- 桟の幅からはみ出さない。紙にのりが付くと、そこだけ透けて見えます。
- 厚く塗らない。多すぎると乾きが遅く、はみ出します。
- 途切れさせない。そこだけ浮いて、後で破れます。
- 塗ったら手早く貼る。のりが乾き始めると付きません。
最近は、容器の先がスポンジやローラーになった障子のりが主流です。桟をなぞるだけで、適量が均一に塗れます。
刷毛で塗るタイプより失敗が少ないので、初めてならこちらを選んでください。
縦か横か、桟の順番
塗る順番にも、考え方があります。
外周の枠を先に、内側の桟は後で。これが基本です。
先に外周を固定すれば、紙の位置が決まります。内側の桟は、紙を軽く押さえるだけの役割です。
逆に内側から貼ると、外周に向かってしわが逃げていきます。最後に行き場がなくなり、たるみが残ります。
古い紙のはがし方
この工程を丁寧にやると、後が楽になります。
- 霧吹きで、桟の部分だけを湿らせる。紙全体を濡らす必要はありません。
- 5分ほど待つ。のりが緩むのを待ちます。
- 端からゆっくり引く。一気に引くと、桟に紙が残ります。
- 残ったのりを、濡れた雑巾で拭き取る。
2番の「待つ」を省略すると、紙が細かくちぎれます。そうなると、1つずつこそげ落とす羽目になります。
数分の差で、作業時間が大きく変わる部分です。
なお、強化紙やプラスチック障子紙は、水では緩みません。端からゆっくり引きはがすことになります。前回どの紙を使ったかを覚えておくと、心構えができます。
紙を引っ張らないでください
この作業で、いちばん誤解されている点です。
貼った直後、障子紙はたるんでいます。しわが寄っているように見えます。
ここで「まずい」と思って引っ張ると、失敗します。
紙は、乾く過程で自然に縮んで張ります。のりの水分を含んで伸びた紙が、乾燥とともに元の寸法へ戻ろうとするためです。貼った直後のたるみは、正常な状態です。引っ張って貼ると、乾いたときに張りすぎて破れるか、桟が歪みます。置くだけでよいと考えてください。
これは、網戸の張り替えと同じ考え方です。人の力で張るのではなく、材料の性質に任せる。
網戸の場合は押さえゴムが、障子の場合は紙の収縮が、適切な張りを作ってくれます。詳しくは網戸の張り替えに必要な道具にも書きました。
切るのは、乾いてから
湿った紙は、カッターで切るとぼろぼろに裂けます。
完全に乾いてから、定規を当てて一気に切ってください。切れ味の落ちた刃だと、やはり裂けます。新しい刃を使ってください。
定規は、桟の外側に沿わせると真っすぐ切れます。桟そのものを定規代わりにする方法もあります。
ふすまは、まず種類を確かめてください
ここが、ふすまの張り替えで最初にやることです。
| 種類 | 見分け方 | 張り替え |
|---|---|---|
| 本ぶすま(和ぶすま) | 木の骨組みに紙を重ねた構造。軽い。縁が外せる | 重ね張りできます |
| 戸ぶすま(板ぶすま) | 芯が板。重い。縁が外せないことがある | 重ね張りできます |
| ダンボールふすま | 芯が段ボール。非常に軽い | 張り替えに向かないことも |
| 発泡スチロールふすま | 芯が発泡材。軽い。水に弱い | 水を使うのりは不可 |
見分け方の目安を挙げます。
- 持ってみて、重いか軽いか。本ぶすまは軽く、戸ぶすまは重い。
- 縁(ふち)が外れるか。釘や差し込みで留まっていれば、外せる可能性があります。
- 叩いてみる。太鼓のように響けば、中が空洞の本ぶすまです。
- 引き手を外して、断面を覗く。芯材が見えることがあります。
発泡スチロールやダンボールを芯にしたふすまに、水で溶くのりを使わないでください。芯材が水分を吸って、反ったり波打ったりします。元に戻りません。これらには、アイロン接着タイプか、シールタイプのふすま紙を使ってください。製品の説明に「どのふすまに使えるか」が書かれています。
判断がつかない場合は、アイロンタイプかシールタイプを選ぶのが無難です。どの構造にも比較的使いやすくなっています。
ふすまの張り替え方
大きく2つの方法があります。
重ね張り(上から貼る)
古い紙をはがさず、その上に新しい紙を貼る方法です。
- 手軽です。はがす手間がありません。
- 失敗しにくい。下地が平らなので貼りやすい。
- ただし、何度も重ねると厚くなります。枠に収まらなくなることがあります。
- 下の柄が透けることがあります。濃い柄の上に薄い紙は避けてください。
一般的な家庭では、重ね張りで十分です。数回は重ねられます。
縁を外して張る
本格的な方法です。仕上がりはきれいですが、手間がかかります。
- 引き手を外す。小さな釘で留まっています。
- 縁を外す。木づちで軽く叩いて緩めます。
- 紙を貼る。
- 縁を戻す。
- 引き手を戻す。
ただし、縁が外せない構造のふすまもあります。接着されている、あるいは一体成型されている場合です。
無理に外そうとすると、縁が割れます。そうなると、ふすまごと交換になります。
初めてなら、重ね張りから試してください。失敗のリスクが大きく下がります。
作業場所と季節
意外と、条件に左右される作業です。
| 条件 | 影響 |
|---|---|
| 湿度が高い日 | 乾きが遅い。たるみが残りやすい |
| エアコンの風が当たる | 部分的に早く乾き、ムラになります |
| 直射日光 | 急激に乾いて破れることがあります |
| 寒すぎる | のりの効きが落ちることがあります |
風を当てて早く乾かそうとしないでください。これが最も多い失敗です。
均一に、ゆっくり乾かすのが正解です。部屋を閉め切り、そのまま置いておいてください。
また、ふすま1枚を寝かせられる広さが必要です。作業前に場所を確保してください。立てたままでは、紙が下がってしまいます。
外すときと戻すとき
建具を外す作業自体にも、注意点があります。
- 持ち上げて、下を手前に引く。上のレールに余裕があります。
- 敷居を傷つけないように。引きずらないでください。
- 外した順番と向きを記録する。写真を撮ってください。
- 複数枚あるなら、番号を振る。戻す位置が分かります。
3番と4番は、必ずやってください。
ふすまや障子は、微妙に寸法が違うことがあります。建物の歪みに合わせて調整されているためです。
入れ替えると、閉まらない、隙間ができる、といった事態になります。裏面の隅に、鉛筆で小さく番号を書いておくと確実です。
また、敷居の滑りが悪いなら、このときに掃除しておいてください。敷居用のすべり材を塗ると、動きが軽くなります。
賃貸の場合
ふすまと障子は、退去時の精算でよく話題になる部分です。
日焼けによる変色や、通常の使用による汚れは経年変化・通常損耗として扱われるのが原則です。
一方、破いた、落書きした、ペットが引っかいたといった損傷は、借主の負担になり得ます。
自分で張り替えるかどうかは、まず管理会社に確認してください。
- 指定の業者があるかもしれません。
- 柄を変えると、原状回復の対象になり得ます。元と同じ系統を選んでください。
- 下手な仕上がりだと、やり直しになることもあります。
負担区分の考え方は、賃貸でできるDIYの範囲にまとめました。
ありがちな失敗
| 失敗 | 結果 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 紙を引っ張って貼った | 乾いて破れる、桟が歪む | 置くだけでよい |
| 乾く前に切った | 裂ける | 完全に乾かしてから |
| 桟が濡れたまま貼った | のりが効かない | 乾かしてから |
| 発泡芯のふすまに水のりを使った | 芯が波打つ | 種類を確認する |
| 風を当てて乾かした | ムラ、破れ | 自然乾燥で |
| 縁を無理に外した | 割れる | 重ね張りにする |
| 入れ替えて戻した | 閉まらない | 番号を振る |
| 切れないカッターを使った | 切り口が裂ける | 新しい刃で |
質問と回答
Q. 障子紙の小さな破れだけ直せますか
A. 補修用のシールがあります。
桜や紅葉の形をした、和紙のシールが売られています。破れを隠しつつ、装飾にもなります。
数百円ですし、貼るだけです。1か所や2か所なら、これで十分だと思います。
ただし、数が増えると不自然になります。全体が黄ばんでいるなら、張り替えたほうがすっきりします。
Q. どのくらいで張り替えますか
A. 状態次第ですが、数年に一度が目安とされます。
紙は日光で黄ばみ、脆くなります。触ると破れる状態なら、寿命です。
年末に張り替える習慣がある地域もあります。ただし、寒い時期は乾きが遅くなります。時間に余裕を見てください。
Q. 業者に頼むといくらですか
A. 1枚あたり数千円が目安とされます。
枚数が多い場合、費用はまとまった額になります。障子だけでも自分でやるという分担も考えられます。
とくに、本ぶすまで縁を外す作業や、状態が悪くて下地から直す必要がある場合は、依頼したほうが確実です。
Q. 洋室に変えることはできますか
A. ふすま紙には、洋風の柄もあります。
無地や、壁紙のような質感のものが売られています。張り替えるだけで、部屋の印象は変わります。
ただし賃貸では、元と大きく違う柄にすると、原状回復を求められる可能性があります。事前に確認してください。
持ち家であれば、自由に選んで構いません。数千円で部屋の雰囲気が変わる、費用対効果の高い方法です。
おわりに
- 障子から始めてください。ふすまより易しく、失敗しても安く済みます。
- 紙を引っ張らない。乾く過程で、自然に張ります。
- 切るのは、完全に乾いてから。
- ふすまは、まず種類を確認。芯材によって使えるのりが変わります。
- 風を当てて乾かさない。ムラと破れの原因です。
- 外した建具には番号を振ってください。寸法が微妙に違います。
和室の建具は、洋室の壁よりずっと手を入れやすいものです。
壁紙は部分的に張り替えられませんが、障子とふすまは1枚単位で新しくできます。数千円で、部屋の印象がはっきり変わります。
そして、この作業には「材料の性質に任せる」という考え方が詰まっています。紙は乾けば張る。だから人が引っ張る必要はない。
力ずくで何とかしようとせず、素材の動きを利用する。他の作業でも役に立つ感覚だと思います。
なお、建具の構造は建物や製品によって異なります。使用する材料の説明書を確認し、賃貸の場合は作業前に管理会社へご相談ください。