要点を先に
- 令和2年2月1日から、本人確認・使用目的の確認・販売記録の作成が義務づけられました。
- 運転免許証などの身分証を持っていってください。提示できないと販売してもらえません。
- 断られたらフルサービスのスタンドを探すのが基本です。事前の電話確認が確実です。
結論:セルフでは入れられません。従業員に頼んでください
最初に結論を書きます。ここだけ読んでも用は足りるはずです。
セルフ式のガソリンスタンドで、お客さんが自分で携行缶にガソリンを入れることは、消防法令で認められていません。これは店のルールではなく、法令上の決まりです。
入れてもらうには、従業員の方に声をかけて依頼します。ただし、すべての店舗が対応してくれるわけではありません。
そして、依頼したときには身分証の提示を求められます。何に使うのかも聞かれます。これも法令にもとづく手続きです。
「面倒だな」と感じるかもしれません。ただ、この手続きには明確な理由があります。令和元年7月に京都市で起きた放火事件です。ガソリンが凶器として使われたことを受けて、翌年から制度が変わりました。
私は乙種第4類危険物取扱者の資格を持っています。この記事では、なぜセルフでは入れられないのか、何を準備していけばいいのか、断られたときにどうすればいいのかを順に書いていきます。
なぜセルフでは自分で入れられないのか
理由を知っておくと、店員さんとのやりとりもスムーズになります。納得したうえで手続きを受けられるからです。
セルフで許されているのは「自動車への給油」だけ
セルフ式のスタンドは、客が自分で給油することを前提に設計されています。しかし、それが許されているのは自動車の燃料タンクへの給油に限られます。
容器への詰め替えは、まったく別の行為として扱われます。危険物取扱者の資格を持つ従業員が行うか、その立会いのもとで行う必要があります。
だからセルフのスタンドでは、給油ノズルを持って携行缶に入れる、という行為ができません。ノズル側で制御されている場合もあります。
容器への詰め替えは、事故が起きやすい作業だから
法令の話だけでなく、技術的な理由もあります。こちらのほうが実感しやすいかもしれません。
車の給油口は、こぼれにくく、静電気が逃げやすい構造になっています。オートストップも働きます。
一方、携行缶への詰め替えは条件が違います。あふれやすく、静電気が溜まりやすく、蒸気が広がりやすい。慣れていない人がやると事故につながります。
容器の適合性も、その場で判断する必要があります。持ち込まれた容器がガソリン用として基準を満たしているか。表示は正しいか。ここは知識のある人が見なければ分かりません。
従業員に依頼するというルールは、この判断を専門家に任せるための仕組みでもあります。
令和2年2月から始まった本人確認
ここが、近年もっとも大きく変わった部分です。以前を知っている方ほど、戸惑うところだと思います。
何が義務になったのか
令和2年2月1日から、ガソリンを容器に詰め替えて販売する際、スタンド側に3つのことが義務づけられました。
- 顧客の本人確認
- 使用目的の確認
- 販売記録の作成
根拠となるのは、危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(令和元年総務省令第67号)と、消防危第197号の通知です。詳細は総務省消防庁のページで公開されています。
きっかけになった事件
令和元年7月、京都市でアニメーション制作会社が放火され、多数の方が亡くなる事件が起きました。使われたのはガソリンでした。
犯人は、事件の直前にガソリンスタンドで携行缶に給油を受けていたと報じられています。当時、購入者の身元を確認する仕組みはありませんでした。
この事件を受けて、消防庁は同年7月に注意喚起の通知を出し、12月に省令を改正、翌年2月から本人確認が義務化されました。
手続きが増えたことを不便に感じる場面はあると思います。ただ、その背景にこうした経緯があることは、知っておいてもいいと思っています。
記録される内容
販売記録として、おおむね次のような項目が記録されます。
- 販売した日
- 顧客の氏名と住所
- 本人確認の方法(免許証など、何で確認したか)
- 使用目的
- 販売した数量
また、確認を拒否されたり、不審な点を感じたりした場合には、警察署に通報することが求められています。証明書の提示を拒まれ、本人確認ができない場合は販売しない、という運用です。
店員さんが慎重になるのは、この責任を負っているからです。手続きに協力するのが、結局はいちばん早く済みます。
逆に、こちらから先に「発電機用です、免許証出しますね」と伝えると、やりとりが一気に短くなります。相手が確認しなければならないことを、先回りして渡してしまう。慣れてくると、これがいちばん早い方法だと分かってきます。
買いに行く前に準備するもの
スムーズに購入するために、そろえておくべきものを挙げます。出かける前に、この3つを確認してください。
1. 適合した携行缶
これがなければ話が始まりません。ガソリン用として性能試験に適合した容器を持っていってください。
乗用車で運ぶなら、金属製で最大容積22リットル以下のもの。令和6年3月からは、UN表示と「3H1」の記号がある10リットル以内のプラスチック容器も認められています。
灯油用のポリタンクを持っていっても、確実に断られます。というより、持ち込むこと自体が問題行為です。詳しくは灯油ポリ容器にガソリンは違法|燃料と容器の適合早見表と罰則にまとめました。
2. 身分証明書
運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証など、本人確認ができるものを持参してください。
車で行くなら免許証を持っているはずなので、通常は問題になりません。ただ、家族に頼まれて代わりに買いに行く、といった場合は少し注意が必要です。あくまでその場にいる購入者本人の確認が行われます。
3. 使用目的をはっきりさせておく
「何にお使いですか」と聞かれます。素直に答えれば済む話です。
- 「発電機用です」
- 「草刈機に使います」
- 「チェーンソーの混合燃料を作ります」
- 「農機具の燃料です」
- 「除雪機用です」
実際に使う予定があるなら、何も困ることはありません。曖昧な答え方をすると、かえって時間がかかります。
「念のため備蓄したい」という目的も、正直に伝えて構いません。ただ、ガソリンの長期保管はおすすめできません。半年ほどで劣化しますし、保管量が増えれば条例の対象にも近づきます。
断られるのは、よくあることです
ここは知っておいてほしい点です。携行缶への販売を断られても、それは違法な対応ではありません。
断られる主な理由
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 従業員体制 | セルフ店で、資格を持つ従業員が対応できる状況にない |
| 自主基準 | 会社の方針として携行缶販売を行っていない |
| 容器不適合 | 持ち込まれた容器が基準を満たしていない |
| 本人確認不可 | 身分証の提示がない、確認を拒否された |
| 不審な点 | 目的が不明瞭、様子に懸念がある |
| 混雑 | 手続きに時間がかかるため、繁忙時間帯は避けたい |
販売は店舗の義務ではありません。事故が起きれば店の責任になります。慎重になるのは当然のことです。
断られたときに店員さんを責めないでください。彼らは決められたとおりに動いているだけです。
買える店の探し方
では、どこで買えばいいのか。確率の高い順に、当たっていく方法を書いていきます。
1. まずフルサービスのスタンドを探す
従業員が給油してくれるタイプの店なら、対応してもらえる可能性が高くなります。もともと人が給油する体制だからです。
地図アプリで「ガソリンスタンド」を検索し、セルフ表記のない店を探してみてください。地域に根ざした個人経営の店は、フルサービスであることが多いです。
2. 電話で確認してから行く
これがいちばん確実です。空の携行缶を積んで何軒も回るのは、時間の無駄でしかありません。
聞くべきことは3つです。
- 携行缶へのガソリン販売に対応しているか
- 何時ごろなら対応しやすいか
- 持っていく容器に条件はあるか
時間帯を聞いておくのは意外と有効です。手続きに時間がかかるので、混雑する時間を避けたほうがお互いに助かります。朝一番や、昼過ぎの空いた時間帯が狙い目です。
逆に避けたいのは、通勤時間帯と夕方です。給油の車が並んでいるときに携行缶の手続きを頼むと、待たされるうえに後ろにも迷惑がかかります。急いでいないなら、空いている時間を選んでください。
一度対応してもらえた店を覚えておくと、次からが楽になります。同じ店に通えば、手続きも顔なじみの会話で済むようになります。
3. 燃料店・農協という選択肢
見落とされがちですが、地域の燃料店や農協の給油所も候補になります。
農機具を使う地域なら、携行缶での購入は日常的な光景です。手続きにも慣れています。農業や林業に関わる方は、そちらのほうが話が早いこともあります。
4. 混合燃料は既製品という手も
草刈機やチェーンソーに使う混合燃料であれば、缶入りの既製品を買うという選択肢があります。
ホームセンターで売られている、密閉された製品です。これなら本人確認は不要ですし、混合比を間違える心配もありません。
価格は自分で混ぜるより割高です。しかし、年に数回しか使わないなら、手間と保管のリスクを考えて既製品を選ぶのは合理的だと思います。劣化した燃料でエンジンを傷めるより、ずっと安く済みます。
購入量にも決まりがあります
あまり知られていませんが、量の制限もあります。
スタンドの給油設備を使って、1日あたり総量200リットル以上をガソリンの容器に詰めることはできません。ガソリンの指定数量が200リットルだからです。
軽油の場合は1,000リットルが基準になります。
一般の方がこの量に達することは、まずありません。22リットル缶なら9本分です。ただ、事業で大量に必要な場合は、この制限に引っかかる可能性があります。
運搬する量についてはガソリン携行缶は車に何リットル積める?で詳しく書きました。あわせて確認してください。
給油してもらうときの流れ
実際の手順です。流れを知っておけば、その場で戸惑うことはありません。
- スタッフに声をかける。「携行缶にガソリンをお願いしたいのですが」と伝えます。
- 携行缶を車から降ろす。荷台に載せたままでは入れてもらえません。静電気を逃がすためです。
- 身分証を提示する。免許証などを見せます。
- 使用目的を伝える。正直に答えれば大丈夫です。
- 記録票に記入する。氏名や住所を書く場合があります。
- 給油してもらう。指定の場所で従業員が入れてくれます。
- ふたとエア抜きねじを確認する。両方閉まっているか、自分でも確かめてください。
- 正しく積載して帰る。収納口を上向きに、転倒しないよう固定します。
2番の「車から降ろす」は忘れがちです。車両の荷台に容器を置いたまま入れるのは危険とされています。地面に置くことで静電気が逃げるからです。
7番も大切です。エア抜きねじが開いたままだと、走行中の揺れで漏れます。店を出る前に自分の目で確認してください。
買って帰ったあとにすること
買って終わりではありません。むしろ、持ち帰ってからのほうが付き合う時間は長くなります。
車から降ろす
まずこれです。買ってきた携行缶を、車に積んだままにしないでください。
運ぶ行為は「運搬」ですが、積んだままにすれば「貯蔵」になります。ルールが変わります。それ以前に、夏場の車内は50度を超えます。缶の内圧が上がり、噴き出しや漏れの原因になります。
帰ったらすぐ降ろす。屋外の日陰で、風通しのよい場所に置く。これを習慣にしてください。
購入日を書いておく
地味ですが、あとで効いてくる習慣です。手間は10秒もかかりません。
油性マーカーで、缶やラベルに購入日を書いておいてください。マスキングテープを貼って、その上に書いてもいいです。
ガソリンは半年ほどで劣化しはじめます。いつ買ったか分からない燃料は、使うべきか捨てるべきか判断できません。日付があれば迷いません。
混合燃料の場合は、混合比も一緒に書いておくと便利です。「25対1」「50対1」と書いておけば、次に作るときも間違えません。
品名の表示を確認する
容器の外側に、危険物の品名と「火気厳禁」の表示が必要です。市販の携行缶なら最初から印字されていますが、擦れて消えていることがあります。
消えていたら書き直してください。これは法令上の要件であると同時に、家族が中身を誤認するのを防ぐためのものでもあります。
仕事で使う方へ
農業、林業、建設業、造園業。ガソリンを日常的に使う仕事は少なくありません。個人の使用とは、考えるべきことが変わります。
保管量が条例の対象になりやすい
ガソリンの指定数量は200リットルです。その5分の1、40リットルを超えて貯蔵すると「少量危険物」として市町村の火災予防条例の対象になります。
20リットル缶が2本あれば、それだけで到達します。作業機を何台も持っている事業者なら、珍しい量ではありません。
しかも、他の危険物と合算して計算します。軽油、灯油、エンジンオイル、塗料、パーツクリーナー。倉庫にあるものを全部足すと、思っていたより大きな数字になります。
基準は自治体によって異なります。事業として扱うなら、所轄の消防署に一度相談しておくことをすすめます。指導を受けてから慌てるより、先に確認しておくほうが安く済みます。
まとめ買いより、こまめな購入
手続きが面倒だから一度に大量に買っておきたい、という気持ちは分かります。ただ、私はすすめません。
理由は3つです。劣化すること、保管量が規制に近づくこと、そして火災時の被害が量に比例することです。
特に3つ目は見落とされがちです。倉庫にガソリンが多いほど、万一の火災は手に負えなくなります。従業員の安全にも直結します。
取引のある燃料店を持っておくと、必要なときにすぐ買える体制が作れます。まとめ買いより、そちらのほうが実務的です。
災害への備えとして買っておくべきか
停電に備えて発電機とガソリンを用意したい、という相談はよくあります。正直に答えます。
大量のガソリンを備蓄するのは、おすすめしません。
半年で劣化するので、定期的な入れ替えが必要になります。入れ替えを怠れば、いざというときに使えません。むしろ、劣化した燃料が発電機を壊します。
加えて、地震で家屋が損壊した場合、保管していたガソリンが火災の原因になり得ます。備えたものが被害を広げるのでは、本末転倒です。
現実的な備え方
- 備蓄は10リットル程度まで。それ以上は管理が負担になります。
- 半年ごとに使い切って入れ替える。草刈りや車の給油で消費し、新しく買い直します。
- ポータブル電源を検討する。燃料が要らず、劣化の管理も不要です。用途によってはこちらが優れます。
- 車の燃料を切らさない。常に半分以上入れておけば、それ自体が備蓄になります。
最後の項目は、意外と有効です。車のタンクは、法令上も安全上も最も適切なガソリンの保管場所です。給油習慣を変えるだけで、備えになります。
当サイトは道具を紹介するメディアですが、買わないほうがいい場面もはっきり書く方針です。ガソリンの備蓄は、その代表例だと思っています。
よくあるトラブルと対処
「うちでは対応していません」と言われた
食い下がらず、別の店を探してください。店舗の判断は尊重すべきものです。
可能なら「この近くで対応している店をご存じですか」と聞いてみてください。同業者の情報を持っていることがあります。
実際、地域のスタンド同士は互いの営業形態を把握していることが多いです。「あそこならフルサービスだから対応してくれると思いますよ」と教えてもらえれば、闇雲に回るより確実です。断られた場面でも、聞くだけ聞いてみる価値はあります。
容器を見て断られた
その容器は使えません。適合品を買い直してください。
KHKの試験確認済証やUNマークがあるか、表示が消えていないかを確認します。表示が読めなくなった古い缶も、断られる理由になります。
缶がいっぱいにならなかった
これは正常な対応です。容器は口いっぱいまで入れません。
ガソリンは温度が上がると膨張します。満タンにすると、夏場に内圧が上がりすぎて危険です。多くの容器には上限線が刻まれており、そこまでで止めます。
20リットル缶なら、実際に入るのは18リットル前後になることがあります。けちられているわけではありません。安全のための余裕です。
身分証を忘れた
出直すしかありません。本人確認ができない場合は販売しない、という運用になっています。
常連であっても、記録を作る必要があるため省略はできません。店員さんに無理を言わないでください。
よくいただく疑問
Q. 軽油や灯油も本人確認が必要ですか?
A. 本人確認の義務があるのはガソリンです。軽油や灯油は対象外です。
灯油をポリタンクで買うときに身分証を求められないのは、このためです。ガソリンの危険性が突出して高いことが、この線引きの理由になっています。
ただし、容器の基準はどの燃料にもあります。適合していない容器では、どれも入れてもらえません。
Q. セルフのスタンドでも従業員に頼めば入れてもらえますか?
A. 対応できる店舗もありますが、断られることも多いです。
セルフ店には危険物取扱者の資格を持つ従業員が常駐しています。制度上は対応可能です。ただし人員に余裕がない、自主基準で行っていない、といった理由で断られるケースが少なくありません。
確実性を求めるなら、フルサービス店を選ぶか、事前に電話で確認してください。
Q. 子どもや高齢の家族に買いに行ってもらえますか?
A. 購入者本人の確認が行われるため、代理での購入は難しい場合があります。
未成年への販売については、店舗が慎重に判断します。使用目的が明確でも、断られる可能性が高いと考えてください。
そもそもガソリンの運搬と取り扱いには危険が伴います。取り扱いに慣れた大人が自分で行くべきです。
Q. 手続きが面倒です。省略できませんか?
A. できません。省略すれば、店舗側が法令違反に問われます。
顧客の側から見れば数分の手間ですが、店舗にとっては行政指導の対象になり得る問題です。協力をお願いします。
回数を減らしたいなら、一度に必要な分をまとめて買うという考え方もあります。ただし保管量が増えるほど、劣化と条例のリスクは上がります。使う分だけ、その都度買うのが結局は安全です。
Q. 携行缶を持っていない場合、店で買えますか?
A. 携行缶を販売しているスタンドもありますが、置いていない店のほうが多いです。
ホームセンター、カー用品店、農機具店、通販などで購入できます。事前に用意してから行くほうが確実です。
選ぶときは、KHKの試験確認済証があること、エア調整ねじが付いていること、この2点を確認してください。
Q. 車のタンクからホースで抜いて使ってもいいですか?
A. やめてください。危険なうえに、現代の車では構造上ほぼ不可能です。
近年の車は、給油口から燃料タンクまでの経路に逆流防止の構造があり、ホースを差し込めません。無理に行えば車両を傷めます。
口で吸い上げる方法は論外です。誤って飲み込むと、肺に入って化学性肺炎を起こします。素直にスタンドで買ってください。
Q. 近所に対応してくれる店が1軒もありません
A. 地域によっては、これは現実的な問題です。給油所の数自体が減っているためです。
選択肢をいくつか挙げます。
- 地域の燃料店に相談する。灯油の配達をしている店なら、ガソリンも扱っていることがあります。
- 農協の給油所を当たる。農業地域では携行缶販売に慣れています。
- 混合燃料は既製品を買う。草刈機やチェーンソーなら、これで解決します。
- 作業機の燃料タンクごと運ぶ。機械のタンクに入った燃料は、危険物の運搬にあたらないとされています。
最後の方法は覚えておくと役に立ちます。発電機や草刈機を、燃料を入れたまま車で運ぶことは可能です。現場ごとに燃料を抜く必要はありません。
ただし、しっかり固定して、できるだけ水平に保って運んでください。転倒すればこぼれます。
Q. 前は何も聞かれずに買えたのに、なぜ変わったのですか?
A. 令和2年2月1日を境に、法令が変わったためです。
それ以前は、携行缶での購入に本人確認の義務はありませんでした。長く使っている方ほど、変化に戸惑うと思います。
店側の対応が急に厳しくなったように感じるかもしれませんが、店の判断ではありません。全国一律のルール変更です。同じ手続きは、どの店でも行われます。
Q. 買った量を記録されるのは、少し抵抗があります
A. その感覚は自然だと思います。ただ、記録は法令にもとづく義務です。
記録は店舗が保管し、必要に応じて消防機関が確認します。むやみに他へ提供されるものではありません。
気になる場合は、そもそも購入量を減らす方向で考えてみてください。既製品の混合燃料を使う、機械のタンクごと運ぶ、必要なときだけ買う。手続きの回数も量も減らせる方法はあります。
最後に要点を
長くなったので、要点を整理しておきます。買いに行く前に、ここだけ見返してもらえれば十分です。
- セルフで自分では入れられません。従業員に依頼してください。
- 身分証の提示と使用目的の確認が必要です。令和2年2月1日から義務化されました。
- 断られても違法ではありません。販売は店舗の義務ではないからです。
- 確実なのは、フルサービス店への事前電話。時間帯も聞いておくとスムーズです。
- 容器を車から降ろして給油してもらう。静電気を逃がすためです。
- 混合燃料なら既製品という選択肢もあります。年に数回しか使わないなら合理的です。
- 1日に総量200リットル以上は詰められません。ガソリンの指定数量が根拠です。
正直に言えば、私も最初にこの手続きに出くわしたときは戸惑いました。何気なく携行缶を持って行って、免許証を求められて驚いた、という方は多いと思います。
ただ、背景を知ってからは見方が変わりました。あの手続きは、誰かを疑うためのものではなく、繰り返さないための仕組みです。
身分証を出す。目的を答える。それだけで済みます。数分の手間で、この社会が学んだことに協力できるなら、悪くない取引だと思っています。
もうひとつ、この記事を書きながら考えていたことがあります。
携行缶でガソリンを買うという行為は、法令が何重にも関わってきます。誰が入れるのか。どんな容器か。何リットルまでか。何に使うのか。持ち帰ってどこに置くのか。そのひとつひとつに、過去の事故や事件が背景にあります。
ルールを覚えるのは面倒です。ただ、理由を知ってしまうと、守るのが苦にならなくなります。この記事が、その手助けになれば嬉しいです。
なお、この記事は執筆時点の情報にもとづいています。運用の細部は地域や店舗によって異なります。判断に迷うときは、お住まいの地域の消防本部にご確認ください。