はじめに要点を
- コンセントに差してある機種なら、交換できる場合があります。まず配線を見てください。
- 電線が直結されているなら、電気工事士の作業です。
- 掃除で直ることが、かなりあります。買う前に、外して洗ってください。
- ガスコンロの上の換気扇は、止めたまま火を使わないでください。
まず、買わずに済むかを確かめてください
「換気扇の効きが悪い」という理由で交換を考える方に、先にお伝えします。
汚れが原因であることが、かなりの割合を占めます。
台所の換気扇は、油を含んだ空気を吸い続けています。羽根に油が付き、埃が乗り、それが層になります。
すると、次のようなことが起きます。
- 羽根が重くなり、回転が落ちる
- 羽根の形が変わり、空気を送れなくなる
- フィルターが目詰まりし、空気が通らない
- モーターに負担がかかり、音が大きくなる
症状としては、故障とよく似ています。
ですから、買う前に一度、分解して洗ってください。それで戻るなら、費用はゼロです。
この順番は、他の記事でも書いてきました。ワイパーの交換でも、車の電球交換でも同じです。部品を替える前に、原因を特定する。
形で、掃除のしやすさが変わります
台所の換気扇には、大きく分けて2つの形があります。
| プロペラ型 | シロッコファン型 | |
|---|---|---|
| 見た目 | 扇風機のような羽根 | 筒状の、細かい羽根 |
| 排気の方法 | 屋外へ直接 | ダクトを通して排気 |
| 設置 | 外壁に面した場所のみ | 場所を選ばない |
| 音 | 大きめ | 比較的静か |
| 掃除 | 羽根が単純で洗いやすい | 羽根が細かく、手間がかかる |
| 風の影響 | 受けやすい | 受けにくい |
集合住宅や、近年の住宅では、後者が多く使われています。
掃除の負担が大きいのは、こちらです。羽根が細かく並んでいて、その一枚ずつに油が付きます。ブラシが入りにくく、つけ置きの時間を長めに取る必要があります。
一方、プロペラ型は洗うのが楽ですが、風の強い日に外の空気が逆流することがあります。屋外側にシャッターが付いているのは、このためです。
ここで、ひとつ確認してほしいことがあります。
屋外側のフードやシャッターも、汚れます。油と埃で固まり、シャッターが開かなくなることがあります。そうなると、いくら本体を洗っても排気できません。
外から見える位置にあるなら、あわせて確認してください。ただし、高所や、身を乗り出す位置にあるなら、無理をしないでください。
掃除に必要な道具
| 道具 | 用途 | 優先度 |
|---|---|---|
| ゴム手袋 | 洗剤と、羽根の縁から手を守る | 必須 |
| アルカリ性の洗剤 | 油汚れを分解する | 必須 |
| 大きめの容器またはごみ袋 | つけ置き | 必須 |
| プラスドライバー(2番) | カバーや羽根の固定 | 高い |
| 脚立 | 高い位置の作業 | 高い |
| 古い歯ブラシ | 細部 | 中 |
| 新聞紙・養生シート | コンロと床の保護 | 中 |
| スポンジ、布 | 洗浄と拭き上げ | 中 |
要点はつけ置きです。こすって落とすものではありません。
お湯にアルカリ性の洗剤を溶き、そこに部品を沈めます。しばらく置けば、油が緩みます。力ではなく、時間で落とす作業です。
洗剤を混ぜないでください
「まぜるな危険」と表示された製品を、他の洗剤と一緒に使わないでください。塩素系の製品と酸性の製品が混ざると、有毒なガスが発生します。台所は、複数の洗剤を使う場所です。前に使った洗剤が流しに残っている、つけ置きの水に混ざる。そうした形でも起こり得ます。ひとつの作業では、ひとつの洗剤だけを使ってください。そして、換気扇を掃除している間は、その換気扇が止まっています。窓を開けてください。狭い台所で、換気の止まった状態というのは、思っている以上に危険な条件です。
アルカリ性の洗剤は、油に効く一方で、皮膚も傷めます。手袋をしてください。目に入らないよう、跳ねにも注意してください。
また、アルミ製の部品に、強いアルカリ性の洗剤を使わないでください。変色したり、腐食したりします。素材の表示を確認してください。
掃除の手順
- 電源を切る。ブレーカーから落とすのが確実です。
- コンロの上と床を養生する。油が落ちます。
- フィルターを外す。
- 羽根を外す。ナットが逆ネジの機種があります。
- つけ置きする。お湯と洗剤で。
- 本体側を拭く。濡らしすぎないように。
- すすいで、完全に乾かす。
- 元通りに組む。
- 試運転する。異音がないか確認します。
4番に注意点があります。
羽根を留めているナットが、通常とは逆向きに締まっている機種があります。回転で緩まないようにするためです。
固いからと力を込めると、締める方向に回していることがあります。手応えがおかしいと感じたら、逆に回してみてください。
そして7番。乾かしきってから戻してください。水気が残ったまま通電すると、故障の原因になります。
分解する前に、写真を撮っておくこともおすすめします。組み立てで迷いません。
やってはいけない掃除
よかれと思ってやったことで、壊れる場合があります。
| やりがちなこと | 何が起きるか |
|---|---|
| 本体に直接、水や洗剤をかける | モーターや配線に水が入る |
| 電源を入れたまま作業する | 羽根が回り、手を切る |
| 金属たわしでこする | 塗装が剥がれ、錆びる |
| 羽根を無理に曲げて外す | 変形し、振動と異音の原因に |
| 熱湯をかける | 樹脂部品が変形する |
| 乾かさずに組み立てる | 通電時に故障する |
最も多いのが、本体側を濡らしすぎることです。
外せる部品は洗う。外せない本体側は、固く絞った布で拭くだけ。この区別を守ってください。
そして、羽根の変形も気をつけたい点です。
換気扇の羽根は、高速で回ります。わずかに曲がっただけで、回転のつり合いが崩れます。振動が出て、音が大きくなり、軸受けを傷めます。
固くて外れないときは、力任せにせず、ネジの向きをもう一度確認してください。逆ネジの可能性があります。
交換できるかどうかの判断
掃除しても直らない場合、交換を考えます。
ここで、電源の取り方を見てください。
| 電源の状態 | 自分でできるか |
|---|---|
| 近くのコンセントに、プラグが差してある | 本体交換なら可能な場合がある |
| 電線が、本体に直接つながっている | 電気工事士が必要 |
| 壁の中から線が出て、器具に入っている | 電気工事士が必要 |
考え方は、照明器具の交換と同じです。プラグを抜き差しするだけなら資格は要りませんが、電線をつなぐ作業は工事にあたります。
ただし、換気扇には照明とは違う難しさがあります。
- 壁や天井に、開口部が作られています。寸法が合わないと隙間ができます。
- ダクトにつながっている場合があります。接続が外れると、排気が室内に戻ります。
- 屋外側にフードが付いています。雨の侵入に関わります。
- 高い位置での作業です。重量物を頭上で支えることになります。
とくに寸法は要注意です。開口部の大きさは、後から簡単に変えられません。
買う前に、必ず測ってください。この考え方は、ドアノブの交換でも書きました。作業より、採寸が本番です。
ガスコンロの上の換気扇について
ここは、安全に直結する話です。
ガスを燃やすと、空気中の酸素を消費し、燃焼した気体が出ます。
換気が十分であれば、問題ありません。ですが、密閉された空間で換気をせずに燃やし続けると、酸素が減り、不完全燃焼が起きます。
不完全燃焼で生じるのが、一酸化炭素です。無色無臭で、気づけません。
ですから、次の点を守ってください。
- 火を使うときは、換気扇を回す。
- 換気扇が故障しているなら、窓を開けて使う。
- 掃除で外している間は、火を使わない。
- 給気の経路をふさがない。空気の入り口がなければ、排気もできません。
4つ目が見落とされがちです。換気は、出す側と入る側の両方が必要です。
気密性の高い住宅で、すべての窓と扉を閉めきると、換気扇を回しても空気が動きません。近くの窓を少し開けるだけで、流れが生まれます。
同じ理屈は、給湯器にも当てはまります。給湯器の交換でも触れました。燃やす機器は、空気の出入りとセットで考えてください。
汚れを、そもそも減らす
掃除の話をしてきましたが、汚れる量そのものを減らすほうが効きます。
- 調理を始める前に、換気扇を回す。後から回しても、広がった油は戻りません。
- 調理が終わってからも、しばらく回す。空気中の油分が残っています。
- 揚げ物のときは、強で。油が最も飛ぶ場面です。
- 使い捨てフィルターを貼る。羽根まで届く油が減ります。
- コンロ周りを、その日のうちに拭く。
とくに1つ目と2つ目が効きます。
換気扇は、上がってきた空気を捕まえる装置です。回り始めるまでに時間があると、その間の油は部屋に広がります。火を点ける前に、スイッチを入れる。順番が逆になっている家庭は、意外と多いように思います。
そして、火を消した直後にも、まだ湯気と油分が上がっています。数分は回したままにしてください。
油汚れは、時間が経つほど落ちにくくなります。空気中で酸化し、固まっていくためです。新しい汚れは、拭くだけで落ちます。その差は、掃除の手間として何倍にもなって返ってきます。
浴室と、24時間換気
台所以外の換気扇にも触れておきます。
浴室の換気扇は、油ではなく湿気と埃が相手です。
ここが詰まると、湿気が抜けません。結果として、カビが増えます。掃除しても再発する浴室は、換気を疑ってください。
カバーを外して、埃を取るだけで改善することがあります。浴室の換気扇は、油がない分、掃除も簡単です。カバーは水洗いできる機種が多く、本体側の埃は掃除機で吸えます。
ただし、こちらも電源を切ってから。そして、天井にあるため、脚立が要ります。浴室の床は滑ります。乾いた状態で作業してください。
もうひとつ、24時間換気という設備があります。
近年の住宅には、常時運転する換気の仕組みが備わっています。これを止めないでください。
- 湿気がこもり、結露とカビが出ます
- 空気がよどみます
- 燃焼機器を使う場合、安全にも関わります
「うるさい」「寒い」という理由で切ってしまう方がいます。切ることを前提に設計されていない設備です。
結露については、窓の結露・すきま風対策にもまとめました。換気を止めると、そちらが悪化します。
細かい疑問
Q. どのくらいの頻度で掃除しますか
A. 場所によって変えてください。
- 台所のフィルター:月に一度
- 台所の羽根:半年から年に一度
- 浴室:数か月に一度、埃を取る
- 居室:年に一度
台所は、使い捨てのフィルターを貼っておくと楽になります。汚れたら剥がして捨てるだけです。
ただし、貼りすぎると空気が通りません。重ね貼りは避けてください。
Q. 音が大きくなったのですが
A. 原因はいくつか考えられます。
| 音の様子 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 低く、重い音 | 羽根の汚れ、バランスの崩れ |
| キーキー鳴る | 軸受けの傷み |
| カタカタ鳴る | 部品の緩み、異物 |
| 風切り音が増えた | フィルターの目詰まり |
掃除で直るのは、この表の上と下の項目です。真ん中の2つは、部品側の問題です。
軸受けの傷みは、交換の時期と考えてください。潤滑剤を差して一時的に静かになっても、根本は解決しません。
Q. 掃除を業者に頼めますか
A. 頼めます。とくに、次の場合は検討してください。
- 何年も掃除していない(油が固着しています)
- 分解の方法が分からない
- 高い位置で、脚立での作業に不安がある
- レンジフードが大型で、重い
固着した油は、家庭用の洗剤では落ちにくくなります。無理にこすると、塗装や表面を傷めます。
Q. 賃貸の場合は
A. 掃除は、借りている側の管理として行って構いません。
一方、本体の交換は貸主に連絡してください。建物に付属する設備であり、勝手に替えるものではありません。
故障している場合、貸主の負担で修理されるのが一般的です。賃貸でできるDIYの範囲も参考にしてください。
まとめ
- 買う前に、外して洗ってください。それで戻ることが多くあります。
- 掃除は力ではなく、つけ置きの時間で落とします。
- 洗剤を混ぜない。換気の止まった台所で作業することを忘れずに。
- 羽根のナットが逆ネジの機種があります。
- 交換は電源の取り方と、開口部の寸法で可否が決まります。
- 火を使うときは、必ず換気を。給気の経路も確保してください。
換気扇は、動いていて当たり前の設備です。
止まってはじめて、湿気や臭いや煙が、これだけ出ていたのかと気づきます。効きが落ちていく過程は、少しずつなので気づきにくいものです。
そして、ガスを使う家では、安全装置でもあります。効きが落ちていると感じたら、放置しないでください。
なお、機種ごとの分解方法や、交換に必要な資格は住宅の設備によって異なります。取扱説明書を確認し、判断に迷う場合は電気工事店や設備業者にご相談ください。