要点を先に
- 必要なのは網戸ローラー・押さえゴム・網・カッター。2,000円ほどで揃います。
- 最大の落とし穴は押さえゴムの太さです。合わないと入りません。
- 網を張りすぎないでください。たわみが出るのは、たいてい引っ張りすぎが原因です。
- 1枚あたり30分程度。2人でやると格段に楽になります。
結論:道具は2,000円、1枚30分の作業です
網戸の張り替えは、住まいのDIYのなかでも成功しやすい部類です。
理由は3つあります。
- 失敗しても、やり直せます。網とゴムを買い直すだけです。
- 建物を傷つけません。壁に穴を開けるわけではありません。
- 道具が安い。専用工具は数百円です。
業者に頼めば1枚あたり数千円が目安です。3枚もあれば、道具代は回収できます。
ただし、買い物の段階でつまずく人が多い作業でもあります。そこから説明します。
必要な道具
| 道具 | 用途 | 優先度 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 網戸ローラー | ゴムを溝に押し込む | 必須 | 数百円〜1,000円 |
| 押さえゴム(ゴムビート) | 網を溝に固定する | 必須 | 数百円 |
| 網(ネット) | 張り替える本体 | 必須 | 1,000円前後 |
| カッター | 余った網を切る | 必須 | 数百円 |
| クリップ、または洗濯ばさみ | 網を仮止めする | 高い | 数百円 |
| マイナスドライバー、千枚通し | 古いゴムを起こす | 高い | 手持ちで可 |
| ハサミ | 網とゴムを切る | 高い | 手持ちで可 |
| ブラシ・雑巾 | 溝の掃除 | 高い | 手持ちで可 |
| 軍手 | 手を守る | 中 | 数百円 |
| メジャー | 網の必要量を測る | 中 | 数百円 |
専用品はローラーだけです。あとは家にあるもので足ります。
ローラーには、片側が細く、もう片側が広い2つの車輪が付いています。細いほうでゴムを押し込み、広いほうで仕上げるという使い分けです。
押さえゴムの太さが、最大の落とし穴です
買い物の段階で失敗する原因は、ほぼすべてがこれだと言っていいくらいです。
網戸の枠には溝があり、そこにゴムを押し込んで網を固定しています。この溝の幅が、網戸によって違います。
ゴムは、3.5mm、4.5mm、5.5mmといった太さで売られています。
- 太すぎると:入りません。無理に押し込めば枠が歪みます。
- 細すぎると:固定されません。網がたるみ、そのうち外れます。
古いゴムを少しだけ切り取って、店に持っていってください。これが最も確実な方法です。売り場で実物と並べれば、間違えようがありません。溝の幅を目分量で推測するより、ずっと確実です。
複数の網戸を張り替えるなら、すべての溝が同じ太さとは限らない点にも注意してください。設置時期が違えば、規格も違うことがあります。
なお、ゴムは毎回新品を使ってください。数百円です。古いものは劣化して硬くなっており、押し込んでも保持力が落ちています。
網の選び方
目の細かさ
「メッシュ」という単位で表されます。数字が大きいほど、目が細かいという意味です。
| 目安 | 特徴 |
|---|---|
| 18メッシュ前後 | 標準的。風がよく通ります |
| 20〜24メッシュ | 小さな虫が入りにくい |
| それ以上 | さらに細かいが、風通しは落ちます |
ここには相反する関係があります。目を細かくすれば虫は防げますが、そのぶん風が通りにくくなります。
川や田んぼが近く、小さな虫に悩まされているなら細かいものを。そうでなければ、標準的なもので十分です。
色による見え方の違い
地味な項目に見えますが、意外と体感差が大きい部分です。
| 色 | 特徴 |
|---|---|
| グレー | 標準的。バランスがよい |
| ブラック | 外がよく見えます。光を反射しにくいため |
| シルバー・ホワイト | 明るいが、外が見えにくいことがあります |
「網戸越しの景色をすっきり見たい」なら、黒い網を選んでみてください。
網の糸が光を反射しないため、視線が網を素通りします。逆に明るい色は、糸が光って視界に入ります。
素材と、必要な長さ
一般的なのは樹脂製のものです。ほかに、ペットの爪に強いタイプや、破れにくい繊維を使ったタイプも売られています。
長さは、網戸の縦横それぞれに、10cm程度の余裕を見て買ってください。作業中に持つ部分が必要です。
網はロールで売られており、幅がいくつか用意されています。網戸の幅より広いものを選んでください。足りなければ、そこで作業が止まってしまいます。
張り替えの手順
- 網戸を外す前に、写真を撮る。取り付けの向きが分かります。
- 網戸を外し、平らな場所に置く。
- 古いゴムの端を起こして、引き抜く。マイナスドライバーが使えます。
- 古い網を外し、溝を掃除する。ゴミが残っていると入りません。
- 新しい網を枠に乗せ、クリップで仮止めする。
- 1辺ずつ、ゴムを溝に押し込む。ローラーの細いほうで。
- 対角の辺へ進む。隣ではなく、向かい側から。
- 四辺すべて入れたら、余った網をカッターで切る。
- 網戸を元に戻す。
4番の掃除を省略しないでください
溝には、古いゴムのかす、砂、ほこりが詰まっています。
これが残っていると、新しいゴムが奥まで入りません。浅く入ったゴムは、いずれ浮いてきます。
細いブラシや、古い歯ブラシでかき出してください。この数分が、仕上がりを左右します。
枠全体の汚れも、このときに落としておくと気持ちよく仕上がります。
7番の「対角へ進む」理由
木工や車のホイールと同じ考え方です。
隣の辺へ順に進むと、網が一方向に引っ張られ、斜めに歪みます。
1辺を入れたら向かい側、次に残った辺の1つ、最後にその向かい側。この順なら、力が均等にかかります。
網目が枠と平行になっているかを、途中で確認してください。斜めになったまま進めると、最後に必ずたるみます。
網を引っ張りすぎないでください
初めての方が最も誤解する点です。
「ぴんと張ったほうがきれいに仕上がる」と考えて、力いっぱい引っ張る。これが、たわみの原因になります。
理由は、枠が変形するからです。
網戸の枠はアルミ製で、見た目ほど頑丈ではありません。強く引っ張れば、枠が内側にたわみます。
その状態で固定し、手を離すと、枠が元に戻ろうとして網がたるみます。
正しいのは、網をたるませず、かつ引っ張らない状態で押さえることです。
- 網を枠に乗せ、シワを手で伸ばす程度に。
- クリップで仮止めして、位置を保つ。
- ゴムを押し込むときに、軽く手前へ引く程度で十分。
張り具合は、押し込むゴムが自然に作ってくれます。人の力で張るものではありません。
網戸を外すときの注意
網戸を屋外側へ落とさないでください。2階以上では、重大な事故になります。網戸は軽いため油断しがちですが、落下すれば下にいる人に当たります。外すときは室内側へ引き寄せる。風の強い日は作業しない。作業前に、下に人がいないか確認する。この3点を守ってください。
外し方は、多くの場合こうです。
- 網戸を持ち上げる。上のレールに余裕があります。
- 下側を手前に引く。
- 下ろす。
外れ止めが付いている場合があります。上部か側面にあるネジやツメで、簡単に外れないようにする部品です。
これを緩めないと外れません。無理に力をかけないでください。まず外れ止めを探してください。
そして、戻すときは必ず外れ止めを元に戻してください。忘れると、風で外れます。
ついでに直せること
網戸を外している間に、確認しておきたい箇所があります。
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 動きが重い | 戸車の汚れ、摩耗 | 掃除、または交換 |
| ガタつく | 戸車の高さがずれている | 調整ネジで高さを合わせる |
| 隙間ができる | 枠の歪み、モヘアの摩耗 | モヘアの交換 |
| レールにゴミが詰まる | 砂、落ち葉 | 掃除 |
モヘアとは、網戸の縁に付いている毛のような部材です。サッシとの隙間を埋め、虫の侵入を防いでいます。
これがすり減っていると、網を張り替えても虫が入ります。網目より、こちらが原因のことがあります。
ホームセンターで数百円で売られています。両面テープや溝への差し込みで交換できます。
戸車の高さ調整も、ドライバー1本でできます。枠の下部に調整用のネジがあります。回して高さを変え、レールに正しく乗るようにしてください。
応急処置という選択
小さな穴なら、張り替えなくても対応できます。
- 網戸用の補修シート:貼るだけ。数百円です。
- 補修用の糸:縫って塞ぎます。
- 目立たない場所の小さな穴:急がなくても構いません。
ただし、穴が複数ある、全体が黄ばんでいる、触ると破れるという状態なら、張り替えたほうが早いと思います。
網は紫外線で劣化します。数年から10年程度で寿命と考えてください。
賃貸の場合
張り替えてよいかどうか、迷う方がいます。
網戸は建物に付属する設備です。経年劣化による破損なら、貸主の負担で修繕されることが一般的です。
まず管理会社に連絡してください。自分で張り替えても、その費用は戻りません。
一方、自分の過失で破った場合は、借主の負担になり得ます。ペットが破った、物をぶつけた、といったケースです。
この場合は、自分で張り替えるほうが安く済むこともあります。ただし、事前に管理会社へ確認してください。
賃貸での作業範囲については、賃貸でできるDIYの範囲にまとめました。
ありがちな失敗
| 失敗 | 結果 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| ゴムの太さが合わない | 入らない、または保持できない | 古いゴムを持って買いに行く |
| 網を引っ張りすぎた | たわみが出る | 張らずに、シワを伸ばす程度で |
| 隣の辺へ順に進めた | 斜めに歪む | 対角に進める |
| 溝を掃除しなかった | ゴムが浮いてくる | ブラシでかき出す |
| 網が足りなかった | 作業が止まる | 縦横に10cmの余裕を |
| 切るのが早すぎた | やり直せない | 四辺すべて入れてから切る |
| 外れ止めを戻し忘れた | 風で外れる | 戻すときに確認 |
| 高圧洗浄機で洗った | 網が破れる | 網戸に当てないでください |
最後の項目について補足します。
網戸に高圧洗浄機を当てると、破れます。網は薄い樹脂の糸です。掃除のつもりで当てて、張り替える羽目になった、というのはよくある話です。
詳しくは高圧洗浄機の選び方に、当ててはいけないものの一覧を載せています。
よくある質問
Q. ひとりでできますか
A. できますが、2人のほうが格段に楽です。
片方が網を押さえ、もう片方がゴムを押し込む。この分担ができると、歪みが出にくくなります。
ひとりなら、クリップを多めに用意してください。洗濯ばさみでも代用できます。手の代わりに網を保持してくれます。
Q. どの季節にやるのがよいですか
A. 春先、虫が出る前がおすすめです。
網戸が必要になってから破れに気づく、というのが典型的な流れです。使う季節の前に確認しておいてください。
また、風の強い日は避けてください。網が煽られて作業になりません。網戸を落とす危険もあります。
Q. 網戸を外さずにできますか
A. おすすめしません。
立てたままでは、網を平らに保てません。重力で下がり、たるみます。
また、ローラーを押し込むには、枠を支える力が要ります。宙に浮いた状態では、うまく力が入りません。
床や台の上に寝かせて作業してください。下に敷物を敷くと、枠と床の両方を守れます。
Q. 失敗したらやり直せますか
A. やり直せます。ここが、この作業の良いところです。
ゴムを抜けば、網を外して最初からやり直せます。ゴムは一度抜くと伸びていることがあるので、新しいものを用意しておくと安心です。
ただし、網を切ってしまった後はやり直せません。切るのは最後の工程です。四辺すべてを固定し、仕上がりを確認してからにしてください。
Q. 業者に頼むといくらですか
A. 1枚あたり数千円が目安とされます。
枚数が多い場合、高所にある窓や、大きな網戸は依頼を検討する価値があります。
とくに、脚立に乗って外す必要がある窓は無理をしないでください。落下の危険と、網戸の落下、両方があります。
まとめ
- 専用工具はローラーだけ。数百円で買えます。
- ゴムの太さを間違えないでください。古いゴムを持って買いに行くのが確実です。
- 網を引っ張らない。張りすぎが、たわみの原因です。
- 対角に進める。隣の辺へ順に進めると歪みます。
- 切るのは最後。四辺すべて固定してから。
- 網戸を落とさないでください。2階以上では重大な事故になります。
網戸の張り替えは、DIYの最初の1つとして向いています。
失敗しても数百円でやり直せますし、建物を傷めることもありません。それでいて、仕上がりの違いははっきり分かります。
そして、この作業で身につく感覚は、他の場面でも役に立ちます。対角に進める、掃除してから組む、最後まで切らない。どれも他の作業と共通する考え方です。
なお、網戸の構造は製品によって異なります。外れ止めの位置や、戸車の調整方法は、お使いのサッシの説明書をご確認ください。賃貸の場合は、作業前に管理会社へご相談ください。