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バッテリー上がりの対処|つなぐ順番と、最後を車体につなぐ理由

目次

要点を先に

  • ケーブルをつなぐ順番が決まっています。間違えると火花が出ます。
  • 最後の1本はバッテリーのマイナス端子ではなく、車体の金属部につなぎます。
  • ジャンプスターターがあれば、救援車が要りません。いまはこちらが主流です。
  • エンジンがかかっても問題は解決していません。原因を確認してください。

結論:つなぐ順番と、外す順番を覚えてください

バッテリー上がりは、車のトラブルで最も多いものです。

そして、対処そのものは難しくありません。覚えるべきは、ケーブルをつなぐ順番と外す順番だけです。

ただし、この順番には理由があります。適当につなぐと、火花が出て、最悪の場合はバッテリーが破裂します。

なぜその順番なのかを含めて説明します。理屈が分かれば、忘れません。

必要な道具

道具特徴目安
ジャンプスターター救援車が不要。1台で完結します5,000〜20,000円
ブースターケーブル安価。ただし救援車が必要2,000〜5,000円
保護メガネ万一の破裂に備える1,000円前後
作業手袋感電と汚れを防ぐ数百円
ワイヤーブラシ端子の腐食を落とす数百円
スパナ(10mm前後)端子の脱着手持ちで可
テスター電圧の確認2,000円〜
懐中電灯夜間や暗い場所で1,000円前後

いまから備えるなら、ジャンプスターターをおすすめします。

理由は単純で、助けを呼ばなくてよいからです。

ジャンプスターターという選択

大容量のバッテリーを内蔵した、手のひらサイズの機器です。これ1台でエンジンを始動できます。

ブースターケーブルジャンプスターター
救援車必要不要
価格安いやや高い
保管かさばる小さい
維持不要定期的な充電が必要
他の用途なしスマートフォンの充電、ライト

ブースターケーブルの最大の弱点は、もう1台の車が必要な点です。

深夜の駐車場、人けのない場所、単独での外出先。いちばん困る状況ほど、救援車が見つかりません。

そして最近は、他人の車から救援を受けにくい事情もあります。接続を誤れば、救援する側の電装品も故障し得るためです。断られても仕方のない話です。

ジャンプスターターは、備えたまま放置すると使えません。内蔵バッテリーは自然に放電します。半年に一度は充電状態を確認してください。「いざというときのために積んでおいたが、本体が空だった」というのは、実際によくある話です。カレンダーに登録しておくことをおすすめします。

また、夏の車内に置きっぱなしにしないでください。リチウムイオンバッテリーは高温に弱く、劣化が早まります。

ブースターケーブルのつなぎ方

順番が決まっています。この通りに行ってください。

つなぐ順番

  1. を、上がった車のプラス端子へ
  2. の反対側を、救援車のプラス端子へ
  3. を、救援車のマイナス端子へ
  4. の反対側を、上がった車のエンジンの金属部

4番が重要です。上がった車のマイナス端子には、つなぎません。

なぜ最後は車体につなぐのか

ここに理由があります。知っておくと、手順を忘れなくなります。

弱ったバッテリーからは、水素ガスが発生していることがあります。

そして、最後の1本をつなぐ瞬間には、必ず火花が出ます。回路がつながる瞬間だからです。

この火花を、ガスが溜まっているバッテリーの真上で出すか、離れた場所で出すか。それが、この手順の分かれ目です。

水素は空気と混ざると爆発します。バッテリーが破裂すれば、内部の希硫酸が飛び散ります。顔に浴びれば失明の危険があります。

だから、バッテリーから離れたエンジンの金属部を最後の接続点にします。火花が出ても、そこにガスはありません。

塗装されていない、しっかりした金属部分を選んでください。エンジンの吊り下げ用フックなどが使われます。可動部、燃料系、電装部の近くは避けてください。

外す順番

つないだのと逆の順です。

  1. 上がった車の車体につないだ
  2. 救援車のマイナス端子の
  3. 救援車のプラス端子の
  4. 上がった車のプラス端子の

この順にする理由も同じです。プラス側を最後まで残さない。

プラス端子にケーブルがつながったままだと、外した金具が車体の金属部に触れた瞬間、短絡します。大電流が流れ、火花どころでは済みません。

作業中の注意

  • 両車のエンジンを切ってから接続する。
  • 2台の車体を接触させない。意図しない電流が流れます。
  • 赤と黒の金具を触れさせない。短絡します。
  • 電圧を確認する。12Vと24Vの車をつながないでください。
  • タバコ、火気は厳禁。水素が出ています。
  • 金属製のアクセサリーを外す。指輪、腕時計、ネックレス。

最後の項目について、補足しておきます。

指輪をしたまま端子に触れ、車体との間で短絡すると、指輪が瞬時に高温になります。金属は電気をよく通します。抜こうとしても間に合いません。

バッテリーの周りで作業するときは、外しておいてください。

ジャンプスターターの使い方

救援車がいらないぶん手順は簡単ですが、注意点があります。

  1. 本体の残量を確認する。ここで空だと、何もできません。
  2. 本体の電源を切った状態で、赤をプラス端子へ。
  3. 黒をマイナス端子、または車体の金属部へ。製品の指示に従ってください。
  4. 本体の電源を入れる。正しく接続されると表示が出ます。
  5. エンジンを始動する。
  6. かかったら、すぐにケーブルを外す。つないだままにしないでください。

製品によって、逆接続を検知して警告する機能が付いています。ブザーや赤いランプが出たら、つなぎ方が間違っています。そのまま進めないでください。

また、始動を何度も繰り返さないでください。本体が発熱します。数回試して始動しないなら、原因はバッテリー以外にあります。

選ぶときに見るところ

項目確認する理由
始動できる排気量の目安自分の車に対応しているか
ディーゼル車への対応ガソリン車より大きな電流が要ります
逆接続の保護機能誤接続時の被害を防ぎます
容量(ミリアンペアアワー)大きいほど余裕があります
付属ケーブルの品質細すぎるものは避けてください

とくにディーゼル車にお乗りの方は、対応の可否を必ず確認してください。ガソリン車用として売られている製品では、力が足りないことがあります。

やってはいけないこと

やること結果
赤と黒を逆につなぐ電装品の故障、火災の危険
最後をマイナス端子につなぐガスに引火する可能性
エンジンをかけたまま接続する電圧が不安定になります
金具同士を接触させる短絡します
12Vと24Vをつなぐ電装品が壊れます
凍結したバッテリーに接続する破裂の危険があります
指輪や腕時計をしたまま作業する短絡して高温になります

最後から2番目について補足します。

極端に寒い環境では、弱ったバッテリーの液が凍ることがあります。正常な状態では凍りにくいのですが、放電が進むと凍結しやすくなります。

凍った状態で充電や始動を試みると、内部で発生したガスの逃げ場がなく、破裂につながります。本体が膨らんでいる、側面が変形しているといった異常があれば、触らないでください。

かかった後にやること

ここを飛ばす方が多いのですが、始動しただけでは解決していません。

  1. すぐにエンジンを止めない。止めると、また始動できません。
  2. 30分程度、走行する。アイドリングより走ったほうが充電されます。
  3. 原因を考える。なぜ上がったのかを特定してください。
  4. バッテリーの状態を点検してもらう。寿命なら交換が必要です。

3番が最も大事です。

原因対処
ライトの消し忘れ今回限りの可能性が高い
長期間乗っていない定期的に走行する
短距離走行の繰り返し充電が追いつきません
バッテリーの寿命交換が必要
充電系統の不具合点検が必要。走行中に止まる危険
暗電流(何かが電気を消費し続けている)点検が必要

とくに充電系統の不具合は見逃せません。発電しなくなっている場合、走行中にエンジンが止まります。

「一度上がったが、かけ直したら動いた」で済ませないでください。原因が残っていれば、また同じことが起きます。

バッテリーの寿命と交換

バッテリーは消耗品です。使い方にもよりますが、数年で交換時期が来ます。

交換時期のサイン

  • エンジンのかかりが遅い。始動時の音が弱々しい。
  • ヘッドライトが暗い。アイドリング時に暗くなる。
  • パワーウィンドウの動きが遅い。
  • 本体が膨らんでいる。異常です。
  • 端子に白い粉が吹いている。

冬に突然上がることが多いのは、低温でバッテリーの性能が落ちるためです。夏の間に弱っていたものが、寒さで限界を超えます。

「秋のうちに点検してもらう」というのが、現実的な予防になります。

自分で交換する場合

作業自体は難しくありません。ただし、順番と注意点があります。

  1. エンジンを切る。
  2. マイナス端子から外す。先にプラスを外すと、工具が車体に触れて短絡します。
  3. プラス端子を外す。
  4. 固定金具を外し、取り出す。重いので腰に注意。
  5. 新しいものを載せ、固定する。
  6. プラス端子から接続する。
  7. 最後にマイナス端子。

外すときはマイナスから、付けるときはプラスから。これが原則です。

理由は、車体全体がマイナス側とつながっているためです。マイナスを外しておけば、工具がどこに触れても電流は流れません。

近年の車では、バッテリー交換に注意が必要な場合があります。アイドリングストップ車や充電制御車では、専用のバッテリーが指定されています。また、交換後に車両側へ登録作業が必要な車種もあります。適合しないものを付けたり、必要な処理を行わなかったりすると、バッテリーの寿命を縮めることがあります。お乗りの車の取扱説明書を確認してください。

また、外した古いバッテリーはそのまま捨てられません。購入店やカー用品店で引き取ってもらってください。

よくいただく疑問

Q. 押しがけはできますか

A. オートマチック車ではできません。

マニュアル車なら理屈上は可能ですが、現代の車ではおすすめしません。電子制御された機器に負担がかかることがあります。

そもそも、押す人手と場所が必要です。ジャンプスターターを1台備えるほうが、はるかに現実的です。

Q. ハイブリッド車でも同じですか

A. 手順が異なります。取扱説明書を確認してください。

ハイブリッド車には、走行用の高電圧バッテリーと、補機用のバッテリーがあります。上がるのは通常、補機バッテリーのほうです。

接続する端子の位置が、エンジンルーム内の専用箇所に設けられていることがあります。高電圧の部分には絶対に触れないでください。

また、ハイブリッド車を救援車として使えないとされている場合があります。この点も説明書でご確認ください。

Q. ロードサービスを呼ぶ判断は

A. 迷ったら呼んでください。

  • バッテリーが膨らんでいる、液が漏れている:触らないでください。
  • 端子の位置が分からない:無理に探さないでください。
  • ハイブリッド車で手順が不明:待つほうが安全です。
  • 交通量の多い場所:作業自体が危険です。
  • 暗くて手元が見えない:接続を誤りやすくなります。

任意保険にロードサービスが付帯していることがあります。今のうちに、契約内容と連絡先を確認しておいてください。

Q. 予防する方法はありますか

  • 週に一度は走らせる。短距離では充電が追いつきません。
  • 降車時にライトと室内灯を確認する。
  • 長期間乗らないなら、端子を外す。または維持充電器を使う。
  • 端子の腐食を落とす。白い粉が吹いていたら清掃を。
  • 秋に点検してもらう。冬に備えます。

この習慣は、屋外機械のバッテリー管理とも共通します。詳しくは屋外機械の冬季保管にも書きました。

おわりに

  • つなぐ順番は、赤・赤・黒・車体。外すのは逆順です。
  • 最後は車体の金属部へ。バッテリーの真上で火花を出さないためです。
  • ジャンプスターターなら救援車が不要。ただし定期的な充電を。
  • かかった後、30分は走行してください。
  • 原因を確認すること。寿命か、充電系統の不具合かで対応が変わります。
  • 交換は、外すときマイナスから、付けるときプラスから。

バッテリー上がりは、必ず都合の悪いときに起きます。出かける直前、夜、雨の日。

そのときに慌てないためには、事前に手順を知っておくことと、道具を1つ積んでおくことです。どちらも、今日のうちにできます。

そして、順番には理由があります。「なぜ最後は車体なのか」を理解していれば、説明書を見なくても間違えません。

なお、車種によって手順や注意点が異なります。とくにハイブリッド車、アイドリングストップ車では、必ずお乗りの車の取扱説明書をご確認ください。

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