この記事の要約
- 結論:取り付け位置には決まりがあります。好きな場所には貼れません。
- 難しいのは本体ではなく、配線の隠し方です。
- エアバッグの展開経路に、配線を通さないでください。
- 駐車中も録画したいなら、電源の取り方を先に決めてください。
貼っていい場所は、決まっています
最初に、ここを外すとやり直しになります。
フロントガラスに物を貼ることは、原則として認められていません。例外として認められる範囲が決まっています。
ドライブレコーダーの場合、ガラスの上端から、ガラスの高さの20%以内が目安とされています。
実際には、こうなります。
- ルームミラーの裏側:最も選ばれる位置です。視界を遮りません。
- ルームミラーのすぐ横:本体が大きい場合。
- 助手席側の上端:運転者の視界からは外れます。
避けるべきは、ダッシュボードの上や、ガラスの中央から下です。視界を妨げます。
そして、もう一つ確認してください。
ワイパーの拭き取り範囲に入っているか。
範囲の外に貼ると、雨の日に映像が濁ります。肝心なときに、何も見えない記録が残ります。これは、実際によくある失敗です。
なお、詳しい基準や、車種ごとの判断については整備工場や運輸支局にご確認ください。この記事は考え方の整理にとどめます。
貼る前に、映像を確認してください
両面テープは、一度貼ると剥がすのが大変です。
そこで、仮止めして映像を確認する手順を挟んでください。
- 位置を決めて、手で押さえる
- 電源を入れ、画面か、記録した映像を見る
- ボンネットが写り込みすぎていないか
- 空ばかり写していないか
- 前の車のナンバーが読める高さか
3番と4番は、角度の問題です。少し下げるだけで、記録の質が変わります。
目安は、画面の上3分の1が空、下3分の2が路面くらいです。
必要な道具
| 道具 | 用途 | 優先度 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 内張り剥がし | ピラーや天井の内装を浮かせる | 必須 | 1,000円前後 |
| 脱脂用のアルコール | 貼る面の油分を取る | 必須 | 数百円 |
| 配線通し | 隙間にコードを送る | 高い | 1,000円前後 |
| 結束バンド | 余った配線をまとめる | 高い | 数百円 |
| 養生テープ | 仮止め、内装の保護 | 中 | 数百円 |
| 検電テスター | ヒューズ電源を取る場合 | 電源による | 1,000円〜 |
| ヒューズ電源 | ヒューズから分岐する | 電源による | 数百円 |
| ヒューズクリップ | ヒューズを抜く | 電源による | 数百円 |
シガーソケットから電源を取るなら、上の3つで足ります。
脱脂は、省かないでください。油分が残っていると、必ず落ちます。夏の高温で、粘着力はさらに落ちます。
そして、内張り剥がしを金属のドライバーで代用しないでください。樹脂の内装に、消えない傷が残ります。
エアバッグの経路を避けてください
フロントガラス脇の柱(ピラー)の内側には、カーテンエアバッグが収まっている車種があります。ここに配線を通したり、内装の内側で固定したりすると、展開の妨げになります。あるいは、配線が高速で飛ばされます。展開は一瞬で、非常に強い力です。ピラーの内装に「エアバッグ」を示す表示がある車は、内側に配線を通さないでください。天井の縁に沿って外側を通すか、作業自体を依頼してください。これは、見た目の問題ではなく、命に関わる部分です。
この点は、取り付け作業で最も重要な注意です。
ピラーの内装を外す作業自体も、車種によっては簡単ではありません。無理に引くと、ツメが折れます。
不安があれば、そこで止めてください。配線が少し見えていても、機能は変わりません。
配線を隠す道すじ
前方カメラの場合、一般的な経路はこうです。
- 本体から、天井の内装の縁に押し込む
- 助手席側へ寄せ、ピラーの縁を通す
- ダッシュボードの隙間へ落とす
- 足元を通して、電源へ
ここでの要点は、内装を外さず、隙間に押し込むという点です。
天井の内装は、縁が柔らかくなっています。指か、内張り剥がしの先で軽く広げれば、コードが入ります。
そして、忘れやすい注意が2つあります。
- ペダルの周りに、配線を垂らさない。絡めば、操作できなくなります。
- ドアの開口部のゴムを、無理に外さない。雨水の侵入経路になります。
1番目は、命に関わります。余った配線は、結束バンドで確実にまとめてください。
後方カメラは、難易度が上がります
前後で記録する製品では、リアガラスまで配線が必要です。
距離が長く、通す場所も増えます。
- 天井の縁を後ろまで
- 後部座席の柱の周り
- 可動部を避ける(リアハッチの車は、開閉で挟みます)
最後の点が要注意です。
ハッチを開け閉めする車では、配線が繰り返し曲げられます。内部で断線し、あるとき映らなくなります。
純正の配線が通っている蛇腹のゴムの中を通すのが定石ですが、ここは作業が難しい部分です。自信がなければ、依頼してください。
電源の取り方を、先に決める
| 方法 | 難易度 | 駐車中の録画 | 注意 |
|---|---|---|---|
| シガーソケット | 低い | できない | 配線が見えやすい |
| ヒューズから分岐 | 中 | 選び方による | 系統の選択に注意 |
| 常時電源に直結 | 高い | できる | バッテリー上がりの危険 |
| 専用バッテリー | 中 | できる | 費用がかかる |
まず試すなら、シガーソケットで構いません。
問題は、駐車中も録画したい場合です。
当て逃げやいたずらの記録を目的にするなら、エンジンを切っても電気が流れる配線が要ります。そして、そこに落とし穴があります。
バッテリーが上がります
駐車中の録画は、車のバッテリーを使い続けます。
短時間なら問題ありません。ですが、数日乗らない、寒い時期という条件が重なると、始動できなくなります。
対策は3つです。
- 電圧監視の機能があるものを選ぶ。一定まで下がると、自動で止まります。
- 録画時間を制限する。数時間で切れる設定にします。
- 専用の外部バッテリーを使う。車のバッテリーを消費しません。
1番は、必須と考えてください。この機能がない製品を常時電源につなぐのは、危険です。
バッテリーが上がったときの対処は、バッテリー上がりの対処にまとめました。ただし、繰り返し上げると、バッテリーそのものが傷みます。
ヒューズから分岐する場合
やや手間はかかりますが、配線がすっきりします。
注意点を挙げます。
- 重要な系統から取らない。エアバッグ、ブレーキ、灯火などは避けます。
- ヒューズには向きがあります。検電テスターで確認してください。
- 作業前にバッテリーのマイナスを外す。短絡を防ぎます。
- 元のヒューズと同じアンペアを使う。
向きを間違えると、本来の保護が働かなくなります。ヒューズの意味がなくなるということです。
ここに不安があるなら、この方法は選ばないでください。シガーソケットでも、記録は残ります。
録音の設定も、決めておいてください
映像の話に隠れがちですが、多くの製品は車内の音も記録します。
これは、事故のときに役立ちます。急ブレーキの音、衝突の瞬間、相手とのやり取り。映像だけでは分からないことが残ります。
一方で、同乗者の会話も、すべて記録されます。
ここは、使い方で判断が分かれる部分です。
- 自分だけが乗る車:録音を入れておく利点が大きいといえます。
- 人を乗せる機会が多い車:同乗者に一言伝えておくのが穏当です。
- 仕事で使う車:会社の方針を確認してください。
設定は、あとから変えられます。取り付けた日に、一度確認しておいてください。
衝撃の検知は、強すぎると使いにくい
もう一つ、初期設定のまま放置されやすい項目があります。
衝撃を検知すると、その前後の映像を上書きされない領域に保存する機能です。
感度が高すぎると、段差やドアの開閉でも反応します。
すると、保存領域がどうでもいい映像で埋まります。そして、いっぱいになった状態では、肝心な場面が保存されないことがあります。
頻繁に反応するようなら、感度を下げてください。そして、保存領域はときどき整理してください。
記録用のカードは、消耗品です
取り付けたあと、最も見落とされる点です。
ドライブレコーダーは、古い映像を消しながら、上書きを繰り返します。
この書き込みは、記録用のカードにとって大きな負担です。数年ではなく、1年前後で劣化するものとして扱ってください。
そして厄介なのは、壊れても気づかないという点です。
本体は動いています。ランプも点いています。でも、記録されていない。それが分かるのは、事故のあとです。
- 月に一度、映像を再生して確認する。
- 定期的に初期化する。取扱説明書の指示に従ってください。
- 1年前後で交換する。
- ドライブレコーダー向けと表示のあるものを使う。
取り付けて終わりではありません。動いていることを確かめ続けて、はじめて意味があります。
季節を分けて確認してください
取り付けたあとの確認は、季節ごとに見るものが違います。
| 時期 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 夏 | 高温で両面テープが緩む。本体が停止する |
| 冬 | 低温で起動が遅い。バッテリーが弱る |
| 梅雨 | ガラスの曇りで、映像がぼやける |
| 通年 | カードの劣化。日時のずれ |
最後の日時のずれは、見落とされがちです。
記録された時刻が違っていると、いつの映像かを示す根拠が弱くなります。年に一度は、設定を見てください。
そして夏は、車内が非常に高温になります。直射日光が当たる位置に本体があると、動作が止まることがあります。ミラーの裏を選ぶ利点は、視界だけではありません。日陰になるという点も大きいのです。
ありがちな失敗
| 失敗 | 結果 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 脱脂せずに貼った | 夏に落ちる | アルコールで拭く |
| ワイパーの範囲外に貼った | 雨の日に映らない | 拭き取り範囲を確認 |
| 角度を確認せずに固定した | 空ばかり写る | 仮止めして映像を見る |
| ピラーの内側に配線を通した | エアバッグの妨げ | 表示を確認、避ける |
| ペダル付近に配線が垂れた | 操作の妨げ | 結束バンドで固定 |
| 電圧監視なしで常時電源に | バッテリー上がり | 機能付きを選ぶ |
| 金属工具で内装をこじった | 傷が残る | 内張り剥がしを使う |
| カードを放置した | 記録されていない | 定期確認と交換 |
よくいただく疑問
Q. 取り付けにかかる時間は
A. 前方のみ、シガーソケットからの電源なら1時間ほどです。
前後2カメラで、配線を隠すとなると、半日を見ておいてください。
急ぐと、配線の処理が雑になります。とくにペダル周りの固定は、焦っているときほど後回しになりがちです。時間に余裕のある日にやる作業だと考えてください。
Q. 業者に頼むべきですか
A. 次に当てはまるなら、依頼を検討してください。
- 前後2カメラで、配線を完全に隠したい
- 常時電源から取りたい
- ピラーの内装を外す必要がある
- 安全装備の多い、新しい車
最後の項目は、意外と重要です。
近年の車には、フロントガラスの上部にカメラやセンサーが付いています。ここを塞ぐと、運転支援の機能に影響します。
取り付け可能な範囲が、車種ごとに指定されていることがあります。取扱説明書を確認してください。
Q. 撮った映像は、どう扱えばいいですか
A. 事故に遭ったら、まずその場で保護してください。
上書きされてしまうと、戻せません。多くの製品には保護のボタンがありますが、操作方法を事前に確認しておくことが大切です。
落ち着いていられない状況で、説明書を読む余裕はありません。取り付けた日に一度、保護の操作を実際にやってみてください。指が覚えていれば、それで足ります。
なお、映像には他人の姿や車が写ります。公開する場合は、扱いに配慮してください。
Q. 選ぶときの基準は
A. 画素数より、暗い場所での写りを見てください。
事故の多くは、視界の悪い時間帯に起きます。逆光、夜間、トンネルの出口。そこで読めない映像に、意味はありません。
加えて、確認しておきたい点があります。
- 夏の車内の高温に耐える設計か
- 本体の大きさ(視界を遮らないか)
- 操作が分かりやすいか
最後に要点を
- 結論:貼る位置には決まりがあります。上端から20%以内が目安です。
- ワイパーの拭き取り範囲に入れてください。
- エアバッグの経路に配線を通さない。ここだけは譲れません。
- ペダル周りに配線を垂らさない。
- 常時電源を使うなら、電圧監視のある製品を。
- 記録用のカードは消耗品です。定期的に確認と交換を。
ドライブレコーダーは、付けたことを忘れる装備です。
普段は何もしません。役に立つ日は、来ないほうがいい。付けたことを忘れているくらいが、ちょうどいい装備だと思っています。
だからこそ、本当に記録されているかを、ときどき確かめてください。付いているだけでは、守ってくれません。
なお、取り付け可能な範囲や電源の取り方は、車種と年式によって異なります。作業の前に取扱説明書を確認し、判断に迷う場合は整備工場にご相談ください。