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給湯器の交換は自分でできる?|必要なのは工具ではなく資格です

目次

要点だけ先に

  • 結論:給湯器の交換は、自分ではできません。工具の問題ではありません。
  • ガス・電気・水道・排気。4つの分野の資格が絡みます。
  • 自分でやれるのは、選定と、見積もりの比較までです。
  • 不完全燃焼は一酸化炭素中毒に直結します。ここは譲れません。

最初に、結論から

「給湯器 交換 必要工具」で調べている方に、先にお伝えします。

この作業は、資格のない方が行うものではありません。

工具をそろえれば済む話ではないのです。理由は3つあります。

  1. ガス配管の接続に、資格が必要です。
  2. 排気の経路を誤ると、一酸化炭素中毒が起きます。
  3. 漏水や漏電が、建物と人に及びます。

とくに2番目が重い。給湯器は、屋内で燃焼させる機器です。排気が室内に回れば、命に関わります。

この記事では、工具の一覧の代わりに、依頼する側として知っておくべきことを書きます。何を選び、どこを見て、いくら見ておくか。そこは自分で判断できます。

なぜ資格が要るのか

給湯器の交換は、複数の分野にまたがります。

作業関わる分野位置づけ
ガス管の接続ガス資格を持つ者が行う作業
給水・給湯配管水道工事の内容により制限あり
電源の接続電気接続方法により電気工事士が必要
排気筒の施工排気誤ると中毒事故
据付・固定建築落下防止、耐震

ひとつの機器を替えるために、これだけの分野が同時に絡みます。

加えて、給湯器の設置には特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律が関わる場合があります。この法律では、対象となる機器の設置工事について、監督者を置くことが求められています。

電気の側では、電気工事士法が関わります。コンセントに差すだけの機種か、電源線を直接つなぐ機種かで、扱いが変わります。

各法令の詳細と、ご自宅の設置形態がどれに当たるかは、ガス事業者や施工店にご確認ください。この記事では全体像の整理にとどめます。

分野ごとの境界線は、資格が必要な工事・不要な工事にまとめました。

排気は、見た目では判断できません

給湯器の排気には、機種ごとに定められた方式があります。屋外に置くもの、屋内で排気筒を使うもの、給気と排気を同時に行うもの。これらは互換ではありません。形が似ていても、内部の設計が違います。方式の合わない機器を付ける、排気筒の長さや曲がりが基準を超える、給気口をふさぐ。そのいずれも、不完全燃焼と一酸化炭素の発生につながります。一酸化炭素は無色無臭です。異常に気づけません。過去に、実際の死亡事故が繰り返し起きています。ここは、費用や手間で妥協する場所ではありません。

そして、この危険は設置のあとにも生まれます。

  • 給湯器の前に物を置いた
  • 目隠しの板や、囲いを作った
  • 物置や自転車を近くに寄せた
  • 排気口の前に、洗濯物を干した
  • 雪が積もって、給気口をふさいだ

いずれも、実際に起きていることです。悪気があってやることではありません。だからこそ、知っておく必要があります。とくに、設置してから何年も経つと、周りの物が少しずつ増えていきます。

給湯器の周りは、空けておいてください。本体には、確保すべき距離が表示されています。

自分でできるのは、選ぶところまで

ここからが、この記事の本題です。

施工はできませんが、何を買うかは自分で決められます。そして、ここを他人任せにすると、必要以上の出費になります。

号数を確認してください

ガス給湯器には号数があります。

これは、水温を25℃上げたお湯を、1分間に何リットル出せるかを示す数字です。

号数おおよその目安
16号1〜2人。同時使用は厳しい
20号2〜3人。台所と浴室の同時使用がやや可能
24号4人以上。同時使用に余裕

迷ったときの原則は単純です。今と同じ号数を選んでください。

今の給湯器で不満がないなら、上げる必要はありません。号数を上げると、本体価格が上がります。ガス管の太さが足りず、配管工事が追加になることもあります。

逆に、冬場にお湯の勢いが落ちる、同時に使うとぬるくなるという不満があるなら、上げる価値はあります。

機能の区分を間違えないでください

号数の次に、機能の区分があります。ここを取り違えると、使い方が変わってしまいます。

区分できること
給湯専用お湯を出すだけ。浴槽には蛇口から張る
オート自動でお湯張り。追い焚きができる
フルオート上に加え、湯量の自動保持や配管洗浄など

今と同じ区分を選ぶのが基本です。

とくに、給湯専用からオートへ変えたい場合は注意が必要です。追い焚き用の配管が浴槽まで通っていなければ、工事が大がかりになります。浴室の壁を壊す話になることもあります。

「同じ号数、同じ区分、同じ設置形態」。この3つをそろえれば、交換は最も単純になります。

型番を控えておく

見積もりを取る前に、これだけはやっておいてください。

  • 本体の型番(正面か側面に表示があります)
  • ガスの種類(都市ガスかプロパンか。これは絶対に間違えられません
  • 設置形態(壁掛け、据置、ベランダ、パイプシャフト内など)
  • 本体と、その周囲の写真(配管の出方が分かるように)
  • リモコンの型番(台所と浴室、両方)

これがあると、電話やメールだけで概算が出ます。訪問の回数が減り、比較が早くなります。

ガスの種類は、とくに重要です。都市ガス用とプロパン用は、別の機器です。取り違えると、正常に燃焼しません。

エコジョーズという選択肢

見積もりを取ると、必ず出てくる言葉です。

従来の給湯器は、燃焼によって生じた熱の一部を、排気とともに捨てていました。その熱を回収して再利用する仕組みを備えたものが、この種の機器です。

その分、同じお湯を沸かすのに使うガスが減ります。

従来型熱回収するタイプ
本体価格安い高い
ガス代下がる
設置そのまま排水の処理が必要
向く家庭使用量が少ない使用量が多い

判断の分かれ目は、お湯をどれだけ使うかです。

本体の差額を、ガス代の差で回収する構図になります。使用量が少なければ、回収する前に寿命が来ます。

そして、見落とされやすい点があります。

熱を回収する過程で、酸性の水が発生します。これを中和して排出する仕組みが必要で、排水を流す先の確保が要ります。

設置場所によっては、この排水の処理に追加工事がかかります。見積もりの段階で、含まれているかを確認してください。

勧められるまま決めず、自分の家の使用量で考える。ここは判断できる場所です。検針票を見れば、月々のガスの使用量が分かります。

壊れる前に、兆候が出ます

給湯器は、ある日突然止まるわけではありません。

  • お湯の温度が安定しない
  • 着火までの時間が長くなった
  • 運転音が大きくなった
  • 本体から水が漏れている
  • エラー表示が頻繁に出る
  • 黒い煤が付いている

最後の項目が出ていたら、すぐに使用を止めて連絡してください。不完全燃焼を起こしている可能性があります。

そのほかの兆候が出ているなら、まだ動いているうちに動いてください。

完全に壊れてからでは、選ぶ余裕がありません。在庫のある機種を、言われた金額で、その日に決めることになります。冬場は、とくにそうなります。

設置から10年を超えたあたりから、次を考え始めるくらいでちょうどいいと思います。

見積もりで見るところ

金額の総額だけを比べても、判断できません。

内訳に、次が含まれているかを見てください。

項目確認すること
本体価格型番が明記されているか
リモコン台所・浴室の両方が含まれるか
標準工事費どこまでが標準か
追加工事発生し得る場合の条件と金額
撤去・処分費含まれているか
保証本体と工事、それぞれの年数

差が出やすいのは、「標準工事」の範囲です。

安い見積もりが、実は撤去費と処分費を含んでいない。配管の延長が別料金になっている。そういうことが起きます。

もうひとつ、工事の保証を確認してください。

本体はメーカーの保証が付きますが、施工が原因の不具合は、施工した側の保証範囲です。ここが短い、あるいは書面がない業者は避けたほうが無難です。

業者を選ぶときに見る点

金額の比較の前に、確認しておきたいことがあります。

  • 資格や登録を、書面で示せるか
  • 見積書に型番と内訳があるか(「一式」だけの記載は避けたい)
  • 工事の保証が、年数で明記されているか
  • 連絡先が、電話番号と所在地まで分かるか
  • その場で契約を迫らないか

最後の項目は、とくに大切です。

お湯が出ない状況は、判断を急がせます。その焦りにつけ込む商法があります。「今日決めれば割引」「この在庫が最後」といった言い方が出たら、いったん距離を置いてください。

給湯器が完全に止まる前に動いてほしいと書いたのは、この点も理由です。時間の余裕が、そのまま選ぶ力になります。

お湯が出ない数日は不便ですが、銭湯や、勤務先の設備で乗り切れる場合もあります。数日待てるかどうかで、選べる範囲が変わります。

自分でやってよいこと

ここまで「できない」ばかり書いてきました。

できることもあります。

作業可否備考
本体の周りを片付けるできる排気と給気の確保
外装の汚れを拭くできる水をかけない
リモコンの設定変更できる説明書の範囲で
凍結防止の対処できる後述します
エラー番号の確認と連絡できる控えて伝える
フィルターの清掃機種による説明書に記載があれば
配管や本体を開けるできない
ガス栓から先の作業できない

エラー表示が出たとき、番号を控えてから電話するだけで、話が早く進みます。

凍結は、自分で防げます

寒い地域で、冬に多いトラブルです。

給湯器の配管が凍ると、お湯が出ません。配管が破裂すれば、修理費がかかります。

防ぎ方があります。

  • 電源プラグを抜かない。多くの機種に凍結防止の機能が入っています。
  • 取扱説明書の指示に従い、水を少量出しておく。強い冷え込みが予想される夜に。
  • 浴槽の水を残しておく。追い焚き配管の凍結防止に働く機種があります。

1つ目が最も重要です。長期の不在で電源を抜くと、凍結防止が働きません。

そして、凍ってしまったときにお湯をかけないでください。配管が破損します。自然に解けるのを待つのが原則です。

この考え方は、車のガラスと同じです。冬の車の備えでも書きました。急な温度変化が、物を壊します。

迷いやすいところ

Q. 本体だけ自分で買えば安くなりますか

A. おすすめしません。

持ち込みを断る業者が多いためです。受けてもらえても、工事の保証が付かないことがあります。

選定を誤って設置できなかった場合、その責任も自分に来ます。

本体と工事をまとめて頼み、その総額で比較するほうが確実です。

Q. 賃貸の場合は

A. まず貸主か管理会社に連絡してください。

給湯器は建物に付属する設備です。多くの場合、貸主の負担で交換されます。

勝手に手配すると、費用を負担してもらえないことがあります。

賃貸での手出しの範囲については、賃貸でできるDIYの範囲にもまとめました。

Q. 工事にはどのくらいかかりますか

A. 同じ形態への交換なら、半日ほどが目安です。

その間、お湯と、機種によっては水も止まります。

設置形態が変わる場合や、配管をやり直す場合は、1日以上かかることもあります。

事前に、断水の時間帯を確認しておいてください。

Q. 修理と交換、どちらを選びますか

A. 使用年数で考えてください。

設置から年数が経った機器は、交換部品の供給が終わっていることがあります。直したくても直せません。

また、ひとつ直しても、別の部位が続けて傷みます。同じ時間だけ使われているからです。

年数が浅く、原因が明確なら修理。10年を超えているなら交換。おおよそ、そう考えて差し支えありません。判断に迷うときは、部品の供給が続いているかを先に聞いてみてください。

おわりに

  • 結論:交換工事は、自分ではできません。複数の資格が絡みます。
  • 排気の不備は、一酸化炭素中毒につながります。
  • 本体の周りは空けておいてください。
  • 選定は自分でできます。号数・区分・ガスの種類を確認。
  • 壊れる前に動く。止まってからでは選べません。
  • 見積もりは「標準工事」の範囲で比べてください。

工具の記事としては、少し変わった内容になりました。

ですが、「必要な工具はありません」というのも、ひとつの答えだと考えています。

調べた結果、自分でやらないと決められる。それも情報の役割です。道具をそろえて挑んでから引き返すより、ずっと安く済みます。

なお、法令の適用や必要な資格は、設置形態や機器の種類によって異なります。個別の判断については、ガス事業者や施工店にご確認ください。

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