この記事の要約
- 電池式・コンセント式なら、自分で交換できます。
- 壁から電線が出ている機種は、電気工事士の作業です。ここが分かれ目です。
- 集合住宅では、建物全体の設備につながっていることがあります。触らないでください。
- 買う前に、今の配線の状態を写真に撮ってください。
分かれ目は、電線があるかどうか
この作業を自分でできるかは、今付いている機種の電源の取り方で決まります。
| 今の機種 | 自分でできるか |
|---|---|
| 乾電池で動いている | できます |
| コンセントにプラグが差してある | できます |
| 壁から出た電線が、本体につながっている | 電気工事士が必要 |
| 集合住宅の、共用の設備につながっている | 管理会社へ |
上の2つであれば、資格は要りません。電池を替える、プラグを抜き差しするのと同じ扱いです。
ですが、3つ目は違います。
壁の中から出ている電線を外し、新しい機種につなぐ。この作業は、電気工事士法で定められた作業にあたります。
「電圧が低いから大丈夫」という説明を見かけることがありますが、判断は自分でしないでください。どこから来ている線か、使う側からは分かりません。
資格の線引きは、電気工事は資格なしでどこまで?にまとめました。
集合住宅は、とくに注意してください
マンションやアパートのインターホンは、玄関先の子機と室内の親機だけで完結していないことがあります。建物の入口にある集合玄関機、管理室、自動ドアの開錠、火災警報の受信。これらとつながっている場合、室内の機器を勝手に交換すると、建物全体の設備に影響します。とくに、警報を受け取る機能を兼ねている機種があります。これを外すと、火災時に警報が届きません。自分の部屋の中の機器に見えても、建物の安全設備の一部であることがあります。集合住宅にお住まいなら、まず管理会社か貸主に連絡してください。
該当するかどうかの、見分け方の目安を挙げます。
- 建物の入口に、集合玄関機がある
- 室内の機器に「火災」「非常」などの表示や警報のボタンがある
- 管理室と通話できる
- オートロックを解錠できる
ひとつでも当てはまるなら、自分では触らないでください。
必要な道具
電池式・コンセント式の交換であれば、道具はごくわずかです。
| 道具 | 用途 | 優先度 | 目安 |
|---|---|---|---|
| プラスドライバー(2番) | 取付金具のネジ | 必須 | 500〜1,500円 |
| メジャー | 本体の寸法、取付穴の位置 | 必須 | 数百円 |
| 下地探し | 壁の中の柱を探す | 高い | 1,000円前後 |
| 電動ドライバー | ネジの締め付け | 中 | 3,000円〜 |
| 水平器 | 傾きの確認 | 中 | 1,000円前後 |
| コーキング材 | 屋外側の防水 | 屋外なら必須 | 500円前後 |
| 脚立 | 高い位置の作業 | 設置位置による | — |
要になるのはメジャーです。
買ってから「取付穴の位置が合わない」「前の機種より小さくて、跡が見える」と気づくことがあります。
先に測る。この考え方は、ドアノブの交換で書いたことと同じです。作業より、採寸が本番です。
買う前に確認すること
- 今の機種の型番(本体の裏や側面にあります)
- 電源の取り方(電池・コンセント・電線)
- 玄関側と室内側、両方の寸法
- 取付金具のネジ穴の位置
- 玄関側が、雨に当たる場所かどうか
- 配線の状態が分かる写真
この中では、6つ目がとくに重要です。
本体を外して、裏側の写真を撮ってください。電線が来ているか、電池なのか、そこではじめて分かります。
そして、電線が出ていた場合はそこで作業を止めてください。外して見ることまでは、判断のために必要な確認です。その先が工事にあたります。
写真があれば、業者に相談するときにも役立ちます。電話だけで話が進みます。
交換の手順
電池式・コンセント式の場合の流れです。
- 電源を切る。プラグを抜くか、電池を外します。
- 室内側の本体を、取付金具から外す。上に持ち上げて手前に引く機種が多くあります。
- 裏側を確認し、写真を撮る。電線があれば、ここで中止します。
- 取付金具を外す。ネジを緩めます。
- 壁の状態を確認する。穴の位置、汚れ、跡を見ます。
- 新しい取付金具を、水平に固定する。
- 本体を取り付ける。
- 玄関側も、同じ手順で。
- 動作を確認する。呼び出し、通話、映像を順に。
6番の水平を、面倒がらずに出してください。
玄関の子機が傾いていると、映る範囲も傾きます。そして、来客のたびに目に入る場所です。少しのずれが、ずっと気になります。
9番の動作確認は、実際に外からボタンを押して行ってください。室内から操作するだけでは、確かめきれません。
ひとりの場合は、玄関のボタンを押してから室内へ戻り、呼び出しが続いているかを見ます。映像の写り方も、そのときに確認できます。
古い機器の処分
外した機器は、自治体の区分に従って出してください。
ここで、ひとつ注意があります。
録画機能のある機種は、映像が残っています。来訪者の顔が記録されています。
捨てる前に、記録を消してください。記録用のカードが入っている機種であれば、抜き取ってください。
自分の情報ではなく、訪ねてきた人の情報です。そのまま手放すべきものではありません。
出る前に、確かめるための機器です
機種選びの前に、使い方の話をひとつ。
インターホンが鳴ると、反射的に応答してしまう方が多いと思います。
ですが、この機器の本来の役目は、ドアを開ける前に相手を確かめることです。
- 映像で確認してから、応答するかを決める。
- 心当たりのない訪問には、出ないという選択もある。
- 用件は、ドアを開ける前に聞く。
- 留守を明かさない。不在であることを伝える必要はありません。
3つ目が大切です。玄関を開けてから用件を聞く必要は、ありません。通話で済むことが、ほとんどです。
そして、宅配を装った訪問への備えにもなります。心当たりのない荷物であれば、その場でドアを開けずに確認できます。
お子さんがいる家庭では、使い方を一緒に決めておくとよいと思います。誰も出ない、あるいは映像だけ見て親に伝える。そうした取り決めです。
機能の多さより、この使い方ができているかどうかのほうが、実際の安全に効きます。
機能を、必要な分だけ選ぶ
近年の機種には、実にさまざまな機能が付いています。
| 機能 | 役立つ場面 |
|---|---|
| 録画 | 留守中の来訪者を確認する |
| 広角のカメラ | 複数人や、足元まで写る |
| 暗いところでの撮影 | 夜間の来訪 |
| スマートフォン連携 | 外出先で応対する |
| 子機の増設 | 2階にいても出られる |
| 電気錠との連動 | 解錠まで行う |
選ぶときの基準を、ひとつ挙げます。
録画機能は、防犯の面で効きます。
留守中に誰が来たかが残ります。不審な訪問があった場合、記録として意味を持ちます。
そして、カメラが付いていること自体が、抑止になります。
一方、スマートフォンとの連携は、慎重に考えてください。
- 無線の接続が必要です。玄関先まで届くかを確認してください。
- 映像が外部の仕組みを経由します。提供元の方針を確認してください。
- 設定に手間がかかります。
- サービスが終了すれば、その機能は使えなくなります。
便利ではありますが、「なくても困らない機能に、お金と手間をかけていないか」という視点は持っておいてください。
取り付けの注意点
高さを決めてから固定する
玄関側の子機は、訪問者の顔が写る高さに付けます。
低すぎると、顔ではなく胸から下が写ります。高すぎると、身長の低い方が写りません。
今の機種と同じ高さにするのが、最も無難です。壁の跡も隠れますし、配線の位置も変わりません。
室内側の親機は、立ったときに画面が見やすい高さへ。ただし、ご家族の状況に合わせてください。車椅子を使う方、背の低いお子さんがいる家庭では、低めのほうが使いやすいこともあります。
屋外側は、防水を考える
玄関の子機は、雨に当たります。
ここで気をつけたいのが、壁に開けた穴からの水の侵入です。
穴の位置が変わる場合、古い穴が残ります。そのままにしないでください。水が入り、壁の内側を傷めます。
コーキング材で塞ぐか、穴が隠れる大きさの機種を選んでください。
また、雨のかかる場所に、屋内用の機種を付けないでください。製品の表示を確認してください。
壁の材質で、固定方法が変わる
室内側の親機を、石膏ボードに直接ネジ留めすると、落ちます。
下地の柱を探すか、専用のアンカーを使ってください。
探し方と考え方は、壁に棚を付ける必要工具にまとめました。原理は同じです。
インターホンは軽い機器ですが、毎日押される、触られる機器でもあります。ぐらつくと、いずれ外れます。
ありがちな失敗
| 失敗 | 結果 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 寸法を測らず買った | 取付穴が合わない | 先に測る |
| 前より小さい機種を選んだ | 壁に跡が残る | 同等以上の大きさで |
| 石膏ボードに直接留めた | そのうち外れる | 下地かアンカーを |
| 屋外に屋内用を付けた | 雨で故障する | 表示を確認 |
| 古い穴を塞がなかった | 壁の内側が傷む | コーキングで処理 |
| 水平を出さなかった | 映像も傾く | 水平器を使う |
| 電線があるのに続行した | 無資格の工事になる | そこで止める |
| 録画を消さずに処分した | 他人の映像が流出 | 消去してから |
上から2つ目は、見落とされやすい点です。
長年同じ機器が付いていた場所は、周りの壁だけが日焼けし、汚れています。外すと、そこだけ色が違います。
新しい機種が一回り小さいと、その差がそのまま見えます。とくに玄関側は、外から見える場所です。
よくいただく疑問
Q. 鳴らなくなりました。故障ですか
A. 順番に確認してください。
- 音量の設定:知らないうちに下がっていることがあります。
- 電池:電池式なら、まずここです。
- ブレーカー:室内側の電源が落ちていませんか。
- ボタンの汚れや詰まり:虫や埃が入ることがあります。
- 配線の傷み:屋外側は、経年で劣化します。
1番と2番で解決することが、かなりあります。買い替えを考える前に、必ず確認してください。
4番も、意外な原因です。玄関のボタンの隙間は、虫が入りやすい場所です。押しても反応しない、押した感触がない、という場合は、周りを見てください。ただし、分解はしないでください。表面を掃除する範囲にとどめます。
そして、「留守番」や「就寝」の設定になっていないかも確認してください。呼び出し音が鳴らない設定が用意されている機種があります。
Q. 電池式で不便はありませんか
A. 交換の手間はありますが、選択肢としては現実的です。
とくに、配線工事ができない住宅では、有力な選択になります。賃貸で、原状回復が求められる場合もそうです。
ただし、電池が切れると鳴りません。そして、切れたことに気づきにくい機器です。
電池切れの表示がある機種を選び、時期を決めて交換するのが確実です。火災警報器の点検と同じ日にする、といった決め方でも構いません。
そして、電池式は寒さで持ちが悪くなります。冬に急に切れることがあります。予備を一組、置いておくと安心です。
Q. 業者に頼むと、どのくらいですか
A. 本体の価格に、作業費が加わります。
同じ位置への交換であれば、作業自体は短時間で終わります。
費用が増えるのは、配線を新たに通す場合です。壁の中を通す作業が加わります。
見積もりでは、本体・工事・古い機器の処分が含まれているかを確認してください。
Q. 賃貸で交換してもいいですか
A. まず貸主か管理会社に連絡してください。
インターホンは、建物に付属する設備です。故障であれば、貸主の負担で交換されることが一般的です。
「録画機能が欲しい」といった、自分の希望による交換は、また別の話になります。許可を得たうえで、退去時の扱いも決めておいてください。
詳しくは、賃貸でできるDIYの範囲を参照してください。
最後に
- 電池式・コンセント式なら、自分でできます。
- 壁から電線が出ていたら、そこで止めてください。
- 集合住宅は、まず管理会社へ。建物の設備につながっていることがあります。
- 買う前に測る。寸法と、取付穴の位置を。
- 屋外側は防水を。古い穴を残さないでください。
- 石膏ボードに直接留めない。下地かアンカーを使ってください。
インターホンは、家の外と中を分ける最初の接点です。
誰が来たかを、ドアを開けずに確かめられる。それだけの機器ですが、その「開けずに済む」という一点に、意味があります。
鳴らなくなったまま放置している家を、ときどき見かけます。ノックの音で気づくから、当面は困らない。そういう状態です。ですが、直しておく価値のある設備だと思います。
なお、必要な資格や、建物側の設備との関係は住宅によって異なります。配線が見える場合や、集合住宅にお住まいの場合は、管理会社または電気工事店にご相談ください。