庭木を切ったら、翌年に花が咲かなかった。あるいは、枝が枯れ込んでしまった。こうした失敗の原因は、多くの場合、切る時期と切る位置です。木には、切ってよい時期とそうでない時期があり、種類によって違います。そして、枝の途中で切るか、根元で切るかでも、その後の育ち方が変わります。この記事では、時期の見分け方と、切り方の基本を書きます。
この記事でわかること
- 木の種類ごとの時期
- 花が咲かなくなる理由
- 枝を切る位置の決め方
- 切ってはいけない枝
なぜ切るのか
目的をはっきりさせておくと、どこを切るかが決まります。単に小さくしたいのか、風通しを良くしたいのか、形を整えたいのか。この三つで、切る枝が変わります。
風通しを良くする目的は、意外と重要です。枝が混み合うと、内側に日が当たらず、湿気がこもります。そこで病気が出て、虫も付きます。透かすように切ると、木そのものが健康になります。
大きさを抑える目的なら、放置するほど作業が大変になります。太くなってから切ると、木への負担も大きい。毎年少しずつ手を入れるほうが、木にとっても人にとっても楽です。
そして、隣の敷地へ越境した枝は、切る必要があります。放置すると近隣との問題になります。ここは、見た目の好みとは別の話です。
落葉する木の時期
冬に葉を落とす木は、葉がない時期が作業に向きます。十二月から二月ごろ、木が休んでいる期間です。
この時期は、枝の形が見えるので、どこを切るか判断しやすい。そして、木の活動が止まっているため、切られた傷への負担が小さく済みます。
逆に、芽が動き出してから切ると、蓄えた養分を無駄にします。春に伸び始めた枝を切るのは、木にとって損失です。
ただし、極端に寒い日は避けてください。切り口が凍ると、そこから傷みます。晴れて、気温が少し上がった日を選んでください。
常緑の木の時期
一年中葉を付けている木は、落葉する木とは事情が違います。
真冬に大きく切ると、寒さで傷みます。葉が光合成を続けているので、完全に休んでいるわけではありません。
適した時期は、春の終わりから初夏、そして秋です。新しい芽が伸びた後に形を整える、という考え方になります。
真夏も避けてください。切った直後は水分を失いやすく、強い日差しで枝が焼けます。人の体にも厳しい季節です。
花が咲かなくなる理由
これが、庭木の手入れで最も多い失敗です。
多くの木は、花が終わってから数か月のうちに、翌年の花になる芽を作ります。この芽が、枝の先や葉の付け根に付いています。
つまり、芽ができた後に枝を切ると、翌年の花ごと落とすことになります。冬にきれいに刈り込んだら春に咲かなかった、という結果は、これが原因です。
だから、花を楽しむ木は、花が終わった直後に切ってください。この時期なら、まだ翌年の芽ができていません。
春に咲く木なら、春の終わりに。夏に咲く木なら、その年の冬に。自分の庭の木が、いつ咲くかを覚えておいてください。
切ってはいけない木もある
木の種類によって、切ったあとの反応は大きく変わります。
切り口から腐りやすく、大きな枝を落とすと弱る種類があります。有名なのは、桜です。太い枝を切ると、そこから菌が入って幹まで傷みます。
一方、強く刈り込んでも次々に芽を出す種類もあります。生け垣に使われる木の多くが、こちらです。
自分の庭にある木が、どちらの性質かを調べてから作業してください。名前が分からなければ、葉を写真に撮って園芸店で聞くという方法もあります。
太い枝を落とす必要があるなら、切り口に塗る薬剤を用意してください。菌の侵入を防ぎます。
切る位置を決める
ここが、この作業の技術の中心です。
枝を根元から落とす場合、幹にぴったり付けて切らないでください。枝の付け根には、少し膨らんだ部分があります。ここには、傷をふさぐ働きがあります。
この膨らみを残して、その外側で切ってください。残せば、木が自分で切り口をふさいでいきます。削り取ってしまうと、傷が残り、そこから腐ります。
逆に、長く残しすぎるのも良くありません。残った部分が枯れ込み、そこが菌の入口になります。
枝の途中で切る場合は、外側を向いた芽のすぐ上で切ってください。そこから伸びる枝が、外へ向かいます。内側を向いた芽の上で切ると、枝が内側へ伸びて混み合います。
太い枝の落とし方
太くて重い枝を落とすときには、守るべき手順があります。
一度に切り落とそうとすると、途中で枝の重みで裂けます。皮が幹側まで剥がれ、大きな傷になります。
これを防ぐには、三回に分けます。まず、落とす位置より先で、下側から三分の一ほど切り込みを入れます。次に、その少し外側から上を切って、枝を落とします。最後に、残った短い部分を、付け根の膨らみの外側で切ります。
この順番で進めれば、裂けません。手間に見えますが、木を傷めないための確実な方法です。
そして、落ちる先に人や物がないか確認してください。枝は、思った方向に落ちるとは限りません。
優先して落とす枝
どこから手を付けるか迷ったら、優先する順番があります。
まず、枯れた枝です。これは、いつ切ってもかまいません。落ちると危険ですし、菌の温床になります。
次に、根元や幹から真っすぐ上に伸びた勢いの強い枝。これは養分を独占し、木の形を乱します。
そして、内側へ向かう枝、交差してこすれている枝、下へ垂れた枝。これらを落とすと、風通しが良くなります。
ここまでやれば、形はかなり整います。見た目を気にして先端をそろえるのは、最後でかまいません。
切りすぎない
作業に夢中になると、つい切りすぎます。
一度に落とすのは、全体の枝の三分の一までが目安です。それ以上切ると、木が弱ります。
葉は、木が養分を作る場所です。大量に落とせば、木は飢えます。慌てて芽を出そうとして、細い枝が乱立することもあります。
大きくしすぎた木を小さくしたいなら、数年かけてください。一年目に三分の一、翌年にまた三分の一。この進め方なら、木は耐えられます。
時々木から離れて、全体を見てください。近くで作業し続けていると、全体のバランスが分かりません。
道具の手入れ
切れ味の落ちた道具は、木そのものを傷めます。
切れ味の悪いはさみで切ると、切り口が潰れます。潰れた組織は、ふさがるのに時間がかかり、その間に菌が入ります。
使う前に、刃の状態を確認してください。樹液で固まっているなら、拭き取ってから使ってください。
そして、病気の枝を切った後は、刃を消毒してください。次の木へ病気を移すことがあります。消毒用のアルコールを吹きかけるだけで十分です。
作業の後は、樹液を拭き取り、油を薄く塗って保管してください。さびると、次に使うときに切れません。
安全に関わること
この作業には、はっきりとした危険が伴います。
脚立に乗っての作業中に、転落する事故が毎年起きています。特に、高齢の方の事故が多い。平らな場所に置き、一番上には立たないでください。
木に登っての作業も、避けてください。支えにした枝が折れることがあります。
そして、電線の近くの枝は、自分で切らないでください。感電します。電力会社に連絡すれば、対応してもらえます。
高い場所、太い幹、電線の近く。この三つに当てはまるなら、業者に頼んでください。費用は数万円からですが、事故の代償とは比べものになりません。
切った枝の処理
作業が終わった後に残る、枝の処分の問題です。
多くの自治体では、一定の長さと太さに切りそろえ、束ねれば燃えるごみとして出せます。長さや本数の決まりがあるので、確認してください。
量が多いなら、粗大ごみとして出すか、清掃工場へ持ち込むことになります。有料ですが、一度に片づきます。
庭で燃やすことは、原則としてできません。法令で規制されており、近隣からの苦情にもつながります。
切った枝を、その場に置きっぱなしにしないでください。虫が集まり、腐って病気の元になります。
生け垣の扱い
庭木のなかでも、生け垣は考え方が違います。一本ずつの形を整えるのではなく、面として仕上げるからです。
刈り込む回数は、年に二回から三回が目安です。春に伸びた分を初夏に、夏に伸びた分を秋に。そして、必要なら冬に形を整えます。放置すると、下の方の葉が落ちて隙間ができ、目隠しの役目を果たさなくなります。
形は、上をやや細く、下を広くしてください。垂直に立てると、下に日が当たらず、そこだけ葉が減っていきます。台形に近い断面が、長く保つ形です。
作業のときは、水平の線を糸で張ると、まっすぐ仕上がります。目分量で進めると、必ず波打ちます。
そして、電動の刈り込み機を使う場合、コードや自分の手の位置に注意してください。刃が高速で動くので、一瞬で切れます。
作業する日の準備
作業を始める前に、身支度として整えておくことがあります。
服装は、長袖と長ズボン。枝で腕を引っかきますし、葉に虫が付いていることもあります。手袋は、とげのある木なら厚手のものを選んでください。
目を守るものも用意してください。上を向いて作業するので、切った枝や葉が落ちてきます。細い枝の先が目に入ると、重大な怪我になります。
そして、木の下に敷物を広げておくと、片づけが一気に楽になります。切った枝がそこに落ちるので、まとめて運べます。
作業の前に、蜂の巣がないか確認してください。夏から秋にかけて、木の内部に作られていることがあります。刺激すると危険なので、見つけたら作業を中止してください。
業者に頼むという判断
庭木の手入れを、すべて自分でやる必要はありません。
費用の目安は、木の高さで変わります。三メートル程度までなら一本数千円、それを超えると一万円を超えることもあります。庭全体をまとめて頼むと、単価は下がります。
切った枝の処分まで含まれるかは、業者によって違います。ここは、見積もりの段階で確認してください。量が多いと、処分だけで別料金になることがあります。
そして、一度プロに整えてもらってから、その後を自分で維持するという方法があります。形ができた状態からなら、毎年の手入れはそれほど難しくありません。
頼むときは、どうしたいかを伝えてください。小さくしたいのか、今の大きさを保ちたいのか、花を優先したいのか。ここが伝わっていないと、望まない仕上がりになります。
切った後の変化を見る
手入れは、切って終わりではありません。その後どう伸びたかを見ることで、翌年の判断が変わります。
切った位置から、どの方向に枝が伸びたか。思った向きに伸びていれば、切る位置の選び方が合っていたということです。内側へ向かったなら、次は外向きの芽の上で切ってください。
細い枝が一か所から何本も出ているなら、切りすぎた合図です。木が慌てて葉を取り戻そうとしています。この場合、翌年は控えめにしてください。
そして、作業した日付と、どこをどう切ったかを簡単に記録しておくと、数年でその木の性質が分かってきます。写真を一枚撮っておくだけでも十分です。
よくある質問
木の名前が分かりません
葉と、できれば花や実の写真を撮って、園芸店やホームセンターの担当者に見せてください。名前が分かれば、時期も切り方も調べられます。名前が分からないまま切るのは、避けたほうがよい。
隣から枝が伸びてきます
原則として、まず所有者に切るよう求めることになります。法律が改正され、求めても対応がない場合などに自分で切れる条件が定められました。ただし、トラブルを避けるため、まず話し合ってください。
切った後に枯れてしまいました
切りすぎたか、時期が合っていなかった可能性があります。根元から新しい芽が出ることもあるので、しばらく様子を見てください。完全に枯れた場合、根を掘り起こすのは大変な作業です。
毎年やる必要がありますか
木の種類と、望む大きさによります。ただし、間を空けるほど一度の作業が重くなり、木への負担も増えます。毎年少しずつ手を入れるほうが、結果的に楽で、木も健康に保てます。
まとめ
庭木を切るなら、まず木の種類と、いつ花が咲くかを確かめてください。花が終わった直後に切れば、翌年の花を落とさずに済みます。落葉する木は冬、常緑の木は春の終わりか秋。これが基本です。枝を根元から落とすときは、付け根の膨らみを残してその外側で切ってください。そして、一度に落とすのは全体の三分の一まで。高い場所と電線の近くは、業者に任せてください。
道具の選び方は剪定に使う道具、落ち葉の片づけは落ち葉の片づけ道具、枝の処分は庭で出たごみの捨て方をご覧ください。