この記事の要点
- 点火した直後と、消した直後に少し臭うのは、多くの機種で起こります。 気にしすぎなくて大丈夫です。
- 問題なのは、運転中ずっと灯油のにおいがするときです。原因は、古い灯油、フィルターの目詰まり、灯油のこぼれの三つが大半です。
- 目や喉が痛い、頭が重い、炎が赤くて長い。 この場合はすぐに消して、窓を開けてください。
- 一酸化炭素には、においがありません。においがしないから安全、とは言えません。
まず、臭いの出るタイミングで分けます
「ファンヒーターが臭い」と言っても、原因は場面によってまるで違います。先に、いつ臭うのかを思い出してください。
- 点火した直後だけ臭う。 多くの場合、異常ではありません。
- 消した直後だけ臭う。 これも、多くの機種で起こります。
- 使い始めの数日だけ焦げたような臭いがする。 本体にたまったホコリが焼けている可能性が高いです。
- 運転中ずっと、灯油の臭いが部屋に広がる。 点検が必要です。
- ツンと刺激のある臭いがする。 燃料が違う可能性があります。すぐに使用をやめてください。
- 焦げたゴムやプラスチックの臭いがする。 電気まわりの不具合かもしれません。電源プラグを抜いてください。
この六つのどれに当てはまるかで、次にやることが決まります。順に説明します。
点火時と消火時の臭いは、なぜ出るのか
石油ファンヒーターは、灯油を気化させて燃やします。点火した直後と、消火した直後は、燃焼が安定していない短い時間があります。そのあいだに、燃え切らなかった灯油の成分が、わずかに外へ出ます。
これが、点火時と消火時に感じる臭いの正体です。数十秒で弱くなり、運転が安定すれば消えていきます。
この程度なら、故障ではありません。ただし、臭いが日ごとに強くなっていくときは別です。汚れがたまり始めているサインなので、あとの項目を読んでください。
なお、部屋の広さや気密性でも、感じ方は変わります。狭い部屋ほど、同じ量の臭いを強く感じます。
自分の鼻は、あてになりません
同じ臭いを嗅ぎ続けると、人はだんだん感じなくなります。これは嗅覚の慣れで、誰にでも起こります。
つまり、長く部屋にいる本人は、臭いに気づきにくいのです。外から帰ってきた家族や、訪ねてきた人のほうが、先に気づきます。
「部屋に入ったら灯油の臭いがした」と言われたら、聞き流さないでください。自分では感じなくても、換気して点検する合図です。
同居する家族には、帰宅して部屋に入った直後の印象を、遠慮なく教えてもらうようお願いしておくと安心です。
使い始めの焦げ臭さは、ホコリが焼けています
しまっていたファンヒーターを出して、最初に点火した日。焦げたような臭いがして、驚く人は多いと思います。
理由は単純で、夏のあいだに内部へたまったホコリや、付着した油分が、熱で焼けるからです。
この場合の臭いは、数回の運転で弱くなっていくのが普通です。次のように対処してください。
- 窓を開けて、換気しながら運転します。
- 最初の数回は、短めの時間で止めます。
- 臭いが2〜3日たっても弱まらないなら、ほかの原因を疑ってください。
シーズン前の手入れの手順は、石油ストーブ・ファンヒーターの手入れにまとめています。
運転中ずっと臭うときの原因
ここからが本題です。運転中に灯油の臭いが続くとき、疑う順番はこうです。
原因1 古い灯油を入れている
いちばん多い原因です。前のシーズンの灯油は、保管中に変質しています。変質した灯油は、燃やしたときに独特の強い臭いを出し、煙や汚れの原因にもなります。
見分け方は、灯油の色と臭いです。本来の灯油はほぼ無色で、うっすらとした臭いです。黄色く濃く色づいていたり、酸っぱいような臭いがしたりするなら、使わないでください。
詳しい見分け方と処分の方法は、去年の灯油は使える?に書きました。
原因2 本体やタンクの外側に、灯油が付いている
給油のとき、少量でもこぼしていませんか。タンクの外側や、本体の給油口まわりに付いた灯油は、運転で本体が温まると、においを出します。
- タンクを本体から外し、外側を乾いた布で拭きます。
- 床にこぼした場合は、水で流さず、布や新聞紙で吸い取ります。
- 拭いた布は、灯油がしみているので、扱いに注意してください。
こぼしたときの片付け方は、灯油をこぼした時の対処で説明しています。
原因3 タンクのキャップやパッキンから、にじんでいる
カートリッジタンクのキャップには、ゴムのパッキンが付いています。長く使うと、硬くなったり、ずれたりします。すると、閉めたつもりでも、少しずつ灯油がにじみます。
確認の方法は、難しくありません。
- タンクを本体から外し、キャップをしっかり閉めます。
- キャップ周辺を、乾いた紙でなぞります。
- 紙に灯油がついたら、にじんでいます。
パッキンが劣化している場合は、部品として売っていることがあります。型番を控えて、メーカーか販売店に問い合わせてください。
原因4 空気を吸う側が、目詰まりしている
ファンヒーターは、部屋の空気を取り込んで、灯油を燃やします。空気の吸い込み口やフィルターがホコリで詰まると、燃やすための空気が足りなくなります。
空気が足りないと、灯油が燃え切らずに、臭いが出やすくなります。これは、不完全燃焼に近づくということです。危険な方向に進んでいます。
フィルターの掃除は、取扱説明書の手順に従ってください。多くの機種では、ホコリを掃除機で吸うだけで済みます。水洗いしてよいかどうかは、機種によって違います。
原因5 燃焼部に汚れがたまっている
長く使っていると、燃焼部の内側に、すすや汚れがたまります。これも臭いの原因になります。
ただし、燃焼部は自分で分解しないでください。 分解した後の組み立てを間違えると、燃焼が不安定になります。汚れが疑われるときは、メーカーか販売店に相談するのが安全です。
ツンとした臭いは、燃料の間違いを疑います
灯油とは違う、ツンと刺激のある臭い。これは特に注意が必要です。
ファンヒーターに入れてよいのは、灯油だけです。ガソリンや、混合燃料を入れてはいけません。ガソリンは、灯油よりずっと低い温度で引火します。暖房器具に入れると、火災や爆発につながります。
間違いが起きる原因の多くは、容器の取り違えです。赤い携行缶と、灯油用のポリタンクを、同じ物置に置いている家庭は少なくありません。
もしガソリンを入れた可能性があるなら、次のようにしてください。
- 点火しません。すでに使っているなら、すぐに消します。
- 火の気のない、風通しのよい屋外で作業します。
- 自分で処理せず、購入した店や消防に相談します。
容器と燃料の関係は、灯油ポリ容器にガソリンは違法で整理しています。
焦げたゴムやプラスチックの臭いは、電気まわりです
灯油の臭いではなく、ゴムやプラスチックが焦げたような臭い。これは、モーターや配線、電源コードの異常かもしれません。
- すぐに運転を止めます。
- 電源プラグを、コンセントから抜きます。
- プラグやコードが熱くなっていないか、確認します。
- そのまま再び使わず、メーカーに連絡します。
延長コードを使っていた場合は、やめてください。暖房器具は電力を使います。コンセントに直接つなぐのが基本です。
すぐに使用をやめて、換気する目安
臭いのほかに、次のような状態が一つでもあれば、すぐに消してください。
- 目や喉が痛い。
- 頭が重い、眠気がある、吐き気がする。
- 炎が赤くて、長く揺れている。
- 黒い煙が出ている。
- 警報器が鳴っている。
消したら、窓を2か所以上開けて、空気を入れ替えます。体調が悪い人は、先に外へ出てください。
一酸化炭素は、無色で、においがありません。灯油の臭いがしないからといって、安全とは言えないのです。眠気は、その初期症状にもなります。詳しくは、一酸化炭素中毒は眠気から始まるを読んでください。
臭いを取るための、手順
原因を切り分けるときは、次の順番が無駄がありません。
- 運転を止めて、換気します。
- タンクの灯油を確認します。色と臭いがおかしければ、入れ替えます。
- タンクの外側と、給油口まわりを拭きます。
- キャップとパッキンを確認します。
- 空気の吸い込み口とフィルターを掃除します。
- 窓を開けて、短時間の試運転をします。
- それでも臭うなら、メーカーか販売店に相談します。
どこかで原因が見つかれば、そこで終わります。全部やって直らなければ、内部の問題です。無理に触らないでください。
エラー表示が出る場合は、別の切り分けが必要です。石油ファンヒーターのエラー表示を見てください。
やってはいけないこと
臭いを前にすると、手早い方法を探したくなります。避けてほしいことを挙げます。
- 芳香剤や消臭スプレーで、ごまかす。 原因が残ります。スプレーを本体にかけるのは、もってのほかです。
- 臭いを我慢して、使い続ける。
- 灯油が足りないからと、別の燃料を足す。
- 本体を分解する。
- 古い灯油を、少しだけ新しい灯油に混ぜて使う。
混ぜれば薄まる、という考え方は通用しません。変質した灯油は、少量でも燃え方に影響します。
芯式の石油ストーブは、少し事情が違います
この記事は、ファンヒーターを中心に書きました。芯で灯油を吸い上げる石油ストーブでは、原因の見方が少し変わります。
芯式の場合、芯の状態が臭いに直結します。芯が汚れて固まると、炎が乱れ、臭いや煙が出ます。対処は、空焼きか、芯の交換です。手順は、石油ストーブの芯の交換に書きました。
部屋に残った臭いを抜く方法
原因を取り除いても、部屋や布に臭いが残ることがあります。次のように進めてください。
- 対角線上にある窓を二つ開けて、空気の通り道を作ります。
- 換気扇を回して、空気の流れを助けます。
- カーテンやクッションなど、布製のものは風に当てます。
- 床にこぼした場合は、拭いた跡が乾くまで待ちます。
臭いが抜けるまでは、数時間から1日ほどかかることもあります。暖房が必要な季節でも、換気の時間は削らないでください。
来シーズンに臭わせないための、しまい方
臭いを防ぐ最大のコツは、シーズンの終わりの片付けです。
- タンクの灯油は、使い切るか、抜いておきます。
- 本体のフィルターを掃除してから、しまいます。
- 乾燥した場所に、箱か袋に入れて保管します。
- 残った灯油は、ポリタンクで持ち越さない前提で考えます。
灯油を抜くときは、ポンプの使い方も大切です。灯油ポンプの選び方と使い方を参考にしてください。
冬の準備全体は、冬支度とは?いつから何をするかの一覧にまとめています。
迷いやすい点にお答えします
Q. 新品なのに臭います。不良品ですか
新品は、内部の部品についた加工用の油や、製造時の汚れが焼けて臭うことがあります。数回の運転で弱まるのが普通です。換気しながら、使ってみてください。何日たっても変わらなければ、販売店に相談してください。
Q. 消臭剤を部屋に置いてもいいですか
部屋の空気の臭いを和らげる目的なら、置いても構いません。ただし、臭いの原因を解決するものではありません。原因の切り分けを先にしてください。
Q. 臭いが続いたとき、修理か買い替えか、どう決めますか
取扱説明書に、使用年数の目安が書かれていることがあります。長く使った機種で、灯油と手入れを見直しても臭うなら、修理の見積もりを取ってください。修理費が高く、使用年数も長いなら、買い替えを検討するのが現実的です。
Q. 臭いが部屋に残ってしまいました
窓を開けて空気を入れ替えるのが、基本です。カーテンやソファなど、布に付いた臭いは、時間をかけて抜けます。灯油をこぼしていないか、もう一度確認してください。布に染み込んだ場合は、洗えるものは洗い、洗えないものは風通しのよい場所で乾かします。
Q. 夜だけ臭いを感じます
夜は、窓を閉め切る時間が長く、換気が不足しがちです。1時間に1〜2回は窓を開けて、空気を入れ替える習慣をつけてください。つけたまま寝ないことも、大切です。就寝前と外出前には、必ず火が消えているかを自分の目で確かめてください。
最後に確認しておくこと
もう一度、整理します。
- 点火時と消火時の少しの臭いは、多くの機種で起こります。
- 運転中ずっと臭うなら、灯油、こぼれ、パッキン、フィルターの順に確認します。
- ツンとした臭いは、燃料の間違いを疑って、すぐに使用をやめます。
- 目や喉の痛み、頭の重さ、赤くて長い炎は、すぐ消す合図です。
- 燃焼部の分解は、自分でしません。
臭いは、器具が出している小さな警告です。芳香剤で隠さず、原因を一つずつ消していってください。
参考にした公的資料
- NITE(製品評価技術基盤機構)製品安全 製品事故の情報と注意喚起
- 消防法 危険物の貯蔵・取扱い、住宅用火災警報器などの規定
法令や制度は改正されます。実際の判断では、リンク先の最新の内容と、お住まいの自治体の情報をご確認ください。