排水口から下水のにおいが上がってくる。この原因のほとんどは、封水と呼ばれる水の栓が切れていることです。排水管は、途中が曲がった形になっていて、そこに水がたまります。この水がふたの役目をして、下水からの空気を止めています。水がなくなれば、においは素通りです。対処は簡単で、水を流すだけです。それで直らない場合は、別の原因があります。この記事では、順に切り分ける方法を書きます。
この記事でわかること
- においを止めている水の仕組み
- 水がなくなる四つの原因
- 場所別の確認手順
- 水を流しても直らない場合
水がにおいを止めている
洗面台の下を覗くと、管がS字やP字に曲がっているのが見えます。この形に意味があります。
曲がった部分には、常に水がたまっています。この水が、管の断面をふさいでいます。下水から上がってくる空気は、この水に阻まれて室内に入れません。
台所や風呂では、管が見えないことが多いのですが、排水口の内部に同じ仕組みが組み込まれています。わんのような部品をかぶせて、水をためる構造です。
つまり、においが上がってくるということは、この水がなくなっているか、通り道ができているということです。
水がなくなる四つの原因
原因によって、対処が変わります。
一つめが、長期間使っていない場合です。水は少しずつ蒸発します。何週間も使わない排水口では、たまった水が干上がります。旅行から帰ったとき、使っていない部屋、来客用の洗面所。こうした場所で起きます。
二つめが、勢いよく流したときに一緒に吸い出される場合です。大量の水が一気に流れると、その勢いで曲がった部分の水まで持っていかれます。
三つめが、他の場所で大量に流したときの影響です。上の階でトイレを流すと、その水が管を落ちていき、空気を引っ張ります。この力で、別の排水口の水が吸い出されることがあります。
四つめが、髪の毛などが管の曲がりに垂れ下がっている場合です。毛の束が水の中と外にまたがっていると、そこを伝って水が少しずつ流れ落ちます。時間をかけて水がなくなります。
まず水を流す
原因を調べる前に、これを試してください。
においのする排水口に、コップ一杯から二杯の水を流します。それで、においが止まるかを確認してください。
止まれば、原因は水の不足でした。長く使っていなかったか、吸い出されたかのどちらかです。
使っていない排水口があるなら、月に一度、水を流す習慣をつけてください。それだけで防げます。旅行の前に流しておくのも有効です。
蒸発を遅らせたいなら、水の上に食用油を少量たらす方法があります。油が膜を作って、蒸発を抑えます。長期間留守にする場合に使えます。
水を流しても直らないとき
別の原因を順に確認していきます。
まず、排水口そのものの汚れです。ぬめりや食べかすが付着していれば、そこからにおいが出ます。下水のにおいとは別のものですが、混同しやすいものです。分解して洗ってみてください。
次に、部品の付け忘れです。掃除の後に、わんのような部品を戻し忘れていませんか。これがないと、水がたまらず、においが直接上がります。
そして、洗濯機の排水口です。ここは見落とされやすい場所で、防臭の部品が付いていない場合や、外れている場合があります。ホースと排水口の隙間から、においが上がります。
隙間を埋める専用の部品が、数百円で売られています。ホースの太さに合うものを選んでください。
床下や壁から来る場合
排水口を対処しても直らないなら、配管そのものに問題があります。
配管の接続部が外れている、ひび割れている、といった状態では、床下や壁の中ににおいが漏れます。そこから室内に上がってきます。
この場合、においだけでなく、床の湿りや、壁のしみが出ることがあります。放置すると木部が腐り、修理が大掛かりになります。
自分で確認できる範囲は限られます。においの発生源をたどって、特定の場所に近づくほど強くなるようなら、そこに原因があると考えられます。
この段階では、業者に見てもらってください。床下に入って調べる必要があります。
換気の影響もある
意外な原因として、室内の空気の流れがあります。
今の住宅は気密性が高く、換気扇を回すと室内の気圧が下がります。窓を閉め切った状態で強い換気をすると、排水管から空気を引っ張ることになります。
この力が強いと、たまった水が吸い出されたり、隙間からにおいが引き込まれたりします。換気扇を回したときだけにおう、という場合はこれが原因です。
対処は、空気の入り口を確保することです。給気口を開ける、窓を少し開ける。それだけで改善することがあります。
給気口が閉じられたままの住宅は、意外と多いものです。壁にある丸い蓋のような部分を確認してください。
季節による変化
においが気になる時期には、傾向があります。
夏は、気温が高く水が早く蒸発します。加えて、細菌の活動が活発になり、においそのものが強くなります。この時期に相談が増えます。
梅雨時は、湿気でにおいがこもります。換気をよくすることで、かなり軽減します。
冬は、蒸発が遅いぶん水は残りますが、窓を閉め切るため室内にこもります。
季節にかかわらず、月に一度使っていない排水口に水を流す習慣が、最も効く対策です。
掃除の手順
においの原因が汚れなら、掃除で解決します。
- 排水口の蓋とかごを外す
- 内部のわんのような部品を外す
- それぞれを、歯ブラシと台所用の洗剤で洗う
- 排水口の内壁も、届く範囲でこする
- 洗った部品を、順番どおりに戻す
- 最後に水を流して、たまることを確認する
部品を戻すとき、向きを間違えないでください。水がたまらない向きに付けると、においが上がり続けます。外す前に写真を撮っておくと確実です。
ぬめりが取れにくい場合は、塩素系の薬剤を使うと落ちます。ただし、他の薬剤と混ぜないでください。
集合住宅で気をつけること
マンションやアパートでは、配管が他の部屋とつながっています。
上の階で大量に水を流したとき、その勢いで自室の排水口の水が吸い出されることがあります。自分の使い方に問題がなくても起きる現象です。
頻繁に起きるなら、配管の通気の設備に問題がある可能性があります。管理会社に伝えてください。同じ症状が他の部屋でも出ているかもしれません。
建物全体の配管清掃が、定期的に行われている場合もあります。実施の時期を確認しておくと、対処の計画が立てられます。
におうのが一か所か、全体か
原因を絞るために、範囲を確かめてください。
一つの排水口だけがにおうなら、そこの水が切れているか、汚れています。対処は簡単です。
家じゅうでにおうなら、配管や通気の設備に問題があります。あるいは、室内の気圧が下がって、複数の場所から引き込んでいます。
特定の時間だけにおうなら、その時間に何をしているかを考えてください。換気扇を回している、洗濯機を使っている、といった条件が見つかることがあります。
雨の日だけにおうという場合もあります。気圧の変化で、下水からの空気が押し上げられるためです。この場合、水が正しくたまっていれば防げます。
新築や引っ越し直後の場合
入居してすぐににおう場合、原因が違うことがあります。
空き家だった期間に、排水口の水が蒸発しています。まず、家じゅうの排水口に水を流してください。トイレ、風呂、洗面所、台所、洗濯機の排水口。使っていない場所も含めて、全部です。
それでも直らないなら、施工のときに部品が付いていない可能性があります。特に洗濯機の排水口では、防臭の部品が省略されていることがあります。
新築なら、施工した会社に連絡してください。保証の対象になります。賃貸なら管理会社です。
中古の住宅を買った場合は、自分で対処することになります。まず水を流し、それから排水口を分解して確認してください。
におい以外の症状も見る
においと一緒に出る症状から、原因の見当がつきます。
排水が遅い、ごぼごぼと音がする。この場合は、詰まりかけています。汚れがたまって、においも出ています。
床が湿っている、壁にしみがある。配管から漏れている可能性があります。この場合は、においより漏れのほうが問題です。
虫が出るようになった。排水口の周囲や、配管の隙間から入ってきています。においの経路と同じ道です。
これらの症状があるなら、水を流すだけでは解決しません。原因を探してください。
虫が上がってくる場合
においと同じ経路で、小さな虫が入ってくることがあります。
排水口の周りで見かける小さな羽虫は、配管の内部の汚れに卵を産みます。湿った有機物がある場所で繁殖します。
対処は、汚れを取ることです。排水口を分解して洗い、薬剤で内部のぬめりを落としてください。発生源がなくなれば、いなくなります。
殺虫剤を流しても、一時的にしか効きません。汚れが残っていれば、また出ます。
下水から上がってくる虫なら、においを止めている水の問題です。水がたまっていれば、通り道がありません。
放置しないほうがよい理由
においだけなら我慢できる、と後回しにされがちですが、いくつか理由があります。
下水の空気が室内に入っているということは、衛生の面で望ましくありません。細菌や、有害な気体が含まれる可能性があります。
同じ経路で、虫も入ってきます。においが気にならなくなっても、通り道は開いたままです。
そして、配管の不具合が原因なら、進行します。においの段階で気づけたのは、むしろ幸運です。水漏れになる前に対処してください。
確認の順番をまとめる
ここまでの内容を、手を動かす順番に並べます。
- においのする排水口に、コップ一杯の水を流す
- 止まらなければ、家じゅうの排水口にも流す
- それでも駄目なら、排水口を分解して洗う
- 部品が正しく付いているか、向きも含めて確認する
- 洗濯機の排水口の隙間を見る
- 換気扇を止めてみて、変化があるか確かめる
- ここまでで直らなければ、業者に相談する
上から順に試せば、費用のかからない方法から進められます。多くの場合、二番目までで解決するはずです。
市販の防臭の部品
構造的に水がたまりにくい場所には、部品で対処できます。
洗濯機の排水口に付ける部品は、数百円から千円台で手に入ります。ホースを差し込む部分に、においを止める仕組みが入っています。ホースの太さに合うものを選んでください。
台所の排水口に取り付ける製品もあります。水がたまる構造を追加するもので、古い設備で効果があります。
どちらも、取り付けは差し込むだけです。工具も資格も要りません。
ただし、部品を足す前に、まず既存の仕組みが正しく働いているかを確認してください。部品の付け忘れが原因なら、買う必要はありません。
よくある質問
消臭剤を置けば解決しますか
においを覆い隠すだけで、原因は残ります。下水のにおいが室内に入ってきている状態は、空気の通り道ができているということです。衛生の面でも、原因を断つほうが確実です。
使っていない部屋の排水口はどうしますか
月に一度、水を流してください。忘れそうなら、ラップで排水口をふさぐ方法もあります。ただし、ふさいだままだと使えないので、外すことを覚えておいてください。
洗濯機の排水口からにおいます
ホースと排水口の隙間が原因のことが多い場所です。隙間を埋める部品が数百円で売られています。あわせて、排水口の内部の部品が正しく付いているかも確認してください。
においが下水ではなく、かびのようです
排水口の汚れか、周囲のかびが原因です。この場合は、掃除で解決します。風呂なら、天井や壁、扉の下の部分にかびが出ていないか確認してください。
長期の旅行の前にできることは
出かける前に、各排水口へ水を流しておいてください。加えて、水の上に食用油を少量たらすと、蒸発が遅くなります。一か月程度の留守なら、これで防げます。
水を流しても数日でまたにおいます
水が保たない原因があります。髪の毛が垂れ下がって水を吸い出しているか、配管に隙間があります。排水口を分解して、内部を確認してください。それでも直らないなら、業者に相談する段階です。
まとめ
排水口のにおいは、多くの場合、においを止めている水がなくなったことが原因です。まずコップ一杯の水を流してください。それで止まれば解決です。使っていない排水口には、月に一度水を流す習慣をつけてください。直らない場合は、排水口の汚れ、部品の付け忘れ、洗濯機の隙間を順に確認します。それでも駄目なら、配管そのものの問題なので業者に相談してください。消臭剤で覆い隠すのは、解決になりません。
詰まりの対処は排水口のつまりの直し方、必要な工具は水まわりの修理に必要な工具、換気扇の手入れは換気扇・レンジフードの掃除と交換にまとめています。