紙やすりの袋に書かれた数字が、何を意味するか分からない。売り場で迷ったことがある人は多いはずです。この数字は、表面に付いた粒の細かさを表します。数字が小さいほど粒が粗く、大きいほど細かい。そして、粗いものから順に使い、少しずつ細かくしていく。これが基本の考え方です。飛ばすと、前の段階の傷が消えません。この記事では、用途ごとの番手と、順番の組み立て方を書きます。
この記事でわかること
- 番手の数字が示すもの
- 用途ごとに選ぶ目安
- 粗いものから順に使う理由
- 種類の違いと使い分け
番手という数字
紙やすりの表面には、砂のような粒が接着されています。
この粒の大きさをそろえるために、網でふるい分けます。網の目の細かさが、そのまま数字になっています。
だから、数字が大きいほど細かい粒です。四十番は目に見える粗さ、千番は指で触っても粒を感じないほど細かい。この幅があります。
売り場では、番手ごとに棚が分かれています。まず、自分に必要な範囲を知ることから始めてください。
粗い番手の役割
四十番から百番あたりが、粗い側です。
削る量が多いときに使います。古い塗装をはがす、表面の傷を消す、角を大きく落とす。こうした作業です。
速く削れる代わりに、深い傷が残ります。この傷を、後の工程で消していくことになります。
柔らかい木に粗い番手を使うと、削りすぎます。加減が難しいので、必要がなければ百二十番あたりから始めるほうが失敗しません。
中くらいの番手
百二十番から二百四十番が、いちばん出番の多い範囲です。
木材の表面を整える、塗装の前の下ごしらえをする。DIYで紙やすりを使う場面の大半が、ここに入ります。
ホームセンターで買った板は、すでにある程度削られています。だから、百五十番から始めて二百四十番で仕上げれば、十分に滑らかになります。
何を買えばよいか分からないなら、この範囲を三種類そろえてください。それで多くの作業に対応できます。
細かい番手
三百二十番から上が、仕上げの領域です。
塗料を塗った後、乾いてから軽くこする。表面のざらつきが取れ、次に塗る層がきれいに乗ります。
千番を超えるものは、水を使いながら磨く用途です。車の塗装や、金属の光沢を出す作業で使います。
木工では、四百番より細かくしても効果が分かりにくくなります。むしろ、表面が滑らかになりすぎて塗料が乗りにくくなることがあります。
順番を飛ばさない
ここが、この作業の肝心な点です。
八十番で削った面を、いきなり四百番で磨いても、深い傷は消えません。細かい粒では、傷の底まで届かないからです。
八十番の次は百二十番、その次は百八十番か二百四十番。おおむね、前の番手の一・五倍から二倍を目安に上げていきます。
段階を飛ばすと、時間がかかるうえに仕上がりも悪くなります。急がば回れという言葉が、そのまま当てはまります。
逆に、必要のない段階から始める必要もありません。元の面がきれいなら、中くらいから入れば十分です。
前の傷が消えたか確かめる
次の番手に移るとき、判断の方法があります。
削りかすを払い、斜めから光を当てて見てください。前の段階の傷が残っていれば、線として見えます。
鉛筆で面全体に薄く線を引いておく方法もあります。その線が全部消えたら、面全体を均等に削れた証拠です。
手で触っても分かります。ただし、目より手のほうが敏感なので、見た目で満足しても触ると引っかかることがあります。
削りかすが残ったまま次に進むと、その粒が紙に挟まって傷を付けます。毎回、払ってください。
木目に沿って動かす
木を削るときの原則です。
木目に逆らって動かすと、繊維を横切る傷が付きます。この傷は目立ちます。塗装をすると、さらにはっきり出ます。
木目と同じ方向に、まっすぐ動かしてください。円を描くのも、木には向きません。
金属や塗装面なら、方向は問いません。こちらは円を描いても問題ありません。
力は入れすぎないでください。押し付けても、早く削れるわけではありません。かえって粒がすぐに潰れます。
当て木を使う
手で直接持つと、平らに削れません。
指の形に紙が沿うので、指が当たった部分だけ深く削れます。面が波打ちます。
そこで、平らな木の板に紙を巻いて使います。端材で十分です。これだけで、仕上がりが変わります。
市販の持ち手もあります。紙を挟んで固定できる形式で、力が均等にかかります。
曲面を削るなら、逆に柔らかいものを当てます。スポンジに巻くと、形に沿います。
種類の違い
紙やすりにも、いくつかの形があります。
紙が土台のものが、最も安価です。乾いた状態で使います。水に濡らすと破れます。
布が土台のものは、丈夫で曲面にも巻きやすい。少し高いですが、長持ちします。
水を使える種類は、耐水と書かれています。濡らして使うと目詰まりしにくく、細かい仕上げに向きます。
スポンジ状のものもあります。角のある形に沿わせやすく、洗って繰り返し使えます。
粒の材質
表面の粒にも、種類があります。
茶色い粒のものは、木工向けの一般的な種類です。安価で、多くの売り場に置かれています。
黒い粒のものは、より硬い材質です。金属や、塗装面、樹脂に向きます。耐水のものの多くが、この種類です。
青や赤の粒は、より新しい材質で、削る力が長く続きます。価格は上がりますが、量をこなすなら結局は安く付きます。
用途に迷ったら、袋に書かれた対応する材料の表示を見てください。木工用、金属用と明記されています。
電動の道具と組み合わせる
面積が広いと、手では時間がかかります。
紙やすりを取り付けて振動させる機械があります。数千円から買えて、作業時間が大幅に縮みます。
専用の形に切られた紙を使う機種が多いので、本体に合うものを買ってください。裏面が面で留まる形式が主流です。
機械を使っても、番手の順番は同じです。粗いものから細かいものへ進めてください。
ただし、一か所に留めると削りすぎます。常に動かし続けてください。
粉の対策
削れば、必ず粉が出ます。
木の粉は、吸い込むと体に良くありません。マスクをしてください。特に機械を使うと、細かい粉が舞います。
古い塗装をはがす場合、注意が必要です。年代によっては、有害な成分が塗料に含まれていることがあります。削る前に、その建物や家具の年代を考えてください。
屋外でやるか、換気を確保してください。屋内なら、床に新聞紙を敷いておくと片づけが楽です。
作業のあと、塗装するなら粉を完全に取り除いてください。固く絞った布で拭くと、細かい粉まで取れます。
交換のめやす
紙やすりは消耗品です。いつ替えるかの判断も、作業の速さに直結します。
削れなくなったら、粒が潰れています。同じ力で削っても進まなくなったら、交換どきです。
目に詰まった粉が原因なら、払えば戻ることがあります。ブラシでこするか、叩いて落としてください。
もったいないからと使い続けると、時間を無駄にします。数十円の紙を惜しんで、何倍もの時間を使うことになります。
使い終わった紙を、番手ごとに分けて保管しておくと、次に少しだけ使いたいときに役立ちます。裏に番手を書いておいてください。表示が消えて分からなくなります。
作業別の番手の組み立て方
実際の場面ごとに、どの番手をどう並べるかを挙げておきます。これをそのまま真似れば、迷わずに進められます。
ホームセンターで買った板で棚を作る場合。切った断面と角だけを、百八十番で整えます。面はすでに削られているので、手を入れる必要はほとんどありません。塗装するなら、最後に二百四十番を全体に軽くかけます。
古い家具の塗装をはがして塗り直す場合。八十番で塗膜を落とし、百二十番、百八十番と上げていきます。三段階かかりますが、いきなり細かいものを使うと塗膜が落ちません。
金属のさびを落とす場合。百二十番から始め、さびが取れたら二百四十番で整えます。塗装まで行うなら、そこで止めて脱脂に移ります。
塗料を二度塗りする場合。一度目が乾いたあと、三百二十番か四百番で軽くこすります。削るのではなく、表面のざらつきを取るだけの感覚です。強くやると下地が出ます。
買い方の工夫
売り場には、いくつかの売られ方が並んでいます。
一枚ずつ売られているものは、必要な番手だけ買えます。使う番手が決まっているなら、これが無駄になりません。
複数の番手が入った組の製品もあります。何を使うか決まっていないなら、こちらから始めると外れがありません。ただし、使わない番手が残ります。
巻いた形で売られているものは、必要な長さだけ切って使えます。同じ番手を大量に使うなら割安です。
紙は、四つに折ってから切ると使いやすい大きさになります。はさみで切ると刃が傷むので、定規を当てて手で裂くか、古いはさみを使ってください。
やすりで直せるもの
削るという作業は、意外と幅広い場面で役に立ちます。
引き出しがきつくて入らないとき、当たっている部分を少し削れば動きます。どこが当たっているかは、動かしたときに光る部分で分かります。
棚板の縁がささくれて手に刺さるなら、百八十番で軽くこするだけで解決します。
金属の部品にできた小さなさびも、早いうちなら紙やすりで落とせます。落としたあと、油を薄く塗っておくと再発が遅れます。
樹脂の部品のバリを取るのにも使えます。ただし、熱に弱いので、こすりすぎると溶けて変形します。
こうした小さな用途のために、中くらいの番手を一枚、道具箱に入れておくと重宝します。
やすりという道具の全体像
紙やすりのほかにも、削る道具はあります。場面によっては、そちらのほうが早く終わります。
金属の棒に刃が刻まれた工具は、硬い材料を削るのに向きます。平らなもの、丸いもの、三角のものがあり、形に合わせて選びます。紙やすりでは時間のかかる金属の角落としが、数分で済みます。
木を大きく削るなら、刃物で削る道具のほうが速い場面もあります。ただし、こちらは扱いに慣れが要ります。
紙やすりの強みは、安いこと、どんな形にも沿うこと、そして番手で仕上がりを細かく選べることです。この三つが要る場面では、ほかに代わるものがありません。
だから、削る量が多いところは別の道具で落とし、仕上げを紙やすりで整える。この組み合わせが、時間も仕上がりも両立します。
削りすぎたときの対処
削るという作業は、戻せません。ここが、この作業のいちばん難しいところです。
木材を削りすぎて寸法が足りなくなった場合、埋める材料で補う方法があります。木の粉と接着剤を混ぜて練り、へこみに詰める。乾いてから削ると、周囲になじみます。
市販の補修材もあります。色の種類があるので、材料に近いものを選んでください。
ただし、これは見た目を戻す方法です。強度が必要な部分では、作り直したほうが確実です。
だから、削る前に一度立ち止まってください。どこまで削るか決めてから始める。この習慣が、やり直しを防ぎます。
よくある質問
何番を買えばよいか分かりません
最初は百二十番、百八十番、二百四十番の三種類で十分です。木材の表面を整え、塗装の前に使う範囲がこれで足ります。塗り重ねをするなら、四百番を足してください。
削ったのに塗料がきれいに乗りません
粉が残っている可能性があります。塗る前に、必ず拭き取ってください。また、細かくしすぎると塗料が食い付きにくくなります。木工なら二百四十番程度で止めるのが無難です。
角が丸くなってしまいます
当て木を使っていない場合に起きます。角の近くでは、紙が縁からはみ出さないよう気をつけてください。逆に、角をわざと少し落とすと、手触りが良くなり塗料も乗りやすくなります。
水を使うのはどんなときですか
目詰まりを防ぎ、より滑らかに仕上げたいときです。塗装面や金属の仕上げで使います。木材に水を使うと、繊維が起き上がってざらつくので向きません。
まとめ
番手の数字は、粒の細かさです。小さいほど粗く、大きいほど細かい。そして、粗いものから順に、前の傷が消えたことを確かめながら細かくしていく。ここを飛ばすと、いくら磨いても傷が残ります。木を削るなら木目に沿って動かし、平らな面には当て木を使ってください。最初に買うなら、百二十番、百八十番、二百四十番の三つ。これで、DIYで必要になる作業の大半に対応できます。
木工の道具はDIY木工の最初の道具、切断は丸ノコの使い方、壁の補修は壁の穴を自分で直すにまとめています。