作業のたびに、道具を探している。買ったはずのものが見つからず、同じものをまた買った。こうなっているなら、収納の仕方に問題があります。そして、探す時間は作業そのものより長くなることがあります。道具は、使うために持っているのであって、持つために持っているのではありません。この記事では、置き方の考え方と、湿気やさびから守る方法を書きます。
この記事でわかること
- 使う頻度で場所を分ける
- 箱と壁掛けの使い分け
- さびと湿気への対策
- 小さな部品の管理
頻度で置き場所を分ける
すべての道具を、同じように扱う必要はありません。使う頻度で三つに分けると、収納の設計が決まります。
毎月のように使うものは、すぐ手が届く場所に置きます。ドライバー、ペンチ、巻尺、カッター。これらは、探さずに取り出せる状態にしておいてください。
年に数回しか使わないものは、箱にまとめて棚へ。電動工具や、特定の作業にしか使わないものが、ここに入ります。
そして、何年も使っていないもの。これは、本当に要るのかを考える対象です。持っていることを忘れていた道具は、次も使いません。
見えることの価値
収納の方法を決めるとき、最も重要なのが、中身が見えるかどうかです。
箱の中に重ねて入れると、下のものが見えません。探すたびに、上のものを出すことになります。これが、時間を奪います。
壁に掛ける方法なら、すべてが一目で見えます。どこにあるか探す必要がなく、戻す場所も決まっています。何がなくなっているかも、すぐ分かります。
作業する場所が決まっているなら、壁掛けが最も効率的です。有孔の板を壁に取り付け、フックで掛けるだけで作れます。
道具の形を板に書いておくと、戻す場所が迷いません。輪郭をなぞるだけで、片づけが速くなります。
持ち運ぶための箱
作業する場所が毎回変わるなら、話が違ってきます。
家の中を移動する、屋外で作業する、車に積む。こうした使い方なら、まとめて運べる箱が要ります。
ただし、大きい箱を一つ持つより、中くらいの箱を二つに分けるほうが実用的です。重くなりすぎず、作業ごとに必要な箱だけ持てます。
上段が開いて、下に深い空間がある形式が使いやすい。よく使う小物を上に、大きなものを下に入れられます。
布製の袋も、選択肢です。軽く、外側にポケットが並んでいるので、道具が見える状態で運べます。
組み合わせるのが現実的
壁掛けと箱、どちらか一つに決める必要はありません。
作業場所の壁に掛けておくものと、持ち出す箱に入れるもの。この二つに分けるのが、実際には使いやすい形です。
ただし、同じ道具を行き来させると、どちらにあるか分からなくなります。この工具は箱、この工具は壁、と決めてください。
よく使う安価な道具は、二つ持つという方法もあります。ドライバーや巻尺なら、箱用と壁用で分けても負担になりません。
さびから守る
金属でできた道具にとって、湿気が最大の敵です。
物置や、屋外に近い場所は、条件が悪い。温度差で結露し、それが繰り返されます。可能なら、室内に置いてください。
箱の中に、乾燥させる剤を入れておくと効果があります。菓子や食品に入っているものでも、代用できます。
そして、使った後に拭いてから戻してください。手の汗が、さびの出発点になります。特に、握った部分に指の跡が残ることがあります。
刃物や、精度の必要な道具には、薄く油を塗っておくと確実です。次に使うときに、拭き取ってから使ってください。
床に直接置かない
物置や車庫で保管する場合の、置き方の話です。
コンクリートの床は、下から湿気を上げてきます。箱を直接置くと、底から水分が入ります。
すのこや、台を一つ挟むだけで、この影響が減ります。空気が通るだけで、条件が変わります。
棚を使うなら、最下段には軽いものか、湿気に強いものを置いてください。金属の道具を、いちばん下に置かないことです。
そして、時々扉を開けて風を通してください。閉め切った物置は、湿気がこもります。
小さな部品をどうするか
ねじ、釘、ワッシャー。こうした小さな部品が、最も散らかります。
仕切りのある浅い箱が、これには向きます。透明なふたの製品なら、開けずに中身が見えます。
小さな引き出しが並んだ収納も、部品の管理には便利です。ただし、引き出しの外に何が入っているかを書いておかないと、結局は全部開けることになります。
分け方は、種類ごとより、太さと長さごとにしてください。実際に探すときは、頭の形ではなく寸法で探すからです。
そして、作業で余ったねじを、袋のまま放り込まないでください。次に探すとき、袋を一つずつ開けることになります。
電動工具の置き方
電動工具は、大きくて場所を取る道具です。
買ったときの箱に入れておくと、付属品も一緒に保管できます。刃や、専用の工具がばらばらにならずに済みます。
ただし、箱はそれ自体が場所を取ります。使う頻度が高いなら、出しておくほうが実用的です。
電池は、本体から外して保管してください。差したままだと、わずかに電力を消費する機種があります。そして、電池は高温を嫌うので、置き場所も選んでください。
電源につなぐ機種は、コードを本体にきつく巻き付けないでください。根元に無理がかかり、断線の原因になります。
刃物と危険なもの
ここは、安全に関わる保管の話です。
ノコギリ、カッター、彫刻の刃物。これらは、カバーを付けて保管してください。箱の中で他の道具とぶつかると、刃が欠けます。手を入れたときに切る危険もあります。
子どもが触れる場所に置かないでください。鍵のかかる場所が理想ですが、少なくとも高い位置に置いてください。
塗料、接着剤、洗浄の剤。こうした化学的なものは、道具とは別にまとめてください。こぼれたときの被害が違います。火の気のない、涼しい場所を選んでください。
そして、油の染みた布は、丸めて置かないでください。酸化するときに熱を出し、条件が重なると自然に発火します。
戻す仕組みを作る
散らかる原因は、じつは収納が足りないことではありません。
戻す場所が決まっていない、あるいは戻すのが面倒だから、その辺に置かれます。そして、次の作業でまた探すことになります。
だから、戻す動作を簡単にしてください。ふたを開けて、仕切りを探して、という手順があると、続きません。掛けるだけ、放り込むだけ、という形が理想です。
作業が終わったら、その場で戻す。後でまとめて片づけようとすると、必ず残ります。
そして、作業中は一つの場所に集めてください。使った道具を、その場に置き散らかさない。トレーを一枚用意するだけで、紛失が減ります。
増えすぎたとき
道具が増えてきたら、年に一度、見直す機会を作ってください。
この一年で一度も使わなかったもの。同じ働きのものを重複して持っているもの。壊れたまま直していないもの。これらを分けてください。
使わないものを持っていると、使うものを探しにくくなります。量が増えるほど、一つあたりの見つけやすさが下がります。
状態の良い工具なら、売る、譲るという選択もあります。使われないまま物置で朽ちるより、誰かが使ったほうが道具のためです。
捨てる場合、金属と樹脂が混ざっているので、自治体の分別を確認してください。電池を含む道具は、別の扱いになります。
借りるという選択
そもそも、その道具を持たないという判断もあります。
ホームセンターの多くが、電動工具を貸し出しています。一日数百円から千円台で借りられます。
年に一度しか使わない道具なら、買うより借りるほうが安く、置き場所も要りません。保管中に劣化することもありません。
試しに使ってみて、必要だと感じたら買う。この順番なら、買って後悔することがありません。
収納の問題の半分は、持ちすぎから来ています。増やす前に、本当に要るかを考えてください。
作業する場所を決める
収納を考える前に、どこで作業するかを決めてください。ここが決まらないと、道具を置くべき場所も決まりません。
車庫の一角、物置の前、庭の隅。広い空間は要りません。一畳ほどの面積と、材料を置ける台があれば、たいていの作業はできます。
その場所に、明かりと電源があるかも確認してください。暗い場所での作業は、精度が落ち、危険も増します。手元を照らす照明を一つ足すだけで、作業の質が変わります。
そして、道具をその場所の近くに置いてください。取りに行く距離が長いほど、作業を始めるまでの腰が重くなります。思い立ったときにすぐ始められる状態が、続けるための条件です。
使う道具をまとめる
収納の分け方には、もう一つの考え方があります。作業の種類ごとにまとめる方法です。
たとえば、自転車の整備に使う道具を一式まとめておく。車の手入れに使うものを、別の箱にまとめる。こうしておけば、その作業をするときに箱ごと持ち出せます。
この方法の利点は、必要なものを探す手間がないことです。欠点は、複数の箱に同じ道具が必要になることです。安いものなら重複させてもよいのですが、高価な道具では現実的ではありません。
だから、共通して使う基本の道具は一か所にまとめ、その作業にしか使わないものだけを分ける。この折衷が、無駄になりません。
季節のものも、同じ考え方でまとめられます。冬に使うもの、夏に使うもの。使わない時期は、奥にしまっておけます。
説明書と保証書
道具そのものではありませんが、一緒に管理したい書類があります。
電動工具の説明書には、部品の交換の手順や、使ってはいけない条件が書かれています。困ったときに見る資料なので、捨てないでください。
ただし、紙のまま取っておくと、必要なときに見つかりません。一つの箱かファイルにまとめてください。写真に撮って、携帯電話に入れておく方法もあります。
保証書は、買った日付が書かれているかを確認してください。空欄のままだと、保証を受けられないことがあります。領収書も一緒に保管しておいてください。
そして、本体の型番を控えておくと、部品を注文するときに役立ちます。本体に貼られたシールは、使ううちにかすれて読めなくなります。
家族にも分かる状態に
自分だけが分かる収納は、じつは不便です。
家族の誰かが、ちょっとしたねじを締めたい。電球を替えたい。そのときに道具の場所が分からなければ、結局あなたが呼ばれることになります。
だから、よく使う基本の道具だけでも、誰でも分かる場所に置いてください。台所の引き出しに、ドライバーとペンチを入れておくだけでも違います。
そして、そこから持ち出したら戻すというルールを共有してください。道具が行方不明になる原因の多くは、誰かが別の場所で使ったまま置いたことです。
危険なものだけは、逆に分かりにくい場所に置く。この使い分けを、家族で決めておいてください。
よくある質問
賃貸で壁に穴を開けられません
床と天井で突っ張る柱を立て、そこに板を取り付ける方法があります。壁を傷めずに、掛ける面を作れます。細いピンで留める金具も、軽い道具なら使えます。
物置しか置き場所がありません
密閉できる箱に入れ、乾燥剤を足してください。そして、床から浮かせてください。精密なものや刃物だけでも室内に移すと、傷み方が変わります。
さびてしまった工具は使えますか
表面だけなら、紙やすりや専用の剤で落とせます。落とした後は油を塗ってください。動く部分が固まっている場合も、浸透する潤滑剤で戻ることがあります。深く進んでいれば、買い替えです。
どこから手を付ければよいですか
全部を出して並べるところからです。何を持っているかが分かれば、必要な収納の量も見えます。一度に完成させようとせず、よく使うものの定位置を決めるだけでも、探す時間は減ります。
まとめ
道具の収納は、見えることと、戻しやすいことで決まります。作業する場所が決まっているなら、壁に掛けるのが最も効率的です。持ち出すなら、大きな箱を一つより、中くらいの箱を二つに分けてください。そして、金属の道具は湿気に弱い。床に直接置かず、使った後は拭いてから戻してください。年に一度、使わなかったものを見直す。持ちすぎが、探しにくさの原因になっています。
最初にそろえる道具は最初に買う工具セット、電池の管理は電動工具のバッテリーを長持ちさせる、物置の設置は物置を自分で設置するをご覧ください。