電動工具の本体より、電池のほうが高いことがあります。そして、使い方や保管の仕方で、寿命は倍近く変わります。満充電のまま何か月も置いておく、使い切ってから放置する、真夏の車に積んだままにする。どれも、電池を確実に縮める行為です。この記事では、リチウムを使った電池の扱い方、劣化の見分け方、そして買うときの選び方を書きます。
この記事でわかること
- 電池を縮める四つの条件
- 保管するときの充電量
- 劣化のしかたと寿命
- 電圧と容量の読み方
電池が本体より高い
売り場を見ると、電池だけの価格に驚くはずです。容量の大きいものなら、一個で一万円を超えることもあります。本体と電池と充電器が組になった製品と、本体だけの製品で価格が倍違うのは、このためです。
だから、同じメーカーで工具をそろえるという考え方に意味があります。電池を共用できれば、二台目からは本体だけを買えばよくなります。ドリル、丸ノコ、草刈りの機械、掃除機。同じ電池で動く製品が、各社から出ています。
逆に、ばらばらのメーカーで買うと、電池と充電器が種類ごとに必要になります。置き場所も費用も増えます。最初の一台を選ぶときに、この先どこまで広げるかを考えておく価値があります。
そして、電池は消耗品です。本体が壊れなくても、数年で買い替えることになります。この費用も含めて、道具の値段だと考えてください。
劣化を進める四つの条件
この種類の電池が嫌うものは、はっきりしています。一つめが、高い温度です。熱は化学的な変化を早めるので、暑い場所に置くだけで劣化が進みます。真夏の車内は、この電池にとって最悪の環境です。
二つめが、満充電のまま放置することです。電圧が高い状態が続くと、内部に負担がかかり続けます。使う直前に充電するのが理想で、充電したまま棚に何か月も置くのは避けてください。
三つめが、空のまま放置することです。残量がほとんどない状態で長く置くと、電圧が下がりすぎて充電を受け付けなくなります。こうなると、修復はできません。
四つめが、大きな電流を流し続けることです。負荷の重い作業を連続で行うと、電池自体が熱を持ちます。熱くなったら、少し休ませる。これだけで寿命が変わります。
保管するときの残量
長く使わないときの扱いが、最も影響します。満充電でも空でもなく、半分程度の残量で保管してください。多くの電池には、残量を示す表示が付いているので、それを見て調整します。
季節ものの工具、たとえば草刈りの機械や除雪の機械は、使わない期間が半年に及びます。しまう前に、この調整をしてください。満充電のまましまい込むと、次のシーズンには容量が目に見えて減っています。
そして、保管の場所です。直射日光の当たらない、涼しく乾いた場所を選んでください。物置の中は夏に高温になるので、室内のほうが条件は良くなります。
半年以上使わないなら、途中で一度状態を確認してください。自然に少しずつ減るので、空に近づいていることがあります。その場合は、半分程度まで充電し直してください。
使っている間の扱い
作業中にも、気をつける点があります。まず、力が落ちてきたと感じたら、無理に使い続けないでください。電池が空に近づくと、電圧が下がり、モーターに負担がかかります。工具の側も傷めます。
そして、使い終わった直後に充電器へ差さないでください。熱を持った状態で充電すると、劣化が進みます。多くの充電器は温度を見て待つ仕組みになっていますが、自分でも十分ほど置いてから差す習慣をつけてください。
完全に使い切ってから充電する必要は、この種類の電池にはありません。昔の電池には、そうした性質を持つものがありましたが、今のものは違います。途中で継ぎ足して充電してかまいません。
電池を二個持っていると、作業が止まりません。片方を使い、もう片方を充電する。ただし、常に片方が充電器に差しっぱなしという状態は避けてください。
寿命の見分け方
電池の寿命は、充電した回数で数えます。おおむね、五百回から千回が目安とされています。毎週使っても、数年は持つ計算です。
ただし、実際には年数でも進みます。買ったまま使わずに置いた電池も、確実に劣化します。だから、予備を買いだめするのはすすめられません。必要になったときに買うほうが、良い状態のものを使えます。
寿命が近づいた電池は、使える時間が短くなります。以前と同じ作業で、途中で止まるようになったら、その合図です。充電してもすぐ減る、という症状も同じです。
そして、充電しても満タンの表示にならない、充電器がエラーを示す。ここまで来たら、交換の時期です。
膨らんだ電池は使わない
これは、安全に関わる話です。電池の外装が膨らんでいる、変形している、隙間ができている。こうした状態は、内部でガスが発生している証拠です。
この状態の電池は、発火する危険があります。使うことも、充電することもやめてください。工具に差し込むのも避けてください。
落として強い衝撃を与えた電池も、同じ扱いです。外見に異常がなくても、内部で短絡が起きている可能性があります。高い場所から落とした、車に轢いた、といった場合は使わないでください。
そして、異常な発熱、異臭、変色。どれか一つでもあれば、その電池は寿命です。火の気のない、燃えるものがない場所に置いて、処分の手続きを取ってください。
捨て方
この電池は、家庭ごみとして捨てられません。ごみ収集車やごみ処理の施設で、押し潰されて発火する事故が多発しています。実際に、施設が焼ける被害も出ています。
正しくは、回収に協力している店の箱に入れるか、自治体の案内に従います。ホームセンターや家電の量販店に、回収の箱が置かれていることが多い。
出すときは、端子の部分にテープを貼ってください。他の金属に触れて短絡すると、そこから発火します。
膨らんでいるものや、破損しているものは、回収を断られることがあります。その場合は、購入した店やメーカーに相談してください。
電圧という数字
買うときに見る数字の一つめです。十四・四ボルト、十八ボルト、三十六ボルトといった表示があり、これは工具の力に直結します。
電圧が高いほど、大きな力が出せます。硬い材料に穴を開ける、太いねじを締める、厚い木を切る。こうした作業には、高い電圧が向きます。
ただし、その分だけ重く、高くなります。家具の組み立てや、棚の取り付けが中心なら、十四・四ボルト前後で十分です。軽いほうが、長時間の作業では楽になります。
そして、電圧が違う電池は、同じメーカーでも互換性がありません。買い足すときは、必ず自分の工具に合う電圧のものを選んでください。
容量という数字
もう一つの数字が、どれだけ長く使えるかを示すものです。アンペアアワーという単位で表され、数字が大きいほど長く動きます。
同じ電圧なら、容量が倍になれば、使える時間もおおむね倍になります。その代わり、重くなり、充電にも時間がかかります。
短時間の作業が中心なら、小さい容量で足ります。軽いので、扱いやすいという利点もあります。一方、屋外で長く作業するなら、大きい容量か、予備を持つかの選択になります。
容量の大きい電池と小さい電池を、一個ずつ持つという方法もあります。作業の内容で使い分けられます。
互換品をどう考えるか
通販では、メーカー純正でない電池が、半額以下で売られています。形が同じで、差し込めば動きます。
ただし、内部の安全装置の作りは分かりません。過充電や過放電を防ぐ仕組み、温度を見て止める仕組み。ここが確実に働くかどうかが、価格の差になっています。
そして、こうした電池による発火の事例が報告されています。充電中に、目の届かない場所で起きると、被害が大きくなります。
加えて、純正でない電池を使ったことで、工具本体の保証が受けられなくなる場合があります。安く買ったつもりが、本体ごと失うことにもなりかねません。私は、ここは純正を選ぶことをおすすめします。
充電する場所
充電中は、目の届く場所で行ってください。万一のときに、気づけるかどうかが変わります。
周囲に燃えるものを置かないでください。新聞紙、布、木くず。充電器の上に物を載せるのも避けてください。熱がこもります。
就寝中や外出中の充電は、すすめられません。多くの充電器は満充電で止まりますが、異常が起きたときに対応できません。
そして、充電器も消耗します。線が傷んでいる、端子が変色している、異常に熱くなる。こうした状態なら、使わずに交換してください。
寒い場所での使用
冬に、力が出ないと感じることがあります。低い温度では、電池の性能が一時的に落ちます。これは劣化ではなく、温まれば戻ります。
屋外で作業する前に、電池を室内で温めておくと、この差を減らせます。ただし、暖房器具に近づけて急に温めるのは避けてください。
そして、冷えた電池を、そのまま充電しないでください。多くの充電器は、温度が低すぎると充電を始めません。これは保護のための働きなので、故障ではありません。
雪の中で使う場合、水分にも注意が必要です。端子に水が入ると、短絡します。使わないときは、工具から外して屋内に入れてください。
電池で動く工具を選ぶ理由
そもそも、電源につなぐ工具と、電池で動く工具のどちらを選ぶかという問題があります。電池には管理の手間があるので、そこを踏まえて考えてください。
電池で動く工具の利点は、どこでも使えることです。庭、駐車場、屋根の上。コードを引き回す必要がなく、コードを切ってしまう事故もありません。この自由さは、一度味わうと戻れません。
一方、電源につなぐ工具は、力が安定し、時間の制限がありません。そして、電池の管理が要りません。作業する場所が決まっているなら、こちらのほうが手間はかかりません。
年に数回しか使わないなら、電池の劣化が問題になります。使わない間にも進むためです。この場合、電源につなぐ機種のほうが、結果的に長く使えることがあります。
持ち運びと現場での扱い
外へ持ち出すときにも、注意する点があります。工具に差したまま道具箱に入れると、何かの拍子にスイッチが入ることがあります。移動のときは、必ず外してください。
外した電池は、端子が金属に触れないようにしてください。道具箱の中で、ねじや工具と一緒に転がっていると、短絡する可能性があります。端子を覆うカバーが付属していれば、それを使ってください。
車で運ぶ場合、そのまま積みっぱなしにしないでください。夏の車内は五十度を超えます。作業が終わったら、家の中へ持ち込む。この一手間で、寿命が変わります。
そして、落とさないようにしてください。硬い地面に落とすと、外装は無事でも内部が傷みます。作業中は、置く場所を決めておくと転落を防げます。
よくある質問
何年で買い替えますか
使う頻度によりますが、三年から五年が一つの目安です。年数より、使える時間が短くなったかどうかで判断してください。同じ作業で途中で止まるようになったら、その時期です。
古い工具の電池がもう売っていません
メーカーの部品の保有期間を過ぎると、こうなります。互換品を探すという方法もありますが、安全の面で不安が残ります。本体ごと買い替える判断も、現実的な選択です。
飛行機で運べますか
この種類の電池には、持ち込みの制限があります。容量によって扱いが変わり、預ける荷物には入れられません。航空会社の案内を必ず確認してください。宅配で送る場合も、内容を申告する必要があります。
使わない工具の電池はどうしますか
半分程度まで充電してから、工具から外して保管してください。差したままだと、わずかに電力を消費し続ける機種があります。そして、半年に一度は残量を確認してください。
まとめ
電動工具の電池を長持ちさせるには、高温を避けること、そして満充電でも空でもない状態で保管することです。特に、季節ものの工具をしまうときは、残量を半分程度にしてください。使い終わった直後の充電も、熱があるうちは避けます。膨らんでいる電池は、使わず充電もせず、処分してください。そして、家庭ごみには絶対に出さないでください。回収の箱に、端子をテープでふさいで出します。
捨て方の詳細はリチウム電池の捨て方、工具の選び方はインパクトドライバーとドリルドライバーの違い、最初の一式は最初に買う工具セットをご覧ください。