冬にドライヤーと電気ストーブを同時に使ったら、部屋が真っ暗になった。この経験がある人は多いはずです。原因は、その回路に流せる電流を超えたことです。そして、対処は復帰させるだけではありません。なぜ超えたのかを知り、同じことを繰り返さない使い方に変える必要があります。無理を続ければ、コンセントや配線が発熱します。この記事では、電気の容量という考え方と、家庭での配分の仕方を書きます。
この記事でわかること
- ブレーカーが落ちる三つの型
- 契約と回路という二段の容量
- 家電ごとの消費電力の目安
- 落ちないようにする使い方
落ち方には三つの型がある
電気が止まったら、まず分電盤を見てください。どのスイッチが下がっているかで、原因がほぼ決まります。ここを確認せずに全部上げ直すと、同じことを繰り返します。
いちばん左の大きなスイッチが下がっているなら、家全体で使いすぎです。契約している容量を超えました。家中の電気が止まります。
右側に並んだ小さなスイッチのどれかが下がっているなら、その回路だけの使いすぎです。特定の部屋だけが止まります。
そして、大きなスイッチの隣にあるものが下がっているなら、漏電です。これは使いすぎとは別の問題で、自分で復帰させて済む話ではありません。
どれが落ちたかで、その後の対応がまったく変わります。まず見ることから始めてください。
契約している容量
電力会社との契約によって、家全体に流せる電流の上限が決まっています。これが一段目の容量です。
三十アンペア、四十アンペア、五十アンペアといった数字で、分電盤の大きなスイッチに書かれています。地域や契約の種類によっては、この方式でない場合もあります。
この数字に百ボルトを掛けると、同時に使える電力の目安が出ます。三十アンペアなら、おおよそ三千ワットです。
家族が増えた、家電が増えた、在宅の時間が長くなった。こうした変化で足りなくなることがあります。契約の変更は電力会社に申し込めば可能で、工事が必要な場合もあります。ただし、基本料金が上がります。
回路ごとの容量
家全体の容量に余裕があっても、落ちることがあります。これが二段目の容量です。
家の中の配線は、いくつかの回路に分かれています。部屋ごと、あるいはいくつかの部屋をまとめて一つの回路にする形です。分電盤の小さなスイッチが、その数だけ並んでいます。
一つの回路に流せるのは、多くの場合二十アンペアです。つまり、おおよそ二千ワット。ここを超えると、その回路だけが落ちます。
問題は、どのコンセントがどの回路かが、見た目では分からないことです。隣の部屋のコンセントが同じ回路ということもあります。
調べるには、スイッチを一つずつ切って、どこの電気が消えるかを確認します。手間はかかりますが、一度やれば図にして残せます。
消費電力の目安
家電に書かれた数字をおおまかに知っておくと、同時に使ってよいかどうかの判断ができます。
大きいのは、熱を作る機器です。電子レンジ、ドライヤー、電気ケトル、電気ストーブ、アイロン。これらは千ワットから千五百ワット近くを使います。二つ同時に使えば、一つの回路の容量に届きます。
炊飯器や食器洗い機も、加熱する間は大きな電力を使います。洗濯乾燥機の乾燥も同様です。
一方、照明、テレビ、パソコン、冷蔵庫は、それほど大きくありません。数十ワットから数百ワットです。これらを何台使っても、落ちる原因にはなりにくい。
つまり、注意すべきは熱を作る機器だけです。ここを意識するだけで、判断がかなり簡単になります。
どこに書いてあるか
自分の家にある機器の数字を、実際に確かめる方法です。
本体の裏か底に、銘板と呼ばれる表示があります。ここに、消費電力がワットで書かれています。
電流で書かれている場合は、百ボルトを掛ければワットになります。十アンペアなら千ワットです。
暖房や調理の機器では、強と弱で数字が違います。強で使えば、当然その分だけ多く使います。弱にすれば落ちない、という場面は実際にあります。
消費電力を測る器具も、数千円で売られています。コンセントとの間に挟むだけで、実際に使っている量が分かります。
落ちたときの復帰
使いすぎで落ちた場合の、復帰の手順です。順番があります。
まず、使っていた家電の電源を切り、コンセントから抜いてください。この状態でスイッチを戻します。
抜かずに戻すと、また同じ電流が流れてすぐ落ちます。この繰り返しは、スイッチ自体を傷めます。
小さなスイッチが落ちているなら、それを上げます。大きなスイッチが落ちているなら、右側の小さなスイッチを全部下げてから、大きなものを上げ、そのあと小さなものを一つずつ上げていきます。
上げた瞬間にまた落ちる場合は、機器の故障か配線の異常です。自分で繰り返さず、電気工事店に相談してください。
漏電のスイッチが落ちたとき
これは、使いすぎとはまったく性質の違う問題です。
どこかで電気が本来の経路から漏れています。人が触れれば感電し、状況によっては火が出ます。
原因を探す方法はあります。小さなスイッチを全部下げ、漏電のスイッチを上げてから、小さなものを一つずつ上げていく。落ちた時点のスイッチが、漏電している回路です。
ただし、そこまでです。その先、どの機器や配線が原因かを調べ、直すのは資格のある人の仕事です。電気工事店か電力会社に連絡してください。
雨や雪の後に落ちる場合、屋外のコンセントや、雨漏りで濡れた配線が原因のことがあります。この情報も伝えてください。
同時に使わない工夫
ここからは、落とさないための日々の運用の話です。
熱を作る機器を、二つ同時に使わない。これが基本です。電子レンジを使っている間は電気ケトルを待つ、ドライヤーを使う前に暖房を弱める。
朝の時間帯が、いちばん重なりやすい。トースター、ケトル、ドライヤー、暖房が同じ時間に動きます。家族の使う順番を決めておくと、避けられます。
回路を分ける方法もあります。同じ部屋のコンセントは同じ回路のことが多いので、別の部屋から延長して使えば分散します。ただし、延長コード自体にも容量があるので、次の点に注意してください。
延長コードの容量
ここを見落とすと、ブレーカーが働かないまま危険が進みます。
延長コードや電源タップには、使える上限が書かれています。多くは千五百ワットです。この数字は、そこに差した機器の合計です。
ブレーカーは、回路全体を見ています。延長コード一本の過負荷は、検知できません。つまり、ブレーカーが落ちないまま、コードだけが発熱することがあります。
これが、コードの発熱による火災の原因です。暖房器具を電源タップに差して、他の機器と一緒に使う。この形が最も危険です。
消費電力の大きい機器は、壁のコンセントに直接差してください。延長コードを介さない。これを守るだけで、危険はかなり減ります。
巻いたままのコードを使うのも避けてください。束ねた部分に熱がこもり、被覆が溶けることがあります。
頻繁に落ちる家の対策
運用の工夫では足りず、設備の側を変える必要がある場合もあります。
契約の容量を上げるのが、最も直接的です。電力会社に連絡すれば、多くは無料で変更できます。ただし、基本料金が上がるので、月々の負担は増えます。
特定の回路だけが落ちるなら、その部屋に専用の回路を引く工事があります。エアコンや電子レンジのように、常に大きな電力を使う機器には、専用の回路が望ましい。
古い家では、そもそも回路の数が足りていないことがあります。建てた当時と、今の家電の数が違います。
これらの工事は、資格のある業者の仕事です。分電盤を開けて配線を触ることは、資格なしにはできません。
賃貸の場合
借りている住まいでは、できることが限られます。
契約の容量を変えるには、建物側の設備が対応している必要があります。まず管理会社に相談してください。建物全体の容量に制約があり、変更できないこともあります。
回路を増やす工事は、建物に手を入れることになります。勝手に行ってはいけません。
だから、賃貸では運用で対処することが中心になります。熱を作る機器の使用時間をずらす。これが現実的な解です。
コンセントが焦げている、差し込むとぐらつくといった不具合は、すぐ管理会社に伝えてください。これは設備の問題です。
回路の地図を作っておく
一度やっておくと、その後ずっと役に立つ作業があります。どのスイッチがどの場所を担当しているかを、調べて記録することです。
やり方は単純です。各部屋の照明を点け、小さなスイッチを一つずつ下げていきます。どこが消えたかを、紙に書いていくだけです。二人でやると早く終わります。
照明だけでなく、コンセントも調べたいなら、小さな電気スタンドを各コンセントに差して確認します。手間はかかりますが、一時間ほどで家全体の対応が分かります。
調べるとき、パソコンや録画中の機器は止めておいてください。突然の停電で、保存していないものが消えたり、機器が傷んだりします。冷蔵庫も、短時間なら問題ありませんが、意識しておいてください。
できた表は、分電盤の扉の裏に貼っておきます。落ちたときに、どこを見ればよいかが一目で分かります。家族の誰でも対応できるようになるという利点もあります。
季節で変わる負荷
ブレーカーが落ちる頻度には、はっきりとした季節の偏りがあります。山が分かれば、身構える時期も絞れます。
冬がいちばん多い。暖房器具に加えて、温める便座、浴室の乾燥機、こたつ、加湿器と、熱を作る機器が一斉に動きます。しかも、朝の身支度の時間に集中します。
夏は、冷房が中心です。ただし、冷房は運転を始めた直後に多く使い、その後は落ち着きます。だから、複数の部屋で同時に点けるときが山場になります。時間をずらして点けると、この山を避けられます。
来客のある日も要注意です。普段より調理の機器を多く使い、部屋の暖房も増えます。年末年始に落ちたという話を、よく聞きます。
こうした山があると分かっていれば、その時間帯だけ気をつければ済みます。一年中我慢する必要はありません。
落ちたときに困るもの
停電そのものより、復帰したあとに困ることがあります。忘れやすい点を挙げておきます。
時計の付いた家電は、設定が消えます。炊飯器の予約、洗濯機のタイマー、給湯器の設定。復帰したあと、順に確認してください。
通信の機器は、再起動に時間がかかります。数分待っても戻らないなら、いったん電源を抜いて入れ直してください。
熱帯魚の水槽や、冷凍庫のように、止まると困るものがある家では、落ちる回路にそれを置かないという配慮も要ります。
そして、夜に落ちると真っ暗になります。分電盤の場所に懐中電灯を置いておいてください。暗い中で脚立に乗って操作するのは危険です。
よくある質問
エアコンだけ別のスイッチになっています
専用の回路が引かれている状態で、これが望ましい形です。エアコンは長時間、大きな電力を使うので、他の機器と分けておくほうが安全です。二百ボルトの機種なら、なおさら専用になります。
何も使っていないのに落ちます
使いすぎではありません。漏電か、機器の故障、配線の異常が疑われます。どのスイッチが落ちているかを確認し、電気工事店に連絡してください。放置すると危険です。
契約を上げれば電気代も上がりますか
基本料金が上がります。使った量に応じた部分は変わりません。つまり、使い方が同じなら、増えるのは基本料金の差額だけです。落ちる頻度と、その差額を比べて判断してください。
ブレーカーは何年で交換するものですか
分電盤の寿命は、おおむね十三年から十五年とされています。それを超えたものは、正常に働かなくなることがあります。築年数が経っているなら、点検を頼んでおくと安心です。
まとめ
ブレーカーが落ちたら、どのスイッチが下がっているかを見てください。大きなものなら家全体、小さなものならその回路、その隣なら漏電です。使いすぎなら、機器を抜いてから戻す。漏電なら、自分で直そうとせず業者を呼ぶ。そして、日々の対策としては、熱を作る機器を同時に使わないこと。電子レンジ、ドライヤー、ケトル、ストーブ。この四つを意識するだけで、ほとんどの場面は避けられます。
分電盤の見方は分電盤の見方、タップの使い方は電源タップの安全な使い方、コンセントの異常はコンセントが焦げているときをご覧ください。