まず落ち着いて、これだけ
- 水があふれそうなら、最初にトイレの止水栓を閉めて、それ以上水が流れないようにします。
- トイレットペーパーや便など水に溶けるものの詰まりは、ラバーカップ(すっぽん)で直ることが多くあります。
- スマートフォンやおむつなど水に溶けない物を落としたときは、ラバーカップで押し込まず、業者に相談してください。
- ネットや広告で見つけた業者を呼ぶ前に、見積もりの金額を必ず確かめてから作業を頼みます。
詰まったと気づいたとき、最初にやること
レバーを引いたのに水が流れていかない。便器の水位がどんどん上がってくる。慌ててもう一度レバーを引きたくなりますが、それはやめてください。
詰まっているところにさらに水を流すと、便器から水があふれ、床が水浸しになります。集合住宅なら、下の階へ水が漏れることもあります。
- もうレバーを引かない。
- 止水栓を閉める。タンクや便器につながる給水管の途中にある栓です。マイナスドライバーで回す形のものが多くあります
- 便器の周りの床に、新聞紙や古いタオルを敷く。
- 換気扇を回し、窓があれば開ける。
- 何を流したときに詰まったかを思い出す。ここで、次にとる方法が変わります
止水栓の場所は、ふだんから一度見ておくと、いざというときに慌てずに済みます。水が止まらない、水位が上がり続けるといった場面では、この栓が頼りになります。止水栓が固くて回らない場合は、無理に力をかけないでください。栓を壊すと、別の水漏れが起きます。そのときは、家全体の水を止める元栓を閉めます。元栓の場所は、水道管の凍結対策で書いた水道メーターのボックスの中です。
何が詰まったかで、対処が変わります
| 詰まった物 | 性質 | 自分で対処できるか |
|---|---|---|
| トイレットペーパーを一度に大量に流した | 水に溶ける | できることが多い |
| 便 | 水でほぐれる | できることが多い |
| 「流せる」と書かれたお掃除シートや猫砂を多く流した | 溶けにくい、ほぐれにくい | 軽いものならできることもある |
| ティッシュペーパー | 水に溶けにくい | 量が少なければできることもある |
| スマートフォン、おもちゃ、アクセサリー | 固形物 | 押し込むと悪化する。業者に相談 |
| 紙おむつ、生理用品 | 水を吸って膨らむ | 押し込むと悪化する。業者に相談 |
| 何を流したか分からない、何度も詰まる | 配管の奥に原因があることも | 業者に相談 |
いちばん大事なのは、固形物や、水を吸って膨らむ物を流してしまった場合に、ラバーカップを使わないことです。
ラバーカップは、押したり引いたりする力で詰まりを動かす道具です。固形物がまだ便器のすぐ先に引っかかっている段階なら取り出せる見込みがありますが、押す力でさらに奥の配管へ送り込んでしまうと、便器を外さないと取れなくなります。紙おむつは水を吸うほど膨らみ、奥で完全にふさいでしまいます。
便器の入り口近くに見えていて、手が届くなら、ゴム手袋をして、そっと引き出す方法があります。見えない、手が届かない場合は、そこで止めて業者に相談してください。
必要な道具
| 道具 | 役割 | 優先度 |
|---|---|---|
| ラバーカップ(すっぽん) | 吸い付けて引き、詰まりを動かす。最初に試す道具 | 必須 |
| ゴム手袋(長いもの) | ひじ近くまで覆えるものが安心 | 必須 |
| マイナスドライバー | 止水栓を閉める | 必須 |
| バケツ、灯油ポンプのような手動のポンプ | 便器にたまった水をくみ出す | 高い |
| 新聞紙、古いタオル、大きなビニール袋 | 床を守り、はねた水を受ける | 必須 |
| マスク、保護めがね | はね返る水から顔を守る | 高い |
| ワイヤー式のパイプクリーナー | 奥の詰まりに届く。扱いには注意が要る | 中 |
ラバーカップは、ホームセンターで手ごろな価格で売られています。詰まってから買いに走るより、ひとつ家に置いておくと安心です。
便器にたまった水をくみ出すポンプは、灯油用の手動ポンプと同じ形のものが使えます。ただし、一度灯油に使ったポンプを、トイレに使い回さないでください。逆に、トイレに使ったポンプを灯油に戻すのもやめます。専用に一つ用意するのが確実です。
ラバーカップの使い方
- 止水栓を閉め、床を養生する。
- 便器の水が多すぎる場合は、少しくみ出す。ラバーカップを入れたときにあふれないようにします。逆に、カップのゴムが隠れる程度の水は残しておきます
- ラバーカップを、便器の排水口にぴったり押し当てる。
- ゆっくり押し込み、ゴムを排水口に密着させる。
- 勢いよく手前に引く。押す動作より、引く動作で詰まりを動かします
- 数回くり返す。水がゴボッという音とともに流れ始めれば、詰まりが動いたサインです
- 水が引いたら、止水栓を少し開け、バケツで水を少量流して確かめる。
- 問題なく流れたら、止水栓を元に戻し、レバーで流して最終確認する。
5番の引く動作が大事という点は、よく誤解されます。ラバーカップは、排水口に密着させて引き、その吸い込む力で詰まりを手前に動かす道具です。力任せに押し込むと、詰まりをかえって奥へ送ってしまいます。
そして、引いた勢いで、汚れた水がはね返ります。顔を便器に近づけすぎないこと、マスクと保護めがねを着けること、周りをビニールで覆っておくことが、後片付けを楽にします。
7番で、いきなりレバーで流さないのには理由があります。詰まりが完全に取れていなかった場合、タンクの水が一気に流れてあふれるからです。バケツで少しずつ流して確かめてから、レバーを使ってください。
ラバーカップがないときの応急の方法
夜中などで道具が手に入らないとき、トイレットペーパーによる軽い詰まりであれば、次の方法でほぐれることがあります。
- しばらく時間を置く。トイレットペーパーは水でほぐれていくので、数十分から一時間ほど待つだけで流れることがあります
- 40〜60℃くらいのぬるま湯を、少し高い位置からゆっくり注ぐ。ほぐれやすくなります
便器に熱湯を注がないでください。陶器の便器は、急な温度の変化でひびが入ったり、割れたりすることがあります。便器の内部や、つながっている樹脂の配管も傷めます。お湯を使うなら、手で触れられる程度の温度にとどめてください。そして、強い薬剤を、ほかの洗剤と混ぜて使わないでください。塩素系と酸性の製品が混ざると、有毒なガスが発生します。狭いトイレでは、とくに危険です。市販のパイプ用洗浄剤は、詰まりを溶かすためのものではない製品も多く、便器の詰まりには効かないこともあります。使うなら、トイレに使えると書かれた製品を、表示どおりに一種類だけ使ってください。
洗剤を混ぜてはいけない理由は、換気扇・レンジフードの掃除と交換でも書きました。トイレは換気扇が小さく、窓のない場所も多いので、なおさら気をつけてください。
ワイヤー式のパイプクリーナーについて
ラバーカップで直らない奥の詰まりには、ワイヤーを配管に通して、詰まりを崩す道具があります。
ただし、家庭で使うときには注意が要ります。
- 便器の内側の表面を傷つけることがある。傷ついた表面には汚れが付きやすくなります
- 固形物を奥へ押し込んでしまうことがある。
- 無理に回すと、ワイヤーが配管の中で絡まって抜けなくなることがある。
- 便器の形によっては、うまく奥へ入らない。
ラバーカップを何度か試しても直らない場合、無理に道具を増やして挑むより、業者に相談するほうが、結果として安く済むことが多いと思います。便器を傷つけたり、配管を傷めたりすれば、詰まりの修理より高くつきます。
便器を外す作業は、自分でやらない
奥に引っかかった固形物を取り出すために、便器そのものを床から外すことがあります。これは、家庭で行う作業としてはすすめません。
- 便器は重く、陶器なので落とすと割れる
- 床との接合部の部品を、元どおりに取り付けないと、下から水や臭いが漏れる
- 給水管の接続を誤ると、水漏れが起きる
- 温水洗浄便座の電源がつながっている
給水や排水の配管に関わる作業は、どこまで自分で手を出してよいかの線引きがあります。水道工事は自分でできる?と水まわりの修理に必要な工具を参考にしてください。
業者を呼ぶときに、気をつけること
トイレが詰まると、困っている状態で、急いで業者を探すことになります。そこで起きやすいのが、料金をめぐるトラブルです。
広告に「数百円から」などの安い金額が大きく書かれていても、実際に来てもらうと、作業の内容を理由に高額な請求をされる。こうした相談が、消費生活センターなどに多く寄せられています。
- まず、住まいの管理会社や、家を建てた会社、水道局の案内を確かめる。水道局が、修理を受け付ける事業者を案内していることがあります
- 電話の段階で、出張費、作業費、深夜料金など、かかる費用の目安を聞く。
- 作業の前に、書面で見積もりを出してもらう。
- 見積もりの内容と金額に納得できなければ、作業を断ってよい。その場で決めなくて構いません
- 「今すぐやらないと大変なことになる」とせかされても、焦って契約しない。
3番と4番が大事です。作業が終わってから金額を知らされる形にしないこと。作業の前に金額を確かめ、納得したうえで頼んでください。
もし、請求の内容に納得できない、強引に契約させられたと感じたら、消費者ホットライン(188)に相談できます。お住まいの地域の消費生活センターにつながります。
賃貸住宅なら、まず管理会社や貸主に連絡してください。自分で業者を手配すると、費用の負担でもめることがあります。賃貸での手入れの範囲は賃貸でできるDIYの範囲にまとめています。
詰まらせないための習慣
- トイレットペーパーは、一度に大量に流さない。多く使ったときは、途中で一度流します
- ティッシュペーパーを流さない。水に溶けにくい作りです
- 「流せる」と書かれた製品も、一度にたくさん流さない。
- 節水のために、「小」で大量の紙を流さない。水の量が足りず、途中で止まることがあります
- トイレの上の棚に、落としやすい物を置かない。スマートフォンや小物がポケットから落ちる事故も多くあります
- 子どもには、トイレに物を入れないよう伝える。
4番目は、見落とされがちです。節水型のトイレや、タンクに物を入れて水の量を減らす工夫をしている家で、水の勢いが足りずに紙が途中で止まることがあります。水を節約したつもりが、詰まりの修理で高くつくことのないようにしてください。
トイレの詰まりで聞かれること
Q. 詰まったあと、しばらく使わなければ直りますか
A. トイレットペーパーや便による軽い詰まりなら、時間がたってほぐれ、流れるようになることがあります。
ただし、固形物や、水を吸って膨らむ物は、待っても溶けません。待つのは、水に溶ける物が原因だと分かっている場合だけにしてください。
Q. 直ったあと、何度も詰まります
A. 便器の奥の配管や、家の外の排水管に原因があるかもしれません。
配管に汚れがたまって細くなっている、木の根が入り込んでいる、といった場合、便器の側でいくら詰まりを取っても繰り返します。何度も詰まるなら、配管の点検を業者に依頼してください。
Q. 温水洗浄便座が付いていますが、作業して大丈夫ですか
A. ラバーカップを使う程度の作業なら、便座を外す必要はありません。
ただし、水がはねて便座の電気部品にかからないよう、便座と本体をビニールで覆っておくと安心です。水があふれて便座のコンセントの周りが濡れた場合は、濡れた手でプラグに触らず、乾かしてから、必要なら電源プラグを抜いてください。
Q. 作業のあと、掃除はどうすればいいですか
A. はねた水が付いた床や壁、便器の外側を、トイレ用の洗剤で拭き取ってください。使った新聞紙やタオルはビニール袋に入れて口を縛り、自治体の決まりに従って捨てます。ラバーカップは、洗って乾かしてからしまいます。作業のあとは、手をよく洗うことも忘れないでください。
詰まったときの手順のまとめ
- もうレバーを引かず、止水栓を閉める。
- 何を流したかで、自分で対処するか業者に頼むかを分ける。
- 水に溶ける物の詰まりは、ラバーカップを押し当てて引く。
- 固形物や紙おむつは、押し込まない。
- 熱湯を注がない、洗剤を混ぜない。
- 業者は作業の前に見積もりの金額を確かめる。困ったら188へ。
トイレの詰まりは、家の中で起きる困りごとの中でも、とくに気持ちが焦るものです。水位が上がっていくのを見ると、すぐに何とかしなければと思ってしまいます。
けれど、止水栓を閉めてしまえば、それ以上悪くなることはありません。そこで一度、深呼吸をしてください。落ち着いて何が詰まったかを考えることが、いちばん早く、安く直す近道です。
水まわりで起きるほかの困りごとと、自分で手を出してよい範囲は、家の水まわりトラブル対処まとめで一覧にしました。
あわせて、トイレの水が止まらないも参考になるはずです。