物置は、置くだけでは終わりません。固定していない物置は、強風で動き、台風で倒れ、地震で滑ります。実際に、飛ばされた物置が隣家の壁を壊した、道路に出て車に当たったという事例があります。そして、倒れた物置が人に当たれば、所有者の責任になります。固定の作業は、部品を買って地面に打ち込むだけで、費用は数千円です。この記事では、置く場所の決め方、基礎の作り方、固定の方法を書きます。
この記事でわかること
- 置く場所を決める条件
- 基礎の作り方と必要なもの
- 転倒を防ぐ固定の方法
- 設置の前に確認する決まり
置く場所を決める
後から動かすのは大変なので、最初に十分検討してください。
まず、扉を開ける空間が必要です。カタログに書かれた寸法は本体だけで、扉を開いた状態の寸法は別です。前に五十センチから一メートルの余裕を見てください。
次に、水はけです。雨が降ったときに水がたまる場所は避けてください。底が錆び、中のものが湿気ます。
建物との距離も考えてください。壁にぴったり付けると、裏側の掃除ができず、落ち葉がたまります。三十センチ程度は空けるのが理想です。
そして、隣家との関係です。境界に近すぎると、圧迫感や日照の問題で苦情になることがあります。屋根から落ちる雨が、隣の敷地に入らないかも確認してください。
法令上の確認
物置も、建築物として扱われる場合があります。
屋根と柱があり、地面に固定されているものは、建築基準法上の建築物に当たることがあります。規模や地域によっては、確認の申請が必要です。
小規模なものについては、申請が不要とされる場合もありますが、その場合でも建ぺい率などの制限は適用されます。敷地に対して建物の面積が上限を超えていれば、置けません。
判断が難しい分野なので、大きめの物置を検討しているなら、自治体の建築の担当課に確認してください。購入する店でも相談に乗ってもらえます。
賃貸や借地なら、所有者の許可が必要です。分譲の集合住宅で、専用の庭に置く場合も、管理規約を確認してください。
基礎が必要な理由
土の上に直接置くのは避けてください。
土は、雨で沈みます。物置が傾き、扉が開かなくなります。地面からの湿気も、底を錆びさせます。
基礎としてよく使われるのが、コンクリートのブロックです。物置の大きさに応じて、四個から十個程度を配置します。メーカーが指定する位置と数があるので、説明書に従ってください。
すでにコンクリートで舗装された場所なら、その上に直接置けます。この場合、固定の方法が変わります。
物置を買うと、基礎のブロックが付属している製品と、別売りの製品があります。買う前に確認してください。
基礎を作る手順
- 置く範囲の土を、十センチほど掘る
- 砕石を入れて、平らにならす
- 棒や板で突き固める。ここを省くと後で沈む
- ブロックを指定の位置に置く
- 水平を確認しながら、高さをそろえる
- 全体が水平になったら、本体を組む
最も重要なのが、水平を出す作業です。ここがずれていると、扉が閉まらない、鍵がかからない、といった問題が出ます。組み立ててから直すのは困難です。
水平は、長い板をブロックの上に渡して、その上に水平器を置いて確認します。複数の方向で測ってください。
高さが足りないところには、砂を足して調整します。削るより、足すほうが調整しやすいので、最初は低めに作ってください。
固定の方法
ここが、この記事で最も伝えたい部分です。
物置には、転倒を防ぐための部品が用意されています。メーカーの純正品で、数千円です。買うときに一緒に頼んでください。
土の上に設置する場合は、アンカーと呼ばれる杭を地面に打ち込み、物置の四隅とワイヤーや金具でつなぎます。杭は斜めに打ち込むことで、抜けにくくなります。
コンクリートの上なら、専用のボルトを打ち込んで固定します。穴を開ける道具が必要になるので、業者に頼む方法もあります。
重いものを入れておけば倒れない、という考え方は危険です。強風は、物置を浮かせる力で働きます。中身が重くても、本体が軽ければ飛びます。
組み立ての注意
自分で組む場合、いくつか気をつける点があります。
一人では難しい作業です。壁の板を支えながらねじを留めるので、二人いると格段に楽になります。
板の縁は鋭いので、手袋を必ず使ってください。薄い鉄板は、紙のように手を切ります。
風のある日は避けてください。大きな板が風を受けて、体ごと持っていかれます。
ねじは、最初から強く締めないでください。全体を仮組みしてから、位置を調整して本締めします。先に締めると、途中で合わなくなります。
購入した店に設置を頼む方法もあります。費用は数千円から一万円台で、基礎と固定まで含めてもらえることが多いはずです。
中身の入れ方
設置が終わったら、何をどう入れるかです。
重いものは下に置いてください。上に置くと、重心が上がって倒れやすくなります。
湿気に弱いものは、床に直接置かないでください。すのこを敷くか、棚を使います。夏の物置は、内部が高温多湿になります。
そして、入れてはいけないものがあります。ガソリンの携行缶、カセットボンベ、スプレー缶、塗料。夏の物置は五十度を超えるので、こうしたものは危険です。
灯油も、同じ理由で向きません。冬の間だけ置くとしても、置き場所としては劣ります。
置いた後の手入れ
長く使うために、年に一度は見てください。
固定のワイヤーや金具が緩んでいないかを確認します。地面が動いて、緩むことがあります。
屋根の上の落ち葉を取り除いてください。たまると水がはけず、錆の原因になります。
扉の動きも見てください。重い、引っかかる、といった症状は、傾きが出ている合図です。基礎が沈んでいる可能性があります。
錆が出ていれば、早めに落として塗ってください。放っておくと穴が開きます。
処分するとき
古くなった物置を片付ける場合の話です。
解体は、組み立ての逆の手順です。ただし、錆びたねじは回りません。切断する道具が必要になることがあります。
解体した板は、金属として処分します。量が多いので、清掃センターへの持ち込みか、回収の業者への依頼になります。金属として買い取ってもらえる場合もあります。
基礎のブロックも残ります。こちらはコンクリートのごみとして、別の扱いになります。
解体と処分をまとめて業者に頼めば、数万円が目安です。自分でやるなら、切断の道具と運搬の手段が必要になります。
大きさの選び方
買ってから小さかった、という後悔が最も多い部分です。
入れる予定のものを、先に書き出してください。自転車、タイヤ、園芸の道具、脚立、灯油のタンク。それぞれの大きさを測れば、必要な容量が見えます。
そして、実際には予定より多く入れることになります。余裕を見て、一回り大きいものを選ぶほうが後悔しません。
高さも重要です。脚立や長い柄の道具を立てて入れたいなら、その高さが必要です。奥行きが浅い製品は、出し入れがしやすい反面、大きなものが入りません。
扉の形式も見てください。引き戸は前の空間が少なくて済み、開き戸は開口が広く取れます。置く場所の条件で選んでください。
雪の多い地域では
積雪のある地域では、追加の条件があります。
屋根に雪が積もると、相当な重さがかかります。一般的な製品では、耐えられる積雪の量が決まっています。地域に合った仕様の製品を選んでください。
屋根からの落雪も考えてください。建物の屋根の下に置くと、落ちてきた雪が物置をつぶします。軒先から離して置くのが基本です。
扉の前に雪が積もると、開けられなくなります。除雪の動線を考えて、位置を決めてください。
湿気と結露への対策
物置の中は、思っている以上に湿ります。
昼夜の温度差で、内側の壁に結露が出ます。この水滴が落ちて、中のものを濡らします。金属の道具は錆び、紙や布は傷みます。
対策の一つが、換気口の確保です。多くの製品に付いていますが、荷物でふさいでしまうと働きません。壁際に隙間を残してください。
除湿剤を置くのも有効です。容器に水がたまる形式のものなら、どれくらい湿っているかが目に見えます。
そして、晴れた日に扉を開けて風を通してください。月に一度でも違います。中身を確認する機会にもなります。
鍵と防犯
物置には、工具や自転車など、盗まれやすいものを入れます。
標準で付いている鍵は、簡易なものが多いはずです。高価なものを入れるなら、別の錠を追加する方法があります。
置く場所も防犯に関わります。道路から見えない位置は、作業を見られずに済む反面、侵入されても気づかれません。
人の気配で光る照明を近くに付けると、抑止になります。電池式の製品なら、配線の工事も要りません。
設置を頼むという選択
自分で組むか、頼むか。判断の材料を書きます。
自分でやる利点は、費用が浮くことです。数千円から一万円台の工賃が不要になります。作業そのものも、説明書どおりに進めれば難しくありません。
頼む利点は、基礎から固定まで確実に済むことです。水平がきちんと出て、扉の動きも正確になります。二人分の人手と、一日の時間も節約できます。
大型の物置や、地面が傾いている場所なら、頼むほうが確実です。小型で、平らな場所に置くなら、自分でも十分できます。
購入する店に頼むと、配送と設置をまとめてもらえます。別の業者を探す手間が省けます。
置く前に近隣へ一声
境界に近い位置に置くなら、先に伝えておくほうが円滑です。
日当たりや風通しが変わることを、相手が気にする場合があります。設置してから言われると、動かすのは大変です。
屋根から落ちる雨の向きも、伝えておく点です。隣の敷地へ落ちる形なら、配置を変えるか、雨どいを付ける対応が要ります。
組み立ての日は音が出ます。その日だけのことですが、伝えておけば受け入れてもらいやすくなります。
よくある質問
固定せずに置いている物置があります
今からでも固定できます。専用の部品を買って、地面に杭を打ち込んでください。中身を出す必要はありません。台風の前にやっておくと安心です。
ブロックの上に直接置いてよいですか
基礎としてブロックを使うのは正しい方法です。ただし、下地を突き固めていないと沈みます。砕石を入れて固めてから置いてください。
隣との境界ぎりぎりに置けますか
物理的には置けますが、避けたほうがよい選択です。民法には、建物を境界から一定の距離を離すという定めがあります。屋根の雨が隣に落ちる問題もあります。トラブルの種になりやすいので、余裕を取ってください。
組み立ては何時間かかりますか
小型のものなら、二人で半日程度です。基礎を作る作業を含めると、一日は見ておいてください。大型のものは、さらにかかります。天気のよい日を選んでください。
すでに傾いている物置はどうしますか
基礎が沈んでいます。中身を出してから、ジャッキで持ち上げて基礎を調整する作業になります。大きな物置では、一人では危険です。購入した店か、便利屋に相談してください。
物置の中に電気を引けますか
配線の工事には電気工事士の資格が必要です。自分で延長コードを引き込むのは、屋外を通すことになるので避けてください。照明が欲しいだけなら、電池式や太陽光で充電する製品が使えます。
固定の部品はどこで買えますか
物置のメーカーが純正品を出しています。購入した店で型番を伝えれば取り寄せてもらえます。ホームセンターでも、汎用の製品が置かれていることがあります。製品ごとに取り付けの位置が決まっているので、純正品が確実です。
台風の前にできることは
固定を確認し、周囲の飛びそうなものを片付けてください。扉の鍵をかけ、開かないようにします。すでに固定していないなら、この機会に部品を買って取り付けてください。
まとめ
物置は、置いただけでは危険です。専用の部品で地面に固定してください。費用は数千円、作業は一時間ほどです。重いものを入れておけば倒れない、という考えは通用しません。強風は物置を浮かせます。設置の前には、水はけと扉を開ける空間、隣家との距離を確認してください。基礎は、砕石を突き固めてからブロックを置き、水平を丁寧に出します。そして、ガソリンやカセットボンベを入れないでください。夏の物置は五十度を超えます。
屋外機械の保管は屋外機械の冬季保管、ガス缶の置き場所はカセットボンベの保管場所、塀の点検はブロック塀の点検にまとめています。
