この記事の要点
- 自転車のバルブ(空気を入れる口)には、英式・米式・仏式の3種類があります。 形が違い、空気入れの口金も違います。
- 見分けは簡単です。細くて先端にナットがあれば仏式、車のタイヤと同じ形なら米式、太い筒状なら英式です。
- 空気入れを買う前に、自分の自転車のバルブがどれかを確認してください。合わない空気入れは、使えません。
- 入れる空気の量は、タイヤの側面に書かれた表示に合わせます。
まず、バルブの種類を見分けます
自転車のタイヤには、空気を入れるための小さな口が付いています。これがバルブです。日本で見かけるバルブは、おもに3種類あります。
英式バルブ
いわゆる、ふつうの自転車に付いているバルブです。通勤用の自転車や、買い物用の自転車で多く見られます。
- 太めの筒状で、先端に細い軸が見えます。
- 根元に、ナットと、先端のキャップがあります。
- 構造が単純で、空気入れの口金もたくさんの種類が使えます。
米式バルブ
自動車やバイクのタイヤと同じ形です。丈夫で、空気を入れやすい点が特徴です。
- 先端に、小さな針のような芯があります。
- 太さは英式より少し細めです。
- マウンテンバイクや、一部のスポーツ自転車で見かけます。
仏式バルブ
細くて長い、スポーツ自転車向けのバルブです。
- とても細く、先端に小さなナット(ロックナット)が付いています。
- 高い空気圧に耐えられます。
- ロードバイクや、クロスバイクで多く使われています。
見分けの手順
迷ったときは、次の順で確かめます。
- バルブのキャップを外します。
- 先端の形を見ます。
- ナットが付いた細い軸なら、仏式です。
- 針のような芯が、筒の中に見えるなら、米式です。
- 太い筒で、中に細い軸があるだけなら、英式です。
自転車の取扱説明書や、タイヤ周りの表示にも、種類が書かれていることがあります。
空気入れの口金は、バルブごとに違います
空気入れの先端にある、バルブに差し込む部分を、口金と呼びます。バルブの種類に合う口金でなければ、空気は入りません。
- 英式専用: 英式バルブに合わせた形です。
- 米式専用、仏式専用: それぞれのバルブに合わせた形です。
- 兼用タイプ: 複数のバルブに対応しています。切り替えや、付け替えが必要なものもあります。
買う前に、自分のバルブに対応していると書かれているかを確認してください。商品の説明に、対応するバルブの種類が書かれています。
兼用タイプが便利な人
- 家に、バルブの違う自転車が複数ある人。
- 自動車やバイクの空気も、同じ道具で入れたい人。
兼用は便利ですが、口金の付け替えを間違えると、空気が漏れます。使い方を一度、確認してください。
空気圧ゲージ付きかどうか
空気の量は、見た目や、指で押した感触では、正確に分かりません。空気圧ゲージ付きの空気入れをすすめます。
- ゲージがあれば、今の空気圧が数字で分かります。
- 入れすぎを防げます。
- 少なすぎるまま走る失敗が減ります。
空気圧の単位
空気圧の単位には、いくつかの種類があります。
- kPa(キロパスカル): 日本で一般的です。
- PSI: 米国で使われる単位です。
- BAR(バール): 欧州で使われる単位です。
ゲージとタイヤで、単位が違うことがあります。換算が必要なときは、ゲージの目盛りを見て、同じ単位に合わせてください。
入れる量の決め方
空気の量は、タイヤの側面に書かれた表示に従います。
- 側面に、「最大空気圧」や、「適正空気圧の範囲」が書かれています。
- 範囲で書かれている場合は、その中で、自分の体重や乗り方に合わせます。
- 表示を超えて入れないでください。タイヤが破裂する危険があります。
迷ったときの考え方
- 体重が重い人や、荷物が多い人は、範囲の高め。
- 乗り心地を重視する人は、範囲の低め。
- 迷うなら、範囲の真ん中を試して、走りながら調整します。
細いタイヤほど、高い空気圧が必要です。太いタイヤは、低めです。同じ自転車でも、タイヤを交換すれば、適正空気圧が変わります。
英式バルブの空気の入れ方
いちばん身近な英式から、手順を説明します。
- バルブのキャップを外します。
- 空気入れの口金を、バルブにまっすぐ差し込みます。
- レバーがあるなら、固定します。
- ハンドルを、ゆっくり上下させて、空気を入れます。
- ゲージを見ながら、必要な量で止めます。
- 口金を、まっすぐ引き抜きます。
- キャップを、元に戻します。
空気が入らないとき
英式で空気が入りにくいときは、次を疑ってください。
- 口金が、バルブの奥まで入っていない。
- バルブの内部にある、ゴムの部品(虫ゴム)が劣化している。
- バルブの根元のナットが、緩んでいる。
虫ゴムは、消耗品です。何か月も空気を入れていないと、すぐに空気が抜けるのは、虫ゴムの劣化が原因のことが多くあります。ホームセンターで、安く買えます。
仏式バルブの空気の入れ方
仏式は、手順が少し違います。
- キャップを外します。
- 先端のナット(ロックナット)を、反時計回りに緩めます。 外す必要はありません。
- 一度、先端を軽く押して、少しだけ空気を出します。バルブの固着が解けます。
- 口金を、まっすぐ差し込みます。
- 空気を入れます。
- 口金を外したら、ナットを時計回りに閉めます。
- キャップを戻します。
ナットを閉め忘れない
ナットを閉めないで走ると、空気が少しずつ漏れます。また、走行中の振動で、バルブが傷む原因になります。入れ終わったら、必ず閉めてください。
仏式でやってはいけないこと
- 口金を、斜めに差し込む。 バルブの細い軸が、曲がります。
- ナットを、緩めずに空気を入れようとする。入りません。
- 力まかせに、口金を引き抜く。バルブが傷みます。
曲がったバルブは、空気が漏れやすくなります。曲がってしまったら、チューブの交換が必要になることがあります。
米式バルブの空気の入れ方
米式は、自動車のタイヤと同じ要領です。
- キャップを外します。
- 口金を、バルブにまっすぐ差し込みます。
- レバーで固定します。
- 空気を入れます。
- 口金を、素早く外します。
- キャップを戻します。
口金を外すときの、「プシュッ」という音は、バルブ内の空気がわずかに出る音です。これは、故障ではありません。
車のタイヤの空気については、タイヤの空気圧の見方と入れ方に書きました。
変換アダプターについて
空気入れの口金が合わないときに、変換アダプターを使う方法があります。
- バルブにネジ式で取り付け、別の形のバルブに変えます。
- 英式バルブを、仏式用の空気入れで使うために、よく使われます。
ただし、アダプターは、空気漏れの原因になることがあります。取り付けが緩いと、入れた空気が戻ってしまいます。長く使うなら、バルブに合った空気入れを用意するほうが確実です。
空気を入れる頻度
空気は、何もしなくても、少しずつ抜けます。
- 英式: 目安は、月に1回以上です。
- 仏式: タイヤが細く、空気圧が高いので、抜けやすくなります。乗る前に確認するのが安全です。
- 米式: 抜けにくい構造ですが、定期的な確認は欠かせません。
空気が足りないまま走ると、次のことが起きます。
- 漕ぐのが重くなる。
- タイヤが、早く摩耗する。
- 段差でチューブを挟み、パンクしやすくなる。
月に1回、タイヤを指で押して、はっきりへこむようなら、空気を入れ足してください。
空気入れの種類と、向き不向き
空気入れには、使う場面ごとに、いくつかの形があります。
- フロアポンプ(床置きタイプ): 足で踏んで固定し、手で押します。力が入りやすく、自宅での空気入れに向いています。空気圧ゲージが付いたものが多くあります。
- 携帯ポンプ: 小型で、バッグや車体に付けて持ち運べます。外出先のパンクに備えるものです。ただし、入れる量は少なく、時間もかかります。
- 電動ポンプ: ボタンを押すだけで入ります。手間はかかりませんが、バッテリーが必要で、価格も高めです。
自宅用はフロアポンプ、外出用は携帯ポンプ、と分けて用意する人もいます。最初の1本は、家で使うフロアポンプを選ぶのが現実的です。
空気を入れる前の点検
空気を入れる前に、タイヤの状態も見ておくと、パンクや事故を防げます。
- タイヤの表面に、ひび割れがないか。
- トレッド(接地面)に、ガラス片や小石が刺さっていないか。
- ゴムがすり減って、下の層が見えていないか。
- 側面に、膨らみやこぶがないか。
異常があれば、空気を入れる前に、交換や修理を検討してください。傷んだタイヤに高い圧を入れると、破裂の原因になります。
バルブそのものが傷んだとき
バルブは、チューブと一体になっていることが多い部品です。次のような症状が出たら、バルブが傷んでいます。
- 根元から、空気が漏れる。
- 曲がって、元に戻らない。
- キャップを締めても、空気が抜ける。
英式なら、虫ゴムの交換で直ることがあります。仏式や米式で、バルブ本体が壊れた場合は、チューブごとの交換が必要です。交換の手順は、パンク修理の記事とあわせて確認してください。
空気入れを選ぶ基準
最後に、買うときの基準をまとめます。
- バルブの種類に、対応しているか。
- 空気圧ゲージが付いているか。
- 土台が安定していて、足で踏んで固定できるか。
- ホースの長さが、十分か。
- 必要な最大空気圧に、耐えられるか。
スポーツ自転車には、高い空気圧に対応した専用の空気入れが必要です。ふつうの空気入れでは、必要な圧に届かないことがあります。
単位の換算の目安
ゲージとタイヤの単位が違うときは、おおよその換算を知っておくと便利です。
- 100kPaは、およそ1BAR(バール)です。
- 100kPaは、およそ14.5PSIです。
- つまり、500kPaなら、約5BAR、約72.5PSIになります。
細かい数字まで覚える必要はありません。タイヤ側の表示に合わせて、ゲージの同じ単位の目盛りを読むのが、いちばん確実です。
小さなタイヤや、折りたたみ自転車の場合
折りたたみ自転車や小径車は、タイヤが小さく、細いものが多くあります。その分、必要な空気圧が高くなる傾向があります。
- 側面の表示を、必ず確認します。
- 英式で、高い圧が必要なときは、ふつうの空気入れでは足りないことがあります。
- バルブの種類は、買ったときの仕様で違います。取扱説明書で確認してください。
子ども用の自転車は、タイヤが小さく、少しの空気で圧が上がります。入れすぎに気をつけてください。
バルブキャップの役割
バルブの先端に付いているキャップは、小さな部品ですが、役割があります。
- 土やホコリが、バルブの内部に入るのを防ぎます。
- 雨水が入って、さびるのを防ぎます。
- 英式では、空気漏れを防ぐ補助にもなります。
なくしたときは、すぐに付け直せるよう、予備を持っておくと安心です。ホームセンターや自転車店で、安く売られています。色や形がいろいろあるので、バルブの種類に合うものを選んでください。
道具をそろえる順番
自転車を整備するうえで、空気入れは、最初にそろえたい道具です。パンクの直し方は、自転車のパンク修理に書きました。ほかに必要な工具は、自転車の整備に必要な工具にまとめています。
よくある質問に答えます
Q. 英式の自転車に、仏式の空気入れを使えますか
口金が違うので、そのままでは使えません。変換アダプターを使えば入れられますが、空気漏れに注意が必要です。
Q. 空気を入れても、すぐ抜けます
バルブの故障か、チューブに穴が開いている可能性があります。英式なら、虫ゴムが劣化していることが多いです。
Q. タイヤの表示が見つかりません
タイヤの側面を、よく見てください。小さな文字で、空気圧が書かれています。見つからなければ、タイヤのメーカーや、自転車店に確認してください。
Q. 空気を入れすぎたら、どうなりますか
タイヤが固くなり、乗り心地が悪くなります。極端に入れすぎると、破裂の危険があります。少し抜いて、適正な範囲に戻してください。
Q. 家に空気入れが1本もありません。何を買えばいいですか
まず、自分の自転車のバルブの種類を確認します。それに対応した、ゲージ付きの空気入れを選んでください。
最後に確認しておくこと
もう一度、整理します。
- バルブは、英式・米式・仏式の3種類です。
- 空気入れの口金は、バルブに合ったものを選びます。
- 空気の量は、タイヤの側面の表示に合わせます。
- 仏式は、先端のナットを緩めてから入れ、終わったら閉めます。
- 月に1回は、空気圧を確認します。
空気入れ1本で、自転車の乗り心地も、パンクのしやすさも変わります。バルブの種類を一度確かめて、合う道具を選んでください。
関連記事