自転車がパンクした。店に持ち込めば千円台で直りますが、自分でやれば部品代は百円台です。そして、一度覚えれば次からは三十分で終わります。ただし、作業には順番があり、そこを守らないと直したつもりで直っていません。特に、穴の原因を取り除かないまま新しいチューブを入れると、数日でまた同じ場所に穴が開きます。この記事では、その順番と要点を書きます。
この記事でわかること
- 必要な道具と費用
- 穴の見つけ方
- 貼って直す手順
- また開かせないための確認
空気が抜けた原因を分ける
作業に入る前に、本当にパンクかを確かめてください。
空気を入れて、しばらく乗れるなら、穴ではなく空気の入れ方が足りていない可能性があります。自転車のタイヤは、何もしなくても月に一割ほど空気が抜けます。半年入れていなければ、自然に減っただけということもあります。
空気を入れてもすぐ抜けるなら、穴が開いています。ただし、空気を入れる口の部品が傷んで、そこから漏れていることもあります。この場合、チューブに穴はありません。
口の部分にゴムの管が使われている形式では、そのゴムが劣化して漏れます。数十円の部品で直るので、まずここを疑う価値があります。
そろえる道具
必要なものは多くありません。すべて合わせても、二千円あればそろいます。
タイヤをリムから外すための、へら状の工具が三本。パンク修理の一式。空気入れ。そして、車輪を留めているナットを回すためのレンチ。これだけです。
修理の一式には、ゴムの当て布、接着するための液、表面を荒らす紙やすりが入っています。数百円で買えて、何回分も入っています。
へら状の工具は、樹脂のものを選んでください。金属のものはチューブを傷つけます。せっかく直したのに、別の場所に穴を開けることになります。
水を張れる容器も要ります。洗面器やバケツで足ります。
後輪は難易度が上がる
もう一つ、作業に入る前に知っておいてほしいことがあります。前輪か後輪かで、難しさがまるで違います。
前輪は、ナットを二つ緩めれば外れます。難しくありません。
後輪は、鎖、変速の機構、ブレーキ、荷台の支えなどが集まっています。外すのも戻すのも手数が多く、戻すときに位置を合わせる必要があります。初めてなら、時間がかかると覚悟してください。
実は、車輪を外さずに修理する方法もあります。タイヤの片側だけをリムから外し、チューブを引き出して作業するやり方です。後輪では、こちらのほうが簡単なことが多い。
自転車を逆さまにして立てると、作業がしやすくなります。ただし、ハンドルのレバーや前かごが地面に当たるので、布を敷いてください。
タイヤを外す
ここから実際の作業です。まず、残っている空気を完全に抜きます。
空気を入れる口の部分の固定具を緩め、押して抜いてください。空気が残っていると、タイヤが外れません。
へら状の工具を、タイヤとリムの隙間に差し込みます。てこの要領で、タイヤの縁をリムの外へ起こします。
起こしたら、その工具をスポークに引っかけて固定します。十センチほど離れた位置に二本目を差し込み、同じように起こす。三本目も同じです。ここまでくれば、あとは手でぐるりと外せます。
片側だけ外れれば、チューブは取り出せます。両側とも外す必要はありません。
穴を見つける
取り出したチューブに、空気を入れます。この工程は、水を使うのがいちばん確実です。
普段より少し多めに入れて、ふくらませてください。この状態で、水を張った容器に少しずつ沈めていきます。
穴があれば、そこから泡が出ます。全周を確認してください。穴は一か所とは限りません。
見つけたら、その場所に印を付けます。油性のペンで、穴を囲むように書いてください。水から上げると場所が分からなくなるので、必ず印を付けてから拭きます。
水がない場所なら、耳を近づけて音を聞く方法、濡らした手の甲を近づけて風を感じる方法もあります。ただし、水を使うほうが確実です。
穴の位置から原因を読む
ここが、多くの人が飛ばしてしまう工程です。しかし、繰り返しを防げるかどうかは、ここで決まります。
チューブの、タイヤ側に穴があるなら、何かが刺さっています。タイヤの内側を、指でなぞって探してください。ガラス片、小石、針金。刺さったままなら、新しいチューブでもすぐ穴が開きます。
チューブの、リム側に穴があるなら、リムの側に原因があります。スポークの頭を覆う帯がずれている、あるいは破れている。ここが露出していると、チューブが押し付けられて穴が開きます。
細長い二つの穴が並んでいるなら、空気が不足していた証拠です。段差を越えたときに、チューブがリムと路面の間で挟まれました。これは、空気を適正に入れることでしか防げません。
指でタイヤの内側を探るときは、軍手をしてください。素手だと、刺さっているものが指に刺さります。
貼って直す
刺さっていたものを取り除いたら、いよいよ穴をふさぐ作業に入ります。
まず、穴の周りを紙やすりで荒らします。当て布より一回り広い範囲を、表面の光沢が消えるまでこすってください。ここを省くと、はがれます。
削りかすを、きれいに払います。指で触ると油が付くので、触らないでください。
接着の液を、薄く広げます。当て布より広い範囲に伸ばしてください。そして、ここで数分待ちます。液が乾いて、指で触ってもべたつかなくなってから貼る。これが正しい手順です。濡れているうちに貼ると、付きません。
当て布の裏紙をはがし、穴の位置に合わせて貼ります。そして、しっかり押さえつけてください。硬いもので、こするように圧力をかけると密着します。
戻す前に確認する
貼り終えたら、組み立てる前にもう一度水に沈めてください。この確認を省かないでください。
空気を入れて、修理した箇所から泡が出ないことを確かめます。ここで漏れていれば、貼り直しです。組み立ててから気づくより、はるかに手間が少なく済みます。
他の場所からも泡が出ないか、もう一周見てください。一か所直して安心していると、二つ目の穴を見落とします。
問題なければ、空気を抜いて組み立てに入ります。
組み立てで気をつけること
直したのに空気が抜けるという相談の多くは、じつはこの工程での失敗です。
チューブに、少しだけ空気を入れてから入れてください。ぺったんこのまま入れると、ねじれたり折れたりします。形が出る程度で十分です。
空気を入れる口を、リムの穴にまっすぐ通します。斜めになっていると、そこに力がかかって裂けます。
タイヤをリムに戻すとき、へら状の工具を使うとチューブを噛みます。最後の部分は、手で押し込んでください。硬くて入らないなら、タイヤ全体をリムの溝の中央に寄せると余裕が生まれます。
全部入ったら、タイヤを両側から押して、チューブが挟まっていないか確認してください。挟まったまま空気を入れると、破裂します。
空気の入れ方
最後の工程です。ここで急ぐと、これまでの作業が無駄になります。
一度に入れきらず、少し入れてはタイヤの座りを確認してください。リムからはみ出している部分があれば、空気を抜いて直します。
適正な空気圧は、タイヤの側面に書かれています。空気圧計の付いた空気入れなら、この数字に合わせられます。
計がなければ、指で強く押して、ほとんどへこまない程度が目安です。一般的な自転車では、思っているより硬めが正解です。
そして、月に一度は空気を入れてください。パンクの原因で最も多いのが、空気不足による挟み込みです。ここを習慣にするだけで、修理の回数が減ります。
交換したほうがよい場合
貼って直せる範囲を超えている場合もあります。見極めの目安を書いておきます。
穴が大きい、裂けている、空気を入れる口の付け根が傷んでいる。こうなったら、チューブごと交換です。千円前後で買えます。
当て布が何枚も貼られているチューブも、交換どきです。ゴム自体が古くなっています。
タイヤの側も見てください。溝がなくなっている、ひび割れている、糸が見えている。この状態なら、タイヤも一緒に替えるべきです。古いタイヤは、異物が刺さりやすくなっています。
どちらも交換するなら、部品代は数千円です。それでも、店で両方替えるより安く済みます。
作業する場所と時間の見積もり
始める前に、環境を整えておくと途中で困りません。
水を使うので、屋外か、床が濡れてもよい場所を選んでください。タイヤの内側から出る黒い粉が手や床に付くので、新聞紙を敷いておくと後が楽です。
時間は、前輪なら初めてでも一時間ほど、後輪なら一時間半から二時間を見ておいてください。慣れれば半分以下になりますが、最初から急ぐと手順を飛ばします。
外した部品は、順番に並べておいてください。特に後輪では、ナットやワッシャーの並び順が決まっています。写真を撮っておくと、戻すときに迷いません。
暗くなってからの作業は避けてください。小さな異物を探す工程があるので、明るさが結果を左右します。
出先でパンクしたとき
走行中に空気が抜けた場合の対応も書いておきます。
そのまま乗り続けないでください。空気のないタイヤで走ると、チューブがリムと路面の間でつぶされ、修理できない状態まで傷みます。タイヤの側面も削れ、リムそのものが変形することもあります。
押して歩くぶんには問題ありません。近くに自転車店があれば、そこまで運んでください。
距離があるなら、携帯できる空気入れがあると助かります。小さな穴なら、空気を入れながら少しずつ進めることがあります。ただし、大きな穴では入れた端から抜けます。
日常的に長い距離を走るなら、予備のチューブと工具を積んでおく方法もあります。その場で穴を探すより、丸ごと交換するほうが早く確実です。取り出した古いチューブは、家に帰ってから直せば次の予備になります。
店に頼むという選択
ここまで書いてきましたが、自分でやらないという判断も、当然あります。
自転車店に持ち込めば、一か所の修理で千円台が目安です。チューブごと交換なら、部品代を含めて二千円台から三千円台になります。作業は三十分ほどで終わります。
この金額を、自分の時間と比べてください。年に一度あるかないかなら、店に頼むほうが合理的です。道具をそろえる手間も要りません。
逆に、家族で何台も使っている、通学で毎日乗る、古い自転車で頻繁にパンクする。こうした状況なら、自分でできるようになる価値があります。道具代は一度きりで、以降は百円台で済みます。
そして、一度でも自分で開けてみると、自転車の構造が分かります。ブレーキの効き、鎖の張り、車輪のぶれ。他の不具合にも気づけるようになります。この副次的な効果は、案外大きいものです。
よくある質問
穴が見つかりません
空気の入れ方が足りないと、小さな穴からは泡が出ません。もう少し入れて、ゆっくり回してください。それでも見つからないなら、空気を入れる口からの漏れを疑ってください。口の根元を水に沈めて確認します。
修理した翌日にまた抜けました
接着の液が乾く前に貼ったか、表面を荒らす工程が不十分だった可能性があります。あるいは、刺さっていたものを取り除けていません。タイヤの内側をもう一度、丹念に探ってください。
電動自転車でも同じですか
チューブの修理は同じです。ただし、後輪にモーターが入っている機種では、車輪を外す作業が複雑になります。配線もあるので、後輪は店に頼むほうが無難です。前輪なら、普通の自転車と変わりません。
穴をふさぐ液体を入れる製品はどうですか
応急には使えます。ただし、後で正式に修理するとき、内部が汚れていて当て布が貼れなくなることがあります。店に持ち込むときも、使ったことを伝えてください。常用するものではありません。
まとめ
自転車のパンク修理で大事なのは、穴をふさぐことではなく、原因を取り除くことです。タイヤ側に穴があれば何かが刺さっています。リム側なら帯がずれています。二つ並んだ穴なら空気不足です。ここを飛ばすと、また同じことになります。貼るときは、表面を荒らし、接着の液が乾いてから貼る。そして、組み立てる前に水でもう一度確かめる。この二つを守れば、失敗はほとんどありません。
そろえる工具は自転車の整備に必要な工具、車のタイヤはタイヤのパンク修理、空気圧の考え方はタイヤの空気圧にまとめています。