オイル交換のあとに残るのが、空になった容器です。1リットルの樹脂ボトル、4リットルの角缶、20リットルのペール缶。どれも「中身が残っていない」ように見えても、内側には必ず油が付いています。この油の付き方が、ごみとしての扱いを変えます。ここでは、容器の種類ごとの出し方と、中に残った油をどうするかを整理します。
この記事の要点
- 空き容器は中の油を出し切ってから出します。逆さにして一晩置くだけで、かなり抜けます。
- 1リットルや4リットルの容器は、プラスチックか金属の区分で出せる地域が多くあります。
- ただし、油が付いた容器は資源ごみに出せないのが原則です。資源の回収袋に入れないでください。
- 20リットルのペール缶は、粗大ごみか収集対象外になりやすく、金属回収や購入店が現実的な出し先です。
- 洗剤で洗って資源に出すのは、排水に油を流すことになるため避けます。
容器の種類を先に見分ける
市販されているエンジンオイルの容器は、おおむね大きく3つに分かれます。まず、手元にあるものがどれなのかを確かめてください。出し方が変わります。
| 容器 | 材質 | よく使う場面 |
|---|---|---|
| 1リットル前後のボトル | 樹脂(ポリエチレンなど) | バイク、軽自動車、補充用 |
| 4リットルの角缶 | 樹脂または金属 | 乗用車1台ぶんの交換 |
| 20リットルのペール缶 | 金属(鉄) | 複数台、または継続して整備する人 |
4リットルの角缶は、見ただけでは材質が分かりにくいことがあります。指で押してみて、たわむなら樹脂、たわまず金属の音がするなら金属です。缶の底や側面に、材質を示す表示があることもあります。
材質が分かれば、あとは自治体の区分に当てはめるだけです。樹脂なら「プラスチック製容器包装」ではなく「燃やすごみ」または「不燃ごみ」になることが多く、金属なら「金属ごみ」や「小さな金属」になります。理由は次に書きます。
なぜ資源ごみに出せないのか
樹脂のボトルには、プラスチックの資源を示すマークが付いていることがあります。それを見て、資源の回収に出したくなりますが、油の付いた容器は、資源として再生できません。
資源として集めたプラスチックは、細かく砕いて洗い、溶かして別の製品の材料になります。ここに油の付いたものが混ざると、ほかの資源まで油で汚れて、まとめて使えなくなることがあります。だから多くの自治体が、油や薬品の付いた容器を資源から外しています。
金属の缶も同じ考え方です。飲料の空き缶はきれいに洗えますが、オイルの缶は内側に油が残ります。「金属だからアルミ缶・スチール缶の回収へ」とは考えないでください。
ここで、洗剤でしっかり洗えば資源に出せるのではないかと思われるかもしれません。おすすめしません。洗った水は、そのまま排水に流れます。油を下水に流すことになり、処分先を変えただけで、問題が別の場所に移るだけです。
出す前に、中の油を抜く
逆さにして一晩置く
空にしたつもりの1リットルのボトルにも、数十ミリリットルの油が残っています。4リットルの缶なら、もっと残ります。粘りのあるオイルは、容器の内側の壁に膜のように張り付いたまま、いつまでも落ちてこないためです。注ぎ終えた直後に軽く振って出した程度では、まだ残っていると考えてください。
抜き方は簡単です。廃油処理箱や、油を吸わせる新聞紙の上で、容器の口を下に向けて立てかけ、一晩置きます。寒い時期は油が流れにくいので、日中の暖かい時間に、日の当たる場所へ置くと早く落ちます。
このとき、受ける相手を用意しておくことが大事です。床や地面に直接立てかけると、落ちた油がしみを作ります。すでに使った廃油処理箱の上に立てかけると、油が無駄なく吸われます。処理箱そのものの出し方は廃油処理箱の捨て方にまとめました。
キャップとラベルの扱い
キャップは本体と材質が違うことがあります。口の内側に、薄いアルミの膜が貼られている製品もあります。外して、別の区分で出すのが原則ですが、細かすぎて区分が分からない場合は、本体と一緒でよいかを窓口で確かめてください。
ラベルやシールは、はがさなくて構わない地域が多くあります。ただし、資源ごみとして出す容器ではないので、そもそも神経を使う場面ではありません。
つぶしてよいか
樹脂のボトルは、かさを減らすためにつぶしたくなります。中の油を抜いたあとなら、軽くつぶすのは構いません。ただし、勢いよく踏むと残った油が飛びます。手で押して、へこむ程度にしてください。
金属の缶は、無理につぶさないでください。切り口で手を切ります。収集する人がけがをする原因にもなります。
20リットルのペール缶をどうするか
いちばん困るのがこれです。大きさがあり、金属で、内側に油が付いています。家庭ごみの袋には入りません。空にしても20リットルの缶は場所を取るので、物置の隅に何年も置かれたままになりがちです。出し先は、次の4つのどれかになります。
まず自治体の区分を確かめる
ペール缶は、地域によって粗大ごみの扱いになります。申し込みをして、手数料の券を貼って出す形です。一方で、「油の入っていた容器は収集しない」と決めている地域もあります。
電話で確かめるときは、「20リットルの金属のペール缶」「エンジンオイルが入っていた」「中は抜いて拭いてある」と伝えてください。判断が分かれる品目なので、はじめから条件を伝えたほうが早く済みます。
金属回収に持ち込む
鉄のペール缶は、金属スクラップを扱う業者が受け入れることがあります。無料の場合も、少額で引き取る場合もあります。持ち込む前に、内側に液体の油が残っていないことを伝えてください。
「油が付いたままでは受け入れられない」と言われることもあります。その場合は、ウエスで内側を拭ける範囲まで拭き取ります。拭いた布は丸めて放置せず、その日のうちに出し方を決めてください。
買った店に相談する
ペール缶でオイルを買う店は、整備をする人を相手にしていることが多く、空き缶の引き取りに慣れている場合があります。次にオイルを買うときに、前回の缶を持っていくという形なら、受けてもらいやすくなります。
使い道を作って残す
ペール缶は、ふたを外せば丈夫な入れ物になります。工具入れ、椅子、灰を入れる容器などに使う人もいます。ただし、油が付いた缶を、食べ物や飲み水に関わる用途に使ってはいけません。また、缶の中で火を燃やす使い方はしないでください。内側の油が燃え、塗装が焼けて有害な煙が出ます。
ほかの油の容器も、考え方は同じ
車やバイクの整備では、エンジンオイル以外の液体も扱います。容器の出し方の考え方は共通で、中身を出し切り、資源には混ぜず、地域の区分に従うという順番です。
- ギヤオイル・ミッションオイルの容器:エンジンオイルと同じ扱いで構いません。においが強いので、屋外で抜きます。
- ブレーキ液の容器:中身は塗装を傷める性質があります。こぼさないよう、少量ずつ吸わせてください。
- 冷却水(クーラント)の容器:中身は甘いにおいがあり、動物が口にすると危険です。必ず密閉して保管し、地面にこぼさないでください。
- チェーンオイル・グリスの容器:粘りがあって出し切れません。拭き取れる範囲まで拭いて出します。
どの液体も、残った中身の処分と、容器の処分は別の話です。中身が残っているなら、まず中身の行き先を決めます。全体の考え方はエンジンオイルの捨て方を参照してください。
バイクと、量の少ない交換の場合
バイクのオイル交換では、抜く量が1リットルから3リットル程度です。容器も1リットルのボトルが中心になります。量が少ないぶん、処分は楽になりますが、回数が多くなりやすいという別の面があります。
オイルの管理が厳しい車種では、交換の間隔が短く設定されています。年に何回も交換する場合、1リットルのボトルが次々にたまります。出すたびに区分を調べるのは手間なので、最初に一度だけ確かめて、家族にも分かる場所に書き留めておくと楽になります。
バイク用品店では、買った店での引き取りに応じているところがあります。交換のたびに前回の空き容器を持っていく習慣にすれば、ためこむこともありません。
事業として整備している場合
ここまでは家庭から出る場合の話です。仕事として車やバイクを整備している場合は、出る廃油も空き容器も産業廃棄物にあたります。家庭ごみとして出すことはできません。
産業廃棄物は、許可を持つ処理業者に委託し、書面(マニフェスト)で流れを記録する決まりになっています。自分でごみ集積所に出したり、家庭ごみの袋に入れたりすれば、法令に触れます。
副業として、あるいは知人の車を有償で整備している場合も、この線引きに関わります。判断に迷う場合は、都道府県の産業廃棄物の担当窓口に確認してください。
容器を減らす買い方
処分の手間を根本から減らす方法は、容器の数を減らすことです。
1台ぶんの交換で4リットル前後を使うなら、1リットルを4本買うより、4リットルの缶を1つにするほうが、出る容器は1つで済みます。単価も下がるのが普通です。
逆に、年に1回しか使わないなら、20リットルのペール缶は避けたほうが無難です。使い切るまでに年数がかかり、その間に劣化が進み、そして最後に大きな缶の処分が残ります。
自分が年に何リットル使うのかを、一度数えてみてください。買う単位が決まれば、処分の悩みもほとんど消えます。
やってはいけないこと
容器の処分でよく見かける、避けてほしいやり方を挙げます。
- 中の油を排水口や側溝に流して、容器だけ資源に出す
- 洗剤とお湯で洗い、その水を流す
- 飲料の空き缶と一緒に資源の回収に出す
- 金属の缶を金づちでつぶす
- ガソリンや灯油を入れる容器として使い回す
最後の項目は、意外と多い誤りです。オイルの缶は、ガソリンや灯油を入れる容器として認められていません。燃料には、消防法の基準に適合した容器が必要です。空き缶を代用すると、漏れや静電気の問題が起きます。容器と燃料の組み合わせは燃料と容器の適合早見表にまとめました。
よくある質問
Q. 未使用のオイルが残っています。捨てるしかありませんか。
A. 未開封で保管状態がよければ、次の交換まで使えることが多くあります。買いすぎた1本を無駄にせずに済むので、まずは保管を考えてください。ふたを閉め、直射日光と高温を避けて、屋内で立てて保管してください。開封済みのものは、空気に触れた分だけ劣化が進みます。年数がたって濁りや分離が見えるものは、使わない判断をします。
Q. 缶に少しだけ残った油は、次のオイル交換で足してよいですか。
A. まったく同じ製品の残りであれば、継ぎ足して構いません。銘柄と粘度の表示を見比べてください。種類や粘度の違うオイルを混ぜるのは避けてください。どの製品の残りか分からないものは、混ぜずに処分に回します。
Q. 空き缶を、油を捨てる容器として使えますか。
A. 一時的に廃油を移すだけなら使えます。ただし、ふたが確実に閉まるものに限ります。そして、そのまま家庭ごみとして出すことはできません。液体の廃油が入った容器は、収集の対象になりません。移した廃油は、処理箱に吸わせるか、引き取ってくれる店に持ち込むかのどちらかになります。持ち込む予定なら、缶の外側に中身と量を書いておくと、店での確認が早く済みます。
Q. 何本もためてから、まとめて出してよいですか。
A. 出し方が決まっていれば構いません。ただし、油の付いた容器を屋内にためると、においが出ます。屋外の日陰に、火の気から離して置いてください。数が多い場合は、一度に出すと収集の現場が困ることもあるので、回数を分けます。
まとめ
オイルの空き容器の処分は、中の油を出し切ることから始まります。逆さにして一晩置く、たったそれだけで、ごみとしての扱いが変わります。
出す区分は、材質と大きさで決まります。1リットルや4リットルの容器は家庭ごみの区分に収まることが多く、20リットルのペール缶は粗大ごみか、金属回収か、購入店への相談になります。迷ったときは、「これは資源として生き返る容器か」と考えてみてください。油が付いている限り、答えは変わりません。
そして、油が付いた容器を資源ごみに混ぜないこと。洗った水を排水に流さないこと。この2つを守れば、判断を間違えることはほとんどありません。
処理箱の出し方は廃油処理箱の捨て方、フィルターの扱いはオイルエレメントの捨て方、全体の流れはエンジンオイルの捨て方で扱っています。
