オイルエレメントの捨て方|中の油を抜いてから出す手順と区分

オイル交換のついでに替えたオイルエレメント。手のひらに乗る大きさですが、これがごみの区分でいちばん迷う部品です。金属の殻の中に、油をたっぷり含んだ紙が入っているという構造だからです。燃えるごみでも、金属ごみでも、資源でもない、と言われることがあります。ここでは、出す前に油を抜く手順と、地域ごとの区分の調べ方、そして受け入れてもらえないときの相談先を、順にまとめます。

目次

この記事の要点

  • まず、中に残った油を抜くことから始めます。逆さに立てて一晩置くのが基本です。
  • 区分は「金属ごみ」「燃やせないごみ」「収集しない」のどれかになることが多く、地域差が大きい部品です。
  • 分別表では「オイルエレメント」で見つからないことが多く、「オイルフィルター」「車の部品」で引き直します。
  • 油が残ったまま出さないでください。収集車や処理施設で油が漏れます。
  • 収集の対象外なら、交換した部品を買った店か、整備工場に相談します。

オイルエレメントの中身

オイルエレメントは、エンジンの中を回る油から、金属の粉やすすをこし取る部品です。外から見えるのは鉄の殻だけですが、中にはひだ状に折った紙のろ材が入っています。

このろ材は、使い終わった時点で油を含んで黒くなっています。そして、殻の中にも油がたまっています。交換したばかりのものを振ると、中で液体が動く感じが伝わってきます。

つまり、この部品は金属・紙・油の3つが組み合わさったものです。ごみの区分は素材ごとに決まっているので、混ざったものは判断が難しくなります。これが、分別表に載っていないことが多い理由です。

なお、車種によっては、殻のないろ材だけを交換する型(カートリッジ式でないもの)が使われています。この場合は、交換で出るのは紙とゴムの部品だけになり、金属の殻は車に残ります。区分を聞くときは、どちらの型かを伝えると話が早くなります。

手順1:中の油を抜く

逆さに立てて一晩置く

車から外したエレメントは、ねじ穴の側を下に向けて置きます。廃油処理箱の上、あるいは新聞紙を重ねた上に立てかけてください。

そのまま一晩置くと、中の油がかなり落ちます。時間があれば、二晩置いても構いません。寒い時期は油が固くなって流れにくいので、暖かい時間帯に日の当たる場所へ移すと早く進みます。

このとき、受け皿を必ず用意してください。思っているより多くの油が出ます。地面やコンクリートに直接置くと、しみが残って消えません。

穴を開けて抜く方法

殻の底に穴を開けて、油を抜く方法もあります。早く抜けますが、刃物や釘を使うので、けがの危険があります。作業する場合は、手袋と保護めがねを使い、押さえ方に気をつけてください。

私は、家庭での作業なら逆さに置いて待つ方法をおすすめします。時間はかかりますが、道具も危険もありません。急いで処分しなければならない理由は、ふだんの整備ではまずありません。

抜いた油はどうするか

エレメントから落ちた油も、エンジンから抜いた油と同じ扱いです。廃油処理箱で吸わせるか、引き取りを行う店に持ち込みます。処理箱の出し方は廃油処理箱の捨て方に、処分方法の全体像はエンジンオイルの捨て方にまとめました。

交換のときは、エンジンから抜く油の量に、エレメントに残る油の量を足して処理箱の容量を選んでください。目安として、乗用車のエレメントには0.2リットルから0.4リットルほどの油が残っています。

手順2:区分を調べる

油を抜いたら、出す区分を確かめます。自治体によって、次のどれかになります。同じ都道府県の中でも、市によって違うことがあるため、必ず自分の住所の案内を見てください。

区分出し方の例
金属ごみ・小さな金属油を抜いて、指定の袋か、透明な袋に入れて出す
燃やせないごみほかの不燃物と一緒に、指定の袋で出す
収集しない(対象外)販売店や整備工場、処理施設に相談する

分別表を引くときは、次の言葉を試してください。「オイルフィルター」「オイルエレメント」「車の部品」「自動車部品」「金属くず」。商品名に近い言葉で載っていないことが多いので、「自動車の部品」という大きなくくりで探すと見つかりやすくなります。

ここで一つ、覚えておいてほしいことがあります。自動車の部品は、そもそも家庭ごみとして受け付けない地域が少なくありません。タイヤ、バッテリー、部品類をまとめて対象外としている自治体もあります。その場合、エレメントも同じ扱いになります。

手順3:収集されない場合の出し先

部品を買った店

カー用品店やホームセンターで新しいエレメントを買ったなら、その店で古いものを引き取ってもらえるかを聞きます。廃油の引き取りを行っている店なら、あわせて受けてもらえることがあります。

電話で聞くときは、「オイルとエレメントをそちらで買った」「油は抜いてある」と伝えてください。条件つきでも受けてもらえる可能性が上がります。

整備工場やガソリンスタンド

整備を行う店では、エレメントが毎日出ます。そのため、金属くずとしてまとめて処理する仕組みを持っています。ふだん付き合いのある店なら、相談してみる価値があります。

ただし、引き取りは店の善意です。義務ではありません。断られても引き下がってください。何度も頼み込むような話ではありません。

金属のスクラップ業者

鉄のかたまりなので、金属回収の対象になります。油を抜いてあることが条件になるのが普通です。1個だけ持ち込むのは気が引けるかもしれませんが、ほかの金属ごみと一緒に持ち込む機会があれば、そのときに足すとよいでしょう。

一緒に出る小さな部品

オイル交換では、エレメント以外にも小さな部品が出ます。数は少ないものの、どれも扱いを聞かれることが多いものです。

ドレンボルトのパッキン(ドレンワッシャー)は、アルミや銅でできた小さな輪です。毎回交換する消耗品なので、交換のたびに1枚出ます。金属ごみとして出せることが多いですが、あまりに小さいため、ほかの金属ごみと一緒に袋へ入れてください。

古いパッキンを再利用してはいけません。一度締めたパッキンはつぶれていて、次は密着しません。数十円から数百円の部品ですが、ここを惜しむと油漏れにつながります。

使ったウエスや新聞紙も出ます。油を含んだ布は、丸めて袋に押し込まないでください。酸化のときに熱がこもり、条件が重なれば自然に発火することがあります。屋外に広げて乾かすか、水を含ませて口を縛ってから、地域の区分に従って出します。

手袋やオイルジョッキも、油が付いたまま資源に混ぜないでください。ジョッキは洗わずに、次の交換まで同じ用途で使い続けるほうが合理的です。

自分で替えるか、店に頼むか

処分の手間を知ったうえで、もう一度考えてほしいのがここです。エレメントの交換は、部品代だけを見れば自分で替えるほうが安く済みます。ただし、それだけでは判断を誤ります。

自分で替える場合、かかるのは部品代に加えて、廃油処理箱の代金、フィルターレンチなどの工具代、そして処分先を探す手間です。工具は一度買えば済みますが、処理箱は毎回かかります。

店に頼む場合、工賃はかかりますが、外した部品と廃油の処分がすべて含まれます。持ち込む必要も、区分を調べる必要もありません。

年に1回だけの作業で、工具も持っていないという方には、店に頼むほうが合っていると私は考えています。逆に、ほかの整備も自分でやっていて、処分先が決まっている方なら、自分で替えるほうが早くて安く済みます。どこまでを自分の作業にするかの線引きは車の整備をどこまで自分でやるかにまとめました。

作業場所を汚さないために

エレメントを外す瞬間は、必ず油がこぼれます。取り付け位置の真下に油が落ちるので、あらかじめ受ける準備をしておきます。

広めの段ボールを敷き、その上に新聞紙を重ねておくだけで、地面への染みを防げます。自宅の駐車場がアスファルトやコンクリートなら、一度付いた油のしみは、ほとんど落ちません。

こぼしてしまった場合は、乾いた砂や猫砂をかけて油を吸わせ、ほうきで集めてから、残りを洗剤で拭き取ります。水で流して広げないでください。面積が広がるだけです。

集合住宅の駐車場では、そもそも整備を禁じている場合があります。油のしみは管理側との争いのもとになりやすいので、作業してよい場所かどうかを先に確かめてください。

やってはいけない処分

  • 油を抜かずに、そのまま袋に入れて出す
  • 中の油を排水口や側溝に流す
  • ろ材を燃やして減らす
  • 空き地や山林に置いていく
  • 飲料の空き缶と一緒に、資源の回収に出す

油を抜かずに出せば、収集車の中で押しつぶされたときに油が漏れます。ほかのごみが汚れ、作業する人の手や足元にも付きます。抜くのに必要なのは一晩だけです。急がないでください。

また、油を含んだろ材を燃やすのも避けてください。屋外でごみを燃やす行為は、例外を除いて法律で禁じられています。煙とにおいで近所に迷惑がかかるだけでなく、煙の中には体に悪いものも含まれます。

交換の頻度と、ためない工夫

エレメントの交換は、オイル交換2回につき1回という目安で案内されることが多くあります。取扱説明書に指定があれば、それに従ってください。

つまり、出る数は年に1個か2個です。数が少ないからこそ、出し方を忘れます。一度調べた区分は、メモに残しておくと次に迷いません。

そして、油を抜いたあとは、屋外の日陰に置いておくことをおすすめします。屋内に置くと、わずかなにおいが気になります。収集日や持ち込みの日まで、受け皿の上に置いておけば十分です。

交換に使う道具は、専用のフィルターレンチが必要になることがあります。形が何種類もあるので、車に合うものを選んでください。詳しくはエンジンオイル交換に必要な工具に書きました。

交換のときに気をつけること

処分の話とあわせて、交換そのものの注意も書いておきます。ここを外すと、油漏れの原因になります。

  • 古いゴムのパッキンが、車側に張り付いて残っていないかを確かめます。二重になると必ず漏れます。
  • 新しいエレメントのパッキンに、薄く新しいオイルを塗ります。締めたときの座りがよくなります。
  • 締め付けは手で締めてから、指定の分だけです。力任せに締めると、外すときに変形します。
  • エンジンをかけたら、取り付け部の周りをのぞいて、にじみがないかを見ます。

作業のあとは、油量を確かめてください。エレメントを替えた分だけ、必要な油の量が増えます。少ないままで走ると、エンジンを傷めます。

よくある質問

Q. 油を抜いたあと、洗ってから出したほうがよいですか。

A. 洗う必要はありません。むしろ洗わないでください。洗った水が、そのまま排水に流れます。油を下水へ移すだけで、何も解決しません。抜けるだけ抜いて、外側を軽く拭く程度で十分です。

Q. バイクのエレメントも同じ扱いですか。

A. 同じです。大きさが小さいぶん、残る油も少なくなります。ただし、車種によっては、紙のろ材だけを交換する型が使われています。この場合は、紙とゴムのごみになるので、区分が変わることがあります。

Q. 何年も物置に置きっぱなしのエレメントがあります。

A. 時間がたてば油は落ちきっていることが多いので、区分を確かめて出してください。ただし、殻が錆びていると、持ったときに崩れることがあります。厚手の袋に入れて運んでください。

Q. 交換を店に頼めば、処分も任せられますか。

A. 任せられます。店で交換すれば、外した部品の処分は店が行います。処分の手間を含めて考えると、店に頼むほうが安いという判断も十分に成り立ちます。自分でやることが目的ではない場合は、遠慮なく頼んでください。

まとめ

オイルエレメントは、金属と紙と油が一体になった部品です。だから、出す前に油を抜くことがすべての前提になります。逆さに立てて一晩置く、それだけで扱いが変わります。

区分は地域差が大きく、金属ごみ、燃やせないごみ、対象外のどれもあり得ます。分別表では「オイルフィルター」「自動車部品」で探し、見つからなければ窓口に電話するのが確実です。

そして、収集されないと分かったら、部品を買った店から順に相談します。年に1個か2個の話なので、次の交換のときに一緒に持っていくという段取りにしておけば、ためこむこともありません。

抜いた油の始末は廃油処理箱の捨て方、作業に使う道具はエンジンオイル交換に必要な工具、拭き取りに使った布は油の付いたウエスの捨て方にまとめています。

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この記事を書いた人

工具逆引き堂の運営者。乙種第4類危険物取扱者(令和3年8月取得)、第二種高圧ガス販売主任者(令和8年5月取得)。ガソリン・灯油などの燃料やカセットボンベの扱いを中心に、作業ごとに必要な工具と、法令・安全上の注意点を整理しています。資格の詳細と記事の守備範囲は運営者情報をご覧ください。

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