ブロック塀の点検|自分で確認できる六つの項目と補助制度

住宅のブロック塀

ブロック塀は、地震で倒れると人の命を奪います。過去の地震では、倒れた塀の下敷きになって亡くなった方がいます。そして、倒れた塀で通行人が怪我をすれば、所有者が責任を問われます。自分の家の塀が安全かどうかは、外から見てある程度は確認できます。高さ、控え壁の有無、ひび割れ、傾き。この記事では、自分でできる点検の項目と、危ないと判断したときにどうするかを書きます。

目次

この記事でわかること

  • 自分で確認できる六つの項目
  • 高さと控え壁の決まり
  • 危ないと判断したときの進め方
  • 補助の制度と費用の目安

なぜ倒れるのか

ブロック塀は、コンクリートの塊を積み上げた構造です。積んだだけでは、横からの力に耐えられません。

そこで、内部に鉄の棒を通し、穴にモルタルを詰めて一体にします。基礎とつなぎ、高さがあれば控え壁で支えます。この処理がされていれば、相当な力に耐えます。

問題は、この処理が省略されている塀が数多く存在することです。外から見ても、内部に鉄筋が入っているかはわかりません。だから、外に現れる兆候で判断することになります。

古い塀ほど、危険が高くなります。作られた当時の基準が今と違ううえ、年月による劣化も進んでいます。

自分で確認する六つの項目

道具は要りません。歩いて見るだけで確認できます。

  • 高さ。地面から二.二メートルを超えていないか
  • 厚さ。高さに対して薄すぎないか
  • 控え壁。高さがある塀に、直角に伸びる支えが付いているか
  • 基礎。塀の根元にコンクリートの基礎が見えるか
  • 傾きとぐらつき。垂直か、押すと動かないか
  • ひび割れと劣化。割れ、欠け、鉄筋の錆による膨らみがないか

建築基準法では、ブロック塀の高さの上限が二.二メートルと定められています。これを超えるものは、現行の基準に適合しません。

高さが一.二メートルを超える場合は、一定の間隔で控え壁を設けることが求められます。塀から直角に伸びる短い壁のことです。これがない高い塀は、横からの力に弱い構造です。

ひび割れの中でも、縦に走るものと、ブロックの継ぎ目に沿って茶色いしみが出ているものは要注意です。内部の鉄筋が錆びて膨らみ、コンクリートを押し割っている状態です。

傾きの確かめ方

目で見ただけでは、わずかな傾きは判断できません。

糸の先に重りを付けて垂らすと、垂直がわかります。塀の上から垂らして、下の部分との隙間を見てください。上と下で数センチ以上ずれているなら、傾いています。

水平を測る道具を、塀の側面に当てる方法もあります。気泡の位置で判断できます。

塀を手で押してみるのも有効です。ぐらつく、動く感触がある、といった状態なら、基礎との接合が弱っています。

ただし、危険だと感じる塀を強く押さないでください。倒れます。軽く触れる程度にとどめてください。

通学路に面しているか

同じ塀でも、場所によって危険の大きさが変わります。

人が通る道に面している塀は、倒れたときに人に当たります。特に、子どもが毎日通る道なら、優先して対処すべきです。

避難する経路に面している塀も重要です。地震のときに倒れて道をふさぐと、逃げる人の妨げになります。緊急の車両も通れません。

隣家との境の塀なら、倒れた先は隣の敷地です。人が通らなくても、建物や車を壊せば賠償の問題になります。

敷地の奥にあって、誰も近づかない塀なら、優先度は下がります。ただし、放置してよいということではありません。

所有者の責任

これは、知っておいてほしい点です。

民法には、土地に設置された工作物に瑕疵があって他人に損害を与えた場合、その占有者や所有者が責任を負うという定めがあります。ブロック塀も、これに当たります。

地震という自然の力が原因であっても、塀に問題があったと判断されれば、責任を免れないことがあります。基準を満たしていない塀を放置していた場合は、特にそうです。

だから、点検は自分の身を守るためでもあります。危険を知りながら放置したという状況を、作らないでください。

個人賠償の責任を補償する保険に入っていれば、対応できる場合があります。火災保険や自動車保険に付帯していることが多いので、契約の内容を確認してください。

危ないと判断したら

点検の結果、問題がありそうなら、次の段階に進んでください。

まず、専門の業者か、自治体の相談窓口に見てもらってください。多くの自治体が、ブロック塀に関する相談を受け付けています。建築の部署が担当していることが一般的です。

判断によって、対処が変わります。全部を撤去する、高さを低くする、控え壁を追加する、別の形の塀に作り替える。状態と予算で選ぶことになります。

すぐに工事ができない場合でも、できることがあります。塀のそばに人が近づかないよう、目印を置く。危険を知らせる表示をする。これだけでも、被害を減らせる可能性があります。

補助の制度がある

多くの自治体が、ブロック塀の撤去や改修に補助を出しています。

金額や条件は自治体によって違います。道路に面していること、高さが一定以上であること、といった条件が付くことが一般的です。

撤去の費用の何割か、あるいは上限を定めた額が補助されます。新しい塀やフェンスを設置する費用まで対象になる制度もあります。

申請は、工事を始める前に行う必要があります。先に工事をしてしまうと、対象外になります。順番を間違えないでください。

自治体のサイトで、ブロック塀と補助という語で検索すれば見つかります。見つからなければ、建築の担当課に電話してください。

撤去した後の選択肢

塀をなくすと、目隠しと境界の表示がなくなります。代わりを考えてください。

金属のフェンスは、軽くて倒れにくく、費用も抑えられます。風を通すので、台風のときにも比較的安全です。目隠しの機能を持つ製品もあります。

樹脂や木を模した素材のフェンスは、見た目が柔らかく、住宅に合います。金属より高価な場合があります。

生け垣という選択もあります。倒れる危険がなく、緑が増えます。ただし、剪定の手間が毎年かかります。

低いブロックの上にフェンスを載せる形も一般的です。境界がはっきりし、高さの危険もありません。

他の屋外の設備も見る

塀を点検する機会に、周囲も確認しておいてください。

門柱も、同じ構造のものがあります。高さがあり、内部の処理が不明なら、塀と同じ危険があります。

物置は、固定されているかを見てください。固定していない物置は、強風で動き、地震で倒れます。

屋外の機器、たとえばエアコンの室外機や給湯器も、固定の状態を確認します。台が傾いていないか、ボルトが緩んでいないか。

庭木も見ておいてください。大きく育った木が、道路側に傾いていれば、倒木の危険があります。

台風の前に見ておく

地震だけでなく、強風でも塀は倒れます。

高い塀ほど、風を受ける面積が大きくなります。控え壁のない塀は、この力にも弱い構造です。

塀に立てかけているものがあれば、台風の前に片付けてください。自転車、板、資材。風で動いて塀に当たると、衝撃が加わります。

つる性の植物が塀を覆っている場合も、風を受ける面が増えます。見た目はよいのですが、重さと風圧が塀にかかります。

すでに傾いている塀なら、台風の前に近づかないよう対策してください。倒れる方向に、人や車がない状態にしておきます。

点検の記録を残す

一度見て終わりにせず、記録しておいてください。

写真を撮っておくと、次に見たときに変化がわかります。ひび割れが広がっているか、傾きが進んでいるか。時間を置いて比べることで、判断がつきます。

ひび割れの幅を記録するなら、硬貨を並べて撮ると大きさが伝わります。定規を当てて撮る方法もあります。

年に一度、同じ場所から撮るようにすれば、変化が明確になります。業者に相談するときの資料にもなります。

擁壁は別の扱い

高低差のある土地で、土を支えている壁は、塀とは別の構造物です。

土の重さを支えているので、求められる強度が違います。ブロックを積んだだけの構造で土を支えている場合、崩れる危険があります。

確認する点は、ひび割れ、はらみ出し、水が抜ける穴が詰まっていないかです。水が抜けないと、土の中に水がたまって圧力が増します。

壁の上に、さらにブロック塀が積まれている場合は特に注意が要ります。重さが加わるうえ、全体の高さが増します。

擁壁の判断は、専門の知識が要ります。気になる点があれば、自治体か専門の業者に相談してください。

中古の住宅を買うとき

これから家を買う方にも、関係する話です。

敷地にブロック塀がある物件では、その状態を確認してください。基準に適合しない塀があれば、撤去や改修の費用がかかります。

買った後は、所有者としての責任も引き継ぎます。前の所有者が作った塀であっても、倒れて人に損害を与えれば責任を問われます。

建物の検査を依頼するなら、塀も見てもらってください。見積もりの段階で、費用を交渉する材料にもなります。

点検のタイミング

思い出したときに見る、では続きません。時期を決めてください。

年に一度、同じ時期に見るのが基本です。防災の日や、台風の季節の前など、覚えやすい時期に決めておくと忘れません。

地震の後も、必ず確認してください。揺れを感じる程度の地震でも、塀には負担がかかっています。前回の写真と比べれば、変化がわかります。

大きな台風が通過した後も同じです。強風で傾いていないか、確認してください。

そして、家の周りを歩く機会に、ついでに見る習慣をつけると負担になりません。

自分で直せる範囲

ブロック塀の補修を、自分でやろうと考える方もいると思います。

表面の小さなひびを埋める程度なら、市販の補修材でできます。見た目が整い、水の侵入を減らせます。

ただし、構造の問題は直せません。内部の鉄筋が足りない、控え壁がない、基礎が弱い。こうした問題は、表面を埋めても解決しません。

むしろ、ひびを埋めて見た目がよくなると、危険が見えなくなります。補修で安心せず、構造の面の判断は専門家に仰いでください。

よくある質問

鉄筋が入っているか調べられますか

専用の機器を使えば調べられますが、家庭では持っていません。業者に依頼すれば、非破壊で確認してもらえます。自分で確認するなら、外に現れた兆候で判断することになります。

隣の家の塀が危ない場合は

直接伝えにくい相手なら、自治体に相談してください。窓口から働きかけてもらえる場合があります。強く求めると関係が悪化するので、伝え方には配慮が要ります。補助の制度があることを教えるのは、角の立たない方法です。

撤去の費用はいくらですか

長さと高さによりますが、メートルあたり一万円前後が一つの目安です。処分の費用と、基礎の撤去が加わります。補助を使えば、負担は下がります。複数の業者から見積もりを取ってください。

賃貸の場合はどうしますか

建物と敷地の所有者の責任です。管理会社か大家さんに伝えてください。自分で対処する必要はありませんが、危険に気づいたら伝えておくべきです。

低い塀なら安全ですか

一メートル以下の塀なら、倒れても被害は小さくなります。ただし、基礎がない、ひび割れがひどいといった状態なら、低くても崩れます。高さだけで判断せず、他の項目も確認してください。

補助を使うには何から始めますか

自治体の建築の担当課に電話して、制度の有無と条件を聞いてください。対象になるなら、申請の書類と、業者の見積もりが必要になります。工事を始める前に申請することが条件です。

塀の上にフェンスを載せてもよいですか

塀の強度によります。既存の塀に十分な鉄筋と基礎があることが前提です。高さの制限にも関わるので、設置の前に業者か自治体に確認してください。低い塀の上に風を通すフェンスを載せる形は、一般的な方法です。

まとめ

ブロック塀は、高さ、控え壁、基礎、傾き、ひび割れを見れば、危険の目安がつきます。高さの上限は二.二メートル、一.二メートルを超えるなら控え壁が必要です。ひび割れから茶色いしみが出ているのは、内部の鉄筋が錆びている合図です。危ないと判断したら、自治体の相談窓口へ。多くの自治体に撤去の補助があり、申請は工事の前に行う必要があります。倒れた塀で人が怪我をすれば、所有者が責任を問われます。

防災の備えは防災で備える工具、高所の作業は脚立とはしごの選び方、庭木の手入れは庭木の剪定に必要な道具にまとめています。

屋外の設備として、物置の設置と転倒防止もあわせて確認してください。

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この記事を書いた人

工具逆引き堂の運営者。乙種第4類危険物取扱者(令和3年8月取得)、第二種高圧ガス販売主任者(令和8年5月取得)。ガソリン・灯油などの燃料やカセットボンベの扱いを中心に、作業ごとに必要な工具と、法令・安全上の注意点を整理しています。資格の詳細と記事の守備範囲は運営者情報をご覧ください。

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