洗濯機の設置は、業者に任せれば数千円で済みます。それでも自分でやる場面はあります。引っ越しで運んだ、置き場所を変えた、防水パンを掃除するために動かした。こうしたときに、正しい手順を知らないまま戻すと、水漏れと騒音の原因になります。特に見落とされやすいのが、輸送のための固定部品と、アース線です。前者を外し忘れると洗濯機が壊れ、後者を忘れると感電の危険が残ります。この記事では、順を追って手順を書きます。
この記事でわかること
- 設置の前に確認する寸法
- 輸送用の固定部品の扱い
- 給水と排水のつなぎ方
- 水平を出す重要性
置く場所の寸法を測る
買う前、あるいは運ぶ前に、測っておくべき箇所があります。ここを飛ばすと、届いた洗濯機が入らないという事態になります。
まず、防水パンの内寸です。洗濯機の脚が収まる範囲を測ってください。外寸ではなく、縁の内側の寸法です。パンの形状によっては、四隅に出っ張りがあります。
次に、蛇口の高さです。洗濯機の上端より蛇口が低いと、ホースをつなげません。特に、上部にふたが開く形式では、ふたを開けたときの高さも必要になります。
そして、搬入の経路です。玄関、廊下、洗面所の扉。どこか一か所でも幅が足りなければ、部屋まで運べません。扉を外せば通る場合もあるので、事前に確認してください。
階段を通る場合は、曲がり角の広さも見ておいてください。まっすぐな廊下は通っても、角で回せないことがあります。
輸送用の固定部品を外す
新品の洗濯機を設置するとき、最も多い失敗がここです。説明書を読まずに使い始めると、必ず引っかかります。
洗濯機の内部の槽は、ばねで吊られています。運搬中に揺れて壊れないよう、工場で固定されて出荷されます。この固定を外さずに運転すると、大きな音と振動が出て、内部の部品が壊れます。
ドラム式の製品では、背面に数本のボルトが付いています。取扱説明書に位置が書かれているので、必ず確認してください。外したボルトは、次に引っ越すときに使うので、捨てずに保管します。
縦型の製品では、固定の部品が付いていない機種もあります。ただし、内部に緩衝材が入っていることがあるので、説明書を読んでください。
逆に、引っ越しで運ぶときは、この固定を戻す必要があります。固定せずに運ぶと、同じく内部が壊れます。業者に運搬を頼む場合も、この部品の有無を伝えてください。
水平を出す
設置で最も重要な作業が、水平を出すことです。ここが狂っていると、あらゆる不具合につながります。
洗濯機が傾いていると、脱水のときに激しく揺れます。音が大きくなるだけでなく、洗濯機が歩いて移動し、ホースが抜けることもあります。
脚には、高さを調節する機構が付いています。回すと上下するので、低い側を上げて水平にします。多くの機種で、ナットを緩めてから回し、決まったら締め直す構造です。
水平は、水平器を本体の上に置いて確認します。前後と左右の両方向で測ってください。専用の道具がなくても、携帯電話の機能で代用できます。
四隅を手で押してみて、がたつきがないことも確かめてください。一か所でも浮いていれば、運転中に動きます。
給水ホースをつなぐ
蛇口と洗濯機をつなぐ作業です。ここにも順番があります。
まず、蛇口を閉めてください。開いたまま作業すると、当然ながら水が出ます。
洗濯機用の蛇口には、専用の接続部が付いていることがあります。四本のねじで固定する金具です。付いていない場合は、市販の部品を取り付けます。数百円から千円台です。
ホースの先端を、接続部にはめ込みます。かちりと音がするまで押し込み、外れないことを手で引いて確認してください。ここが甘いと、水圧で外れて部屋が水浸しになります。
洗濯機側も同じです。ナットを回して締めますが、締めすぎると部品を割ります。手で回して、止まるところまでで十分です。
つないだら蛇口を開け、接続部から水がにじまないことを確認してください。数分待って、もう一度見ます。
排水ホースをつなぐ
排水の側にも、いくつか注意する点があります。給水ほど手間はかかりませんが、においと詰まりに直結する部分です。
ホースを排水口に差し込みますが、防臭のための部品が入っているかを確認してください。この部品がないと、下水のにおいが上がってきます。
ホースと排水口の隙間も、においの経路になります。隙間を埋める部品が数百円で市販されているので、使ってください。
ホースが折れ曲がっていないか、押しつぶされていないかも見てください。洗濯機を壁に寄せたときに、後ろでホースが潰れることがあります。これが排水の不良につながります。
ホースの位置が高すぎると、水が流れにくくなります。洗濯機の底より高い位置に上げないでください。
アース線をつなぐ
最も忘れられやすい作業ですが、必ずつないでください。
洗濯機は、水を使う機器です。内部で絶縁が劣化して電気が漏れた場合、金属の外枠に電気が流れます。濡れた床に裸足で立った状態で触れば、感電します。
アース線は、コンセントの下にある小さな蓋の中につなぎます。蓋を開け、ねじを緩め、線の先端を差し込んで締めるだけです。工具はマイナスドライバー一本で足ります。
資格は要りません。差し込んで使う機器の側の作業だからです。作業そのものは一分で終わります。
コンセントにアース端子がない住宅では、電気工事店に相談してください。工事で端子を設けられます。すぐに対応できない場合は、漏電を検知する機能の付いたプラグを使う方法があります。
防水パンの役割
洗濯機の下にある、四角い受け皿のことです。役割を知っておいてください。
ホースが外れた、本体から水が漏れた。こうしたときに、水を受けて排水口へ流します。特に集合住宅では、下の階への漏水を防ぐ重要な設備です。
ただし、掃除がしにくいという欠点があります。洗濯機の下に手が入らず、ほこりと髪の毛がたまります。放置すると、排水口をふさぐ原因になります。
かさ上げする台を使うと、下の空間が広がって掃除できます。洗濯機を持ち上げる必要があるので、設置のときに一緒に入れておくのが効率的です。
年に一度は、洗濯機を動かしてパンの中を掃除してください。においと詰まりの予防になります。
動かすときの注意
掃除のために洗濯機を動かす場面があります。
作業の前に、蛇口を閉め、電源のプラグを抜いてください。水と電気の両方を止めてから動かします。
洗濯機は重く、しかも重心が高いものです。一人で無理をすると、腰を痛めるか、洗濯機を倒します。二人での作業をおすすめします。
床を傷つけないよう、毛布や板を敷いて滑らせる方法もあります。持ち上げるより、体への負担が小さくなります。
戻したら、必ず水平を出し直してください。動かす前は水平でも、戻した位置で傾いていることがあります。
試運転で確認する
設置が終わったら、確認の運転をしてください。洗濯物を入れずに、水だけで回します。
- 給水の接続部から水がにじんでいないか
- 排水がきちんと流れているか
- 脱水のときに大きく揺れないか
- 異音がしないか
- 床に水が漏れていないか
- 運転後、防水パンに水がたまっていないか
脱水のときが最も負荷のかかる工程です。ここで揺れが大きいなら、水平が出ていないか、輸送用の固定部品が残っています。
問題がなければ設置は完了です。最初の一回は、その場で見ていてください。
ホースの寿命
設置とは別に、知っておいてほしいことがあります。ホースは消耗品です。
給水ホースは、常に水圧がかかった状態にあります。年月とともにゴムが硬くなり、ひび割れます。ある日突然破裂すると、水が出続けます。
目安は、五年から十年です。表面にひび、膨らみ、変色があれば交換してください。部品は千円台で、自分で交換できます。
そして、使わないときは蛇口を閉める習慣をつけてください。ホースに水圧がかからない時間ができ、寿命が延びます。留守にするときは、必ず閉めてください。
ホースが外れたときに自動で水を止める機能を持つ部品もあります。集合住宅では、検討する価値があります。
置き場所による違い
設置の条件は、住まいの造りによって変わってきます。
屋外やベランダに置く場合、雨と紫外線でホースと本体が早く傷みます。カバーをかけるか、屋根のある位置を選んでください。凍結の対策も必要です。
二階に置く場合は、漏水の影響が大きくなります。防水パンがない場合、設置を検討してください。
集合住宅では、階下への漏水が賠償の問題になります。火災保険に付帯する補償で対応できることがあるので、契約の内容を確認しておいてください。
そして、夜間の使用については、振動が下の階に伝わります。水平を出しておくことが、近隣への配慮にもなります。
業者に頼む場合
自分でやらないほうがよい場合もあります。
ドラム式の製品は、重量が百キロに近づくものもあります。運搬と設置は、二人以上でも難しい作業です。無理をせず、依頼してください。
購入した店に頼めば、配送と設置がまとめて済みます。費用は数千円で、古い洗濯機の引き取りも同時に頼めます。
蛇口の形式が合わない、排水口の位置が本体の下に隠れる。こうした条件では、追加の部品や工事が必要になります。事前に写真を送って相談すると、当日に慌てません。
古い洗濯機の処分
買い替えのときは、外した本体の処分が必要になります。洗濯機は、家電リサイクル法の対象です。粗大ごみとして出すことはできません。
方法は三つあります。新しい製品を買った店に引き取ってもらう、購入した店に持ち込む、自治体の案内する業者に依頼する。どの場合も、リサイクルの料金と運搬の費用がかかります。
費用の目安は、リサイクル料が二千円台から、運搬が数千円です。新しい製品の配送と同時に引き取ってもらうのが、最も安く済みます。
運び出す前に、内部の水を抜いておいてください。ホースと本体に残った水が、運搬中に床へこぼれます。排水ホースを下げて、しばらく置けば抜けます。
使い始めてからの手入れ
設置が終わったら、その後の手入れも決めておいてください。手間をかけずに済ませる方法があります。
糸くずを受ける部品は、毎回とは言わないまでも、数回に一度は取り除いてください。目詰まりすると、洗いの性能が落ちます。
使い終わったら、ふたを開けておいてください。閉め切ると内部が乾かず、かびとにおいの原因になります。これだけで、内部の状態がかなり変わります。
月に一度、専用の洗浄剤で槽を洗ってください。見えない部分に、汚れとかびがたまります。洗濯物ににおいが移るようになったら、すでに進んでいる状態です。
洗剤の量も、多ければよいものではありません。溶け残った洗剤が汚れとして残り、かびの栄養になります。表示の量を守ってください。
よくある質問
脱水のときにひどく揺れます
まず、輸送用の固定部品が残っていないか確認してください。新品の場合、これが最も多い原因です。次に、水平を測り直します。それでも揺れるなら、洗濯物の偏りか、内部の部品の不具合です。
排水口からにおいがします
防臭の部品が入っていないか、ホースと排水口の隙間が空いています。数百円の部品で塞げます。排水口の内部に汚れがたまっている可能性もあるので、あわせて掃除してください。
アース線が届きません
延長する線が数百円で市販されています。接続部が緩まないよう、確実に締めてテープで留めてください。線を床に這わせる場合は、踏まれない位置を通してください。
防水パンがない住宅では
設置そのものは可能ですが、漏水したときに床が濡れます。後から設置できる製品もあります。集合住宅で、階下への影響が心配なら、管理会社に相談してください。
まとめ
洗濯機の設置では、三つを外さないでください。輸送用の固定部品を外すこと、水平を出すこと、アース線をつなぐこと。固定部品が残っていれば内部が壊れ、水平が狂っていれば脱水で歩き、アースがなければ感電の危険が残ります。給水ホースは、かちりと音がするまで確実に差し込んでください。ここが甘いと、水圧で外れます。設置が終わったら、洗濯物を入れずに一度回して確認してください。
アースのつなぎ方はアース線のつなぎ方、排水のにおいは排水口のにおいの原因、引っ越しの道具は引っ越しに必要な工具にまとめています。