浴室のコーキング打ち替えに必要な道具|かびたシリコンの交換手順

浴槽と壁のすき間、洗面台と壁の境目。水まわりの継ぎ目を埋めているゴムのような材料が、コーキング(シーリング)です。黒いかびが根を張ったり、ひび割れたり、はがれかけたりしたコーキングは、見た目が悪いだけでなく、すき間から壁の内側へ水が入る入り口になります。打ち替えは、道具がそろえば自分でもできる作業です。ただし、仕上がりを左右するのは道具の選び方と、下準備の丁寧さです。

目次

大事な点をまとめると

  • 浴室には、防かび剤入りの、水まわり用のシリコーン系コーキング材を選びます。
  • 仕上がりの8割は、古いコーキングを取り除き、乾かし、マスキングテープを貼る下準備で決まります。
  • カッターの刃で、浴槽の表面や壁を傷つけないよう注意します。
  • 打ったあとは、表示された時間、水を使わずに乾かします。

打ち替えを考えるサイン

コーキングの状態意味すること
黒い点や筋が、表面をこすっても落ちないかびが内部まで入り込んでいる
ひび割れている劣化して、弾力がなくなっている
浴槽や壁から、端がはがれているすき間から水が入り込む
やせて、へこんでいる材料が縮み、密着が弱くなっている
押すと、ぶよぶよしている中に水が入り込んでいる可能性がある

表面の軽い汚れなら、浴室用の洗剤やかび取り剤で落ちることもあります。ですが、かびが内部まで根を張ったコーキングは、表面をいくら掃除しても、しばらくすると黒い色が戻ってきます。その段階なら、打ち替えを考えてください。

とくに注意したいのは、はがれやひび割れです。見た目の問題にとどまらず、すき間から入った水が、壁の内側や床下にしみ込みます。気づかないうちに下地の木材が傷んだり、集合住宅なら下の階へ水が漏れたりすることもあります。

コーキング材の選び方

コーキング材には、成分の違う種類があり、使ってよい場所が決まっています。浴室に合わない種類を選ぶと、すぐに汚れたり、はがれたりします。

種類向いている場所注意点
シリコーン系(水まわり用、防かび剤入り)浴室、洗面台、台所のシンクまわり上から塗装ができない。表面に塗料がのらない
変成シリコーン系外壁のすき間、塗装する場所浴室の水にさらされる場所には向かない製品が多い
アクリル系室内の壁紙のすき間など、水のかからない場所水に弱い。浴室には向かない

浴室なら、「バス・キッチン用」「水まわり用」と書かれ、防かび剤が入ったシリコーン系を選んでください。製品の箱や本体に、使える場所が必ず書かれています。

色も選べます。浴槽や壁の色に近い白、または半透明が一般的です。黒いかびが目立ちにくいという理由で、灰色を選ぶ方もいます。

古いコーキングの上から重ねて塗らない

かびたコーキングの上に、新しいコーキングを重ねて塗って済ませたくなることがあります。これは避けてください。

シリコーン系のコーキングの表面には、ほかの材料がくっつきにくい性質があります。重ねて塗った新しいコーキングは、古いものの上にうまく密着せず、すぐにはがれてきます。そして、下に残ったかびが、新しいコーキングの内側で広がり、表面に透けて見えてきます。古いものは、必ず取り除いてから打ち替えます。

必要な道具

道具役割優先度
水まわり用のコーキング材すき間を埋める材料必須
コーキングガンカートリッジ式のコーキング材を押し出す。チューブ式なら不要材料による
カッターナイフ古いコーキングに切れ込みを入れる。ノズルの先を切る必須
コーキング除去用のへら(スクレーパー)古いコーキングをはがし取る高い
マスキングテープコーキングを塗る範囲の両側を覆い、線をまっすぐにする必須
仕上げ用のへらコーキングの表面をならす高い
アルコール、乾いた布すき間の汚れと油分、水気を取る必須
ゴム手袋、保護めがねかび取り剤やコーキング材から手と目を守る高い
ドライヤーすき間を乾かすのを手伝う中

コーキング材には、手で押し出すチューブ式と、ガンに取り付けて押し出すカートリッジ式があります。浴槽の周り一周など、長い距離を打つならカートリッジ式のほうが、同じ太さで押し出しやすく、仕上がりがそろいます。短い範囲の補修なら、チューブ式でも十分です。

手順1:古いコーキングを取り除く

  1. 浴室をよく換気する。
  2. コーキングの、浴槽側と壁側の境目に、カッターで浅く切れ込みを入れる。
  3. 端をつまんで、ゆっくり引きはがす。途中で切れたら、また切れ込みを入れて続けます
  4. 残ったかすを、へらでこそげ取る。
  5. すき間の奥に残ったかびや汚れを取る。

カッターの刃を、浴槽や壁の表面に向けて強く当てないでください。樹脂の浴槽の表面や、壁のパネルは、刃で簡単に傷が付きます。一度付いた傷は元に戻らず、そこに汚れやかびがたまりやすくなります。切れ込みは、刃を寝かせ気味にして、コーキングの側に向けて入れます。そして、カッターを自分の体の方へ引かないでください。固いコーキングで刃が滑ったとき、手や脚を切ります。刃は、折って新しくしながら使うと、余計な力をかけずに済みます。かびを取るときは、かび取り剤と、酸性の洗剤を同時に使わないこと。有毒なガスが発生します。

かび取り剤を使った場合は、水でよく洗い流し、薬剤を残さないようにしてください。薬剤が残っていると、新しいコーキングがうまく密着しません。

手順2:乾かす

ここが、いちばん省かれやすく、そしていちばん仕上がりに効く工程です。

コーキングは、濡れた場所や湿った場所には、うまく密着しません。表面が乾いて見えても、すき間の奥には水が残っていることがあります。そのまま打つと、数週間から数か月ではがれてきます。

  • 前の日から、浴室を使わない。シャワーやお風呂を使うと、また濡れてしまいます
  • 換気扇を回し、窓を開けて、よく乾かす。
  • すき間の奥は、ドライヤーの温風を離れた位置から当てて乾かす。水のかかる場所では使わず、コンセントの位置と濡れた床に注意してください
  • 最後に、アルコールを含ませた布で、すき間の汚れと油分を拭き取る。

浴室の換気扇の手入れについては、換気扇・レンジフードの掃除と交換で触れました。乾かす作業の前に換気扇のフィルターのほこりを取っておくと、乾きが早くなります。

浴槽に水を張ってから打つ理由

浴槽と壁のすき間を打ち替えるときは、浴槽に水を張ってから作業する方法が、よくすすめられています。

浴槽は、お湯を張ると重さで少し沈みます。空の状態でコーキングを打つと、お湯を張ったときに浴槽が沈み、コーキングが引っ張られてはがれたり、切れたりすることがあります。水を張った状態で打てば、ふだん使うときと同じ位置で固まります。

ただし、水を張ると浴室の湿気が増えます。コーキングを打つ直前に水を張り、ふたをして、換気を続けながら作業すると、乾いた状態を保ちやすくなります。

手順3:マスキングテープを貼る

すき間の両側に、コーキングを塗る幅だけを残してマスキングテープを貼ります。テープは、水まわりの表面にも貼りやすく、はがしたあとに跡が残りにくい、塗装や養生用のものを選んでください。事務用のテープは、湿った浴室ではうまく貼り付かず、はがすときに破れやすくなります。

  • すき間に沿って、まっすぐに貼る。テープの線が、そのまま仕上がりの線になります
  • 残す幅は、左右でそろえる。
  • テープの端を、指でしっかり押さえて密着させる。浮いていると、その下にコーキングが入り込みます
  • 角の部分は、テープを重ねて、すき間を作らない。

手間に感じるかもしれませんが、テープを貼るかどうかで、仕上がりの見た目がまったく違います。テープなしで、まっすぐきれいな線を引くのは、慣れた人でも難しい作業です。

手順4:コーキングを打って、ならす

  1. ノズルの先を、すき間の幅より少し細い太さになる位置で、斜めに切る。
  2. ノズルをすき間に当て、一定の速さで動かしながら押し出す。途中で止めると、そこだけ膨らみます
  3. すき間の奥まで、すき間なく詰まるように押し出す。
  4. 仕上げ用のへらで、表面を一方向にならす。余ったコーキングは、へらに付けて取ります
  5. 表面が固まり始める前に、マスキングテープをはがす。コーキングを塗った側に向けて、斜めにゆっくり引きます

5番のテープをはがすタイミングが大事です。コーキングが固まってからはがすと、テープと一緒にコーキングの端が引っ張られて、線がぎざぎざになります。ならし終わったら、すぐにはがすと覚えてください。

一度にならそうとして、何度もへらで往復すると、表面が荒れます。一方向に、1回か2回でならすのが、きれいに仕上げるこつです。

手順5:乾くまで待つ

コーキング材の製品には、表面が乾くまでの時間と、中まで固まるまでの時間が書かれています。

  • 表示された時間は、浴室で水を使わない。表面が乾いて見えても、中はまだ固まっていません
  • 換気を続ける。
  • 固まるまで、指で触らない。
  • 寒い時期や、湿気の多い時期は、表示より長めに待つ。

家族で住んでいる場合は、いつまで浴室を使えないかを先に伝えておいてください。作業の途中で誰かがシャワーを使ってしまうと、それまでの準備が無駄になります。浴室を使わない日を決めてから作業を始めるのが、いちばん確実です。

かびを再発させないために

打ち替えたばかりのコーキングも、湿ったまま放置すれば、またかびが生えてきます。

  • 入浴のあと、壁と浴槽の水滴を拭き取るか、冷たい水をかけて温度を下げる。
  • 換気扇を回し続けて、浴室を乾かす。
  • 石けんかすや皮脂の汚れを、ためない。かびの栄養になります
  • 黒い点が出てきたら、早いうちに浴室用の洗剤で落とす。

浴室のかびは、湿気、温度、汚れの3つが揃うと増えます。どれか一つを減らすだけでも、コーキングが長持ちします。

打ち替えでよくある疑問

Q. 賃貸の浴室でも、自分で打ち替えていいですか

A. 作業の前に、まず管理会社や貸主に相談してください。

コーキングの劣化は、年数がたてば起きるもので、貸主の側で直してもらえることがあります。自分で打ち替えて仕上がりが悪いと、退去のときに問題になることもあります。賃貸での手入れの考え方は、賃貸でできるDIYの範囲にまとめています。

Q. どのくらいもちますか

A. 浴室の使い方と、日ごろの手入れの具合によって大きく変わります。

換気がよく、汚れをためない浴室なら長くもちますし、湿気がこもりやすい浴室では早く劣化します。年数で決めず、前の節で挙げた打ち替えのサインが出たらと考えてください。

Q. 業者に頼んだほうがいい場合は

A. 次のような場合は、業者への相談を考えてください。

  • コーキングの下の壁や床が、傷んでいる、ぶよぶよしている
  • 下の階や、壁の外側に水が漏れた跡がある
  • 浴槽そのものにひびがある
  • 浴室全体の、多くの継ぎ目を打ち替える必要がある

とくに、すでに水が壁の内側に入っているような場合は、コーキングを新しくするだけでは解決しません。下地の傷みを直す必要があるので、早めに専門の業者に見てもらってください。水まわりの修理で、自分でできる範囲とそうでない範囲は、水まわりの修理に必要な工具で整理しています。

Q. はみ出したコーキングが固まってしまいました

A. 固まったシリコーン系のコーキングは、布で拭いても取れません。カッターの刃を寝かせて、表面を傷つけないよう少しずつ削り取るか、コーキング用の除去剤を使います。除去剤は、浴槽や壁の素材を傷めないか、製品の表示を確かめてから使ってください。

はみ出しを防ぐいちばんの方法は、やはりマスキングテープを丁寧に貼ることです。テープを貼る手間を惜しんだ分だけ、あとで削る手間が増えます。

打ち替えの流れの確認

  • 材料は防かび剤入りの、水まわり用シリコーン系。
  • 古いコーキングは、重ね塗りせず、取り除く。刃で浴槽を傷つけない。
  • 前の日から浴室を使わず、しっかり乾かす。
  • 浴槽に水を張り、マスキングテープを貼ってから打つ。
  • ならしたらすぐにテープをはがし、表示された時間は水を使わない。
  • 入浴のあとは水滴を拭き、換気して、かびを防ぐ。

コーキングの打ち替えは、実際にコーキングを押し出している時間より、古いものをはがし、乾かし、テープを貼る時間のほうがずっと長い作業です。

その地味な準備を丁寧にやった分だけ、白くまっすぐな線が長く続きます。急いで仕上げたくなったら、乾かす時間を一晩延ばしてください。仕上がりの差は、そこで出ます。

水まわりで起きるほかの困りごとと、自分で手を出してよい範囲は、家の水まわりトラブル対処まとめで一覧にしました。

あわせて、鏡のうろこ取りも参考になるはずです。

この記事を書いた人:たに

工具逆引き堂の運営者です。乙種第4類危険物取扱者と、第二種高圧ガス販売主任者(LPガス対象)を持っています。どちらも国家資格です。ただし資格で語れるのは、燃料とLPガスの取扱いまでです。電気工事や冷媒など範囲外の話題は、書かないか、専門家への相談をすすめます。書ける範囲と編集方針は運営者情報にまとめています。

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この記事を書いた人

工具逆引き堂の運営者。乙種第4類危険物取扱者(令和3年8月取得)、第二種高圧ガス販売主任者(令和8年5月取得)。ガソリン・灯油などの燃料やカセットボンベの扱いを中心に、作業ごとに必要な工具と、法令・安全上の注意点を整理しています。資格の詳細と記事の守備範囲は運営者情報をご覧ください。

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