冷蔵庫は、家の中で唯一、一年中止まらない家電です。だから、電気代への影響も大きい。そして、詰め込み方や置き方を変えるだけで、消費する電力が変わります。掃除も、庫内だけではありません。背面や下に付いたほこりが、冷やす力を落としています。この記事では、掃除の手順と、効率を落とさない使い方、そして寿命の見極めを書きます。
この記事でわかること
- 冷やす仕組みと効率の関係
- 庫内と外側の掃除
- 詰め方と置き方
- においと霜への対処
熱を外へ出す仕組み
冷蔵庫は、庫内の熱を外へ運び出す機械です。冷気を作っているのではなく、熱を移動させています。だから、外へ出した熱が逃げなければ、冷えません。
この熱は、本体の背面や側面から出ていきます。そこを触ると温かいのは、正常に働いている証拠です。
つまり、この面の周りに空間がないと、熱がこもります。熱がこもれば、機械は余計に働くことになり、電力を使い、寿命も縮みます。
説明書には、上と左右にどれだけ空間が必要かが書かれています。壁にぴったり付けている家庭が多いのですが、ここを守るだけで効率が変わります。
背面と下の掃除
ここが、冷蔵庫の手入れで最も見落とされる場所です。
背面と下には、大量のほこりがたまります。ここに熱を逃がす部品があるので、ほこりの層が毛布のように働いて、熱がこもります。
年に一度でよいので、本体を手前に引き出して掃除機をかけてください。動かすのが難しければ、下の隙間から細いノズルを入れるだけでも違います。
動かすときは、床を傷つけないよう板や厚紙を敷いてください。そして、電源を抜いてから作業してください。
この掃除をしただけで、冷えが良くなったという例もあります。手間に対して、効果の大きい作業です。
庫内の掃除
次に、庫内を洗うときの手順です。
一度に全部を出すと、食品が傷みます。棚ごとに区切って進めてください。上の段から順にやれば、こぼれた汚れが下に落ちても問題ありません。
棚や引き出しは、外して洗えます。ただし、ガラスの棚を急に熱い湯につけないでください。温度差で割れます。常温に戻してから洗ってください。
庫内の壁は、薄めた中性洗剤で拭き、そのあと水拭きします。塩素系の漂白剤は、樹脂を傷めるので避けてください。
仕上げに、消毒用のアルコールで拭くと、雑菌が減ります。食品を入れる場所なので、成分が残らないものを選んでください。
扉のゴムを見る
掃除のついでに見てほしい、効率に直結する部分があります。
扉の周囲には、磁石の入ったゴムが付いています。これが庫内を密閉しています。ここが傷むと、冷気が漏れ続けます。
確認は簡単です。紙を挟んで扉を閉め、引いてみてください。抵抗なく抜けるなら、そこは密閉できていません。
ゴムの溝には、細かい汚れがたまります。綿棒や歯ブラシで掃除してください。汚れが挟まっているだけなら、これで密閉が戻ります。
ゴム自体が硬くなっている、切れている場合は、部品として交換できます。メーカーに型番を伝えて注文してください。
詰め方で変わる
入れ方については、冷蔵の部分と冷凍の部分で考え方が正反対になります。
冷蔵の側は、詰め込まないほうが効率的です。冷気が循環する必要があるので、隙間が要ります。七割程度に抑えるのが目安です。
一方、冷凍の側は、詰まっているほうが効率的です。凍ったもの同士が互いを冷やし合うためです。空いているなら、保冷剤や凍らせた水を入れておくとよい。
そして、冷気の吹き出し口をふさがないでください。ここを食品で覆うと、庫内全体が冷えなくなります。奥の壁にある場合が多いので、一度確認してください。
熱いものを、そのまま入れないでください。庫内の温度が上がり、他の食品にも影響します。冷ましてから入れてください。
置き場所と使い方
日々の運用の仕方でも、使う電力は変わります。
直射日光が当たる場所、コンロの横。こうした場所は避けてください。周囲が暑いほど、熱を外へ出しにくくなります。
扉を開けている時間も、積み重なります。何を取るか決めてから開ける。この習慣だけで違います。中身が見える配置にしておくと、探す時間が減ります。
温度の設定も、季節ごとに見直してください。夏は強く、冬は弱く。一年中同じ設定のままにしている家庭が多いのですが、冬に強のままだと無駄が出ます。
そして、扉に物を貼りすぎると、放熱の面をふさぐ機種があります。側面が熱を出す設計なら、そこに物を立てかけないでください。
においへの対処
においが気になるときは、原因を取り除くのが先です。
消臭剤を入れる前に、庫内を確認してください。奥で傷んでいる食品、こぼれて固まった汁。これが原因なら、取り除けば消えます。
野菜を入れる引き出しは、特にたまりやすい。野菜くずや、しみ出た水分が底に残ります。定期的に外して洗ってください。
においの強い食品は、密閉できる容器に入れてください。庫内の空気は循環しているので、他の食品にも移ります。
そのうえで、まだにおうなら消臭剤を使ってください。ただし、こうした製品には効果の続く期限があります。入れっぱなしにすると、働きがなくなります。
霜が付くとき
今の機種の多くは、自動で霜を取る仕組みを持っています。それでも霜が付くなら、理由があります。
扉が完全に閉まっていない、扉のゴムが傷んでいる、開ける回数が多い。どれも、湿った空気が入り続けている状態です。
霜が厚くなると、冷やす力が落ちるうえ、庫内も狭くなります。見つけたら、放置せず原因を探してください。
取り除くときに、金属の道具でこすらないでください。内壁を傷つけると、修理できません。電源を切って、自然に溶かすのが安全です。
製氷の部分
自動で氷を作る機種には、庫内とは別の掃除があります。
水を入れるタンクと、そこから氷を作る部分まで管が通っています。この水が長く残ると、雑菌やぬめりが出ます。
タンクは、週に一度を目安に洗ってください。分解できる部品は、外して洗います。中の管を掃除する専用の道具もあります。
氷にいやなにおいが付いたら、この部分か、冷凍の中のにおいが原因です。長く使っていない氷は、捨てて作り直してください。
浄水した水や、湯を沸かした水を入れると、雑菌が増えやすくなる機種があります。説明書の指示に従ってください。
冷えないときの確認
冷えが悪いとき、故障を疑う前に見る場所があります。
まず、扉が半開きになっていないか。食品や容器が挟まっているだけ、ということがあります。
次に、温度の設定が変わっていないか。掃除のときに、知らずに触ってしまうことがあります。
吹き出し口がふさがれていないか。詰め込みすぎていないか。背面にほこりがたまっていないか。ここまで確認して、それでも冷えないなら、故障です。
そのときは、庫内の食品を保冷できる容器に移してください。修理の業者を待っている間に、食品が傷みます。
寿命と買い替え
買い替えを判断するときの目安です。
設計上の標準使用期間は、おおむね十年とされています。実際には、それ以上使えることも多い。
ただし、古い機種は消費する電力が大きく設計されています。十年以上前の製品と今の製品では、年間の電気代に差が出ます。動いているうちは使うという判断も、必ずしも得とは限りません。
異音が大きくなった、扉のゴムがもう手に入らない、掃除しても冷えが戻らない。こうなったら、買い替えを考える時期です。
そして、古い冷蔵庫は家電リサイクル法の対象です。粗大ごみには出せません。購入した店か、自治体の案内に従って引き取ってもらってください。
掃除の段取り
庫内の掃除は、食品を扱う作業でもあります。段取りを決めてから始めてください。
まず、買い物の直前にやるのが理想です。中身が少ないほど、作業が早く終わります。買い出しの前日か当日の朝に予定を入れると、無駄がありません。
取り出した食品は、保冷剤を入れた箱にまとめてください。特に夏場は、常温に置いた時間がそのまま傷みにつながります。冷凍のものは、毛布や新聞紙で包んでおくと溶けにくくなります。
そして、この機会に賞味期限を確認してください。奥に押しやられて忘れられていた食品が、必ず出てきます。掃除のたびに整理すれば、無駄になる食品が減ります。
時間は、一時間ほどみておけば足ります。全部を一日でやろうとせず、今日は冷蔵、来週は冷凍、と分けてもかまいません。
入れる場所を決めておく
掃除を終えて戻すときに、置き方を見直す価値があります。
庫内には、場所によって温度の差があります。扉の側は、開けるたびに外気が当たるので、最も温度が上がりやすい。傷みやすい食品を、ここに置かないでください。
冷気の吹き出し口に近い場所は、最も冷えます。凍ってほしくない野菜や飲み物は、ここを避けてください。
そして、何をどこに置くかを家族で決めておくと、探す時間が減ります。扉を開けている時間が短くなり、それがそのまま節電になります。
浅い容器や、透明の入れ物を使うと、中身が見えて奥に埋もれません。同じ種類のものをまとめておくのも、探す手間を減らします。
長期間家を空けるとき
旅行や帰省で、数日以上留守にする場合の扱いです。
一週間程度なら、電源を切る必要はありません。中身を減らし、温度の設定を弱めにしておけば十分です。冷凍のものは、そのまま入れておけます。
一か月を超えるような長期なら、中身を空にして電源を抜くという選択もあります。この場合、必ず扉を少し開けたままにしてください。閉め切ると、内部にカビが生えます。
電源を抜く前に、霜取りで出る水が受け皿にたまります。しばらく様子を見て、あふれないか確認してください。
そして、戻ってきて電源を入れたら、十分に冷えるまで数時間かかります。すぐに食品を入れず、温度が下がってからにしてください。
停電したとき
災害や工事で電気が止まったときの扱いも、知っておいてください。
まず、扉を開けないでください。閉めたままなら、冷蔵の部分で数時間、冷凍の部分なら状況によって半日から一日、低い温度が保たれます。一度開けると、そこから急に上がります。
停電が長引きそうなら、冷凍のものから消費してください。溶けたものを再び凍らせるのは、衛生の面ですすめられません。
復旧したら、庫内の温度が戻るまで数時間かかります。その間、食品の状態を確認してください。においや見た目に異常があれば、迷わず捨ててください。
そして、地震のときは扉が開いて中身が飛び出すことがあります。開かないように留める部品が、数百円で売られています。
そして、停電の可能性が分かっている場合は、事前に保冷剤を凍らせておいてください。冷凍の部分に入れておけば、庫内の温度が上がるのを遅らせられます。台風の予報が出た日にできる、簡単な備えです。
よくある質問
電源を切って掃除してよいですか
短時間なら問題ありません。ただし、切った直後に入れ直すと、機械に負担がかかります。数分置いてから差してください。長く切るなら、食品を保冷する準備をしてください。
側面が熱いのは故障ですか
熱を逃がす設計の機種では、正常です。ただし、極端に熱い、周囲に空間がない場合は、放熱できていません。壁から離してみてください。
下から水が漏れています
霜取りで出た水を受ける皿が、あふれている可能性があります。機種によっては掃除できる場所です。それ以外の原因なら、修理が必要です。床が濡れ続けると傷むので、早めに対処してください。
引っ越しで横にしてもよいですか
内部の油が回るため、原則として立てたまま運びます。やむを得ず倒した場合は、設置してから数時間、電源を入れずに置いてください。この時間を守らないと、故障の原因になります。
まとめ
冷蔵庫の手入れで効果が大きいのは、庫内よりも背面と下のほこりです。年に一度、掃除機をかけてください。そして、扉のゴムに紙を挟んで、抵抗なく抜けないかを確認してください。詰め方は、冷蔵は七割まで、冷凍は詰めるほど良い。ここが逆になっている家庭が多い。においは、消臭剤より先に原因を取り除いてください。十年を超えているなら、電気代を含めて買い替えを考える時期です。
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