ベランダは、外なのに自分で管理する場所です。だから、掃除も点検も後回しになりがちです。しかし、ここには排水口があり、詰まれば水があふれます。集合住宅なら、下の階へ流れます。そして、避難のときに通る経路になっている場合もあり、物を置いてはいけない場所が決まっています。この記事では、掃除の手順と、置いてはいけないもの、そして雨漏りにつながる兆候を書きます。
この記事でわかること
- 水を使わない掃除の方法
- 排水口の点検
- 置いてはいけない場所
- 防水層の劣化の兆候
水を流してはいけない場合がある
掃除というと、まず水をかけたくなります。しかし、ここには注意が要ります。
集合住宅の多くで、ベランダに大量の水を流すことが禁じられています。規約に書かれていることもあります。理由は、階下や隣へ水が回るからです。
そもそも、ベランダの排水は、大量の水を一度に流す設計になっていません。降った雨を少しずつ逃がすためのものだからです。
だから、基本は水を使わない掃除です。ほうきで掃き、固く絞った布で拭く。この方法で、十分きれいになります。
掃除の手順
掃除には、やりやすい順番があります。
まず、置いてあるものを、いったんすべてどけてください。その下に、いちばん汚れがたまっています。
次に、ほうきで掃きます。ただし、そのまま掃くと砂ぼこりが舞い、下の階や隣の洗濯物にかかります。新聞紙を濡らしてちぎり、まいてから掃くと、ほこりが吸着されます。
掃き終えたら、固く絞った布やモップで拭きます。汚れがひどい部分だけ、洗剤を薄めて使ってください。
そして、手すりや壁の面も拭いてください。ここには、雨で流れた汚れが黒い筋になって付いています。
排水口の点検
ベランダの手入れのなかで、ここが最も重要な作業です。
ベランダの隅に、排水の穴があります。ここに落ち葉、砂、洗濯物から出た繊維、鳥の羽がたまります。
詰まると、雨水が流れずにたまります。そして、掃き出し窓の高さを超えれば、室内へ入ります。集合住宅では、隣や下の階へも流れます。
ふたが付いているなら外して、中のごみを取り除いてください。ゴム手袋をして、手でつかんで取り出すのがいちばん確実です。
この作業は、季節の変わり目ごとにやってください。特に、台風や大雨の予報が出る前に確認する習慣をつけると、被害を防げます。
勾配と水たまり
掃除を終えたら、床の傾きについて確認してほしいことがあります。
ベランダの床には、排水口へ向かうわずかな傾きが付いています。水が自然に流れるための設計です。
雨のあと、水たまりが残る場所があるなら、そこは傾きが足りていないか、ごみがたまって流れを妨げています。
水がたまり続けると、床の材料が傷みます。そして、そこが蚊の発生源になります。
ごみを取り除いても水たまりが残るなら、建物側の問題です。管理会社に相談してください。
床の状態を見る
ベランダの床には、水を通さないための処理がされています。
この層が切れると、下の階の天井に水が染み出します。気づくのは、たいてい下の住人からの連絡です。
だから、掃除のときに床を見てください。ひび割れ、表面が浮いている、めくれている。こうした兆候があれば、進行しています。
壁と床が接している部分も、確認してください。ここは建物の動きを受けやすく、切れやすい場所です。
戸建てなら自分で業者を手配することになりますが、集合住宅なら管理組合の管轄です。見つけたら報告してください。
置いてはいけない場所
集合住宅のベランダには、避難の経路が定められています。
隣の住戸との間に、薄い板で仕切られた部分があります。これは、非常時に蹴破って隣へ逃げるための壁です。ここの前に物を置いてはいけません。
床にある四角いふたも同じです。これは、下の階へ降りるためのはしごが収納されている場所です。上に物を置くと、開けられません。
火事が起きたとき、玄関から出られなければ、この経路が唯一の逃げ道になります。自分だけでなく、隣の住人の命にも関わります。
植木鉢や物置を、ここに置いていないか確認してください。消防の定期的な点検でも、指摘される項目です。
置くものを考える
避難の経路を外した場所であっても、置き方には配慮が要ります。
重いものを置くと、床に負担がかかります。ベランダは、建物の外に張り出した構造なので、想定された重さに限りがあります。
そして、風で飛ぶものを置かないでください。台風のとき、飛んだものが人に当たれば、責任を問われます。物干しざお、軽い椅子、洗濯ばさみの入った籠。こうしたものは、風の強い日に室内へ入れてください。
手すりの外側に、物を掛けないでください。落下すれば、下を歩く人に当たります。多くの規約で禁じられている行為です。
そして、床に直接物を置くと、その下が掃除できません。すのこや台を挟んで、少し浮かせてください。
植物を置く場合
ベランダで植物を育てる人は多いはずです。ただし、注意点があります。
水をやると、受け皿からあふれた水が床を流れます。土も一緒に流れ、排水口に入ります。これが、詰まりの大きな原因です。
受け皿を使い、あふれないよう水の量を加減してください。そして、排水口のすぐ近くに鉢を置かないでください。
鉢の下も、湿ったままになります。ときどき動かして、床を乾かしてください。跡が残ったり、その部分だけ傷んだりします。
風で倒れて落ちる危険もあります。手すりに掛ける形の鉢は、特に注意してください。
鳥と虫への対処
ベランダは、鳥にとって休むのにちょうどよい場所です。
ふんが積もると、においが出て、衛生の面でも問題になります。乾いたふんを掃くと、粉が舞って吸い込むことになります。濡らしてから、拭き取ってください。
作業のときは、必ず手袋とマスクをしてください。鳥のふんには、人に影響する菌が含まれていることがあります。
巣を作られると、対処が難しくなります。種類によっては、勝手に撤去できません。作られる前に、止まりにくくする対策をしてください。
そして、水がたまる場所を作らないでください。バケツや受け皿にたまった水は、蚊の発生源になります。
台風の前にやること
台風の予報が出たら、短時間でできる作業があります。
飛ぶ可能性のあるものを、すべて室内へ入れてください。植木鉢、物干しざお、サンダル、ごみ箱。判断に迷ったら、入れてください。
室内に入らないものは、まとめて紐で固定してください。手すりに縛りつける場合は、その手すり自体の強度も考えてください。
そして、排水口を掃除しておいてください。大雨のときに流れ込む水の量は、普段とはまったく違います。
窓の鍵も、確実にかけてください。強風のときは、鍵がかかっていないと窓が開いてしまい、雨が室内へ吹き込みます。
雪が降る地域では
雪の降る地域では、冬にも考えることがあります。
ベランダに積もった雪は、重さになります。溶けるのを待つのが基本ですが、大量に積もる地域では、かき出す必要があります。
ただし、下へ落とすのは危険です。歩いている人や、停めてある車に当たります。集合住宅では、規約で禁じられていることもあります。
そして、排水口が凍ってしまうと、溶けた水が流れません。冬が来る前に、ここを掃除しておいてください。
金属のスコップで床をこすると、防水の層を傷つけます。樹脂でできたものを使ってください。
ベランダは誰のものか
集合住宅に住んでいるなら、前提として知っておきたいことがあります。
ベランダは、その部屋の住人が使う場所ですが、所有しているわけではありません。建物全体の共用部分であり、住人は使う権利を与えられているという扱いになります。
だから、勝手に床を張り替える、壁に穴を開ける、といったことはできません。逆に、床の防水が劣化した場合の補修は、建物側の費用で行われます。
一方、日常の掃除は使っている住人の役目です。落ち葉を取り除く、排水口を掃除する。ここを怠って被害が出れば、責任を問われることがあります。
この線引きを知っておくと、何を自分でやり、何を報告すべきかが分かります。迷ったら、管理規約を読んでください。
洗濯物と近隣への配慮
ベランダは、隣と近い場所です。ここでの行為は、そのまま隣に影響します。
布団を叩く音は、思っているより響きます。そして、そのほこりは隣の洗濯物にかかります。叩くのではなく、掃除機で吸うか、布で拭く方法に切り替えると、問題が起きません。
手すりに布団を掛けるのは、多くの規約で禁じられています。落下の危険と、建物の外観が理由です。
喫煙も、しばしば問題になります。煙とにおいは、隣の窓から入ります。裁判になった例もあります。
そして、掃除をする時間帯にも配慮してください。早朝や夜は、音が目立ちます。
手すりと柵の点検
手すりは安全に直結する部分なので、年に一度は状態を見てください。
手すりが、ぐらついていないか。押してみて、動くようなら危険です。体重をかけて転落する事故が、実際に起きています。
金属の部分に、さびが出ていないか。特に、床と接する根元は、水がたまって腐食しやすい場所です。表面のさびなら落として塗れますが、内部まで進んでいれば交換になります。
小さな子どもがいる家庭では、手すりの近くに踏み台になるものを置かないでください。エアコンの室外機、椅子、収納の箱。これらを足がかりにして、乗り越える事故が起きています。
異常を見つけたら、自分で直さず、管理会社へ報告してください。共用部分の設備なので、建物側が対応します。
戸建てのベランダ
戸建てのベランダなら、管理の責任もすべて自分にあります。
床の防水は、十年から十五年で塗り直しが必要になります。ここを放置すると、下の部屋の天井に染みが出ます。気づいたときには、内部の木材まで傷んでいることがあります。
費用は、広さにもよりますが、十万円台から数十万円です。外壁の塗装と同じ時期にまとめて行うと、足場の費用が一度で済みます。
そして、下に部屋がある構造なら、特に注意が要ります。単なる屋根の上とは、被害の大きさが違います。
年に一度、床と壁の境目を見る習慣をつけてください。ひび割れを早く見つければ、部分的な補修で済みます。
頻度をどう決めるか
この作業を、いつやるかの目安です。
全体の掃除は、年に二回で足ります。春と秋、花粉や落ち葉の季節が終わったころが作業しやすい。
一方、排水口の確認は、もっと頻繁にしてください。季節の変わり目ごと、そして大雨や台風の予報が出たときです。ふたを外して中を見るだけなら、一分で終わります。
周囲に木が多い建物、道路に面した部屋では、たまる速さが違います。自分の家の条件に合わせて、間隔を決めてください。
そして、洗濯物を干すときに、ついでに床と排水口を見る習慣をつけると、異常に早く気づけます。特別な時間を取らなくても、点検は成り立ちます。
よくある質問
高圧洗浄機を使ってよいですか
すすめられません。水の量が多く、隣や下へ飛びます。そして、強い水流が防水の層を傷める可能性があります。集合住宅では、規約で禁じられていることも多い。
床の汚れが落ちません
長年の汚れは、水と布では落ちません。デッキ用のブラシで、水を最小限にしてこする方法があります。ただし、強くこすると防水の層が削れます。落としきれなくても、被害が出るわけではありません。
物置を置いてもよいですか
集合住宅では、規約で制限されていることがあります。避難の経路をふさがないこと、風で飛ばないことが条件です。設置する前に、管理組合に確認してください。
下の階から水漏れを指摘されました
まず、管理会社に連絡してください。原因が床の防水の劣化なら、建物側の問題です。自分の使い方が原因だと決めつけず、専門の調査を受けてください。
まとめ
ベランダの掃除は、水を使わないのが基本です。濡らした新聞紙をまいてから掃き、固く絞った布で拭いてください。そして、何より大事なのが排水口です。ここが詰まると、雨水が室内へ入り、下の階へ流れます。季節ごとに、そして大雨の前に確認してください。隣との仕切り板の前と、床のふたの上には、絶対に物を置かないでください。非常時の逃げ道です。