エアコンの効きが悪い。電気代が上がった。そんなとき、最初に疑うのはフィルターです。ここにほこりが詰まると、空気を吸い込む量が減り、同じ温度にするために余分な電力を使います。掃除は十分で終わります。道具も、掃除機と水と乾いた布があれば足ります。ただし、フィルターより奥は、自分で触ってよい範囲を超えます。この記事では、どこまでを自分でやり、どこから業者に頼むかを書きます。
この記事でわかること
- フィルター掃除の手順と頻度
- 洗ったあとの乾かし方
- 自分で触ってよい範囲の線引き
- 市販の洗浄スプレーの注意点
フィルターが詰まると何が起きるか
エアコンは、部屋の空気を吸い込み、熱を移してから吹き出す機械です。吸い込む量が減れば、それだけ働きが落ちます。
設定した温度に届かないので、運転は止まりません。結果として、電力を使い続けます。これが電気代に出ます。
機械への負担も増えます。無理に運転を続けることで、寿命が縮みます。
そして、ほこりがたまった場所は、カビが育つ場所になります。運転するたびに、その空気が部屋に出ます。においの原因の多くは、ここです。
掃除の頻度
二週間に一度が、説明書に書かれている目安です。
ただし、これは毎日使う時期の話です。使っていない季節に、この頻度は要りません。
現実的には、冷房を使い始める前、暖房を使い始める前、そして使用中は月に一度。この程度でも、効果は十分にあります。
ペットがいる家、道路に面した部屋、たばこを吸う部屋では、詰まるのが早くなります。開けて見て、灰色になっていたら掃除どきです。
始める前に電源を切る
最初にやることです。
リモコンで止めるだけでなく、コンセントを抜いてください。差したままだと、何かの拍子に動き出す可能性があります。
コンセントが高い位置にある場合が多いので、脚立を使ってください。椅子の上に立つのは避けてください。作業中は上を向くので、体が不安定になります。
エアコンの下の床に、新聞紙か古い布を敷いておくと、落ちたほこりを片づける手間が省けます。
ほこりが目に入るのを防ぐため、眼鏡かゴーグルがあると安心です。マスクもしてください。
フィルターの外し方
本体の前面のカバーを、下から上へ持ち上げます。多くの機種は、この動作で開きます。
開いた状態で止まる構造になっているので、手を離しても落ちてきません。落ちてくるようなら、開き方が足りていません。
中に、網目のフィルターが二枚入っています。左右に一枚ずつという配置が一般的です。
つまみの部分を持って、少し持ち上げてから手前に引くと外れます。無理に引っ張らないでください。爪が折れます。
外れないときは、説明書を見てください。機種によって、留め方が違います。
掃除機でほこりを吸う
ここが順番の要点です。
いきなり水で洗うと、ほこりが網目に詰まって取れにくくなります。先に、乾いた状態で掃除機をかけてください。
吸うのは、表側からです。ほこりは部屋の空気を吸い込む側、つまり外側に付いています。裏から吸うと、網目に押し込むことになります。
ノズルを軽く当てて、ゆっくり動かします。強く押し付けると網が変形します。
これだけで、汚れの大半が取れます。軽い汚れなら、ここで終わりにしてもかまいません。
水で洗う
掃除機で取れない汚れは、水を使います。
浴室に持ち込んで、シャワーをかけるのが楽です。こちらも裏側から当ててください。表に付いた汚れを、押し出す方向になります。
油を含んだ汚れが残るなら、中性の洗剤を薄めて使います。柔らかいブラシか、使い古した歯ブラシで軽くこすります。
熱い湯は使わないでください。フィルターは樹脂なので、変形します。三十度程度までにしてください。
洗剤を使ったら、よくすすいでください。残ると、においの原因になります。
乾かし方が肝心
ここを急ぐと、掃除した意味が半減します。
タオルで両面から挟んで、水気を取ります。そのあと、日陰で完全に乾かしてください。
直射日光に当てると、樹脂が傷んで変形します。ドライヤーの熱風も同じ理由で避けてください。
濡れたまま戻すと、本体の中にカビが育ちます。これでは、においを悪くするだけです。
乾くまで数時間かかります。時間がないなら、掃除機で吸うだけにとどめ、水洗いは余裕のある日に回してください。
本体側も拭いておく
フィルターを外した状態で、できることがあります。
前面のカバーの内側、本体の外側は、固く絞った布で拭けます。ここにもほこりが付いています。
吹き出し口の羽根も、手で動かせる範囲なら拭けます。ただし、力を入れて回さないでください。羽根は細い軸で支えられていて、折れます。
この羽根の裏側が黒くなっていたら、カビです。見える範囲は拭き取れますが、奥まで広がっている場合は、次の話になります。
ここから先は触らない
フィルターの奥に、金属の薄い板が並んだ部分があります。
ここは熱を交換する部品で、非常に薄く鋭い金属でできています。触ると手が切れます。曲げると性能が落ちます。
さらに奥には、空気を送る筒状の羽根があります。ここにカビが付くと、においの大きな原因になります。しかし、分解しないと届きません。
そして、本体の中には電気の部品があります。水がかかると、故障や発火につながります。
この領域の掃除は、業者に頼んでください。分解して洗うので、家庭の道具では届きません。
市販の洗浄スプレー
金属の板に吹きかける製品が売られています。これについて、書いておきたいことがあります。
吹きかけた液は、どこかへ流れていきます。設計では水を排出する経路に流れることになっていますが、実際には内部に残ることがあります。
残った液に、ほこりが付きます。かえって汚れがたまる結果になることがあります。
電気の部品にかかると、故障します。発火に至った事例も報告されています。
使うなとは言いませんが、使用の条件をよく読んでください。そして、これで解決しないにおいは、内部の汚れです。スプレーを重ねるより、業者に頼むほうが早いです。
業者に頼むときの目安
内部の洗浄を頼む判断は、次のような場合です。
フィルターを掃除してもにおいが消えない。吹き出し口の奥に黒い点が見える。運転すると黒い粒が飛んでくる。
費用は、一台あたり一万円台が目安です。自動で掃除する機能が付いた機種は、分解の手間が増えるので高くなります。
頻度は、二年から三年に一度で十分です。毎年頼む必要はありません。
頼むなら、使い始める前の時期がおすすめです。夏の盛りは予約が取れません。
自動で掃除する機能について
フィルターを自動で掃除する機種があります。
この機能があっても、掃除が要らなくなるわけではありません。取れたほこりは、本体の中の箱にたまります。
この箱は、定期的に捨てる必要があります。放置すると、あふれて機能が止まります。
外へ排出する方式の機種もあります。この場合は箱がありませんが、排出の管が詰まることがあります。
どちらにせよ、説明書で自分の機種の方式を確認してください。何もしなくてよい機種は、ありません。
室外機のこと
外に置かれた機械にも、できることがあります。
周りに物を置かないでください。空気の流れがふさがれると、効率が落ちます。前面と背面には、空間が必要です。
落ち葉やごみが吸い付いていたら、取り除いてください。ここは自分でできます。
ただし、内部を水で洗うのはやめてください。電気の部品があります。
夏に直射日光が当たるなら、日よけを付けると効率が上がります。ただし、風の通り道はふさがないでください。
水が垂れてくるとき
運転中に、本体から水が落ちてくることがあります。
冷房では、空気中の水分が結露します。この水は、管を通って外に排出されます。
この管が詰まると、水が行き場を失って室内に漏れます。原因は、ほこりや虫、コケです。
外に出ている管の先を確認してください。詰まりが見えるなら、取り除けることがあります。専用の吸い出す道具も売られています。
それでも直らないなら、内部の問題です。業者に頼んでください。放置すると、壁や床を傷めます。
掃除の効果はどれくらいか
手間に見合うのかという疑問があると思います。目に見える数字で言えば、詰まったフィルターを掃除することによる消費電力の削減は、数パーセントから一割程度とされています。金額にすれば、ひと夏で数百円から千円台です。
それだけかと思うかもしれません。ただ、効果は電気代だけではありません。設定温度に早く届くので、暑い時間が短くなります。体感としては、こちらのほうが大きいはずです。
そして、機械の寿命が延びます。エアコンの買い替えは十万円以上かかる出費です。数年長く使えるなら、十分な見返りです。
空気の質という面もあります。ほこりとカビが付いた場所を通った空気を、毎日吸うことになります。ここを気にする人にとっては、電気代よりも大きな理由でしょう。
掃除を楽にする置き方
続けるには、手間を減らすことです。
脚立をエアコンの近くにしまっておくと、思い立ったときに始められます。取りに行く手間があるだけで、後回しになります。
掃除機のノズルも、細い形のものを一本決めておくと迷いません。ブラシが付いた種類が、網目には向いています。
水洗いまでやる日は、乾く時間を見越して午前中に始めてください。夕方から始めると、その日は戻せません。
二枚のフィルターを一度に洗うのではなく、片方ずつ進める手もあります。片方は本体に戻したままなので、途中で中断しても困りません。
季節の変わり目にやること
年に二回、区切りとしてやっておきたい作業があります。
冷房の季節が終わったら、送風の運転を数時間してから止めます。内部に残った水分を飛ばすためです。ここを省くと、次に使うときのにおいが違ってきます。
そのあと、フィルターを掃除してから、コンセントを抜いて休ませます。長く使わないなら、電源を切っておいたほうが安全です。
使い始める前には、もう一度フィルターを確認してください。使っていない間にも、ほこりはたまります。
そして、いきなり本番で使わず、窓を開けた状態で三十分ほど試運転してください。においや異音がないか、水が漏れないかを確かめられます。真夏に故障が判明するより、はるかに楽です。
古い機種を使い続けるかどうか
掃除をしても調子が戻らない機種には、年数の問題があります。エアコンの設計上の標準使用期間は、おおむね十年です。この年数を超えると、部品の保有期間も終わっていることが多く、故障しても直せません。
そして、古い機種は消費電力そのものが大きい設計です。十年以上前の製品と今の製品では、同じ広さを冷やすのに必要な電力が違います。掃除で数パーセント改善するより、買い替えのほうが差が大きい場合もあります。
とはいえ、動いているものをすぐ捨てる必要はありません。内部の洗浄を一度頼んでみて、それで戻るなら使い続ける。戻らないなら買い替えを考える。この順番が無駄になりません。
買い替えるなら、真夏と真冬は避けてください。工事の予約が取りにくく、価格も下がりません。春と秋が狙い目です。
よくある質問
フィルターが破れてしまいました
部品として注文できます。メーカーのサイトか、販売店に型番を伝えてください。破れたまま使うと、ほこりが内部に入り込み、後の掃除が大変になります。
掃除したのに効きが戻りません
内部の汚れか、冷媒が減っている可能性があります。冷媒の補充は資格が必要な作業なので、業者に見てもらってください。部屋の広さに対して能力が足りていない場合もあります。
使わない季節はどうすればよいですか
しまう前に、送風だけで数時間運転してください。内部の水分が飛んで、カビが育ちにくくなります。冷房を使ったあとは、毎回これをやると効果が高いです。
賃貸のエアコンも自分で掃除してよいですか
フィルターの掃除は、入居者が行う範囲です。内部の洗浄や修理は、管理会社に相談してください。勝手に業者を入れると、費用の負担でもめることがあります。
まとめ
エアコンの掃除で、自分がやる範囲はフィルターまでです。コンセントを抜き、フィルターを外し、先に掃除機で表側から吸う。汚れが残るなら水で洗い、日陰で完全に乾かしてから戻す。これで十分に効果があります。奥の金属の板や、その先の部品には触らないでください。手を切りますし、水がかかれば故障します。においが消えないなら、内部の汚れです。二年から三年に一度、業者に頼んでください。
取り付けに必要な道具はエアコン取り付けの道具、車のフィルターはエアコンフィルターの交換にまとめています。