この記事の結論
- 1階の雨どいは、脚立と手袋があれば自分で掃除できます。
- 2階以上の雨どいは、無理をせず業者に依頼してください。転落したときの危険が、作業の手間に見合いません。
- はしごや脚立を、雨どいに立てかけないでください。雨どいは体重を支える部材ではありません。
- 掃除の時期は、落ち葉が落ちきった晩秋から、雪や梅雨の前が目安です。
詰まった雨どいが引き起こすこと
雨どいは、屋根に降った雨を集めて、決まった場所から地面へ流すための設備です。ふだんは存在を意識しませんが、詰まると、住まいのあちこちに影響が出ます。
| 起きること | その先の影響 |
|---|---|
| 雨どいから水があふれる | 外壁を水が伝い、汚れや傷みの原因になります |
| 軒下に水が落ち続ける | 地面がえぐれ、建物の基礎のまわりに水がたまります |
| 雨どいに水と泥がたまる | 重さでたわみ、支える金具が曲がります |
| 水が流れずにとどまる | 屋根の端から、軒の内側へ水が回ることがあります |
| 寒い地域で水が凍る | 雨どいが割れたり、外れたりします |
どれも、すぐに家が壊れるような変化ではありません。ですが、気づかないうちに、少しずつ進みます。雨どいの掃除は、住まいの傷みを先回りして防ぐための手入れです。
詰まりのサイン
雨どいの中は、地面からはよく見えません。次のようなサインで判断します。どれか一つでも当てはまれば、中に落ち葉や泥がたまっている可能性があります。
- 雨の日に、雨どいのふちから水があふれている
- 雨どいの途中から、水が滝のように落ちている
- 縦にのびる管の下から、水がほとんど出てこない
- 雨どいから草や小さな木が生えている
- 雨どいが、途中でたわんで見える
- 軒下の地面だけが、えぐれている
いちばん分かりやすいのは、雨の日に、傘をさして家の周りを一周してみることです。晴れた日には分からない異常が、雨の日にははっきり見えます。
近くに大きな木がある家は、とくに詰まりやすくなります。落ち葉が屋根から雨どいに流れ込むためです。庭木の手入れについては、庭木の剪定に必要な道具にまとめました。
自分でやる範囲を、先に決める
道具をそろえる前に、いちばん大事な判断をしておきます。
| 雨どいの位置 | 判断 |
|---|---|
| 1階の屋根(平屋や、下屋の雨どい) | 脚立で安全に届くなら、自分で掃除できます |
| 2階の屋根 | 業者への依頼をすすめます |
| 3階以上 | 自分では作業しないでください |
2階の雨どいを掃除するには、長いはしごを立てかけて、高い場所で両手を使う作業になります。はしごは本来、昇り降りのための道具です。その上で身を乗り出して作業すれば、足元の細い桟だけで体を支えることになります。
2階の高さから落ちれば、命に関わります。雨どいの掃除は、そのリスクを負ってまで自分でやる作業ではありません。脚立とはしごの安全な使い方は、脚立とはしごの選び方で詳しく書きました。
1階の雨どいを掃除する道具
| 道具 | 用途 | 優先度 |
|---|---|---|
| 脚立 | 雨どいに手が届く高さを確保する | 必須 |
| 厚手のゴム手袋 | 泥と落ち葉をつかむ。金具の端で手を切るのを防ぐ | 必須 |
| 火ばさみ、または小さなスコップ | たまった落ち葉と泥をかき出す | 高い |
| バケツ、ごみ袋 | かき出した物を入れる | 必須 |
| ホース | 最後に水を流して、流れを確かめる | 高い |
| 保護めがね | 見上げたときに落ちてくる泥やごみから目を守る | 高い |
| 柄の付いたブラシ | こびりついた泥を落とす | 中 |
雨どいの中にたまっているのは、乾いた落ち葉だけではありません。水を含んで腐った葉と、屋根から流れた砂や泥が、重く固まっていることが多いのです。素手で触ると、臭いが残るうえに、金具の切り口で手を切ります。手袋は必ず着けてください。
掃除の手順
- 晴れた日を選ぶ。雨上がりは脚立の足元が滑り、雨どいの中の泥も重くなっています
- 脚立を、雨どいの真下ではなく、少し横にずらして置く。かき出した泥が脚立の上に落ちてきません
- 脚立を雨どいに寄りかからせない。脚立は自立させて使います
- 雨水を縦の管へ集める部分(集水器)のまわりから始める。ここがいちばん詰まりやすい場所です
- 落ち葉と泥を、少しずつかき出してバケツに入れる。
- 届く範囲が終わったら、いったん降りて脚立を動かす。身を乗り出して先まで手を伸ばさないでください
- 最後に、ホースで水を流して、縦の管から水が出てくるか確かめる。
このうち6番は、この作業で最も守ってほしい点です。
雨どいは横に長く続いているので、「あと少しだけ」と手を伸ばしたくなります。そのたびに体の重心が脚立の外へ出ていきます。こまめに降りて、脚立を動かす。往復の手間を惜しまないことが、転落を防ぐいちばんの方法です。
服装と、ひとりで作業しないこと
1階の雨どいでも、脚立に上がって見上げる作業です。服装と段取りで、危険の大きさが変わります。
- 長袖と帽子。見上げた顔や腕に、泥や虫が落ちてきます
- 滑りにくい靴。サンダルや、底のすり減った靴で脚立に上がらないでください
- 下で脚立を押さえてくれる人を頼む。かき出した物を受け取ってもらうこともできます
- 泥の入ったバケツを、脚立の上に置かない。重さで脚立が傾き、落ちれば下の人に当たります。少しずつ下ろします
かき出した泥は、思ったより遠くまで飛び散ります。隣の家との境界に近い場所では、足元に古いシートを敷き、隣の敷地や車に泥がかからないよう気を配ってください。
はしごを、雨どいに立てかけない
はしごや脚立の上端を、雨どいに当てて立てかけないでください。雨どいは、屋根の端に取り付けた軽い部材で、人の体重を受け止めるようには作られていません。立てかけたはしごに体重をかけると、雨どいがへこみ、支えの金具が曲がり、はしごの上端が横に滑ります。そのまま雨どいごと外れて、はしごと一緒に倒れることがあります。掃除するつもりが、雨どいを壊して、自分も落ちる。そうならないために、1階の雨どいは自立する脚立で作業してください。
同じ理由で、屋根に乗って、上から雨どいを掃除することも避けてください。屋根の上は傾いていて、落ち葉や苔で滑ります。屋根材を踏み割ることもあります。
縦の管が詰まっているとき
雨どいの横の部分をきれいにしても、ホースで流した水が縦の管から出てこないことがあります。縦の管の途中に、落ち葉や泥が詰まっている状態です。
- 下の出口から、手の届く範囲の詰まりを取り出す。
- 下からホースを差し込み、水で押し流す。
- 管の途中を、軽くたたいて音の違いを確かめる。詰まっている部分は、音が鈍くなります
それでも取れない場合、管の継ぎ目が上のほうにあると、脚立では届かないことがあります。無理に管を外そうとしないでください。一度外した継ぎ目は、元どおりにはまらなくなることがあります。
高圧洗浄機で一気に流すのは
強い水の勢いで詰まりを飛ばしたくなりますが、注意が必要です。雨どいを壊してしまえば、掃除より修理のほうが高くつきます。
雨どいの継ぎ目は、接着や差し込みでつながっているだけのことが多く、強い水圧で継ぎ目が外れることがあります。屋根材のすき間に向けて水を当てれば、屋根の内側に水を押し込むことにもなります。
使うなら、水の勢いを弱め、屋根に向けないよう気をつけてください。高圧洗浄機の選び方と、使ってはいけない対象は高圧洗浄機の選び方で書きました。
作業の前に、軒下を見てください
雨どいの掃除で、脚立に上がる前に確かめてほしいことがあります。
軒下に、ハチの巣がないかです。
軒下は、雨風を避けられるので、ハチが巣を作りやすい場所です。とくに夏から秋にかけては、ハチの動きが活発になります。脚立の上で巣に気づいても、すぐには逃げられません。驚いて体を動かせば、転落にもつながります。
巣を見つけたら、近づかず、自分で取ろうとしないでください。自治体の窓口や、専門の業者に相談するのが確実です。巣が小さく見えても、油断は禁物です。
もう一つ、電線や電話線の引き込みが雨どいの近くを通っていないかも見てください。脚立や工具を線に触れさせないよう、作業の位置を決めます。
掃除のあとに見ておきたい、雨どいの傷み
中がきれいになると、ふだんは泥に隠れていた傷みが見えてきます。掃除のついでに、次の点を確かめてください。
| 見る場所 | 傷みのサイン |
|---|---|
| 継ぎ目 | すき間があり、水を流すとそこから落ちる |
| 雨どいを支える金具 | 曲がっている、錆びている、外れている |
| 雨どいの傾き | 水を流したとき、縦の管へ流れず途中にたまる |
| 集水器 | 割れや、欠けがある |
| 縦の管を留める金具 | 管がぐらつき、壁から離れている |
雨どいは、水が縦の管へ向かって流れるよう、わずかに傾けて取り付けられています。金具が曲がるとこの傾きが崩れ、水が途中にたまるようになります。たまった水には泥が沈み、詰まりやすくなります。掃除の最後に水を流すのは、詰まりが取れたかと同時に、この傾きが保たれているかを見るためでもあります。
傷みを見つけたら、写真を撮って、場所をメモしておいてください。業者に相談するとき、話が早く進みます。
詰まりを防ぐ工夫
- 落ち葉よけのネットやカバーを付ける。雨どいの上をふさいで、葉が入りにくくなります
- 雨どいに覆いかぶさる庭木の枝を切る。
- 年に1〜2回、決まった時期に点検する。
落ち葉よけのネットは、付けっぱなしにすると、ネットの上に葉がたまって、それ自体が水をせき止めることがあります。付けたあとも、ときどき状態を見てください。2階の雨どいに付ける作業は、掃除と同じく依頼をすすめます。
点検の時期は、木の葉が落ちきった晩秋と、雪国なら雪が積もる前、雨の多い地域なら梅雨や台風の前が目安です。詰まった雨どいに雪が積もれば、その重さで雨どいがたわみ、外れることがあります。
雨どいについてよくある質問
Q. どのくらいの頻度で掃除すればいいですか
A. 年に1〜2回、点検を兼ねて見るのが目安です。
ただし、家のまわりの木の量で大きく変わります。近くに落葉する木がある家では、葉が落ちきった直後に一度見ておくと安心です。反対に、周りに木がなく、雨の日にあふれる様子もなければ、毎年掃除しなくても問題が出ないこともあります。回数を決めるより、雨の日に家の周りを見る習慣のほうが確実です。
Q. ついでに屋根も見ておいたほうがいいですか
A. 見ておく価値はありますが、屋根には上がらずに、地上から見てください。
少し離れた場所から、双眼鏡やスマートフォンのカメラの拡大機能を使えば、屋根材のずれや割れ、はがれた部分がないかを、ある程度確かめられます。台風や大雪のあとは、とくに一度見ておくと安心です。
気になる箇所を見つけても、自分で直そうと屋根に上がらないでください。写真を撮って、業者に相談するところまでが、自分でできる範囲です。
Q. 業者に頼むと、費用はどのくらいかかりますか
A. 家の大きさや雨どいの長さ、作業の条件によって大きく変わります。
とくに、高い場所で足場を組む必要があるかどうかで費用が変わります。いくつかの業者から、作業の範囲を書いた見積もりを取って比べてください。外壁や屋根の点検と一緒に頼める場合もあります。
Q. 雨どいが割れていたら、自分で直せますか
A. 1階で、小さな割れなら、補修用のテープや部材で応急の処置ができることがあります。
ただし、雨どいの部材は、形や大きさがメーカーや製品ごとに違います。交換が必要な割れや、支えの金具が外れている場合は、業者に相談してください。台風や大雪で壊れた場合は、加入している火災保険の補償の対象になることがあります。契約の内容を確認してみてください。
Q. 賃貸住宅の雨どいが詰まっています
A. 建物の設備なので、まず管理会社や貸主に連絡してください。
自分で作業してけがをしたり、雨どいを傷めたりすると、話がややこしくなります。賃貸での手入れの範囲は賃貸でできるDIYの範囲を参考にしてください。
最後に確かめたいこと
- 1階は自分で、2階以上は依頼する。
- はしごや脚立を、雨どいに立てかけない。
- 脚立は雨どいの少し横に置き、こまめに動かす。
- 手袋と保護めがねを着け、最後に水を流して確かめる。
- 作業の前に、ハチの巣と電線を確かめる。
- 点検は晩秋と、雪や梅雨の前。
雨どいは、詰まっていても、晴れの日には何の問題もないように見えます。だからこそ、つい後回しになります。
次の雨の日に、一度だけ家の周りを歩いてみてください。水があふれていなければ、それで安心できます。あふれていたら、晴れた日に、届く範囲から手入れを始めましょう。