交換して外した古いバッテリー。10キログラム以上あって重く、中には希硫酸が入っています。これは家庭ごみとして出せません。多くの自治体が、収集しない品目としています。ただし、捨てる先に困る品物かというと、そうでもありません。鉛は資源として価値があるため、引き取ってくれる先はいくつもあります。この記事では、出し先の選び方と、引き取りまでの保管のしかたをまとめます。
この記事の要点
- 家庭ごみには出せません。多くの自治体が収集の対象外としています。
- もっとも簡単なのは、新しいバッテリーを買った店に引き取ってもらうことです。
- ほかにも、整備工場、金属回収業者、自治体の処理施設が出し先になります。
- 引き取りまでは、端子をテープで絶縁し、立てた状態で屋内の日陰に置きます。
- 横に倒さないでください。中の液が漏れると、衣類や床を傷めます。
なぜ家庭ごみに出せないのか
理由は3つあります。どれも、収集や処理の現場で実際に困ることです。知っておくと、保管や持ち込みのときの注意点も分かります。
一つ目は、中に希硫酸が入っていることです。収集車の中で押しつぶされれば、液が漏れます。ほかのごみを汚し、作業する人にかかれば、やけどのような症状を起こします。
二つ目は、鉛を含んでいることです。埋め立てや焼却に回せば、環境への影響が出ます。一方で、鉛は再び使える資源でもあります。だから、別の流れで集める仕組みになっています。
三つ目は、短絡による発熱と火災です。使い終わったバッテリーにも、電気は残っています。端子に金属が触れれば、大きな電流が流れて熱を持ちます。
つまり、断られているのは意地悪ではなく、家庭ごみの仕組みでは安全に扱えないという話です。
出し先を、簡単な順に
1.新しいバッテリーを買った店
もっとも確実で、手間もかかりません。カー用品店、ホームセンター、ガソリンスタンド、整備工場。新品を買った店の多くが、古いものを引き取っています。販売した店には、使用済みのものを引き取る流れがあるためです。
その場で交換してもらえば、外した古いバッテリーはそのまま店が処理します。自分で交換する場合も、買うときに「古いものを持ち込んでよいか」を聞いておいてください。
通信販売で買う場合も、回収の仕組みを用意している販売店があります。新しいものが届いた箱に、古いものを入れて送り返す形です。注文の前に、この点を確かめてください。
2.整備工場・ガソリンスタンド
買った店でなくても、引き取ってくれる場合があります。バッテリーを扱う店は、回収の流れを持っているためです。
ふだん整備や車検を頼んでいる工場なら、相談しやすいと思います。ただし、引き取りは義務ではありません。断られても、食い下がらないでください。
3.金属回収業者
鉛は資源なので、金属スクラップを扱う業者が買い取ることがあります。相場によって、わずかながら値が付く場合もあります。
持ち込むときは、液漏れがないか、端子が絶縁されているかを確かめてください。事前に電話で、受け入れているかを聞いておくと確実です。
4.自治体に相談する
収集はしなくても、持ち込み先を案内してくれることがあります。処理施設で受け付ける地域や、協力している店を教えてもらえる地域もあります。
電話では、「車のバッテリーを1個」「自分で交換したもの」「液漏れはない」と伝えてください。
引き取りまでの保管
交換したその日に持っていけるとは限りません。数日から数週間、家に置いておく場合の注意をまとめます。
- 端子にテープを貼って絶縁します。ビニールテープが確実です。
- 立てた状態で置きます。横にすると、通気口から液がにじむことがあります。
- 受け皿の上に置きます。万一漏れても、床を守れます。
- 子どもやペットの手の届かない場所へ。
- 直射日光と高温を避けます。屋内の日陰か、風通しのよい物置が向いています。
とくに端子の絶縁は忘れないでください。物置に置いた工具や金属の棚に触れれば、そこから熱が出ます。
そして、積み重ねないでください。上のバッテリーの端子が、下のケースに当たることがあります。複数ある場合は、並べて置きます。
運ぶときの注意
店や業者へ持ち込むために車へ積む場合も、立てたまま、動かないように固定してください。走行中の揺れで倒れると、液がにじむことがあります。
段ボール箱に入れ、周りを詰め物で埋めるのが確実です。荷室に厚手の袋を敷いておくと、万一のときに車内を守れます。
そして、急ブレーキで前に飛ばないようにしてください。10キログラム以上の金属の塊です。座席の足元に置く場合も、動かないことを確かめます。
持ち上げるときは、腰を落として、まっすぐ持ち上げること。ケースの側面には持ち手が付いていないものもあり、意外に持ちにくい形です。
中身を知っておく
扱いの理由を理解するために、中身を簡単に書いておきます。
車のバッテリーの中には、鉛でできた板と、希硫酸が入っています。この2つが反応して電気を出したり、ためたりする仕組みです。
希硫酸は、皮膚に触れると炎症を起こし、衣類に付くと穴が開くことがあります。車の塗装に垂れれば、そこも傷みます。液が付いた場合は、大量の水で洗い流すのが基本です。
もう一つ知っておきたいのが、充電のときに水素が出ることです。水素は空気と混ざると燃えます。だから、バッテリーの近くで火花を出さないという原則があります。
そして、ふくらんでいるバッテリーは、内部で異常が起きています。充電しようとしたり、無理に使い続けたりしないでください。そのまま引き取りに出します。
回収されたあと、どうなるか
引き取られたバッテリーは、捨てられているわけではありません。鉛は、繰り返し使える金属です。
専門の施設で、ケースの樹脂、鉛、電解液に分けられます。鉛は精錬され、新しいバッテリーの材料として使われます。樹脂も再生の対象になります。
こうした流れがあるからこそ、店や業者が引き取っているのです。正しい出し先に渡すことは、資源を回す側に乗せることでもあります。
逆に、山林や空き地に捨てられれば、鉛と希硫酸が土に残ります。不法投棄には、拘禁刑または罰金が定められています。「重くて運べないから」という理由で放置しないでください。
やってはいけないこと
- 家庭ごみの袋に入れて出す
- 中の液を抜いて捨てる
- 分解する、ケースを割る
- 雨ざらしの場所に置きっぱなしにする
- 「無料で回収します」と回っている業者に渡す
2番目と3番目は、けがにつながります。希硫酸が目や皮膚に触れれば、重い症状を起こします。中を開ける理由は何もありません。
最後の項目は、廃油や不用品と同じ話です。家庭のごみを有償で集めるには、市町村の許可が必要とされています。許可のない業者に渡したものが、不法投棄される例があります。
バイクや電動工具のバッテリーは別扱い
「バッテリー」とひとくくりにされがちですが、中身が違えば、出し先もまったく変わります。ここを混同すると、危険な出し方になることがあります。
バイクの鉛バッテリーは、車のものと同じ扱いです。小さいぶん軽く、扱いやすくなります。
電動工具やモバイルバッテリーのリチウムイオン電池は、まったく別の仕組みで回収されます。家電量販店やホームセンターの回収箱、自治体の窓口が出し先です。ごみに混ぜると、収集車の火災につながります。詳しくはモバイルバッテリーの捨て方にまとめました。
乾電池も、自治体ごとに出し方が決められています。「危険ごみ」「有害ごみ」といった区分になっている地域が多くあります。
交換を店に頼む場合との比較
処分の手間まで含めると、自分で交換するか、店に頼むかの判断も変わってきます。
| 自分で交換 | 店に頼む | |
|---|---|---|
| 費用 | バッテリー代のみ | バッテリー代+工賃 |
| 古いものの処分 | 自分で出し先を探す | 店が処理する |
| 設定の消去 | 自分でやり直す | 店が対応することが多い |
| 登録が必要な車 | 対応できないことがある | 対応できる |
| 時間 | 30分程度+持ち込み | 待ち時間のみ |
工賃は、それほど高いものではありません。持ち込みにかかる時間と燃料を考えると、差は小さくなります。
とくに、交換後にコンピューターへの登録が必要な車種では、店に頼むほうが確実です。登録しないと、充電の制御が合わず、新品でも早く傷むことがあります。
自分で交換する意味は、費用よりも時期を自分で決められることにあります。そこに価値を感じないなら、任せてよい作業です。
交換の前に決めておくこと
ここまで読んで分かるとおり、出し先を先に決めておけば、悩む時間はゼロになります。外してから探し始めると、重い物を抱えたまま電話をかけることになります。
新しいバッテリーを買うときに、「古いものを引き取ってもらえますか」と一言聞く。それだけで済みます。店で交換してもらうなら、その場で終わります。
自分で交換する場合の順番と注意は、車のバッテリー交換の順番にまとめました。外すのはマイナスから、付けるのはプラスからです。
そして、そもそも交換の時期なのかどうかは、バッテリーがすぐ上がる原因を参考にしてください。原因が別にある場合、新品に替えてもまた上がります。
複数個まとめて処分する場合
物置を片付けたら、古いバッテリーが何個も出てきた。農機具や発電機のものも含めて、まとまった数になった。こういう場合は、少し進め方が変わります。
まず、店での引き取りは、1個か2個までと考えてください。何個も持ち込むと、事業から出たものではないかと受け取られます。
数が多い場合は、金属回収業者か、自治体に相談するほうが確実です。電話では、「何個あるか」「車用か、農機具用か」「液漏れの有無」を伝えてください。
運ぶときは、一度に積みすぎないことです。1個10キログラム以上あるので、5個で50キログラムを超えます。車の積載と、持ち上げるときの腰への負担を考えてください。
そして、仕事として出たものは産業廃棄物にあたります。農業や整備を事業として行っている場合は、家庭ごみの仕組みではなく、許可を持つ処理業者への委託になります。判断に迷えば、都道府県の窓口に確認してください。
よくある質問
Q. 何年も物置に置きっぱなしのバッテリーがあります。
A. 何年前のものであっても、出し先は同じです。ただし、ケースが傷んでいたり、端子がさびていたりすることがあります。持ち上げる前に、底からの液漏れがないかを確かめ、厚手の袋に入れて運んでください。
Q. 買い取ってもらえると聞きましたが、本当ですか。
A. そのときの鉛の相場によって変わります。値が付くこともあれば、引き取りは無料で買い取りはなし、という場合もあります。1個だけを買い取りのために持ち込むのは、手間に見合わないことが多いものです。買った店での引き取りが、いちばん簡単です。
Q. 液が漏れてしまいました。
A. 素手では絶対に触らないでください。手袋と保護めがねを使い、大量の水で洗い流します。衣類に付いた場合は、脱いで水で流してください。目に入った場合は、すぐに流水で洗い、医療機関を受診してください。
Q. 旧型の車から外した、古い形のバッテリーでも引き取ってもらえますか。
A. 鉛のバッテリーであれば、形や年式は関係なく、回収の対象になります。アイドリングストップ車用のものも同じです。
Q. 引き取りに費用はかかりますか。
A. 新しいものを買った店であれば、無料で引き取る場合がほとんどです。買っていない店に持ち込む場合や、数が多い場合は、費用がかかることもあります。持ち込む前に電話で確かめてください。
Q. 端子に貼るテープは、何でもよいですか。
A. ビニールテープなど、しっかり貼れて、はがれにくいものを使ってください。紙のテープやマスキングテープは、湿気を吸ってはがれます。貼ったあと、端を指でなぞって浮きがないか確かめます。
まとめ
古いバッテリーは家庭ごみとして出せませんが、出し先に困るような品物ではありません。鉛は資源であり、引き取るための仕組みができています。
いちばん簡単なのは、新しいものを買った店に、そのまま引き取ってもらうことです。買うときに一言聞いておけば、それだけで話は終わります。
引き取りまで家に置いておく場合は、端子を絶縁し、立てた状態で、受け皿の上に。この3つさえ守っておけば、事故は起きません。
交換の手順は車のバッテリー交換の順番、寿命の見きわめは車のバッテリーの寿命と交換時期、上がる原因はバッテリーがすぐ上がる原因にまとめています。
同じ場面で役立つ話は、モバイルバッテリーの捨て方にまとめました。