古い消火器は、家庭ごみとして出せません。粗大ごみにも出せず、不燃ごみの日に置いても収集されません。処分の方法は決まっていて、指定された窓口へ持ち込むか、引き取りに来てもらうかのどちらかです。費用は数千円かかります。そして、もう一つ大事なことがあります。錆びた消火器を自分で操作しないでください。内部は高い圧力がかかっており、腐食した容器が破裂した事故が実際に起きています。この記事では、処分の手順と、その前に確認すべき点をまとめます。
この記事でわかること
- 消火器がごみとして出せない理由
- 処分を頼める窓口と費用の目安
- 錆びた消火器が危険な理由
- 買い替えの目安と、家庭に置くべき種類
ごみとして出せない理由
消火器の中には、消火薬剤と、それを押し出すための圧力がかかった気体が入っています。この構造が、通常のごみ処理に向きません。
収集車に入れて圧縮すれば、容器が裂けます。中の薬剤が粉として噴き出し、作業する人の視界を奪います。圧力で飛んだ破片が人に当たれば、大きな怪我になります。
処理施設でも同じです。破砕機に入れば同じことが起こり、設備が止まります。だから、自治体はこれを受け入れません。
そのかわり、消火器には専用の回収の仕組みが作られています。製造する側と販売する側が共同で運営しているもので、全国どこでも同じ枠組みで処理できます。
処分を頼める三つの窓口
方法は大きく三つあります。手間と費用が違うので、都合のよいものを選んでください。
一つめは、消火器を扱う販売店や防災用品の店に持ち込む方法です。地域の消防設備を扱う業者も同じです。電話で受け付けているか確認してから持っていきます。新しい消火器を買うときに一緒に引き取ってもらうと、話が早く済みます。
二つめは、指定された引取所へ自分で持ち込む方法です。各地に窓口が設けられており、業界団体のサイトで住所から検索できます。持ち込みなら、費用は比較的抑えられます。
三つめは、引き取りに来てもらう方法です。自宅まで来てもらえるので、運ぶ手段がない方や、本数が多い場合に向きます。そのぶん費用は上がります。
いずれの場合も、費用の目安は一本あたり千円台から数千円です。事前に確認してください。持ち込む場合は、その場で支払う形が一般的です。
錆びた消火器は動かさない
ここが一番伝えたい部分です。古い消火器で起きている事故の多くは、腐食した容器の破裂です。
消火器の内部には、常に圧力がかかっています。外側から錆が進み、容器の厚みが減ると、その圧力に耐えられなくなります。そこへレバーを握るなどの操作が加わると、底が抜けるように破裂します。
過去には、住宅の敷地に置かれていた古い消火器を動かそうとして、重傷を負った事故が起きています。屋外に長く置かれた消火器は、雨と湿気で底の部分から錆びます。見た目に問題がなくても、底を持ち上げると錆が落ちることがあります。
次の状態に当てはまる消火器は、操作せず、強く動かさず、そのまま業者に相談してください。
- 底や側面に錆が浮いている、こすると粉が落ちる
- 容器が膨らんでいる、変形している
- 屋外に長期間置かれていた
- 製造から十年以上経っている
- 圧力計の針が緑の範囲から外れている
- ホースがひび割れている、硬くなっている
電話で状態を伝えれば、引き取りの方法を指示してもらえます。危険な状態の消火器は、専門の業者が扱う仕事です。
使用期限と買い替えの目安
家庭用の消火器には、使用期限が設定されています。おおむね五年程度が目安で、本体に表示があります。
業務用の消火器は十年が一つの区切りになりますが、家庭用はそれより短く設定されています。表示を確認して、期限を過ぎているなら買い替えてください。
期限内であっても、状態は確認してください。圧力計が付いている機種なら、針が緑の範囲にあることを見ます。針が下がっていれば、圧力が抜けているので使えません。
置き場所も寿命に影響します。湿気の多い場所、雨のかかる場所、直射日光の当たる場所は避けてください。玄関の内側や、廊下の目につく場所が向いています。いざというときに、探さずに取れることが大事です。
訪問販売に注意
消火器をめぐっては、点検や交換を名目にした訪問販売の相談が絶えません。
よくあるのが、消防署の関係者を装って訪ねてくる例です。消防署の職員が、家庭を回って消火器を売ることはありません。点検を装って古い消火器を持ち去り、高額な新品を置いていく手口もあります。
不意の訪問で契約を迫られたら、その場で決めないでください。名刺を受け取り、会社名と連絡先を控え、いったん帰ってもらいます。必要なら、後から自分で連絡すれば済みます。
一般の住宅には、消火器の設置義務はありません。設置も交換も、自分の判断で決められます。義務だと言われたら、それは誤りです。
すでに契約してしまった場合でも、訪問販売には契約を解除できる制度があります。消費生活センターに相談してください。
家庭に置くならどの種類か
買い替えるなら、置く場所と想定する火事の種類で選びます。
一般的なのは、粉末の薬剤を使う消火器です。木材の火にも油の火にも電気の火にも使えるので、家庭用として扱いやすいものです。ただし、粉が周囲に広がるため、消した後の掃除がかなり大変になります。
台所向けには、液体の薬剤を使う製品もあります。粉に比べて後片付けが楽で、天ぷら油の火に強いものがあります。台所に一本置くなら、こちらを検討する価値があります。
投げつけて使う消火用具や、スプレー式の簡易な消火具もあります。本格的な消火器より扱いやすく、高齢の方や子どもでも使えるのが利点です。ただし消せる火の規模は小さいので、補助的な位置づけになります。
どれを選ぶにしても、使い方を家族で確認しておいてください。栓を抜き、ホースを火元に向け、レバーを握る。この三動作です。いざというときに説明書を読む余裕はありません。
使った後の消火器も同じ扱い
実際に火を消すのに使った消火器も、処分の方法は変わりません。中身が空でも、ごみとしては出せません。
消火器は一度使うと、途中で止めても再び使うことはできません。内部の圧力が抜け、薬剤が固まるためです。使ったら、そのまま処分して新しいものを用意してください。
粉末の消火器を使った後の片付けも大変です。細かい粉が部屋中に広がり、電気製品の内部にまで入ります。掃除機で吸い、固く絞った布で拭き取りますが、完全に取り切るのは難しい作業です。
とはいえ、火を消すことが最優先です。片付けの手間を惜しんで初期消火をためらうことだけは、避けてください。
集合住宅の共用部にある消火器
マンションやアパートの廊下に置かれている消火器は、建物の所有者や管理組合が管理するものです。
一定規模以上の建物では、消防法により消火器の設置と定期的な点検が義務づけられています。点検は資格を持つ者が行い、結果は消防署へ報告されます。住民が個別に交換する必要はありません。
共用部の消火器が明らかに錆びている、期限が切れている、といった場合は、管理会社か管理組合に伝えてください。自分で処分しようとする必要はありません。
自室に置く消火器は、これとは別に自分で用意するものです。共用部にあるからといって、部屋の中に何もない状態でよいわけではありません。
消火器を使う前に確認すること
処分の話とは別に、実際に火が出たときの判断も知っておいてください。消火器が万能ではないからです。
消火器で消せるのは、初期の火に限られます。炎が天井に届いたら、消火器では止まりません。この段階に来たら、消そうとせず、外に出て通報してください。判断の目安は、炎の高さが自分の背丈を超えるかどうかです。
使うときは、逃げ道を背にして立ちます。火と出口の間に立つと、退路を失います。炎そのものではなく、燃えているものの根元に向けて薬剤を出してください。炎に向けても効きません。
家庭用の消火器が出し続けられる時間は、十数秒です。長くはありません。途中で判断を変える余裕はないので、使うと決めたら迷わず根元を狙ってください。
そして、天ぷら油の火に水をかけることだけは絶対に避けてください。水が一瞬で蒸気になり、燃えた油を部屋中に飛ばします。この場合は、消火器か、鍋に蓋をして空気を断つ方法を選びます。
火災警報器も同じ時期に見る
消火器の期限を確認するとき、住宅用の火災警報器もあわせて見てください。どちらも数年単位で交換が必要な設備です。
火災警報器は、住宅への設置が義務づけられています。寝室と、階段の上などが対象です。電池式のものが多く、本体の寿命はおおむね十年とされています。
作動するかどうかは、本体のひもを引くか、ボタンを押せば確かめられます。音が出なければ、電池切れか本体の故障です。年に一度確認する習慣をつけてください。
古い警報器は、電池を抜いてから自治体の区分に従って出します。消火器と違い、こちらは通常のごみとして扱える地域がほとんどです。
処分にかかる費用の内訳
費用の目安を書きましたが、何にいくらかかるのかを知っておくと、見積もりを受けたときの判断ができます。
基本になるのは、リサイクルのための費用です。消火器を解体し、薬剤と容器を分けて処理するための費用で、一本あたりで決まっています。新しい消火器を買うとき、この費用が価格に含まれている製品もあります。
これに、運ぶための費用が加わります。自分で持ち込めば、この分はかかりません。引き取りに来てもらう場合は、出張の費用が上乗せされます。本数が多いほど、一本あたりの単価は下がる傾向があります。
相場からかけ離れた金額を提示されたら、その場で決めず、他の窓口にも問い合わせてください。数千円で済む作業に、万単位の請求をする業者の話も聞きます。
本体の表示から読み取れること
消火器の本体には、必要な情報がひととおり印刷されています。処分や買い替えの判断材料になるので、一度読んでみてください。
製造年は必ず記載があります。ここから何年経ったかを数えれば、交換の時期かどうかが判断できます。使用期限が別に書かれている製品もあります。
適応する火災の種類も表示されています。普通の可燃物、油、電気という区分で、それぞれ絵記号で示されています。台所に置くなら、油の火に対応していることを確認してください。
薬剤の種類と量、使用方法の図も入っています。いざというときに読む余裕はないので、置いたときに一度目を通しておくことをおすすめします。
よくある質問
実家から出てきた古い消火器をどうすればよいですか
まず状態を見てください。錆や変形があれば、動かさずに業者へ電話してください。状態がよければ、販売店か指定の引取所へ持ち込めます。車で運ぶときは、倒れないよう立てて固定してください。
中身を出してから捨てれば安くなりますか
自分で中身を出すのはやめてください。薬剤が周囲に飛び散りますし、古い容器なら操作そのものが危険です。空にしても処分の方法は変わらないので、得るものがありません。
家庭に消火器は必要ですか
義務ではありませんが、あったほうがよいものです。初期の小さな火なら、消火器一本で消し止められます。特に台所には一本置いておくことをおすすめします。住宅用の火災警報器とあわせて考えてください。
圧力計のない消火器はどう判断しますか
家庭用の一部には、圧力計が付いていない機種があります。この場合は、本体に表示された期限と、外観の状態で判断してください。期限を過ぎていれば、状態にかかわらず交換の時期です。
車に積んでおく消火器はありますか
車載用の小型の消火器があります。ただし、車内は夏に高温になるため、温度の条件を満たした製品を選んでください。固定できる金具が付いたものが安全です。床に転がしておくと、急ブレーキで飛びます。
消火器を置く場所はどこがよいですか
台所の出入口付近が基本です。火元のすぐ横に置くと、火が出たときに近づけません。少し離れた、逃げる方向にある場所が適しています。二階建てなら、各階に一本あると安心です。家族全員が場所を知っていることが前提になります。
まとめ
消火器はごみとして出せません。販売店か指定の引取所へ持ち込むか、引き取りに来てもらってください。費用は一本あたり千円台から数千円です。そして、錆びた消火器は自分で操作しないでください。内部の圧力で破裂した事故が実際に起きています。家庭用の使用期限はおおむね五年です。期限を過ぎたら、状態にかかわらず交換してください。訪問販売で点検や交換を迫られても、その場では決めないことです。
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