バッテリーを替えたばかりなのに、また上がった。年に何度も救援を頼んでいる。こうなると、疑うべきはバッテリーそのものではなく、電気が減っていく原因のほうです。原因は、使い方、車の状態、季節の3つに分かれます。この記事では、思い当たる節を探すための順番と、自分で確かめられる範囲をまとめます。
この記事の要点
- 原因は「消し忘れ」「乗り方」「車側の不具合」「寿命」「寒さ」のどれかです。
- 短い距離の運転ばかりだと、充電が追いつきません。これがもっとも多い原因です。
- エンジンを切ったあとも電気を使い続ける状態を暗電流と呼びます。多すぎると上がります。
- 後付けの機器(ドライブレコーダーなど)は、暗電流が増える代表です。
- 何度も上がる車は、バッテリーそのものが傷んでいることが多く、交換が必要になります。
まず、いちばん多い原因から
ライトや室内灯の消し忘れ
単純ですが、いちばん多い原因です。半ドアのままで室内灯が点き続けるという形も含まれます。
最近の車は、キーを抜けばライトが自動で消える仕組みを持つものが増えました。しかし、室内灯やラゲッジの照明は、自動で消えない車もあります。
降りたあとに、車の中が明るくなっていないかを一度見る。これだけで防げます。夜より、昼間のほうが気づきにくいので注意してください。
短い距離の運転ばかり
これが、消し忘れに並ぶ大きな原因です。
エンジンをかける瞬間には、大きな電気を使います。その分は、走りながら充電して取り戻す仕組みです。ところが、数分で目的地に着いてしまうと、使った分を取り戻す前に止めることになります。
これを毎日繰り返せば、少しずつ減っていきます。買い物と送り迎えだけ、という使い方の車が、冬の朝に動かなくなるのは、この積み重ねです。
対策は単純で、週に一度は30分ほど続けて走ることです。信号待ちの多い道より、流れのよい道のほうが充電は進みます。
長く乗らない期間がある
動かしていなくても、バッテリーは少しずつ減ります。時計や防犯装置、コンピューターの記憶のために、常に少しの電気が流れているためです。
数週間から数か月置く予定があるなら、マイナス端子を外しておく方法があります。ただし、外すと時計やナビの設定が消えます。
もう一つは、充電器で定期的に充電する方法です。長期の保管に対応した充電器なら、つなぎっぱなしにできるものもあります。
暗電流という考え方
ここからは、少し踏み込んだ話になります。エンジンを切ったあとも流れ続けている電気を、暗電流と呼びます。これがゼロの車はありません。問題になるのは、この量が多すぎる場合です。
暗電流が増える原因として多いのが、後付けの機器です。
- 駐車中も録画するドライブレコーダー
- 後付けの防犯装置
- 差しっぱなしの充電器や機器
- 取り付けが正しくない配線
とくに、駐車中の監視を行うドライブレコーダーは、止めている間ずっと電気を使います。電圧が下がったら止まる仕組みを持つ製品もありますが、設定を確かめておいてください。取り付けの考え方はドライブレコーダーの取り付けにまとめました。
心当たりがある場合は、その機器を一度外して、様子を見るのが分かりやすい確かめ方です。数日で違いが出れば、原因はそこにあります。
車側の不具合を疑う場面
使い方に思い当たる点がないのに上がる場合は、車の側に原因があることがあります。代表的なものを3つ挙げます。
充電する仕組みの不調
走りながら充電する装置に不具合があれば、いくら走っても電気は戻りません。
合図として出やすいのが、メーターの中にあるバッテリーの形の警告灯です。走行中にこれが点いたら、充電されていない可能性があります。点いたまま走り続けると、やがて止まります。早めに整備工場へ相談してください。
ベルトの緩みや傷み
充電の装置は、エンジンの力をベルトで受けて回っています。ベルトが緩んでいたり、傷んでいたりすると、十分に発電できません。
合図は音です。エンジンをかけた直後や、ハンドルを切ったときに「キュルキュル」という音が出るなら、点検の対象になります。
配線やスイッチの不良
スイッチが戻りきらず、どこかが点きっぱなしになっていることもあります。ドアの開閉を感知する部分の不良で、室内灯が消えない例もあります。
この手の原因は、自分で探すのが難しい部分です。暗電流を測れば分かりますが、測定には道具と知識が要ります。整備工場に頼むほうが確実です。
バッテリーそのものの寿命
ここまでの原因が見当たらない場合、バッテリーが力を失っている可能性が高くなります。
一度大きく上がったバッテリーは、その後も弱いままということがよくあります。救援でかかっても、また数日で上がるなら、交換の時期です。
判断は、店で測ってもらうのが確実です。電圧だけでなく、始動に必要な力が残っているかを測る機械があります。数分で終わり、無料で行っている店も多くあります。
交換を自分で行う場合の順番と注意は、車のバッテリー交換の順番にまとめました。外すのはマイナスから、付けるのはプラスからです。
季節による違い
同じバッテリーでも、気温が下がると力が落ちます。冬の朝に上がる車が多いのは、このためです。
そして、冬は電気を使う量も増えます。ヘッドライト、暖房の送風、熱線、ワイパー。どれも同時に使う季節です。
一方、夏の暑さも、バッテリーを傷めます。高温は内部の劣化を早めます。夏に弱ったものが、冬に表面化するという流れが、よくある形です。
だから、点検の時期は秋が向いています。寒くなる前に状態を確かめておけば、朝に困ることが減ります。冬に向けた備えは冬の車の備えにまとめました。
原因を探す順番
どこから手をつけるかを、順番にしておきます。上から確かめていけば、無駄な出費や、見当違いの部品交換を避けられます。
- 消し忘れがなかったか。ライト、室内灯、半ドア。
- 最近の乗り方はどうか。短い距離ばかりになっていないか。
- 後付けの機器を増やしたか。増やした時期と、症状が出た時期が重なっていないか。
- 警告灯や異音はないか。バッテリーの形の警告灯、ベルトの音。
- バッテリーは何年使っているか。年数と、これまでに上がった回数。
1から3までは自分で確かめられます。4と5は、店で見てもらうほうが早く進みます。
相談するときは、いつ、どんな状況で上がったかを伝えてください。「毎朝」「何日か置いたあと」「走ったあとすぐ」では、疑う場所が変わります。
端子まわりを見る
意外に見落とされるのが、端子の接触です。バッテリーに力が残っていても、つなぎ目で電気が通らなければ、上がったのと同じ状態になります。
確かめるのは2点です。端子に白い粉が付いていないか、そして手で揺すって動かないか。
白い粉は、端子の腐食でできたものです。素手で触らないでください。手袋をして、専用のブラシで落とします。落としたあとは、接点を保護するグリスを薄く塗ると、次に出にくくなります。
緩みは、走行中の振動で起きます。締め直すときは、手で揺すって動かない程度にとどめてください。鉛でできた端子は、締めすぎると変形します。
この作業をするときは、必ずマイナス端子から外すという順番を守ってください。理由は車のバッテリー交換の順番に書きました。
上がる前に出る合図
ある日突然動かなくなるように見えて、たいていは前から合図が出ています。次の変化に気づいたら、点検の時期です。
- エンジンをかけるときの音が重い。回転が遅く、かかるまでに時間がかかる。
- アイドリング中にライトが暗い。アクセルを踏むと明るくなる。
- パワーウィンドウの動きが遅い。
- アイドリングストップが働かなくなった。装置がバッテリーの状態を見て止めています。
- キーを回したとき、カチカチという音だけがする。かなり弱っている状態です。
とくに4番目は、分かりやすい合図です。信号待ちでエンジンが止まらなくなったら、バッテリーが弱っている可能性を考えてください。故障ではなく、装置が判断して止めていることが多いためです。
上がってしまったときの動き方
原因を探すのは、車を動かせるようにしてからです。止まった場所が道路上であれば、まず安全を確保してから、始動の手段を考えます。
救援してくれる車があるなら、ブースターケーブルを使います。順番と理由はブースターケーブルのつなぎ方と順番に、ケーブルの選び方はブースターケーブルの選び方にまとめました。
頼める相手がいない場合は、ジャンプスターターか、ロードサービスです。保険に付いていることが多いので、証券の番号を車に置いておくと安心です。
そして、かかったあとは30分ほど続けて走って充電します。ここで止めると、また上がります。
車の使い方を変える
原因が「乗り方」にある場合、道具では解決しません。習慣を少し変えるほうが効きます。
もっとも効果があるのは、週に一度、続けて30分走ることです。用事をまとめて、遠回りでも流れのよい道を選ぶ。これだけで、充電の状態はかなり違ってきます。
次に、エンジンをかける前に、電気を使うものを切っておくことです。エアコンの送風、熱線、オーディオ。始動の瞬間に余計な負担をかけない、という考え方です。
そして、止める前に、使っていたものを切る習慣をつけてください。次にかけるとき、いきなり全部が動き出すことがなくなります。
乗る回数が少ない車なら、充電器を用意するのも現実的です。月に一度つなぐだけで、寿命が延びます。週末しか乗らない、冬は乗らない、という車には向いています。
やってはいけないこと
- ふくらんだ、液が漏れているバッテリーを、無理に使い続ける
- 何度も続けてエンジンを回し続ける(始動装置を傷めます)
- 原因が分からないまま、バッテリーだけを何度も交換する
- 端子を締めすぎる(鉛の端子は変形します)
- 充電中のバッテリーの近くで火を使う(水素が出ています)
3番目は、費用の無駄になりやすい部分です。暗電流や充電の不具合が原因なら、新品に替えてもまた上がります。
よくある質問
Q. アイドリングでも充電できますか。
A. 充電そのものはされますが、実際に走っているときに比べると効率は落ちます。回転数が低いためです。近所迷惑にもなるので、アイドリングを続けるより、実際に走るほうが確実です。
Q. バッテリーは何年で交換するものですか。
A. 使い方と環境で大きく変わるため、年数だけで判断することはできません。エンジンのかかりが重い、ライトが暗いといった変化が出たら、年数にかかわらず点検してください。
Q. アイドリングストップ車は、上がりやすいのですか。
A. エンジンを始動する回数が多いぶん、バッテリーにかかる負担は大きくなります。そのため専用のバッテリーが使われています。普通のものを付けると、寿命が縮むだけでなく、アイドリングストップが働かなくなることもあります。
Q. 充電器を買って、自分で充電してもよいですか。
A. 自分で充電して構いません。ただし、換気のよい場所で行い、火の気を近づけないでください。充電中は水素が出ます。また、バッテリーの種類に合った充電器を選んでください。
Q. 何日乗らないと上がりますか。
A. 車と状態によって大きく変わるので、日数では言い切れません。新しいバッテリーで、後付けの機器がなければ、数週間置いても始動できることが多いものです。逆に、弱っている状態や、暗電流が多い車では、数日で上がることもあります。
Q. 一度上がったバッテリーは、もう替えたほうがよいですか。
A. 消し忘れが原因で、それ以外は健全なら、充電して使い続けられることもあります。ただし、深く上がった状態は、内部を傷めます。年数がたっている場合や、二度目以降の場合は、交換を考えてください。
まとめ
バッテリーがすぐ上がるときは、バッテリーそのものを疑う前に、電気がどう使われているかを疑ってください。消し忘れ、短い距離の運転、後付けの機器。この3つで、ほとんどの場合は説明がつきます。
それでも当てはまるものがないなら、充電の仕組みの不調か、バッテリーの寿命です。警告灯と異音に気をつけ、店で状態を測ってもらってください。
そして、点検は秋のうちに済ませてください。夏に傷んだものが、冬の朝に表面化します。寒くなる前に確かめておけば、朝に救援を頼む場面はぐっと減ります。
寿命の判断は車のバッテリーの寿命と交換時期、上がったときの対処はブースターケーブルのつなぎ方と順番、交換したあとの処分は古いバッテリーの処分方法で扱っています。
数か月動かさない場合の対策は、車に数か月乗らないときの保管にまとめています。
もう一歩進めるなら、ブースターケーブルの選び方もご覧ください。
