冬支度は、寒くなってから始めると間に合いません。灯油の暖房を出すのも、水道管の凍結を防ぐのも、車のタイヤを替えるのも、寒波が来る前に済ませておく作業です。ここでは、家と車と庭のそれぞれについて、秋のうちに何を確かめ、何を用意しておくのかを一つにまとめます。個々の作業の詳しい手順は、それぞれの記事にまとめてありますので、この記事はやることの地図として使ってください。
この記事の要点
- 冬支度は10月から11月のうちに進めます。寒波の予報が出てからでは、店の在庫も業者の予約も取れません。
- 家では暖房器具の点検・水道管の凍結対策・すき間風の対策の3つが柱になります。
- 車ではタイヤの交換とバッテリーの状態が最優先です。どちらも寒くなってから慌てる人が多い部分です。
- 庭や屋外では、落ち葉と雨どい、そして夏に使った機械の片付けを先に済ませます。
- 暖房で怖いのは一酸化炭素です。締め切った部屋で燃やさない、これだけは例外を作らないでください。
なぜ秋のうちに動くのか
冬支度の失敗は、ほとんどが間に合わなかったという形で起きます。道具が悪かったわけでも、知識が足りなかったわけでもありません。
最初の寒波の予報が出た日から数日のあいだに、いくつものことが同時に起こります。タイヤの店が予約でいっぱいになる。灯油の販売所に列ができる。ホームセンターから凍結防止のヒーターと保温材が消える。暖房器具の修理の依頼が立て込み、業者の到着が一週間先になる。
つまり、寒くなってから動き出すと、自分の段取りではなく、周りの混み具合に予定を決められてしまうのです。
逆に言えば、秋のうちに一度ずつ手を動かしておけば、冬のあいだは点検だけで済みます。以下は、作業のまとまりごとに並べたものです。上から順にこなす必要はありませんが、屋外の作業を先に、屋内の作業を後に回すと、天気に左右されにくくなります。
家の冬支度
暖房器具を、使う前に点検する
しまっておいた暖房器具は、そのまま使い始めないでください。一年ぶりに火を入れる機械です。ほこりがたまり、部品が傷み、燃料が古くなっています。
石油ストーブやファンヒーターなら、芯の状態、油タンクのパッキン、そして電池の液漏れを見ます。手入れの手順は石油ストーブの手入れに、芯を替えるときの見分け方は石油ストーブの芯の交換にまとめました。
そして、去年の灯油は使わないでください。色が変わっていなくても、性質は変わっています。不完全燃焼や故障の原因になります。判断のしかたと処分の方法は去年の灯油は使えるかで詳しく書きました。
灯油を買いに行くなら、ポリタンクとポンプも点検の対象です。ポンプの選び方は灯油ポンプの選び方に、車で運ぶときの決まりは灯油を車で運ぶときの注意にまとめました。
一酸化炭素だけは、例外を作らない
冬支度の中で、命に直結するのがここです。部屋の中で燃料を燃やす暖房は、必ず換気が要ります。石油でもガスでも同じです。
一酸化炭素は、色も匂いもありません。眠くなる、頭が重い、といった変化を「疲れ」と勘違いしているうちに、体が動かなくなります。気づいてから窓を開けるのでは遅いという性質のものです。だから、最初から換気を前提に使い方を決めます。詳しくは暖房器具と一酸化炭素中毒にまとめました。
カセットガスの暖房を防災用に考えている方も多いと思います。手軽に見えますが、これも部屋の空気で燃やす道具です。カセットガスストーブの使い方に、使ってよい場所と、使ってはいけない場所を書きました。
水道管の凍結を防ぐ
水道管が凍ると、水が出なくなるだけでは済みません。凍った水が膨らんで管を割り、解けたときに大量の水があふれます。壁の中や床下で起きれば、修理は大がかりになります。
屋外に出ている水道管、日の当たらない北側の壁沿い、そして長く家を空ける予定。この3つが重なる家は、とくに注意が要ります。保温材の巻き方と、凍ってしまったときにやってはいけないことは水道管の凍結を防ぐにまとめました。
給湯器にも凍結を防ぐ働きが備わっていますが、電源を抜くと動きません。年末年始の帰省で電源を落とす場合は、この点を思い出してください。給湯器の交換に、確かめる場所を書いています。
すき間風と、窓からの冷え
暖房を強くしても部屋が暖まらない家は、熱を作る量より、逃げる量が多い状態です。逃げ道のうち、いちばん大きいのが窓です。
断熱シートやすき間テープは、道具も要らず、賃貸でも使える対策です。貼る前の下ごしらえで持ちが変わるので、窓の断熱に必要な道具を参考にしてください。
あわせて、この時期は電気の使い方が変わることも意識してください。電気ストーブやホットカーペットは、1台で1000ワットを超えることがあります。同じ電源タップにまとめてつなげば、それだけで上限を超えます。延長コード・電源タップの安全に、上限の見方と火が出る仕組みを書きました。
車の冬支度
車で優先すべきなのは、タイヤとバッテリーです。この2つは、冬の朝にそのまま「動けない」に直結します。
タイヤは、雪が降ってから替えようとしても間に合いません。降った日は、そもそも店まで走れません。交換の予約も取れません。初雪の平年日より、一か月早く動くと決めておくと迷いません。作業を自分でやるなら、タイヤ交換に必要な工具と、締め付けの確認に使うトルクレンチを用意します。
バッテリーは、寒さで力が落ちます。夏のあいだ「かかりが少し遅いかな」と感じていた車は、最初の冷え込みで動かなくなることがあります。備えとつなぎ方はバッテリー上がりの対処にまとめました。
そのうえで、雪の区間を走る可能性があるなら、車に積んでおく物が増えます。立ち往生したときに何が要るかは冬の車の備えに書きました。視界の確保も冬の課題なので、ワイパーの交換もこの時期に済ませておくと安心です。
窓が曇りやすくなる季節でもあります。曇りの原因が車内の湿気とフィルターの汚れであることは多く、車のエアコンフィルターの交換で改善することがあります。工具もほとんど要りません。
庭と屋外の冬支度
屋外は、雨や雪が続くと手が出せなくなります。家の中の作業より先に片付けてください。
まず落ち葉です。濡れた落ち葉は滑り、転倒のもとになります。玄関から道路までの通り道だけでも、こまめに片付けておくと安心です。道具の使い分けは落ち葉掃除に必要な道具にまとめました。
落ち葉は、雨どいにもたまります。詰まったまま冬に入ると、水があふれ、寒い地域ではそれが凍ります。雨どいの掃除に必要な道具に、地上からできる確認のしかたを書きました。屋根に近い高さでの作業になるので、脚立とはしごの安全な使い方もあわせて読んでください。
庭木は、種類によって切ってよい時期が違います。冬に切る木、春まで待つ木があります。庭木の剪定に必要な道具を参考にしてください。
夏に使った機械は、そのまましまうと来年動きません。燃料を入れたまま半年置くのが、いちばん多い故障の原因です。エンジン機械の冬の保管に、燃料の抜き方と保管の手順をまとめました。
雪の多い地域なら、除雪機も点検の対象です。降ってから初めてエンジンをかけるのでは遅いので、秋のうちに一度動かしておきます。選び方と、巻き込まれを防ぐ扱い方は除雪機の選び方と安全な使い方にまとめました。
薪ストーブを使う家では、薪の準備もこの時期です。乾かす時間が要るので、割るのは早いほどよいという作業です。薪割りに必要な道具に、斧の選び方と、けがを防ぐ立ち位置を書きました。
停電に備える
冬の停電は、夏の停電より厳しくなります。暖房が止まるうえ、日が短く、道路の状況も悪いためです。
備えの基本は防災で備える工具にまとめました。冬に限って言えば、電気を使わずに暖かくなれる手段を一つ持っておくことが要点になります。
ここで注意したいのが、備えた道具が、かえって危険になる場合です。発電機を家の近くで回せば、排気が屋内に入ります。発電機の選び方に、置いてよい場所を書きました。カセットボンベを備蓄する場合は、置き場所の温度にも気をつけてください。カセットボンベの保管方法にまとめています。
電池で動く道具をそろえるなら、充電池の扱いも覚えておく必要があります。ふくらんだモバイルバッテリーをそのままごみに出すと、収集車の火災につながります。モバイルバッテリーの捨て方を参照してください。
やってしまいがちな、危ない冬支度
良かれと思ってやったことが、かえって事故につながる場面があります。毎年、同じ形の失敗が繰り返されているので、先に挙げておきます。
一つ目は、凍った水道管に熱湯をかけることです。急な温度の変化で管が割れます。解けたあとに、勢いよく水が噴き出します。ぬるま湯を、タオル越しに少しずつ当てるのが基本です。
二つ目は、暖房器具のそばで洗濯物を乾かすことです。落ちた衣類が器具に触れれば、そこから火が出ます。乾きが早いぶん、置き場所の危険も大きくなります。
三つ目は、雪を下ろすために屋根へ上がることです。冬の事故で、もっとも死者が多いのがこの作業です。屋根の上は、足場も視界も、想像より悪くなります。業者に頼む前提で考えてください。
四つ目は、車を雪の中で暖機することです。排気管が雪でふさがれると、排気が車内に入ります。エンジンをかけたまま仮眠するのは、とくに危険です。降り積もったあとに車を動かすなら、まず排気管の周りの雪をかき出してください。
共通しているのは、寒さと面倒くささが、判断を急がせているという点です。寒い日ほど、早く終わらせたくなります。その気持ちが、普段なら選ばない手順を選ばせます。秋のうちに準備を終えておく理由は、ここにもあります。慌てずに済む状態を作っておけば、危ない近道を選ぶ場面そのものが減ります。
いつ、何をするか
目安の時期を並べます。住んでいる地域によって前後しますので、初雪の平年日から逆算して読み替えてください。
- 9月から10月:夏に使った機械の片付け、庭木の手入れ、雨どいの確認。屋外の作業を先に終えます。
- 10月:暖房器具の点検と試運転。古い灯油の処分。窓の断熱。
- 11月:タイヤの交換、バッテリーの点検、車に積む物の入れ替え。
- 11月から12月:水道管の保温、凍結防止の確認。停電への備えの見直し。
- 冬のあいだ:落ち葉の片付けと、排気口が雪でふさがれていないかの確認を続けます。
すべてを一日でやろうとすると続きません。週末ごとに一つと決めて進めれば、秋のうちに十分終わります。
よくある質問
Q. 賃貸でもできる冬支度はありますか。
A. あります。窓の断熱、すき間テープ、暖房器具の点検、電源まわりの見直しは、どれも原状回復の問題になりません。壁や設備に手を入れる作業だけ、管理会社に相談してください。判断の線引きは賃貸でできるDIYの範囲にまとめました。
Q. 暖房器具は、何年くらいで買い替えるべきですか。
A. 年数だけで決める必要はありませんが、異臭がする、火が安定しない、同じ不具合が繰り返す場合は、修理より買い替えを考える段階です。部品の保有期間を過ぎた機種は、修理そのものができないこともあります。
Q. 雪が降らない地域でも、冬支度は要りますか。
A. 要ります。水道管の凍結は、雪が降らない地域でも起きます。放射冷却で朝だけ冷え込む土地では、雪への備えがないぶん、かえって被害が出やすい面もあります。暖房と換気の話も、地域を選びません。
Q. 冬支度のために、新しく工具をそろえる必要はありますか。
A. ほとんどの作業は、手持ちの道具で足ります。買い足すとすれば、車の作業に使うものが中心です。何から買うかで迷う場合は、最初に揃える工具を参考にしてください。
まとめ
冬支度は、難しい作業の集まりではありません。一つひとつは簡単で、まとめてやろうとすると間に合わなくなる種類の仕事です。
屋外から先に片付け、暖房を点検し、車のタイヤとバッテリーを見る。水道管を保温し、停電の備えを確かめる。この順番で週末ごとに進めれば、最初の寒波が来たときに、慌てる理由がなくなります。
そして、冬にいちばん気をつけてほしいのは、繰り返しになりますが燃やす暖房と換気です。寒いからと窓を閉め切りたくなる季節に、あえて空気を入れ替える。この一点だけは、面倒でも省かないでください。