壁紙の継ぎ目が開いてきた、角がめくれた、家具をぶつけて破れた。どれも、専用の接着剤とローラーがあれば自分で直せます。材料は千円ほど、作業は一か所あたり十分です。ただし、放置すると手に負えなくなります。めくれた部分は乾いて縮み、元の位置に戻らなくなるからです。気づいた時点で押さえるのが、最も確実で安く済む方法です。この記事では、症状ごとの直し方と、避けたほうがよい処置を書きます。
この記事でわかること
- 剥がれの種類と、それぞれの直し方
- 必要な材料と道具
- 破れた部分を補修する手順
- 賃貸で気をつけること
なぜ剥がれるのか
壁紙は、のりで下地に貼られています。この接着の力が年月とともに弱ることが、剥がれの基本的な原因です。加えて、いくつかの条件が重なると、進みが速くなります。
一つが、湿度の変化です。壁紙も下地も、湿気を吸って伸び、乾いて縮みます。この動きが繰り返されることで、継ぎ目に力がかかり、少しずつ開いていきます。
もう一つが、下地の動きです。木造の住宅では、建物そのものが少しずつ動きます。下地の板がずれれば、その上の壁紙にも影響が出ます。
そして、結露です。窓の近くや、外壁に面した壁では、冬に水分がたまります。のりが湿気を吸い続けると、接着の力が落ちます。
剥がれる場所には傾向があります。継ぎ目、天井との境、窓や扉の枠まわり、そして壁の角。どれも力がかかりやすい部分です。
用意するもの
そろえる材料は限られています。すべてホームセンターで手に入ります。
- 壁紙用の接着剤。細い注入口の付いた製品が使いやすい
- 押さえるためのローラー。継ぎ目用の小さいもの
- ヘラ。空気を抜くために使う
- 固く絞った布。はみ出した接着剤を拭く
- カッターと定規。破れの補修に使う
- マスキングテープ。仮押さえに使う
接着剤は、壁紙専用のものを選んでください。木工用のものや、瞬間接着剤は向きません。乾いたときに硬くなりすぎ、次に動いたときに壁紙ごと破れます。
全部そろえても、千円台に収まります。一度買っておけば、他の場所にも使えます。
継ぎ目が開いた場合
最も多い症状です。壁紙と壁紙の境目が、細い線のように開いてきます。
まず、開いた部分の内側とその周りを、乾いた布で拭いてください。ほこりが入っていると、接着剤が効きません。細い隙間なので、爪楊枝の先で汚れをかき出すと確実です。
次に、接着剤の注入口を隙間に差し込み、少量を流し込みます。多く入れすぎると、押さえたときに大量にはみ出します。少しずつ入れてください。
ローラーで、継ぎ目に沿って転がします。上から下へ、一方向に動かすときれいに収まります。往復させると、かえって位置がずれます。
はみ出した接着剤は、固く絞った布ですぐ拭き取ってください。乾くと固まり、光が当たったときに目立ちます。
角がめくれた場合
壁の出っ張った角や、扉の枠のそばでめくれることがあります。人が触れる場所なので、進みが速い部分です。
めくれた部分を、そっと持ち上げます。無理に開くと、かえって範囲が広がります。指が入る程度で十分です。
裏側と壁の両方を拭き、乾いていることを確認してから接着剤を塗ります。壁紙の裏に薄く伸ばすように塗ると、均一に付きます。
元の位置に戻し、ヘラで空気を押し出しながら密着させます。中心から外へ向かって動かしてください。
浮きやすい場所なので、マスキングテープで仮に押さえておくと確実です。数時間から一日置いてから、テープをはがしてください。
浮いて膨らんだ場合
壁の一部が、風船のように膨らむことがあります。中に空気が入っている状態です。
小さいものなら、注射器のような形の道具で接着剤を注入します。壁紙の補修用として市販されています。針を刺して中に流し込み、上から押さえます。
道具がなければ、カッターで小さな切れ目を入れる方法もあります。膨らみの中央ではなく、端に近い位置に、模様に沿って目立たない切れ目を入れてください。
そこから接着剤を入れ、中心から外へ空気を押し出します。切れ目は、押さえれば目立たなくなります。
ただし、広い範囲が膨らんでいる場合は、下地に問題がある可能性があります。水漏れや結露で、下地が湿っているかもしれません。この場合は、原因を確認してから作業してください。
破れた場合
家具をぶつけた、物が当たった。こうして破れた部分は、補修の方法が変わります。
破れた壁紙が残っているなら、それを戻すのが最もきれいに仕上がります。裏に接着剤を塗って、元の位置に合わせてください。
失われている場合は、別の場所から同じ壁紙を切り出します。押し入れの中や、家具の裏など、見えない場所から取ってください。
切り出すときは、破れた部分より少し大きめにします。補修する場所に重ねて置き、二枚まとめてカッターで切り抜くと、切り口がぴったり合います。
この方法なら、継ぎ目が目立ちません。定規を当てて、まっすぐ切ってください。
同じ壁紙が手に入るか
補修に使える壁紙がない場合、同じものを探すことになります。
新築や、リフォームから間もない住宅なら、施工した会社に品番を聞ける可能性があります。図面や仕様の書類に記載されていることもあります。
賃貸なら、管理会社が把握していることがあります。退去のときに張り替える前提でも、品番の記録は残っているものです。
ただし、同じ品番でも、色が合わないことがあります。既存の壁紙は日焼けして変色しているためです。特に、窓際の壁では差がはっきり出ます。
この場合、目立たない場所から切り出すほうが、色が合います。完全に一致するものを探すより、現実的な方法です。
やらないほうがよい処置
手近なもので済ませようとすると、かえって悪化します。
透明なテープで留めるのは避けてください。時間が経つと黄色く変色し、はがすときに壁紙ごと剥がれます。補修の跡が、元の傷より目立つことになります。
瞬間接着剤も向きません。硬く固まるので、壁紙が動いたときに周囲が破れます。しみになって残ることもあります。
画びょうで留めるのも、穴が残るだけで解決になりません。
そして、めくれた部分を引っ張らないでください。どこまで剥がれるかわかりません。少し触って様子を見る程度にとどめてください。
下地に問題がある場合
補修しても繰り返し剥がれる場合、壁紙ではなく下地が原因です。
下地の石膏ボードが、湿気で柔らかくなっていることがあります。押してみて、へこむ感触があれば、この状態です。
この場合、接着剤で貼っても効きません。下地そのものを交換する工事が必要になります。
湿気の原因も探してください。水漏れか、結露か、外壁からの雨水か。原因を断たなければ、直しても同じことが起きます。
かびが生えている場合も、下地まで及んでいる可能性があります。表面を拭いても、内部に残ります。
結露が原因の場合
冬に窓際の壁紙が剥がれるなら、結露を疑ってください。
暖かい室内の空気が、冷たい壁や窓に触れて水滴になります。この水が壁紙の裏に回り、のりを溶かします。
対策は、結露そのものを減らすことです。換気を増やす、室内の湿度を下げる、窓の断熱を高める。壁紙を貼り直す前に、ここに手を付けてください。
家具を壁にぴったり付けている場合、その裏で空気が動かず、結露が起きます。数センチ離すだけで改善します。
押し入れやクローゼットの中も同じです。壁に接して物を詰め込むと、その面が乾きません。
張り替えを考える段階
部分的な補修では対応できない状態もあります。
剥がれが何か所にも及ぶ、全体が黄ばんでいる、表面が破れやすくなっている。こうした状態なら、張り替えの時期です。
壁紙の寿命は、おおむね十年とされています。日当たりや、たばこの有無、湿気の条件で前後します。
費用は、六畳の部屋で数万円が目安です。壁だけか、天井も含めるかで変わります。家具の移動を自分でやれば、安くなることもあります。
自分で張り替えることもできますが、広い面積は難しい作業です。まっすぐ貼る、空気を抜く、継ぎ目を合わせる。どれも慣れが要ります。最初は、押し入れの中など目立たない場所で試してください。
賃貸での扱い
借りている住まいでは、判断に注意が要ります。
経年による剥がれは、通常の使用による劣化として扱われることが多いものです。この場合、退去のときに費用を求められることは、通常ありません。
一方、家具をぶつけて破った、たばこで黄ばませた。こうした原因なら、入居者の負担になる可能性があります。
自分で補修する場合、かえって目立つ仕上がりになると、問題が大きくなります。素人の補修跡があると、その部分を張り替える判断になりやすいためです。
迷ったら、管理会社に連絡してください。剥がれの程度を伝えれば、対応を教えてもらえます。入居の直後から剥がれていたなら、その時点で伝えておいてください。
日ごろの手入れ
剥がれを遅らせる工夫があります。
湿度の管理が最も効きます。梅雨時の除湿、冬の結露対策。どちらも、壁紙の寿命に直結します。
汚れは早めに拭いてください。時間が経つと落ちにくくなり、強くこすることになります。その摩擦が、剥がれの起点になります。
拭くときは、固く絞った布で軽く押さえるようにしてください。水を多く含ませると、継ぎ目から中に入ります。
そして、小さな剥がれのうちに押さえることです。数ミリの浮きなら十分で直りますが、放置して広がれば、材料も手間も増えます。
作業しやすい条件を選ぶ
同じ作業でも、時期と時間帯で仕上がりが変わります。急ぎでなければ、条件を選んでください。
湿度が高すぎる日は避けてください。接着剤が乾くのに時間がかかり、押さえている間に位置がずれます。梅雨時なら、除湿をしてから作業してください。
逆に、乾燥しすぎる冬も扱いにくい季節です。接着剤が速く乾き、位置を直す余裕がなくなります。暖房を切って、室温を下げてから作業すると落ち着きます。
明るい時間に作業してください。壁紙の浮きや、はみ出した接着剤は、光の角度で見え方が変わります。暗い中では、仕上がりを確認できません。
横から光を当てると、わずかな浮きも見えます。懐中電灯を壁に沿わせて照らすと、見落としが減ります。
子どもやペットによる傷
剥がれの原因として、見落とされやすいものがあります。
猫が爪をとぐ場所では、壁紙が縦に裂けます。一度始まると同じ場所を繰り返すので、補修より先に、とぐ場所を別に用意するほうが効果があります。
子どもが端をめくることもあります。一度浮いた部分は、指がかかりやすくなります。早めに押さえておくことが、結果的に被害を小さくします。
傷みやすい場所には、保護のシートを貼るという方法もあります。透明な製品なら、見た目への影響も小さく済みます。
賃貸では、こうした傷が入居者の負担とされる可能性があります。予防にかける手間のほうが、退去のときの費用より小さく済みます。
よくある質問
接着剤がはみ出して固まってしまいました
乾く前なら、固く絞った布で拭き取れます。固まってしまった場合は、ぬるま湯で湿らせた布を当てて、しばらく置いてから拭いてください。こすると壁紙の表面が傷むので、ふやかしてから取るのが要点です。
補修した部分が浮いてきます
接着の面にほこりが残っていたか、下地が湿っている可能性があります。もう一度開いて、内側をよく拭いてから貼り直してください。それでも浮くなら、下地側の問題です。
天井の壁紙も同じ方法でできますか
方法は同じですが、作業は格段に難しくなります。重力で落ちてくるため、押さえている時間が長くなります。脚立の上で上を向く姿勢も不安定です。範囲が広いなら、業者に頼むほうが安全です。
白い壁紙の黄ばみは落ちますか
原因によります。汚れによるものなら、中性洗剤で落ちることがあります。たばこのやには、専用の洗剤が要ります。紫外線による変色は、落とせません。この場合は張り替えになります。
まとめ
壁紙の剥がれは、専用の接着剤とローラーがあれば自分で直せます。材料は千円ほどです。継ぎ目が開いたら、ほこりを取ってから接着剤を入れ、上から下へローラーをかけてください。はみ出した分は、乾く前に拭き取ります。透明なテープや瞬間接着剤は使わないでください。後で余計に目立ちます。そして、繰り返し剥がれるなら下地の問題です。湿気の原因を探してから、補修に取りかかってください。
壁の穴の補修は壁の穴・傷の補修、賃貸での範囲は賃貸でできるDIYの範囲、結露の対策は窓の結露・すきま風対策にまとめています。