蛍光灯が切れたので、同じ形のLEDに替えたい。この相談には注意が必要です。見た目が同じ直管の形をしていても、そのまま差し替えてよい製品と、器具の内部の工事が必要な製品があります。工事が必要なものを知らずに付けると、発煙や発火につながります。そして、その工事には電気工事士の資格が要ります。この記事では、製品の種類の違い、器具ごと交換するという選択肢、そして蛍光灯の生産が終わっていく流れの中で何を選ぶべきかを書きます。
この記事でわかること
- 直管のLEDに三つの種類がある理由
- そのまま差し替えると何が起きるか
- 器具ごと交換するほうがよい場面
- 蛍光灯の入手が難しくなる流れ
蛍光灯には点灯のための装置がある
なぜ単純に差し替えられないのか。まず、蛍光灯の仕組みを押さえてください。
蛍光灯は、管の中で放電させて光ります。この放電を始めるには高い電圧が必要で、始まった後は電流を抑える必要があります。この役割を果たしているのが、器具の中に組み込まれた装置です。
古い器具では、重い鉄の塊のような部品が入っています。新しい器具では、電子的に制御する基板が使われています。どちらも、蛍光灯を点けるための装置です。
LEDは、この装置を必要としません。むしろ、あると邪魔になります。ここが問題の根本です。
直管LEDの三つの種類
市販されている直管のLEDは、大きく三つに分かれます。
一つめが、器具の装置をそのまま使う形式です。既存の装置を利用して点灯するので、差し替えるだけで使えます。ただし、装置の種類によっては対応していません。対応する器具の型番が指定されているので、確認が必要です。
二つめが、器具の内部の配線を変える形式です。装置を経由しないように配線し直してから使います。この工事には電気工事士の資格が必要です。
三つめが、器具ごと交換する形式です。LED専用の器具に付け替えます。工事は必要ですが、最も確実で、性能も引き出せます。
どれを選ぶかで、必要な作業と費用が変わります。買う前に決めておいてください。
そのまま差し替えると何が起きるか
工事が必要な製品を、そのまま既存の器具に差すとどうなるか。
点灯しないだけなら、まだ軽い結果です。問題は、器具の中の装置に想定外の電流が流れることです。装置が発熱し、内部の部品が焼けます。煙が出る、焦げたにおいがする、といった症状が現れます。
古い器具では、装置の内部に絶縁のための物質が使われており、加熱すると溶けて漏れることがあります。天井から液体が垂れる事例が報告されています。
そして、最悪の場合は火災です。天井の中で起きるため、発見が遅れます。
だから、製品の箱に書かれた対応の条件を必ず読んでください。工事が必要と書かれているものを、そのまま使ってはいけません。
今の器具を確認する
選ぶ前に、今使っている器具の情報を集めてください。
- 器具の型番。本体に貼られたシールに記載がある
- 製造年。同じシールで確認できる
- 蛍光灯の長さと本数
- 管に書かれた型番。数字と記号の組み合わせ
- 点灯の方式。管の型番から判断できる
- 天井への取り付け方。引っかける形式か、直接固定されているか
これらを控えて、売り場で照合するか、店員に相談してください。型番がわかれば、対応する製品を探してもらえます。
シールが読めないほど古い器具なら、その時点で交換を検討する段階です。次に説明します。
器具ごと替えるという判断
私の考えでは、多くの場合これが最も合理的です。
理由の一つが、器具そのものの寿命です。照明器具には、設計上の標準使用期間としておおむね十年が示されています。内部の部品や配線が劣化するためです。蛍光灯を使い続けてきた器具は、この年数を大きく超えていることが多いはずです。
古い器具にLEDの管だけ入れても、器具の劣化は残ります。光源が新しくなっても、土台が古いままです。
もう一つの理由が、性能です。LED専用に設計された器具のほうが、明るさも効率も引き出せます。調光や調色ができる製品もあります。
費用は、器具と工事で一か所あたり一万円台からが目安です。管だけ替えるより高くなりますが、その後十年使うことを考えれば、差は大きくありません。
自分でできる範囲
作業の種類によって、資格の要否が分かれます。
蛍光灯やLEDの管を差し替えるだけなら、資格は要りません。差込口に入れて回すだけの作業です。
天井に取り付けの金具が付いていて、そこに器具を引っかける形式なら、器具ごとの交換も自分でできます。差し込んで回すだけなので、電線に触れません。
一方、器具が天井に直接固定され、電線がつながれている場合は、資格が必要です。器具の内部の配線を変える工事も同じです。
天井を見上げて、丸い取り付けの金具が付いているかどうかを確認してください。あれば、自分で交換できる可能性が高くなります。
作業するときの安全
資格の要らない作業でも、気をつける点があります。
必ず、壁のスイッチを切ってから作業してください。できれば、分電盤でその系統のブレーカーも落とします。スイッチだけでは、配線側に電気が来ている場合があります。
脚立を使うなら、平らな場所に置き、最上段に乗らないでください。天井の作業は、上を向いた姿勢で不安定になります。誰かに支えてもらうのが理想です。
点灯直後の器具は熱くなっています。消してすぐ触らず、冷めるのを待ってください。
外した蛍光灯は、割れやすいものです。床に置かず、すぐ片付けてください。割れた場合は、素手で拾わないでください。
外した蛍光灯の捨て方
蛍光灯は、水銀を含むため、多くの自治体で通常のごみと分けられています。
専用の回収箱を設けている地域、不燃ごみとして別の袋で出す地域、拠点回収に持ち込む地域があります。自治体の案内を確認してください。
買ったときの箱があれば、それに入れて出すのが安全です。なければ、新聞紙で包んでから袋に入れてください。割れると、収集する人が怪我をします。
割ってしまった場合は、窓を開けて換気し、掃除機を使わずにほうきで集めてください。掃除機で吸うと、内部の物質が部屋に広がります。
LEDの管は水銀を含みませんが、区分は自治体で違います。あわせて確認してください。
蛍光灯は手に入りにくくなる
この判断を急ぐ理由があります。
水銀を含む製品については、国際的な条約により、製造と輸出入を段階的に減らす流れが進んでいます。蛍光灯もその対象です。国内でも、製造を終える動きが続いています。
すぐに使えなくなるわけではありませんが、選べる種類は減っていきます。特殊な形状のものから、順に入手しにくくなります。
だから、器具が古くなっている家庭では、切れたときが替え時だと考えてください。まとめて買いだめするより、順に交換していくほうが合理的です。
一度に全部替えるのが難しければ、よく使う部屋から順に進めてください。居間と台所を先にすれば、効果を実感しやすいはずです。
明るさの選び方
交換するとき、どれくらいの明るさを選ぶかで迷います。
蛍光灯ではワット数で選んでいましたが、LEDでは光の量を表す数値で比べます。箱に記載されているので、そちらを見てください。ワット数は消費電力であって、明るさではありません。
今と同じ明るさにしたいなら、店頭の対応表を見るのが確実です。従来の何ワット相当という表記がされている製品もあります。
光の色も選べます。青白い色、自然な白、暖かい色の三種類が主流です。作業をする場所なら白っぽい色、くつろぐ場所なら暖かい色が向きます。台所と居間で変えるという使い分けもできます。
光が広がる角度も製品で違います。蛍光灯は全方向に光りますが、LEDには一方向のものがあります。天井に反射させて使っていた部屋では、暗く感じることがあります。
交換の前に掃除をする
作業のついでに、やっておくと効果が大きいことがあります。
照明の傘やカバーには、何年分ものほこりがたまっています。外して洗うだけで、明るさが目に見えて戻ります。交換の必要すらなかった、という場合もあります。
洗うときは、中性洗剤で汚れを落とし、完全に乾かしてから戻してください。水滴が残ったまま付けると、内部に入ります。
管そのものも拭いてください。表面のほこりが光を遮っています。乾いた布で拭くだけで違います。
丸い形の蛍光灯も同じ考え方
居間などで使われている、輪の形をした蛍光灯についても触れておきます。
この形にも、LEDの製品があります。ただし、直管と同じく、器具との対応を確認する必要があります。そのまま使える製品と、そうでない製品があります。
実際のところ、この形の器具は天井に引っかける形式が多いため、器具ごと交換するほうが簡単です。工事も要らず、性能も引き出せます。
家電の量販店で、部屋の広さに合った製品を選べます。畳数の目安が箱に書かれているので、それを基準にしてください。
取り付けは、金具に差し込んで回し、電源のつなぎ口を差して、カバーを付けるだけです。十分ほどで終わります。
依頼するときの伝え方
電気工事店に頼むとき、先に情報を揃えておくと見積もりが早く出ます。
器具の型番、設置されている場所と数、天井の高さ。この三つを伝えてください。天井が高い場所では、足場が必要になり費用が変わります。
器具ごと交換するのか、管だけ替えるのか、希望も伝えます。判断がつかなければ、両方の見積もりを出してもらってください。
複数の部屋をまとめて頼むと、一か所あたりの費用が下がることがあります。切れてから一つずつ頼むより、計画を立てて一度に済ませるほうが効率的です。
取り替える順番を決める
家じゅうを一度に替えるのは、費用の面で難しいはずです。順番を決めてください。
優先するのは、点灯している時間が長い場所です。居間と台所が該当します。電気代の差が出やすく、効果を実感できます。
次が、器具が古い場所です。年数が二十年を超えているものは、不具合が出る前に替えるほうが安全です。
後回しでよいのは、納戸や廊下など、点ける時間が短い場所です。切れてから対応しても間に合います。
よくある質問
工事が不要と書かれた製品なら安全ですか
対応する器具の条件が指定されています。すべての器具で使えるわけではありません。自分の器具の型番と照合してから買ってください。条件が合わなければ、不具合が起きます。
電気代はどれくらい下がりますか
消費電力は半分程度になる製品が多いはずです。点灯している時間が長い場所ほど、効果が出ます。ただし、器具と工事の費用を回収するには年数がかかります。費用だけを理由に急ぐ必要はありません。
LEDの寿命はどれくらいですか
四万時間程度とされる製品が多いものです。一日十時間使っても十年ほど持ちます。ただし、これは光の量が一定の割合まで下がるまでの時間で、突然切れるわけではありません。徐々に暗くなっていきます。
賃貸の照明を替えてもよいですか
器具が設備として付いているなら、管理会社に確認してください。切れた蛍光灯の交換は入居者の負担とされることが多いのですが、器具ごと替えるとなると話が変わります。退去時に元に戻す必要が出ることもあります。
交換したのに点きません
製品と器具が対応していない可能性があります。すぐに外して、箱の記載を確認してください。無理に通電を続けないでください。差し込みが浅い、向きが違う、という単純な原因のこともあります。
買い置きの蛍光灯が残っています
使い切ってから交換して構いません。ただし、器具が二十年を超えているなら、器具の劣化のほうが心配です。残っている本数と、器具の年数を見比べて判断してください。
片方だけ切れた場合は両方替えますか
二本使う器具なら、両方を同時に替えるほうが明るさが揃います。片方だけ新しいと、色や明るさの差が目立つことがあります。使用時間もほぼ同じなので、残りもすぐ切れます。
まとめ
直管のLEDには、そのまま差し替えられるもの、器具の配線を変える工事が必要なもの、器具ごと交換するものがあります。工事が必要な製品をそのまま差すと、器具の内部が発熱し、発煙や発火につながります。買う前に、今の器具の型番を確認してください。そして、器具そのものが十年を超えているなら、管だけ替えるより器具ごと交換するほうが合理的です。工事には資格が必要なので、電気工事店に相談してください。
照明の取り付けは照明器具の取り付け・交換に必要な工具、資格の範囲は電気工事は資格なしでどこまで、脚立の使い方は脚立とはしごの選び方にまとめています。
