畳の手入れ|水拭きとカーペットを避ける理由

畳は、手入れの仕方を間違えると寿命を縮めます。掃除機を強くかける、水拭きする、上にカーペットを敷く。どれもよかれと思ってやることですが、畳にとっては負担です。逆に、正しく扱えば十年以上使えますし、傷んでも表面だけ替えるという方法があります。この記事では、日々の手入れと、傷んだときの三つの選択肢、そしてカビと日焼けへの対処を書きます。

目次

この記事でわかること

  • 畳の構造と手入れの原則
  • やってはいけないこと
  • カビとダニへの対処
  • 裏返し・表替え・新調の違い

畳は二つの部分でできている

手入れを考えるうえで、構造を知っておくと判断が早くなります。畳は、土台となる厚い部分と、表面を覆う薄い部分に分かれています。

土台は、わらを圧縮したものか、断熱材のような板を使ったものです。ここが畳の厚みと硬さを作っています。二十年以上もつ部分です。

表面は、い草を織った薄いものです。これが消耗する部分で、日焼け、すり切れ、汚れが出るのはここです。

この二層構造だからこそ、表面だけを取り替えるという修理が成り立ちます。傷んだら全部捨てる、という道具ではありません。

目に沿って掃除する

日々の手入れの基本になる部分です。ここだけは押さえてください。

表面には、織られた方向があります。よく見ると、細い線が一方向に走っているはずです。掃除機は、この方向に沿ってかけてください。

直角の方向にかけると、繊維を起こしてしまい、けば立ちます。円を描くようにかけるのも、同じ理由で向きません。

そして、ゆっくり動かしてください。速く動かしても、目の奥のごみは吸えません。一畳あたり一分ほどかけるつもりで進めると、仕上がりが違います。

回転するブラシが付いた掃除機は、強く当てないでください。繊維を削ります。畳では、ブラシの回転を止められる機種のほうが向いています。

水拭きは避ける

ここが、最も誤解されている点かもしれません。

い草は、水を吸います。そして、内部に含んだ水分は、簡単には抜けません。これがカビの原因になります。

基本は、乾いた布で拭くか、掃除機だけにしてください。それで十分きれいになります。

どうしても拭きたいときは、固く絞った布を使い、拭いた後すぐに乾いた布で水分を取ってください。そして、窓を開けて乾かしてください。

頻度としては、年に一、二回で十分です。毎週やるようなものではありません。

上に敷かない

もう一つ、よかれと思ってやることです。

畳を汚したくないからと、カーペットやマットを敷く家庭があります。しかし、これは畳にとって最悪の条件を作ります。

畳は、湿気を吸ったり放したりしています。上を覆うと、この働きが止まります。内部にこもった湿気が抜けず、カビとダニが育ちます。

剥がしたときに、裏が真っ黒になっていた。これは、実際によくある話です。

どうしても敷くなら、畳に対応すると明記された製品を選び、時々めくって風を通してください。

カビが生えたら

梅雨の時期に、緑や白の粉のようなものが出ることがあります。

まず、乾いた歯ブラシなどで、目に沿ってかき出してください。濡らすと、かえって奥へ押し込みます。

かき出したものは、掃除機で吸います。ただし、排気で胞子が舞うので、窓を開けて作業してください。

その後、消毒用のアルコールを布に含ませて拭くと、残ったものを抑えられます。直接吹きかけると量が多すぎるので、布に含ませてください。

そして、扇風機で風を当てて乾かしてください。ここまでが一連の作業です。

カビを繰り返さない

取り除いても、条件が同じならまた出ます。原因の側を変えてください。

換気が最も効きます。畳の部屋を閉め切らないでください。特に、使っていない和室は要注意です。誰も入らないぶん、窓も開きません。

除湿する機器や、エアコンの除湿も有効です。梅雨の時期だけでも、動かす価値があります。

そして、布団を敷きっぱなしにしないでください。人が寝ている間に出た水分が、畳との間にたまります。毎日上げるのが理想ですが、難しければ日中だけでも立てかけてください。

新しい畳ほど、カビが出やすいという面もあります。い草が水分を多く含んでいるためです。入れ替えた最初の一年は、特に換気を意識してください。

ダニへの対処

カビが出るのと同じ条件で、ダニも増えます。

湿気と、餌となるほこりや皮脂。この二つが揃うと繁殖します。つまり、掃除と換気が対策になります。

畳を上げて干す方法が、昔から行われてきました。年に一度、晴れた日に外へ出し、裏面を日に当てます。ただし、集合住宅では現実的ではありません。

部屋の中で持ち上げ、缶などを挟んで浮かせるだけでも、風が通ります。これなら、一人でもできます。

市販の薬剤もありますが、根本は湿度です。数値として六十パーセントを下回る状態を保てれば、大きく減ります。

日焼けは避けられない

新しい畳は緑色ですが、時間とともに黄色くなります。

これは劣化ではなく、い草が自然に変色する現象です。ある程度は避けられませんし、この色を好む人もいます。

ただし、直射日光が当たる場所だけが早く変わると、色むらになります。家具を置いていた場所との差も出ます。

気になるなら、レースのカーテンで日を和らげてください。家具の位置を時々変えるのも、むらを防ぐ方法です。

ただし、日光には湿気を飛ばす働きもあります。締め切って暗くするのは、別の問題を招きます。

こぼしたときの対処

畳に何かをこぼしたときは、速さが結果を分けます。

水や飲み物をこぼしたら、すぐ乾いた布を押し当てて吸わせてください。こするのではなく、押さえて吸い取る。こすると、汚れを広げて繊維の奥へ入れてしまいます。

吸い取った後は、乾かします。ドライヤーを遠くから当てるか、扇風機で風を送ってください。

色の付いた飲み物なら、塩や小麦粉を振りかけて吸わせ、掃除機で吸い取る方法があります。

染みが残った場合、完全に消すのは難しい。目立たなくする程度と考えてください。漂白する薬剤は、色が抜けて余計に目立ちます。

へこみと家具の跡

重い家具を長く置くと、そこだけへこんで跡が残ります。

浅いへこみなら、戻せることがあります。霧吹きで少し水を含ませ、濡らした布を当ててアイロンを軽くかける。蒸気で繊維が膨らみます。

ただし、水分を与えるので、その後の乾燥を必ず行ってください。

予防としては、家具の脚に敷板を入れることです。専用の小さな板が売られています。厚紙を重ねたものでも代用できます。

脚の面積が小さいほど、跡が深くなります。面積を広げれば、圧力が分散します。

三つの選択肢

傷んできたときの、修理の方法です。段階があります。

一つめが、表面をめくって裏返す方法です。い草の織物には裏側があり、こちらはまだきれいです。使い始めてから三年から五年が目安で、費用は一畳あたり数千円です。

二つめが、表面を新しいものに交換する方法です。土台はそのまま使い、上の織物だけ張り替えます。裏返しからさらに数年経ったころ、あるいは裏返しができない状態のときに選びます。費用は一畳あたり五千円から一万円台です。

三つめが、土台から作り直す方法です。畳が波打っている、踏むとぶかぶかする、厚みが減った。こうなったら、これしかありません。一畳あたり一万円台から数万円になります。

どれを選ぶかは、業者に見てもらえば判断してもらえます。裏返しの時期を逃すと、その選択肢がなくなる点だけ覚えておいてください。

頼むときの流れ

実際に業者へ依頼する場合の、流れの話です。

多くの店では、畳を持ち帰って作業し、後日戻します。その間、部屋が使えません。朝に引き取って夕方に戻す形に対応する店もあります。

作業の前に、家具をすべて出す必要があります。ここは自分でやる場合が多いので、段取りを考えておいてください。

畳が外れると、床板が見えます。この機会に、床下の状態を見ておくとよいでしょう。湿気やカビがあれば、そちらの対処も要ります。

そして、い草にも等級があります。安いものと高いものでは、色の保ち方や耐久性が違います。予算と、どれくらい使うかで選んでください。

い草以外の畳

今は、い草ではない素材を使った畳もあります。

樹脂や紙を原料にしたものは、色があせにくく、カビにも強い。水拭きができる製品もあります。手入れの負担は、はっきり軽くなります。

その代わり、い草の香りはありません。湿度を調整する働きも、本来のものとは違います。

価格は、い草の中級品と同じくらいか、やや高い程度です。

小さな子どもがいる、ペットがいる、日当たりが強い。こうした条件なら、検討する価値があります。

季節ごとの手入れ

一年を通して、気をつける点は変わります。

春は、冬の間にこもった湿気を抜く時期です。暖かい日に窓を開け、風を通してください。押し入れも開けて、和室全体の空気を入れ替えます。

梅雨から夏は、最も注意が要る時期です。除湿を意識し、カビが出ていないか時々確認してください。この時期に畳を替えると、新しいい草が湿気を吸ってカビやすいので、入れ替えを予定しているなら避けたほうが無難です。

秋は、作業に向いた季節です。乾燥していて、気温も落ち着いています。畳を上げて風を通す、業者に頼むといった作業は、この時期がおすすめです。

冬は、乾燥するので畳には楽な時期です。ただし、加湿器を使う部屋や、燃焼する暖房を使う部屋では、思ったより湿度が上がっています。結露した水が畳に落ちていないかも見てください。

畳の部屋の使い方

日々のちょっとした使い方でも、寿命は変わってきます。

椅子を使う場合、脚が畳を削ります。動かすたびに、同じ場所がすり切れていきます。専用の保護具を付けるか、その部分に敷板を置いてください。

座る位置が決まっている家庭では、そこだけ早く傷みます。時々、机や座布団の位置をずらすと、傷み方が均等になります。

そして、畳の上を引きずらないでください。家具も、掃除機も、持ち上げて移動させてください。引きずった跡は、消せません。

猫を飼っている家庭では、爪とぎの場所にされることがあります。一度ほぐれた繊維は戻らないので、別のとぎ場所を用意してください。

縁の部分も見る

畳の四辺を覆っている布にも、寿命があります。

ここは、歩くときに足が当たる場所です。すり切れやすく、日焼けもします。中の糸が見えてきたら、傷んできた合図です。

この布は、表面を張り替えるときに一緒に交換されます。色や柄を選べるので、部屋の雰囲気を変えたいときは、ここで相談してみてください。

縁のない畳もあります。正方形に近い形で並べる形式で、見た目が現代的です。ただし、縁がないぶん角が傷みやすく、交換の費用も上がります。

そして、畳と畳の隙間が広がってきたら、土台が痩せてきています。これも、そろそろ手を入れる時期の目安になります。

よくある質問

新しい畳から緑の粉が出ます

い草の表面に塗られた土が、擦れて落ちているものです。色と質感を整えるために使われており、害はありません。使っているうちに出なくなります。掃除機で吸い取ってください。

畳の上にベッドを置いてもよいですか

脚に跡が付くので、敷板を入れてください。また、下に湿気がこもるので、時々動かして風を通してください。重量が一点に集中する家具は、畳には厳しい相手です。

賃貸で畳が傷んだら誰の負担ですか

通常の使用による日焼けや摩耗は、貸主の負担とされるのが一般的です。ただし、こぼした染みやカビを放置した場合は、入居者の責任を問われることがあります。気づいた時点で報告しておいてください。

畳の部屋を洋室にできますか

畳の上に敷く床材が売られています。ただし、湿気の問題が残るので、下に通気の層を作る製品を選んでください。持ち家なら、畳を撤去して床を組む工事のほうが確実です。

まとめ

畳の手入れは、目に沿って掃除機をかけ、乾いた布で拭く。これだけです。水拭きは年に一、二回にとどめ、上にカーペットを敷かないでください。湿気がこもると、カビとダニが育ちます。そして、傷んできたら捨てる前に業者へ相談してください。裏返し、表替え、新調という三つの段階があり、状態によって費用が大きく変わります。裏返しの時期を逃さないことが、長く使う鍵です。

ふすまや障子は障子とふすまの張り替え、床のきしみは床鳴りの直し方、湿気の対策は窓の結露対策もあわせてどうぞ。

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この記事を書いた人

工具逆引き堂の運営者。乙種第4類危険物取扱者(令和3年8月取得)、第二種高圧ガス販売主任者(令和8年5月取得)。ガソリン・灯油などの燃料やカセットボンベの扱いを中心に、作業ごとに必要な工具と、法令・安全上の注意点を整理しています。資格の詳細と記事の守備範囲は運営者情報をご覧ください。

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