シガーソケットが使えない。パワーウインドウが動かない。室内灯だけ点かない。こうした症状の多くは、ヒューズが切れています。そして、ヒューズの交換は自分でできます。部品は数十円から数百円、作業は数分です。整備工場に持ち込む前に、まずここを確認してください。ただし、同じヒューズが何度も切れる場合は話が別です。この記事では、交換の手順と、そこで止まるべき線を書きます。
この記事でわかること
- ヒューズが切れる意味
- ヒューズボックスの見つけ方
- 交換の手順と選び方
- 繰り返し切れるときの判断
ヒューズは身代わりの部品
ヒューズは、あえて弱く作られた部品です。決められた以上の電流が流れると、中の金属が溶けて回路を切ります。これによって、その先にある機器や配線が守られます。
つまり、ヒューズが切れたということは、どこかに異常な電流が流れたということです。ヒューズ自体が壊れたのではなく、仕事をした結果です。
一度きりの異常なら、交換すれば直ります。古くなって切れることもありますし、一時的な過負荷ということもあります。だから、まずは交換して様子を見る。これが正しい対応です。
ただし、原因が残っていれば、また切れます。そのときは、ヒューズより先の問題です。
ヒューズボックスはどこにあるか
多くの車には、二か所に分かれて設置されています。症状によって、見る場所が変わります。
一つは、室内です。運転席の足元、ハンドルの下、あるいは助手席側のグローブボックスの裏。車種によって違いますが、小さな樹脂のふたが付いています。指をかける溝があるので、そこを引けば開きます。
もう一つは、エンジンルームです。黒い箱が置かれていて、留め具を外すとふたが開きます。こちらには、大きな電流を扱うヒューズが入っています。
場所が分からなければ、取扱説明書を見てください。必ず図で示されています。説明書がなければ、車種名とヒューズボックスで検索すれば見つかります。
どれが切れたかを調べる
ふたの裏側に、どこが何を担当しているかの配置図が印刷されています。ここを読むところから始めます。
どの位置のヒューズが、どの機器を担当しているか。そして、それぞれの容量が何アンペアか。この二つが書かれています。
表示は英語や略語のことが多いので、説明書と見比べてください。室内灯、シガーソケット、ホーン、ワイパーなど、機器ごとに分かれています。
該当する位置のヒューズを抜いて、光にかざしてください。中の金属の帯が、真ん中で切れていれば、それが原因です。切れていなければ、別の原因を探すことになります。
抜くための道具
ヒューズを引き抜く、小さな樹脂の工具があります。
多くの車では、ヒューズボックスの中にこの工具が入っています。ふたを開けたときに、隅に挟まっているはずです。
なければ、ラジオペンチでつまんで抜けます。ただし、力を入れすぎると隣のヒューズを傷めます。まっすぐ引いてください。
金属の工具を使う場合、他の端子に触れないよう気をつけてください。短絡すると、火花が出ます。
作業の前に、エンジンを止めて鍵を抜いてください。これだけで、多くの危険が避けられます。
同じ容量のものに替える
ここが、この作業で最も重要な点です。
ヒューズには、容量を示す数字が書かれています。十アンペア、十五アンペア、二十アンペアといった具合です。色でも区別されていて、容量ごとに決まった色になっています。
交換するときは、必ず同じ数字のものを使ってください。大きい容量のものを入れると、異常な電流が流れてもヒューズが切れません。その結果、配線が発熱して燃えます。車両火災の原因になります。
手元にないからと、別の場所のヒューズを移すのも避けてください。そちらの機器が守られなくなります。どうしても一時的にやる場合は、重要度の低い機器から借り、早く正規のものを買ってください。
針金やアルミ箔で代用するという話を聞くことがありますが、これは絶対にやってはいけません。ヒューズの意味がなくなります。
形にも種類がある
容量だけでなく、ヒューズは大きさも何種類かに分かれています。ここを間違えると、そもそも差し込めません。
平たい形のものが主流ですが、その中でも標準の大きさ、小さいもの、さらに小さいものがあります。年式や車種によって使われるものが違います。
買うときは、切れたヒューズを持って店に行くのがいちばん確実です。並べて比べれば、間違いません。
カー用品店やホームセンターで、複数の容量が入った組が数百円で売られています。予備として車に積んでおくと、出先で困りません。
古い車では、円筒形のヒューズが使われていることもあります。この場合も、同じ形と容量のものを探してください。
交換したあとの確認
新しいヒューズを差し込んだら、動作を確かめます。
差し込むときは、まっすぐ奥まで押し込んでください。斜めに入ると、接触が悪くなって発熱します。
該当する機器を動かして、正常に働くか見てください。動けば、これで完了です。
動かない場合、ヒューズ以外に原因があります。機器そのものの故障、配線の断線、あるいは別のヒューズも切れている。ここからは、整備工場の領域です。
ふたは、必ず元どおり閉めてください。開けたままだと、ほこりや水分が入ります。
すぐまた切れる場合
交換したのに、またすぐ切れる。この状態は、自分で対処してはいけません。
どこかで配線が傷つき、車体の金属に触れている可能性があります。この状態を短絡と呼び、大きな電流が流れ続けます。
ヒューズを何度も交換して使い続けると、いずれ配線が発熱して火が出ます。切れるということは、異常が続いているという信号です。
原因を探すには、回路をたどる知識と道具が要ります。整備工場に持ち込んでください。そのとき、どのヒューズが何回切れたかを伝えると、診断が早く進みます。
後付けの機器が原因のこともある
自分で何かを取り付けた後に切れ始めたなら、そこを疑ってください。
ドライブレコーダー、電源を分岐する器具、照明。こうしたものを後から付けると、その回路の電流が増えます。元の容量を超えれば、当然ヒューズが切れます。
ここで容量の大きいヒューズに替えるのは、最も危険な対応です。配線そのものが、その電流に耐える設計になっていません。
正しくは、別の回路から電源を取るか、機器の消費電力を見直すことです。取り付けた機器の説明書に、必要な電流が書かれています。
取り付け作業に自信がないなら、最初から店に頼むほうが結果的に安く済みます。
ヒューズ以外の原因
機器が動かないとき、ヒューズが無事だったなら、他の原因を順に疑っていきます。
電球が切れているだけということがあります。室内灯やナンバー灯なら、電球の交換で直ります。
バッテリーが弱っていると、複数の機器が同時に不調になります。エンジンの始動が重い、ライトが暗いといった症状があれば、そちらが原因です。
接点の汚れという場合もあります。シガーソケットに差した機器が動かないなら、ソケットの内部にごみが入っていないか見てください。
スイッチそのものの故障も起こります。この場合は、部品の交換になります。
車に積んでおくもの
自宅ではなく出先で切れたときに備えて、積んでおくとよいものを挙げます。
ヒューズの組と、抜き取る工具。この二つがあれば、路上でも対応できます。場所を取らないので、小物入れに入れておけます。
ただし、夜間や交通量の多い道路で作業するのは危険です。安全な場所まで移動してから行ってください。
走行に関わる機器のヒューズが切れた場合は、無理に走らせないでください。灯火類が点かない状態での走行は、法令上も問題があります。
判断に迷ったら、加入している保険の路上サービスを呼んでください。多くの場合、無料で対応してもらえます。
バイクの場合
二輪車にも、まったく同じ仕組みが組み込まれています。
ヒューズボックスは、シートの下やサイドカバーの内側にあることが多いです。バッテリーの近くに置かれています。
車より回路が少ないので、ヒューズの数も少なくなっています。予備が一本、ボックスの中に入っている車種もあります。
考え方は同じです。同じ容量のものに替え、繰り返し切れるなら店に見てもらってください。
症状からヒューズを絞り込む
配置図を見ても、どれを確認すればよいか迷うことがあります。症状の出方から絞る考え方を書いておきます。
一つの機器だけが動かないなら、その機器専用のヒューズです。配置図でその名前を探せば済みます。
複数の機器が同時に動かないなら、それらをまとめて担当するヒューズが切れています。たとえば室内の電装品がまとめて死んでいるなら、上流にある一本が原因です。この場合、個別のヒューズをいくら見ても無事なままです。
逆に、すべての電気が来ていないなら、ヒューズではなくバッテリーか、その端子の接続を疑ってください。端子が緩んでいるだけということが、実際によくあります。
そして、エンジンをかけたときだけ症状が出る、走行中だけ出るといった場合は、接触の不良が疑われます。振動で接点が離れているわけです。これはヒューズの交換では直りません。
作業を安全に進めるために
簡単な作業ですが、電気を扱う以上、押さえておく点があります。
エンジンを止め、鍵を抜いてから始めてください。エンジンルーム側を触るなら、エンジンが冷えるまで待ちます。作業中に手が周囲の金属に当たるので、熱い状態では危険です。
指輪や金属のブレスレットは、外してください。狭い場所に手を入れるとき、端子に触れて短絡することがあります。
雨の日に屋外で、エンジンルームを開けての作業は避けてください。水が入ると、別の故障を呼びます。
落としたヒューズを、無理に探そうとして手を突っ込むのも危険です。明るい照明を用意し、見える状態で作業してください。小さな部品なので、落とすと厄介です。
どこまでを自分でやるか
この作業は、車の整備のなかでは入り口にあたります。特別な道具も知識も要らず、失敗しても同じ容量のものを入れ直せば元に戻ります。
ただし、ここから先へ進むかどうかは、はっきり分けて考えてください。ヒューズを替えて直るなら、それでよい。直らないなら、そこで止める。この線引きが大切です。
配線をたどる、端子を付け替える、被覆をはがしてつなぐ。こうした作業は、見た目には簡単そうに見えます。しかし、接続が甘いと走行中の振動で外れ、そこが発熱の起点になります。
車は、走行中に故障すると自分以外の人も巻き込みます。電気系統は特に、不具合が目に見えない形で進みます。迷ったら任せるという判断は、この分野では臆病ではなく妥当です。
よくある質問
切れているかどうか、見ても分かりません
樹脂が濁っていると、中が見えにくくなります。明るい光にかざすか、新品と並べて比べてください。それでも分からなければ、電気を調べる道具を使う方法もありますが、疑わしいものを交換してしまうほうが早いです。
容量の小さいものなら入れてよいですか
安全側ではありますが、正常に使っていてもすぐ切れます。機器が使えないので、実用になりません。応急でその場をしのぐ以外は、正しい容量のものを使ってください。
エンジンルーム側のヒューズも自分で替えられますか
平たい形のものなら、室内側と同じ手順です。ただし、大型の部品や、ねじで留められた形式のものは触らないでください。大きな電流が流れる部分なので、整備工場に任せるのが安全です。
切れたヒューズはどう捨てますか
小さな樹脂と金属の部品なので、自治体の分別に従って捨ててください。多くの地域では、燃えないごみか小型金属の扱いです。量が少ないので、特別な手続きは要りません。
まとめ
電装品が一つだけ動かないなら、ヒューズを疑ってください。ボックスの位置は説明書に載っていて、ふたの裏に配置図があります。抜いて光にかざし、中の帯が切れていれば交換です。このとき、必ず同じ容量のものを使ってください。大きいものを入れると、配線が守られなくなり火災につながります。そして、交換してもすぐ切れるなら、配線の異常です。そこで手を止めて、整備工場に持ち込んでください。
電球の交換は車の電球交換、バッテリーの不調はバッテリーが上がる原因、自分でできる整備の範囲は車の整備はどこまで自分でできるかにまとめています。